Waterfox

Waterfox(ウォーターフォックス)は、Mozilla Firefoxをベースとした64ビットWindowsmacOSLinux用のオープンソースブラウザClangを用い[2]ストリーミングSIMD拡張命令 3およびAdvanced Vector Extensionsを利用するようにコンパイルされている。Firefoxのアドオン、64bit NPAPIプラグインと高い互換性がある[3]

Waterfox
Windows 10上のWaterfox G5.1.9のスクリーンショット
作者Alex Kontos
初版2011年3月27日 (2011-03-27)
最新版
G6.0.13[1] ウィキデータを編集 / 2024年4月24日 (2か月前)
リポジトリ ウィキデータを編集
使用エンジンGecko
対応OSMicrosoft Windows, macOS, Linux
プラットフォームx86-64
サポート状況開発継続中
種別ウェブブラウザ
ライセンスMozilla Public License
公式サイトwww.waterfox.net
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沿革

  • 2011年3月27日[4] - 英国の16歳の学生Alex KontosMozillaオープンソースプラットフォームをベースに64ビットWindows環境に最適化したブラウザを公開。
  • 2012年8月29日 - Windowsポータブル版公開(バージョン15.0)[5]
  • 2014年7月8日 - 言語パック導入(バージョン30.0)
  • 2014年11月10日 - Mac OS X版公開(バージョン33.0.2)。
  • 2016年11月20日 - Linux版公開(バージョン50.0)。
  • 2017年11月30日 - バージョン56リリース以降、Firefox ESRベースのメンテナンスへ移行。
  • 2019年5月8日 - 次期メジャーリリースのテスト版”Waterfox Alpha”(バージョン68.0a1)公開。
  • 2019年10月15日 - ”Waterfox Classic”と”Waterfox Current”の2ブランチでのリリース開始。
  • 2019年12月 - カリフォルニア州ベニスで設立された広告企業System1に買収された(公表は2020年2月[6])。

特徴

高速ブラウジング

WaterfoxはGeckoエンジン系のFirefox派生ブラウザの中で、公開当時より64ビット版OSに特化した開発を行い、「最速の64ビットブラウザ」と称していた[7]。Waterfoxが誕生したのはWindows 7がリリースされてから数年後、まだ32ビットプログラムが主流の頃で、64ビットまでサポートするものは少なく、開発者のAlex Kontosはハードウェアを活用しきれていないと感じていた[8]。彼は既存のブラウザが「スポーツカーを2速ギアのまま運転している」ように遅すぎると感じ[9]、1か月間でWaterfoxのコードを書き、Overclock.netのフォーラム[1]で公開した。すると1年後には、10万を超えるダウンロードを記録した[8]

TechRepublicが2012年にPeacekeeper browser benchmark testsを用いて行ったベンチマーク[10]ではFirefoxの方が良い結果を示したが、2014年にSoftpediaが行ったテストではWaterfoxの方が若干上回った[11]

ユーザー主義

2015年にFirefox64ビット版が公開されてからは、速さをアピールするよりも、プライバシー保護やカスタマイズ性といったユーザビリティで本家との差別化を図っている。

  • ブックマーキングサービスのPocketや、新規タブのスポンサータイルの削除。
  • ブラウザ内でのトラッキングテレメトリ情報の収集などの機能を削除。アップデート関連(バージョン・OS)以外の情報を収集しない。Cookie拒否をオプション選択可能。
  • JavaSilverlightを含めた64ビットNPAPIプラグインや、署名のない拡張機能をサポート。

Firefoxでは2017年11月リリースのバージョン57(Quantum)以降、WebExtensionsに対応しない旧型拡張機能(レガシーアドオン)を廃止したが、Waterfoxはレガシーアドオンへの対応を継続している。Waterfox 56以降は本家のバージョンアップに追随せず、Firefox ESR 52(法人向け延長サポート版)をもとにセキュリティ更新などを維持しながら、新しいブラウザの開発を行う方針である[12]。この結果、カスタマイズ環境の維持を望むFirefoxユーザーには、WaterfoxやPale Moonが代替ブラウザの候補になった[13]。なお、Firefox公式サイトで配布が終了したレガシーアドオンは、私設アーカイブサイト”Classic Add-ons Archive”から入手可能である[14]

展望

2019年5月、Firefox 68 Nightlyベースに開発された次世代Waterfoxのアルファ版であるバージョン68.0a1をリリース。Mozilla Thunderbirdのチームが開発したコードを使用することで、クラシックな拡張機能をある程度サポートするとされた[15]

2019年10月、バージョン2019.10より番号表記を年・月方式に改めると同時に、今後は以下の2つのブランチでリリースすることを発表した。

  • Waterfox Classic(ウォーターフォックス・クラシック)
レガシーブランチ。WebExtensionsに対応しないNPAPIプラグインやBootstrap拡張機能をサポートし[16]、セキュリティ更新やバグの修正を続ける[17]。このブランチをやめる予定はない[17]
  • Waterfox Current(ウォーターフォックス・カレント)
最新のウェブと完全にカスタマイズ性のあるブラウザへアップデートすることを目指す[17]。すべてのWebExtensionsと幾つかの拡張機能を利用できる[16]。ポータブル版なし。

Waterfoxプロジェクトは開発者のAlex Kontosが寄付をもとに個人レベルで続けてきたが[4]、System1の買収後は同社に加入し、専属の開発チームを組んで「ビッグブラウザを代替可能」なポジションを目指す[18]。広告会社の影響を懸念する声に対し、Kontosは精査の上でマッチしたパートナーであり、Waterfoxの成長を助けてくれる分別のある人々だと述べている[18]。System1は先に「世界で最もプライベートな検索エンジン」を謳うStartpageを傘下に収めている。

システム要件

WindowsmacOSLinux
OS7以降OS X 10.9以降(Current)
OS X 10.7以降(Classic)
GLib 2.28
CPUAMD Athlon 64Intel Pentium 4
またはSSE3をサポートする新しいプロセッサ
Intel x86 プロセッサAMD Athlon 64、Intel Pentium 4
またはSSE3をサポートする新しいプロセッサ
RAM512 MB以上
ハードディスクの空き容量200 MB以上

関連項目

脚注

外部リンク