Rocket Lakeマイクロプロセッサ

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Rocket Lake(ロケットレイク)は、インテルによって開発されたデスクトップ向け第11世代マイクロプロセッサである。2021年3月17日に発表され[1]、3月30日に発売された[2]

Rocket Lakeマイクロプロセッサ
生産時期2021年3月30日(日本時間)から
生産者インテル
プロセスルール14nm
マイクロアーキテクチャCypress Coveマイクロアーキテクチャ
命令セットx64-x86
コア数6または8
(スレッド数:12または16)
ソケットLGA1200
コードネームRocket Lake
前世代プロセッサComet Lakeマイクロプロセッサ
次世代プロセッサAlder Lakeマイクロプロセッサ
ブランド名i9
i7
i5
Xeon
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概要

高い動作周波数を持つ14nmプロセスのマイクロプロセッサとして、同じ14nmプロセスのComet Lakeマイクロプロセッサ(第10世代)の後継として用意された。当時10nmプロセスでは動作周波数を上げることが難しかった。

高い動作周波数、IPCの増強、ピンやソケットの大型化、Cypress Coveマイクロアーキテクチャ採用などによる性能増強が図られ、シングルスレッドの性能は顕著に向上した。

反面、iGPU・リングバス・ソケット形状維持のためにコア数が減りマルチスレッド性能が低下し、また製造プロセスが改善されてないため消費電力が大幅に増加した[3]11900Kなどの第11世代 Core i9シリーズ10900Kなどの10世代 Core i9シリーズとの比較)。

特徴

プロセスルール

プロセスルールのみCoffee Lakeから最適化がされていない。

プロセッサのコードネームプロセスルールの名称
Broadwell
Skylake
14nm
Kaby Lake
Kaby Lake Refresh
Amber Lake
14nm+
Coffee Lake
Coffee Lake Refresh
Whiskey Lake
Comet Lake
Rocket Lake
14nm++

Cypress Coveマイクロアーキテクチャ

概要

Cypress CoveSunny Coveを14nm++にバックポートしたものである。先述もしたが、10nmプロセスの遅延により、14nm++プロセスでの立ち上げをせざるを得なくなった。10nmプロセスの立ち上げが遅れたのはIce Lake発売時のインテルの10nmプロセスは、まだ14nmほどの動作周波数を達成できなかったからである[5][6]。Rocket Lake-Sを10nmプロセスでローンチしようとするとIntel 7(旧称: 10nm Enhanced SuperFin[7])を使用することになるが、当時は量産されていなかった。量産を待つとロードマップにさらなる遅れが生じ、その隙にRyzenにシェアを奪われかねないため[5]、仕方なく量産体制に入っていたIce Lakeを14nmにバックポートしRocket Lakeとしてローンチすることになった[8]

特徴

  • Skylakeマイクロアーキテクチャと比べ動作クロックあたりの命令実行数(IPC)が約19%向上
  • Out-of-Order実行のために必要なバッファ類を増やし、より同時に多数の命令をIn-Flight状態におけるようにした
  • 命令デコード幅を4 x86命令→5 x86命令に、命令発行(microOp)を8命令/サイクルから10命令/サイクルに拡張
  • AVX512命令をサポート
  • AES-NI命令のピークスループットを2倍に拡大
  • Rep Move Strings命令の高速化
  • L1データキャッシュを32KB→48KBに拡大
  • ロードの際の実効レイテンシーを削減
  • Data L1へのストアの発行を1回/サイクルから2回/サイクルに強化
  • データプリフェッチの機能を強化
  • L2 TLBを拡大
  • μOpキャッシュの容量を拡大
  • 分岐予測機構を強化
  • シングルスレッドモードにおけるLarge Page ITLBのサイズを倍増
  • L2を大容量化(256KB→512KB)
— 大原雄介、ASCII.jp:Rocket Lakeが14nmプロセスを採用した本当の理由 インテル CPUロードマップ

第11世代 Rocket Lake 製品概要

デスクトップ向け Rocket Lake-S

  • マイクロアーキテクチャを変更しIPCを改善させたことにより、シングルスレッド性能も向上した[9]
  • XeonはW580、Q570チップセットのみの対応
  • B460、H410チップセットではRocket Lake-Sをサポートしない[10]
  • 全てのIntel 500 シリーズのチップセットとRocket Lake-Sの組み合わせにおいて、メモリのオーバークロックに対応。
  • ソケットはLGA1200のまま据え置き。
  • AVX 512に対応。
  • Intel Deeplearning Boost英語版に対応。
  • Resizable BARに対応。
  • CPU直結PCIeレーンはPCIe 4.0 20レーン
デスクトップ向け Rocket Lake-S
ブランド型番コア
(スレッド)
CPU周波数(GHz)GPUGPU周波数(MHz)メモリ周波数L3
キャッシュ

(MB)

TDP

(W)

価格
(米ドル)
定格最大定格最大
Core i911900K8 (16)3.55.3UHD 7503501300DDR4-3200×2
Gear1(50 GB/s)
16125539
11900KFN/A513
119002.55.2UHD 7503501300DDR4-3200×2
Gear2(50 GB/s)
DDR4-2933×2
Gear1(50 GB/s)
65439
11900FN/A422
11900T1.54.9UHD 750350130035439
Core i711700K8 (16)3.65.0UHD 7503501300DDR4-3200×2
Gear2(50 GB/s)
DDR4-2933×2
Gear1(50 GB/s)
16125399
11700KFN/A374
117002.54.9UHD 750350130065323
11700FN/A298
11700T1.44.6UHD 750350130035323
Core i511600K6 (12)3.94.9UHD 750350130012125262
11600KFN/A237
116002.84.8UHD 750350130065213
11600T1.74.135
115002.74.665192
11500T1.53.935
114002.64.4UHD 73065182
11400FN/A157
11400T1.33.7UHD 730350130035182
Xeon W1390P8 (16)3.55.3UHD P7503501300DDR4-3200
(50GB/s)
16125539
13902.85.280494
1390T1.54.9120035
1370P3.65.2130095428
13702.980362
1350P6 (12)4.05.11295311
13503.35.080255

出典