PCエンジンのゲームタイトル一覧

NECホームエレクトロニクスとハドソンが共同で開発したPCエンジンは1987年10月30日に日本で発売され^[1]、北米では1989年にTurboGrafx-16という名称で発売された。PCエンジンのソフトはICカード型のROMカートリッジであるHuCARD（PCエンジン用、PCエンジンスーパーグラフィックス用）とCD-ROM（CD-ROM²、SUPER CD-ROM²、アーケードカード）の2種類のメディアおよび5種類の規格で発売された。同じメディア内であれば上位互換を持つ。

HuCARD対応作品としては『ビックリマンワールド』や『カトちゃんケンちゃん』といったキャラクターゲームから^[2]、『究極タイガー』といったアーケードを含む他機種からの移植作^[3]、『邪聖剣ネクロマンサー』のように流血シーンが存在する作品^[4]や、『エイリアンクラッシュ』^[5][6]のようにグロテスクなデザインを売りとする作品、さらにはパロディ小説をアドベンチャーゲーム化した『定吉七番 秀吉の黄金』^[3]などが挙げられる。また1989年に発売された『麻雀学園 東間宗四郎登場』はPCエンジンにおける脱衣麻雀ブームの火付け役となり、修正版となる『麻雀学園MILD 東間宗四郎登場』を発売するなど、きわどい内容で知られる^[7]。

PCエンジンは、本体に最低限の機能を持たせたうえで、周辺機器によって機能を拡張するという「コア思想」と呼ばれる設計思想を有していることを特徴としていた^[8]。たとえば、PCエンジン本体は1つしかコントローラを接続できないが、周辺機器であるマルチタップを接続することで複数人でのプレイが可能となり、これが『ボンバーマン』（1990年12月7日発売）などのパーティゲームの成功につながった^[9]。その中でも『スーパー桃太郎電鉄』では競争要素が盛り込まれ、のちに桃太郎電鉄シリーズのシステムの基礎となった^[10]。

1988年12月4日にはCD-ROM²が周辺機器として発売された^[11]。採用されたCD-ROMは540MBでHuCARDと比較して大容量であり、この容量を生かしたタイトルが発売された。例えば『イースI・II』^[9]では声優を起用^[7]し、キャラクターが喋ることができる。一方、1990年当時CD-ROMはプレスに時間がかかるという難点があり、例えば年末にソフトを売りたい場合、9月末にはソフトを完成している必要があった^[12]。また、CD-ROM²に搭載されたCDドライブは等速読み込みしかできないため、1秒程度のビジュアルシーンに7，8秒の読み込みが発生する問題があり、『獣王記』ではプレイ中の読み込みが酷評された^[12]。CD-ROM²のサードパーティの一つ・日本テレネットの元スタッフであるM.Y.は2023年の4Gamer.netとのインタビューの中で『獣王記』の二の舞を避けよという厳命の下で『ゴールデンアックス』の移植に臨んだものの、開発期間が短かったこともあり、酷評を受けたと明かしている^{[12][注 1]}。このインタビューに同席していた新日本レーザーソフトの元スタッフ・川出陽一もソフトの設計が難しく向き不向きが激しかったと話している^[12]。そのためCD-ROM²登場以後であっても、『ストリートファイターII'』のように、ゲームのプレイ感覚を優先するため、CD-ROMではなく、専用の大容量HuCARDを採用した例もあった^[13]。

1989年12月には、PCエンジンの上位機種であるPCエンジンスーパーグラフィックスが登場した。これは、通常のPCエンジンの2倍のスプライトやバックグラウンドの表示能力を有しており、『オルディネス』（1991年）のように細部まで描かれたグラフィックを目玉とした作品^[14]や、『大魔界村』のように移植元のアーケードゲームをほぼ忠実にした作品^[15]を世に送り出した。しかし高価（39,800円）なこともあり、既存のPCエンジンのように広まらず、専用ソフト5本を出しただけで終焉を迎えた^[14]。

1991年12月13日にはCD-ROM²の強化版にあたるSUPER CD-ROM²が周辺機器として発売された^[11]。CD-ROM²と同様に大容量を活かして、例えばアーケードゲームの移植作である『R-TYPE』の場合、HuCARDの容量の都合上、最初は『R-TYPE I』と『R-TYPE II』と2つに分けて発売された^{[16][2][注 2]}が1991年12月20日発売の『R-TYPE COMPLETE CD』では最初から1本のソフトとして発売した^[2]上で、映像やBGMが追加収録された。また『ドラゴンナイトII』を皮切りにアダルトゲームの移植が相次ぎ^[13]、『セクシーアイドル麻雀』などでAV女優が起用されたケースもあった^[7]。ただしアダルトゲームをそのまま移植するわけにはいかないため、声優を目玉にする手法がとられた^[7]。また1994年にコナミから発売された『ときめきメモリアル』は専門誌のレビューを機に知名度が上がり、口コミで人気が増し、他機種への移植もなされたことで、家庭用ゲーム機における美少女ゲームの火付け役となった^[17]ほか、同社の他作品にも影響を与えた^{[注 3]}。

他方、『ストライダー飛竜』や『桃太郎伝説II』のように発売までに対応メディアや中身が何度も変更された作品や、『フォゴットンワールド』のように作品そのものの出来や原作の知名度にかかわらず、人気を得られなかった作品もあった^[19]。

これらの正規品とは別に『CD麻雀 美少女中心派』^[20]などの非ライセンス品も存在する。

なお、PCエンジン発売前の販促用カタログに掲載された18本の内、『アミューズ殺人事件』(ハドソン)、『5人用ブロックくずし』(ハドソン)が発売中止となり、同じく発売中止となった『BIGサッカー』(ハドソン)は後に開発再開されて『パワーイレブン』(ハドソン)として発売されたという説がある^[21]。発売中止となったゲームの中には、総合展示会で発表されたきり続報が途絶えたゲーム、一瞬だけ雑誌やムックで紹介されたきりフェードアウトした作品も相当数存在する^[22]。さらに企画、構想の段階でメディアに公開されたものの開発段階に至らずすぐに立ち消えになったもの、存在そのものが噂レベルにとどまったもの^[23]、後年に詳細な資料が残っていないもの^[24]も存在する。

北米では『カトちゃんケンちゃん』をローカライズしたJ.J. & Jeffなどが発売されたが、本体の売れ行きは全世界（1000万台）の4分の1である250万台と振るわなかった^[25]。PCエンジンが北米から事実上撤退した後、ハドソンは当時北米で人気を博していたセガのジェネシス向けに、『ボンバーマン’94』や『コブラII 伝説の男』といったPCエンジン作品用ソフトを移植していった^[26]。

1999年まで発売されたタイトルの一部はバーチャルコンソールなどのダウンロード販売サービスやプラグ&プレイ型ゲーム機のPCエンジン miniなど、他機種でも展開された^{[注 4]}。

PCエンジン用に発売された5種類の規格の合計タイトル数（非売品や体験版、書籍の付属品は除く）は、本記事では日本が666^{[注 5]}で北米が140^{[注 6]}である。一方で書籍『PCエンジン＆PC-FXパーフェクトカタログ』では日本の合計タイトル数は664^[28]であり、差があることに注意されたい。

なおソフトの中には2種類の規格に対応したものが一部存在する。本記事において、両対応ソフトはパッケージ（帯・説明書・ディスクのレーベル面）の表記に従って分類する。

また次節以降の表中では一部記述の省略・略記を行っている。

• 規格：以下メディア別に下位から上位の順で略号とともに列記する。
  • HuCARDメディア - HC：通常のHuCARD / SG：スーパーグラフィックス専用ソフト
  • CD-ROMメディア - CR：CD-ROM²専用ソフト / SC：SUPER CD-ROM²専用ソフト / AC：アーケードカード専用ソフト
• 種類：ゲームジャンル
  • ACT：アクション / ADV：アドベンチャー / ARPG：アクションロールプレイング / PZL：パズル / RCG：レース / RPG：ロールプレイング / SLG：シミュレーション / STG：シューティング / TBL：テーブル / QUIZ：クイズ / 他：上記以外のジャンル。備考欄に略説。
• 備考：特記事項がある場合に記載。

本節の「発売されたタイトル一覧表」には合計で「291」のゲームタイトルを発売日・発売元とともに列記している。また「地域ごとの発売年一覧表」には1987年から1994年に発売されたゲームタイトル数を地域および年に分けて列記している。

スーパーグラフィックス用タイトルは1989年から1991年にかけて発売された。米国では未発売。

発売年ごとのタイトル数（全5タイトル）は以下の通り。

本節の「発売されたタイトル一覧表」には合計で「120」のゲームタイトルを発売日・発売元とともに列記している。また「地域ごとの発売年一覧表」には1988年から1993年に発売されたゲームタイトル数を地域および年に分けて列記している。

本節の「発売されたタイトル一覧表」には合計で「252」のゲームタイトルを発売日・発売元とともに列記している。また「地域ごとの発売年一覧表」には1991年から1999年に発売されたゲームタイトル数を地域および年に分けて列記している。