Lemon (米津玄師の曲)

日本の米津玄師の楽曲
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Lemon」(レモン)は、日本シンガーソングライター米津玄師の楽曲。メジャー通算8枚目のシングルの表題曲である。CDリリースに先立ち、2018年2月12日ソニー・ミュージックレコーズより配信リリース[1]。同年3月14日にフィジカルがリリースされた。リリース直後から音楽配信サービスや動画共有サービスで反響を呼び、以降歴史的ロングヒットを記録し2018年、2019年を代表する曲となった。

「Lemon」
米津玄師シングル
初出アルバム『STRAY SHEEP
B面クランベリーとパンケーキ
Paper Flower
リリース
規格マキシシングル
デジタル・ダウンロード
録音abs RECORDING STUDIO
Bunkamura Studio
studio GREENBIRD
ジャンルJ-POP
時間
レーベルSony Records / MASTERSIX FOUNDATION
作詞・作曲米津玄師
ゴールドディスク
  • 3ミリオン(Track1、シングルトラック、日本レコード協会
  • ダブル・プラチナ(CD、日本レコード協会)
チャート最高順位

  • Billboard JAPAN
  • オリコン
    • 週間2位
    • 月間3位(2018年3月度)
    • 年間18位(2018年度)
    • 年間34位(2019年度)
    • 登場回数161回
    • デジタルシングル週間1位(10週連続・通算26週)
    • デジタルシングル年間1位(2018年度・2019年度)
    • カラオケ年間1位(2018年度・2019年度)
  • CDTV
    • 週間1位(通算4週、オリジナルランキング)
    • 2018、2019年度年間1位(オリジナルランキング)
  • YouTube邦楽再生数ランキング1位
米津玄師 シングル 年表
ピースサイン
(2017年)
Lemon
(2018年)
Flamingo / TEENAGE RIOT
(2018年)
ミュージックビデオ
「Lemon」 - YouTube
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映像外部リンク
████████と、Lemon。

制作背景

「Lemon」はTBSテレビ金曜ドラマアンナチュラル』の主題歌として書き下ろされた。2017年12月14日、ワンマンライブツアー「米津玄師 2017 TOUR / Fogbound」の神奈川県パシフィコ横浜国立大ホールでの公演内において楽曲を制作中であることが本人から述べられた[2]。同月の12月29日に、表題曲のレコーディングを終えた旨が米津のTwitterアカウントに投稿された[3]。ドラマの初回放送日である1月12日、ドラマの第1話エンディングで楽曲が初めてオンエアされ、同時に「Lemon」に合わせたビジュアルワークが公開された。楽曲に対しては主演を務める石原さとみと、脚本を担当する野木亜紀子からコメントが寄せられた[4]。ドラマ第2話放送後、シングルリリースが告知された。リリースは米津にとって「ピースサイン」以来9ヶ月ぶり、また2018年最初であった[5]。同時にジャケットワークが公開された。過去作品と同様に米津のイラストが使用されており、枝から垂直に生ったレモンの果実が描かれている[6]。フィジカルはドラマの最終話が放送される3月14日、初回限定盤の2種類(レモン盤・DVD盤)と通常盤の合計3形態がリリースされた。通常盤はCDのみ。レモン盤にはレターセット、DVD盤にはMVとライブ映像を収録したDVDがそれぞれ特典として付属する[7]。全形態の初回盤には、共通して特典として10月27日28日幕張メッセにて開催される「米津玄師 2018 LIVE / Flamingo」のチケットの最速先行抽選応募券が封入された[8]

「Lemon」は『アンナチュラル』の主題歌として書き下ろされたが、劇中では人の死を多く扱っており、楽曲も同じテーマが重要視されて制作された。制作当初の仮タイトル「Memento」(日本語で「形見」「記憶」などの意[9])であったが、あまりに直接的過ぎるという理由で変更された[10]。タイトルや歌詞に用いられた「レモン」については、梶井基次郎の『檸檬』や高村光太郎の『智恵子抄』(「レモン哀歌」)などから無意識的に自分の頭の中にはあったものから生まれたもの、という面はあるかもしれないと述べている[10]。また、楽曲制作中に祖父が他界し、自分の中での死に対する価値観が変わったことで、かなり悩んだことや完成までにかなりの時間がかかった事を明かしている[11]。ドラマプロデューサーからは「傷ついた人たちを優しく包み込むような曲」としてオーダーされたが、米津本人は出来上がった楽曲について「“あなたが死んで悲しいです”としか言ってない気がする」との感想を持っている[12]。コード進行は松任谷由実Hello, my friend」から影響を受けている[13]。カップリングの「クランベリーとパンケーキ」は、米津が二日酔いの状態の時に制作された[14]

2020年8月5日に発売された5thオリジナルアルバム『STRAY SHEEP』にシングルリリースから約2年半が経てアルバム初収録された。

批評家の反応

  • 音楽評論家スージー鈴木は、本楽曲が「売れ続ける理由」を分析し、そして、後藤正文野田洋次郎の後継ともいえる「声質」、J-POPの王道的手法を駆使した「メロディ」、特徴的でトリッキーな「循環コード」、マイナーコードを主体とした「歌謡曲的な魅力」の4つを指摘、「J-POP、洋楽、そして歌謡曲――これらの魅力を黄金律で配合した音楽。言わば『完全栄養食」』ようなパーフェクトな音楽として、私には聴こえたのである」と述べた[15]
  • 音楽ジャーナリスト宇野維正は、2018年の日本の音楽シーンを振り返り、米津玄師と星野源に関して「日本のメインストリームで活躍しているミュージシャンの中でも海外のカルチャーを貪欲に吸収しているという意味で際立った存在で、実際にそれを自分の音楽にも随時反映させてきた」と指摘し、また「今の日本では現在進行形の海外のポップ・ミュージックの文脈がきちんと理解されていないとしても、潜在的に『みんなが聴きたい音』というものはあるわけで、それをちゃんと踏まえて作っているから支持をされているという側面は重要」だと述べた[16]
  • テレビ雑誌『ザテレビジョン』が主宰する第96回ドラマアカデミー賞では、本楽曲はドラマソング賞を受賞した。読者票・ザテレビジョン記者票・審査員票の項目で競われ、「Lemon」はそれぞれ2位・1位・2位を獲得した[注 1]

チャート成績

先行配信された表題曲は、2018年2月26日付のBillboard JAPAN Hot 100で初登場2位を記録した[18]。同日付のオリコン週間デジタルシングルランキングでは、約23.6万ダウンロードで初登場1位を記録した[19]。また、このダウンロード数は、前年12月に正式スタートしたオリコン週間デジタルシングルランキングの、発売初週ダウンロード数、累積ダウンロード数の歴代記録を塗り替える結果となった[20]。オリコン週間デジタルシングルランキングでは、その後発売以来10週連続で1位を獲得し5月5日付で累計ダウンロード数100万回を突破した[21]

2019年11月11日付最新オリコン週間カラオケランキングにて1位を獲得し、歴代連続1位獲得週数を85週に伸ばした。2019年3月25日付オリコン週間カラオケランキングにて52週連続1位という新記録を樹立した後も、現在まで途切れることなく1位を獲得し続けており、1.5年以上にわたり、前代未踏の記録を更新し続けている[22][23]

3月14日にフィジカルが発売され、26日付けのオリコン週間ランキング・Billboard JAPAN Hot 100では初登場2位を記録した。米津のシングルが初週10万枚以上売り上げるのは初となる。フィジカルは1週間でおよそ30万枚が出荷され、配信数と合計してミリオンセールスを記録したと報じられた。3月19日付けの香港、及び台湾のiTunes総合チャートで1位を獲得しており、この影響で、台湾では4月、中国では8月にCDシングルリリースが告知されている[24]。翌週4月2日付けのオリコン週間ランキングでは約4万枚を売り上げて2位を保持。Billboard JAPAN Hot 100ではワンランクアップして1位を獲得した[25]

レコード会社調べでは、2018年10月17日までにフィジカルの出荷枚数が41万枚を突破[26][27]し、2018年12月度日本レコード協会リリースにてダブル・プラチナ(50万枚)[28]に認定された。2018年12月21日付で表題曲が配信で200万ダウンロードを突破[29]、2019年9月23日付で表題曲が配信で300万ダウンロードを突破[30][31]した。

19年度の期間内総売上数が10月8日付で100.1万DL(100万844DL)を記録し、「2019年度初のデジタルシングル100万DL突破作品」となった。

日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権使用料分配額(国内作品)ランキングでは、2018年度の年間4位[32]2019年度の年間1位[33]を獲得した。2020年のJASRAC賞金賞[34]を受賞している。

また、2023年3月31日、Billboard JAPANがその総合ソング・チャート「JAPAN HOT 100」統計開始15周年を記念し発表した「オールタイムTOP50」では本楽曲が1位を獲得した[35]

オリコンデジタルシングルチャート

ミュージックビデオ

制作背景(MV)

「Lemon」のミュージックビデオは水曜日のカンパネラサカナクションなどのミュージックビデオを手がけた山田智和が監督、カメラマン今村圭佑が撮影を務めた。本編には映像作家とダンサーを兼業する吉開菜央が出演している[36]。『アンナチュラル』は人間の死を扱う法医解剖医の活躍へスポットを当てており、楽曲もまた人間同士の死別がモチーフにされた。これに合わせてミュージックビデオは死者に捧げるミサ曲を構想し、教会で撮影された。

リリース

「Lemon」のミュージックビデオは2018年2月26日YouTubeの米津のチャンネルで公開された。ビデオは公開から約13時間で100万回、6日間で1000万回再生を記録。いずれも米津のチャンネルでアップロードされたビデオの歴代最速記録を更新する結果となった[37]。以降も際立った速度で回数を伸ばし、同年6月11日時点で1億回再生を記録した。米津の楽曲の再生数が1億回を突破したのは「アイネクライネ」に次いで2度目、DAOKOとのコラボレーション楽曲である「打上花火」を含めれば3度目の快挙であった。これを記念して、8月11日にお台場海浜公園にて開催される「東京花火大祭2018〜EDOMODE〜」にて、楽曲と花火のコラボレーションが決定している[38]。以降は11月4日に2億回、2019年2月9日には3億回を突破した。YouTubeにおいて日本のミュージシャンによるミュージックビデオが3億回再生に達したのは史上初のことであった[39][40]。また6月16日時点で4億回、12月17日時点で5億回再生を記録。さらに2020年8月10日に6億回、2021年9月18日に7億回再生、2023年3月29日に8億回再生を記録した。いずれも日本ミュージシャン史上初のことであった[41][42][43]

ライブ・パフォーマンス

米津の歌唱が行われた大塚国際美術館システィーナホール

2018年12月31日に放送された第69回NHK紅白歌合戦に米津が白組として出演し「Lemon」を歌唱した。米津はNHKからの出演依頼に対し「祖父が暮らした故郷で歌唱することに大きな意味があるような気がして」[44]と、祖父の死から1年を経た節目で祖父に想いを込めた曲を地元で歌うことに意義を感じ、出演を承諾。米津は番組後半の全体における24番手、白組における20番手として、主会場であるNHKホールではなく、郷里の徳島県にある大塚国際美術館システィーナホール(鳴門市)からの生中継で歌唱した[45]。システィーナホール内に無数のキャンドルが設置された幻想的な空間で「Lemon」をフルコーラスで歌唱し、演奏中にはダンサー菅原小春辻本知彦の振付によるダンスを披露した[46]。米津はテレビでのメディア露出が他の出演者と比較しても非常に少ないことで知られており、歌唱後にはこれまでテレビ番組の生出演がなかった米津が「この場を用意していただいたすべての方に感謝の気持ちを述べたいと思います。本当にどうもありがとうございます」と挨拶したこともあり、大きな反響を呼んだ[44]

米津がテレビ番組でパフォーマンスを行ったのは2023年2月現在、2018年末のNHK紅白歌合戦のみである。

ライブではリリースから7ヶ月が経った2018年10月27日、28日に幕張メッセで開催された「2018 LIVE / Flamingo」の本編最後でライブ初披露され、大きな話題を呼んだ。

カバー

2018年ソフトバンクCM「白戸家ミステリートレイン」シリーズ「米津玄鰤」編にて俳優志尊淳がカバーしている[47]。同年2月コバソロ&春茶がカバー映像を公開した。原曲にも似たコバソロによるフォーリズムとストリングス、春茶によるアコースティックギターを混じえた編成となっている[48]。同年5月、シンガーソングライターまふまふは、アコースティックテイストでカバーした[48][49]。同年9月演歌歌手徳永ゆうきは、演歌歌手がJ-POPをカバーして対決する音楽番組「演歌の乱〜ミリオンヒットJポップで紅白歌合戦SP〜」にてこぶしを混じえた歌声を披露した[48]2020年3月、シンガーソングライターの広瀬香美ジャズ風にカバーした動画をYouTubeに投稿した[50][51]。同年8月韓国の男性アイドルグループEXOのメンバーチャンヨルが、Instagramライブで自身でカバーしたと思われる音源を流しながら、同曲を口ずさんだ[52]8月15日SoundCloudにカバー音源をアップしたが、すぐに削除した。その日が光復節だったことから否定的な反応が寄せられていたが、チャンヨル自身は削除した理由を明らかにしていない[53]

2019年2月、マスコットキャラクターであるガチャピンムックによるカバー動画「【米津玄師】Lemonの<<ウェッ!>>担当の人やってみた」を公開。両者は曲の途中に入る「ウェッ」というフレーズに着目し、一切手抜きせずに「歌ってみた動画」の撮影を行った。動画は、「ガチャピン編」と「ムック編」の2種類が公開された[54]

島津亜矢『SINGER8』収録された

記録・受賞一覧

  • Billboard JAPAN Hot 100 2018年上半期ソング・チャート1位
  • Billboard JAPAN HOT of the Year 2018 1位
  • Billboard JAPAN Download Songs of the Year 2018 1位
  • Billboard JAPAN Hot 100 2019年上半期ソング・チャート1位
  • Billboard JAPAN HOT of the Year 2019 1位
  • Billboard JAPAN Download Songs of the Year 2019 1位
  • Billboard JAPAN Hot 100チャートイン数歴代1位
  • Billboard “JAPAN HOT 100”15周年記念オールタイムTOP50 1位
  • レコチョクアワード月間最優秀楽曲賞 1位4ヶ月連続(2月・3月・4月・5月)
  • レコチョク年間ランキング(ランキング/アルバム/アーティスト)3冠(史上初)
  • mora 2018 年間ダウンロードランキング 総合シングル(単曲)部門1位
  • mora 2018 年間ダウンロードランキング 邦楽シングル(単曲)部門1位
  • music.jp年間ランキング2018 【音楽】シングル部門1位
  • 2018 ドワンゴジェイピー年間シングルランキング1位
  • KONAMI MUSIC 2018 年間人気ランキング1位
  • TSUTAYA2018年度 年間レンタルCDランキング:シングル1位
  • TSUTAYA音楽ダウンロード「シングル」年間ランキング2018 1位
  • デイリーランキング1位獲得数21冠
  • YouTubeチャートアーティストランキング1位
  • YouTubeチャートミュージックビデオランキング1位
  • YouTubeチャート楽曲ランキング1位(2週連続)
  • 2018年YouTubeトップトレンド音楽動画(日本)1位
  • 第96回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 最優秀ドラマソング賞 受賞
  • MTV VMAJ 2018Best Male Video -Japan-最優秀邦楽男性アーティストビデオ賞 受賞
  • 東京ドラマアウォード2018 主題歌賞 受賞
  • SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2019 SONG OF THE YEAR
  • 第33回 日本ゴールドディスク大賞 ソング・オブ・ザ・イヤー・バイ・ダウンロード邦楽部門
  • オリコン週間カラオケランキング歴代連続1位獲得週数 1位(ゴールデンボンバー女々しくて」を5年7か月ぶりに更新)
  • 「DAM年間カラオケランキング2018」楽曲別ランキング1位
  • ホンダアクセス調べ「マイカー通勤に関する調査2019」1位

収録内容

CD[55]
全作詞・作曲・編曲: 米津玄師
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「Lemon」(ストリングス・アレンジ: 室屋光一郎)米津玄師米津玄師
2.「クランベリーとパンケーキ」米津玄師米津玄師
3.「Paper Flower」米津玄師米津玄師
合計時間:
DVD(映像盤のみ[1]
LIVE | 米津玄師 2018 LIVE / Fogbound 2018.01.10 日本武道館
監督: 谷聰志。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.砂の惑星  
2.「春雷」  
3.LOSER  
4.ゴーゴー幽霊船  
5.「爱丽丝」  
6.ピースサイン  
7.打上花火  
8.「灰色と青(+菅田将暉)」  
合計時間:
DVD(映像盤のみ)
Music Video
#タイトル作詞作曲・編曲監督
1.「春雷」  maxilla
2.「灰色と青(+菅田将暉)」  山田健人

なお、米津がライブ映像をDVD化するのは初めてである。

タイアップ

Lemon
TBS系列ドラマ『アンナチュラル』主題歌

演奏

Lemon
クランベリーとパンケーキ
  • 米津玄師:Vocal, Guitar
  • 須藤優 (ARDBECK):Bass
  • 堀正輝 (ARDBECK):Drums
Paper Flower
  • 米津玄師:Vocal

特典DVDサポートメンバー

  • 米津玄師:Vocal, Guitar
  • 中島宏士:Guitar
  • 須藤優 (ARDBECK):Bass
  • 堀正輝 (ARDBECK):Drums
  • 菅田将暉:Guest Vocal (「灰色と青」)
  • 辻本知彦:Guest Dance (「LOSER」)

脚注

注釈

出典

外部リンク