Kaby Lakeマイクロアーキテクチャ

Kaby Lake(ケイビーレイク[1][2]またはカビーレイク[3])とはインテルによって開発されたマイクロプロセッサである[4]2016年8月30日に第7世代Intel Coreプロセッサとして製品化され[5]、一部は2017年8月21日第8世代Intel Coreプロセッサとして引き続き使用された。モバイル向けは2016年第二四半期よりOEM向けとして先行出荷された[6][7]。一方デスクトップ向けはモバイル向けに数か月遅れて2017年1月より出荷が開始された[8]

Kaby Lake
生産時期2016年8月30日から
生産者インテル
プロセスルール14nm
アーキテクチャx64
マイクロアーキテクチャSkylake
命令セットx86-64, Intel 64
コア数2から4
ソケット
  • LGA 1151
  • LGA 2066
前世代プロセッサSkylake
次世代プロセッサCoffee Lake
Cannon Lake
L1キャッシュコアあたり64KiB
(命令32+データ32)
L2キャッシュコアあたり256KiB
L3キャッシュ最大8MiB
ブランド名
  • Core m3
  • Core i3
  • Core i5
  • Core i7
  • Core i9
  • Celeron
  • Pentium
  • Xeon
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概要

当初インテルはチック・タック戦略に沿って14nmプロセスのSkylakeから10nmプロセスのCannon Lakeシュリンクする予定だったが、10nmプロセスの立ち上げ遅れから2015年7月16日にCannon Lakeを延期し、中継ぎとして改良された14nmプロセス(14nm+)により製造されるKaby Lakeをロードマップに追加した[9][10]

Kaby LakeはSkylakeに対して動作クロックの向上やSpeedShiftテクノロジーの改善[11]などが行われているが、マイクロアーキテクチャ自体はSkylakeのままであるためクロックあたりの命令実行数については同じである[4]

また、Kaby LakeはGPUも最適化が行われ3Dグラフィクス4Kビデオ向けのパフォーマンスが強化されている[4][12]。新たな機能としてHDCP 2.2[13]、および、H.264,HEVCのメインプロファイルおよびメイン10/10bitプロファイル、VP9 10bitおよび8bitのハードウェアデコード機能が追加されている[11][14][15][16]。ハードウェアエンコード機能としてはH.264HEVCメイン10/10プロファイル,VP9 8bitおよび10bitがサポートされている。

Skylakeに引き続き、ハイファに拠点を置くイスラエルの開発チームが設計を担当している。[17][18]

特徴

  • 14nm+プロセス (動作周波数の向上:最大300MHz)
  • Skylakeコア
  • DDR4-2400対応
  • HD Graphics 600 シリーズ (HDR・OpenCL 2.1に対応)
  • 4K HEVC/VP9(10bit)のハードウェアエンコード
  • eDP Standard 1.4
  • HDCP 2.2のサポート (2017年出荷分以降)
  • ソケット1151
  • 200 シリーズのチップセット (Union Point)
  • Intel Optane テクノロジーのサポート

互換性

Kaby Lakeはx86/x86-64プロセッサとしてはSkylakeと完全な互換性があるが、一方でサポートするOSが異なる[19]。2016年1月15日にマイクロソフトKaby LakeをサポートするWindowsWindows 10のみであると発表した[20][21]。また、今後のプロセッサについてもその時点でリリースされている最新バージョンのWindowsにおいてのみサポートすると発表した[20]。なお、後述するKaby Lake Refleshマイクロアーキテクチャ(マイクロプロセッサ)を採用したモバイル向けのCore iシリーズの8000番台全種、およびPentiumの4417Uと4425Y、Celeronの3867UなどのKaby Lake Refleshに関してはWindows 11以降のエディションのWindowsに正式対応している(ただし、アップグレードインストールやクリーンインストールを実行する前にTPM2.0セキュアブート等の各種セキュリティデバイスを有効にする必要がある)。

サフィックスによるTDPの分類

チップ全体のTDPにより以下の通りサフィックスが設定されている。[22]

デスクトップ向け:

  • ハイパフォーマンス: K: 91W
  • 標準: (なし): 65W
  • 低消費電力: T: 35W

モバイル向け:

  • ハイパフォーマンス: HQ: 45W、H: 35W
  • 標準: U: 15W - 28W
  • 低消費電力: Y: 4.5W

製品構成

デスクトップ向け

ターゲットコア
(スレッド)
ブランド・型番CPUクロック

(GHz)

GPUL3キャッシュ

(MB)

TDP(W)発売日価格(US$)
定格ターボクロックモデルクロック(GHz)
定格最大
 パフォーマンス4 (8)Core i77700K[23][24]4.24.5HD 6300.351.158912017Q1339
7700[23][24]3.64.265303
7700T[23]2.93.835
メインストリーム4 (4)Core i57600K[23][24]3.84.2691242
7600[23][24]3.54.165213
7600T[23]2.83.71.135
7500[23][24]3.43.865192
7500T[23]2.73.335
7400[23]3.03.51.065182
7400T[23]2.43.035
2 (4)Core i37350K4.2N/A1.15460168
73204.151149
73004.0138
7300T3.51.135
71003.9351117
7100T3.435
PentiumG46203.75186
G46003.675
G4600T3.01.0535
G45603.5HD 6105464
G4560T2.935
2 (2)CeleronG39503.025152
G39302.942
G3930T2.71.035

モバイル向け

ターゲットコア
(スレッド)
ブランド・型番CPUクロック(GHz)GPUキャッシュ 最大PCIeレーン数TDP(W)cTDP(W)発売日価格(US$)
定格ターボモデルクロック(MHz)L3(MB)L4
(eDRAM)
124定格最大UpDown
パフォーマンス2 (4)Core i77Y751.33.6?HD 61530010504N/A104.573.52016Q3393
7500U2.73.5HD 6201215257.5
メインストリームCore i57Y541.23.2HD 615950104.573.5281
7200U2.53.1HD 620100031215257.5
Core i37100U2.4N/A不明
Core m37Y301.02.6HD 6159004104.573.5

Kaby Lake-R

Kaby Lake Refresh(KBL-R)は2017年8月21日[25]に製品化された、第8世代Intel Coreプロセッサのひとつである。

モバイル向け

ブランド・型番コア
(スレッド)
CPUクロック(GHz)GPUキャッシュ最大PCIeレーン数TDP(W)cTDP(W)発売日価格(US$)
定格ターボモデルクロック(MHz)L3(MB)L4
(eDRAM)
124定格最大UpDown
Core i78650U4 (8)1.94.23.9UHD

Graphics

620

30011508N/A121525102017Q3409
8550U1.84.03.7
Core i58350U1.73.611006297
8250U1.63.4
Core i38130U2 (4)2.23.4 GHz?N/A10004N/A2018Q1281

サーバ/ワークステーション向け

ターゲットコア
(スレッド)
ブランド型番CPUクロック(GHz)GPUキャッシュTDP(W)発売日価格(US$)
定格ターボモデルEUsクロック(MHz)L3(MB)L4
(eDRAM)
124定格最大
 ワークステーション4 (4)XeonE3-1205v6[23]3.0?HD P630?35010008N/A652017/Q1193

Kaby Lake-G

Kaby Lake-Gは2018年1月7日に製品化された[26]、第8世代Intel Coreプロセッサのひとつである。AMDのGPU、Radeon RX Vega Mが統合されていることが特徴。

モバイル向け

ブランド型番コア
(スレッド)
CPUクロック(GHz)GPUL3キャッシュ

(MB)

最大PCIe

レーン数

TDP(W)発売日
定格ターボモデルクロック(MHz)
定格最大
Core i78809G4 (8)3.14.2Radeon RX Vega M GH

(HD Graphics

630)

10631190881002018

Q1

8709G4.1
8706GRadeon RX Vega M GL

(HD

Graphics

630)

931101165
8705G
Core i58305G2.83.86

Amber Lake

2018年8月28日に発表された7W以下の低消費電力向けの第8世代Intel Coreプロセッサ。同時に発表された同じ第8世代のWhiskey Lakeとは異なり14nm++プロセスではなく、Kaby Lakeと同じ14nm+プロセスで製造されている[27]

モバイル向け

ブランド型番コア
(スレッド)
CPUクロック(GHz)GPUL3キャッシュ

(MB)

TDP(W)cTDP(W)価格(US$)
定格ターボモデルクロック(MHz)
最大UpDown
Core i78500Y2 (4)1.54.2UHD 61510504573.5393
Core i58210Y1.63.6UHD 6177N/A281
8200Y1.33.9UHD 615950573.5291
Core m38100Y1.13.490084.5281

関連項目

参照