55年組 (将棋)

将棋界における55年組(55ねんぐみ)とは、昭和55年度(1980年度)に四段昇段(プロ入り)した8名の将棋棋士の総称である。棋士番号では142から149にあたる。
本項では、彼らの活躍や棋歴に焦点を当てて記述する。

棋士の「55年組」

昭和55年度(1980年度)にプロになった将棋棋士(男性棋士)の中にはタイトル戦などの舞台で活躍した者が多く、「花の55年組」、あるいは単に「55年組」と呼ばれる。[1] プロ入りした順に、高橋道雄中村修泉正樹依田有司島朗南芳一塚田泰明神谷広志の8名を指す。なお、「55年組」が目立った活躍をしている棋士達だけに限定されるか否かは曖昧であるが、同一年度内に8名ものプロ棋士が誕生したのは将棋界史上初であり、以後も類例がない[2]。しかも、依田を除く7名は現役で八段に、さらに7名のうちの5名がタイトル獲得を経験し、現役で九段に昇段している。この「55年」はプロ入りの年度を表すが、下記の表には年齢が近い主な棋士も含めている。この世代には55年組の他にも谷川浩司を筆頭に、若手強豪棋士が続々と出現し、当時の棋界を賑わせた。昭和55年(1980年)度のプロ入りには着色をしている。項目名のボタンを押すと、並べ替え(ソート)ができる。

55年組、および、年齢が近い主な棋士
棋士
番号
棋士名四段昇段
(プロ入り)
生年月日初タイトル棋戦初優勝A級初昇級
(自己最高)
九段昇段
123
小林健二1975年12月20日1957年03月31日
-
1977年度 若獅子戦1986年04月01日2009年03月01日
127
田中寅彦1976年06月04日1957年04月29日1988年度前期 棋聖1981年度 新人王戦1985年04月01日1994年12月16日
131
谷川浩司1976年12月20日1962年04月06日1983年度 名人1978年度 若獅子戦1982年04月01日1984年04月01日
135
福崎文吾1978年10月11日1959年12月06日1986年度 十段1979年度 若獅子戦(B級1組)2005年10月28日
142
高橋道雄1980年06月04日1960年04月23日1983年度 王位同左1989年04月01日1990年04月01日
143
中村修1980年07月02日1962年11月07日1987年度 王将1983年度 新人王戦(B級1組)2008年01月23日
144
泉正樹1980年08月20日1961年01月11日
-
-
(B級2組)(八段)
145
依田有司1980年09月03日1957年12月23日
-
-
(C級2組)(七段)[3]
146
島朗1980年09月18日1963年02月19日1988年度 竜王1982年度 勝抜き戦1994年04月01日2008年04月17日
147
南芳一1981年01月19日1963年06月08日1987年度後期 棋聖1981年度 若獅子戦1986年04月01日1989年02月22日
148
塚田泰明1981年03月05日1964年11月16日1987年度 王座1983年度 早指し新鋭戦1988年04月01日2000年12月15日
149
神谷広志1981年03月17日1961年04月21日
-
-
(B級1組)(八段)
157
井上慶太1983年02月04日1964年01月17日
-
1985年度 新人王戦1997年04月01日2011年03月03日

福崎、谷川、井上の3名は、年齢で言えば55年組の中にはさまっており、また、小林、田中は依田と同じ年の生まれとなっている(谷川は十七世名人資格者、福崎、井上、小林、田中は九段)。

55年組の盛衰

55年組はプロ棋士になって直ぐに頭角を現す。高橋が1983年に内藤國雄から王位タイトルを奪取したのを先駆けとして、55年組は順位戦をはじめ多くの棋戦で活躍し、中原誠米長邦雄加藤一二三・谷川浩司・桐山清澄・福崎文吾らと激しいタイトル争いを演じた。

また、タイトル戦には縁が無かったものの、神谷は1987年の2月から8月にかけて28連勝と歴代1位(当時)[4]の連勝記録を作り、泉は当時難関とされていた十段戦のリーグ入りを果たすなどそれぞれ実力を示した。

一時期は合わせて過半数のタイトルを保持していた55年組も、1980年代の終わりに差し掛かると「チャイルドブランド」の突き上げや谷川に押されるようになり、南が1991年度後期棋聖戦で失冠、島が1997年度王座戦挑戦で敗退したのを最後にタイトル戦から縁遠くなり、時代が谷川とチャイルドブランド筆頭の羽生善治との覇権争いに移行する中、55年組は第一線から徐々に後退していった。

なお、南と高橋の2名は、タイトルを3期獲得して早々に九段昇段した。また、中村(王将2期)、塚田(王座1期)、島(竜王1期)の3名はタイトル3期に届かないまま勝ち星を伸ばし、八段昇段から10年強をかけて勝数規定(八段昇段後250勝)で九段昇段している。また、泉も2013年、神谷も2014年に八段昇段を果たしている。

2010年に依田が29年半の現役生活を終えたが、他の7名はいずれもプロ入りから40年が過ぎた現在も現役である(泉正樹、南芳一、塚田泰明、神谷広志の4名はフリークラス宣言者)。

順位戦における55年組
年度名人A級B級1組B級2組C級1組C級2組フリークラス備考・引退
1980年度-------順位戦参加前
1981年度-----高橋、中村、泉、依田
島、南、塚田、神谷
-順位戦初参加
1982年度----高橋、中村、南泉、依田、島、塚田、神谷-
1983年度---中村、南高橋、塚田泉、依田、島、神谷-
1984年度本戦シード
(2回戦から)
本戦シード(予選から)-
1985年度二次予選シード
(2回戦から)
二次予選
シード
(一次予選から)-
1986年度本戦シード二次予選シード(一次予選から)-
1987年度本戦シード二次予選シード
(前期本戦成績下位者は一次予選から)
(一次予選から)-
1988年度本戦(ブロック戦)
シード
(ブロック戦
最上位
)

本戦(ブロック戦)シード(予選から)
(前年度本戦で3勝した者には本戦シード)
-
1989年度本戦ではシード者・予選通過者を、順位戦の序列順に配置したパラマストーナメントを実施。-
1990年度本戦シード
(2回戦から)
本戦シード
(順位上位は
2回戦から
)

本戦
シード
(予選から)
(前年度ベスト4には本戦2回戦シード)
-
1991年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1992年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1993年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1994年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1995年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1996年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1997年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1998年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
1999年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2000年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2001年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2002年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2003年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2004年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2005年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2006年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-
2007年度出場権
(2回戦から)
(出場権なし)
(タイトルホルダー、年間獲得賞金・対局料 上位者には出場権)
-

タイトル戦の成績

色付きのマス目が獲得を表す。

名人棋聖王位王座十段王将棋王
名人戦
4-6月
棋聖戦
6-7月
12-2月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
十段戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月
1983年度第41期
谷川浩司
第42期
森安秀光
第24期
高橋道雄
第31期
中原誠
第22期
中原誠
第33期
米長邦雄
第9期
米長邦雄
米長邦雄
1984年度谷川浩司米長邦雄加藤一二三中原誠米長邦雄中原誠桐山清澄
米長邦雄
1985年度中原誠米長邦雄高橋道雄中原誠米長邦雄中村修谷川浩司
米長邦雄
1986年度中原誠桐山清澄高橋道雄中原誠福崎文吾中村修高橋道雄
桐山清澄
1987年度中原誠桐山清澄谷川浩司塚田泰明高橋道雄南芳一谷川浩司
南芳一
名人棋聖王位王座竜王王将棋王
1988年度第46期
谷川浩司
第52期
田中寅彦
第29期
森雞二
第36期
中原誠
第1期
島朗
第38期
南芳一
第14期
南芳一
中原誠
1989年度谷川浩司中原誠谷川浩司中原誠羽生善治米長邦雄南芳一
中原誠
1990年度中原誠屋敷伸之谷川浩司谷川浩司谷川浩司南芳一羽生善治
屋敷伸之
1991年度中原誠南芳一谷川浩司福崎文吾谷川浩司谷川浩司羽生善治
谷川浩司
名人棋聖王位王座竜王王将棋王
名人戦
4-6月
棋聖戦
6-7月
12-2月
王位戦
7-9月
王座戦
9-10月
竜王戦
10-12月
王将戦
1-3月
棋王戦
2-3月

女流棋士の「55年組」

女流棋士にも「55年組」の表現はあり、昭和55年(1980年)生まれ(プロ入りではない)の女流棋士を呼ぶ(「(若手)三羽ガラス」とも)。1997年頃からタイトル戦に出場するなどして頭角を現した、以下の女流棋士を指す。

脚注

関連項目

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