43平均律

43平均律(43へいきんりつ、: 43 equal temperament)は、43-tET, 43-EDO, 43-ET, とも略称され、オクターヴを43段の等間隔なステップ(等しい周波数比)に分割することにより得られる音律である。各ステップは周波数比 、または 1200/43 ≈ 27.90697674 セントである。

歴史

フランスの数学者ジョゼフ・ソヴール英語版は1694年頃から音響学に関する研究を行い、オクターヴを43段に等分することを提案した。彼はオクターヴの 1/43 を méride[1]、オクターヴの 1/301 を eptaméride[2] (méride の 1/7 の意)、オクターヴの 1/3010 を decaméride (eptaméride の 1/10 の意) と名付け、音程を測定するための対数単位として用いた。

スケール図

間隔 (セント)2856282828282856282828282856282856282828282856282828282856282856285628
音名AB ABC A BCBCD B CDC DE DEF D EFEFG E FGF GA GAG A
音程 (セント)  0   28  84 112140167195223279307334363391419474502530586614642670698735781809837865893921977100510331088111611721200

(訳者注:♯と♭の取り扱いについて”Chords of 43 equal temperament ”の項と合致するように変更した。また、変ト長調~嬰ヘ長調および変ホ短調~嬰ニ短調の範囲で、和音の第3音が選べるように表を増補した。)

音程

音程名サイズ(段)サイズ(cent)純正比純正(cent)誤差(cent)
自然七度35976.7447:4968.826+7.918
完全五度25697.6743:2701.955−4.281
広い七限界三全音22613.95310:7617.488−3.534
狭い七限界の三全音21586.0477:5582.512+3.534
狭い十三限界の三全音20558.14018:13563.382−5.243
狭い十一限界の三全音20558.14011:8551.318+6.822
十一限界の広い四度19530.23315:11536.951−6.718
完全四度18502.3264:3498.045+4.281
七限界の狭い四度17474.41921:16470.781+3.638
十三限界の半減四度16446.51213:10454.214−7.702
22:17幅の半増三度16446.51222:17446.363+0.149
七限界の長三度16446.5129:7435.084+11.428
十一限界の長三度15418.60514:11417.508+1.097
長三度, 純正14390.6985:4386.314+4.384
十三限界の中立三度13362.79116:13359.472+3.318
十一限界の中立三度12334.88411:9347.408−12.524
17:14幅の短三度12334.88417:14336.130−1.246
短三度, 純正11306.9776:5315.641−8.665
25:21幅の短三度11306.97725:21301.847+5.130
十三限界の短三度10279.07013:11289.210−10.140
20:17幅の短三度10279.07020:17281.358−2.288
七限界の短三度10279.0707:6266.871+12.199
十三限界の半増二度9251.16315:13247.741+3.422
七限界の大全音8223.2568:7231.174−7.918
25:22幅の全音8223.25625:22221.309+1.946
全音, 大全音7195.3499:8203.910−8.561
28:25幅の全音 (中全音)7195.34928:25196.198−0.849
全音, 小全音7195.34910:9182.404+12.945
大きな十一限界の中立二度6167.44211:10165.004+2.438
小さな十一限界の中立二度5139.53512:11150.637−11.102
十三限界の中立二度5139.53513:12138.573+0.962
七限界の全音階的半音4111.62815:14119.443−7.815
全音階的半音, 純正4111.62816:15111.731−0.103
七限界の半音階的半音383.72121:2084.467−0.746
十一限界の半音階的半音383.72122:2180.537+3.184
半音階的半音, 純正383.72125:2470.672+13.049
十一限界の四分音255.81433:3253.273+2.541
64:63幅のコンマ127.90764:6327.264+0.643
65:64幅のコンマ127.90765:6426.841+1.066

この調律は1/5コンマ中全音律の音程を的確に近似する。1/5コンマ音律の5度音程は約697.654セント、 の周波数比を持つが、43平均律はそれよりもわずかに約0.0207セント広いだけの音程を持っている。この音程の差はほとんど気づかれない程度で調律誤差よりも少ない。すなわち、43平均律の25段が1/5コンマ音律の5度音程にほぼ等しい大きさの音程であるため、理論上この音律は1/5コンマ中全音律 (の拡張)と等価といえる。

43平均律は、78:77、81:80 (シントニックコンマ)、99:98、120:119、126:125、144:143の各比率を同時に緩和することができる。

脚注

出典

  • Beyer, Robert Thomas (1999). Sounds of Our Times: Two Hundred Years of Acoustics. Springer. p.10. ISBN 978-0-387-98435-3.

関連項目

外部リンク