1991年のロードレース世界選手権

この年はポイント制度が変更になり、全15レースのうち最も成績の悪い2レースをカウントしないという有効ポイント制とされたがこの一年のみの方式となった。その他ユーゴスラビアGPが内戦のために中止になり、代わりにハラマでヨーロッパGPが開催された。またブラジルGPは、直前になってコースの安全上の問題を理由にル・マンでのレースに変更になった。初開催となるマレーシアGPがシャー・アラムで開催された。

この年の500ccクラスは前年度王者のウェイン・レイニーを筆頭に、ケビン・シュワンツ、ミック・ドゥーハン、ジョン・コシンスキー、ワイン・ガードナー、エディ・ローソンの6人によって毎レーストップ争いが行われ、他のライダーは表彰台獲得すら困難な状況となった。

しかしシーズンを通し終始タイトル争いの主導権を握ったのはレイニーであり、1年を通して安定した強さを見せ最終戦を待たずにタイトル連覇を決めた。シュワンツは開幕戦鈴鹿や第６戦ホッケンハイムなど、いくつかのレースで劇的な勝利を挙げたもののまたしてもレイニーに一歩及ばなかった。一方でより存在感を見せたのがドゥーハンで、前年度の怪我の影響を拭いきれないガードナーに代わって完全なホンダのエース格となり、最終的にはシュワンツを上回るランキング2位となった。前年度250ccチャンピオンのコシンスキーも最終戦で1勝を挙げランキング4位と健闘、ガードナーは85年以来のシーズン未勝利に終わり不完全燃焼の1年となった。カジバに移籍したローソンはマシンの熟成を劇的に推し進め、最終的には日本のメーカーに対し遜色のないレベルにまでカジバの戦闘力を引き上げた。

1991年シーズン、ミシュランはロスマンズ・ホンダチームにのみタイヤを供給すると決定し、他チームはダンロップタイヤを使用することになった。^[1]

250ccでは、ホンダに移籍したルカ・カダローラが8勝を挙げてタイトルを獲得し、86年の125ccクラス以来となる5年ぶりの戴冠となった。

125ccでは開幕戦鈴鹿で上田昇が優勝、この勝利をきっかけに急遽フル参戦を果たすこととなり、スペインGPでも勝利を挙げランキング5位に食い込んだ。坂田和人、若井伸之もフル参戦を果たし、90年代に一大勢力となる日本人ライダーの先鞭をつけることとなった。しかしタイトル争いをリードしたのは前年度チャンピオンのロリス・カピロッシであり、5勝を挙げ2年連続のチャンピオンに輝いた。

車番 ライダー チーム コンストラクター 1 ウェイン・レイニー マールボロ・チーム・ロバーツ ヤマハ 19 ジョン・コシンスキー マールボロ・チーム・ロバーツ ヤマハ 46 ロビー・ピーターセン マールボロ・チーム・ロバーツ ヤマハ 97 リッチ・オリバー マールボロ・チーム・ロバーツ ヤマハ 9 ケビン・マギー チーム・ロバーツ・ヤマハ ヤマハ 4 ニール・マッケンジー カストロール・ヤマハ / チーム・ロバーツ ヤマハ 21 ダグ・チャンドラー チーム・ロバーツ・ヤマハ / カストロール ヤマハ 3 ミック・ドゥーハン ロスマンズ・ホンダ ホンダ 5 ワイン・ガードナー ロスマンズ・ホンダ ホンダ 4 ニール・マッケンジー ヤマハ・ソノート・モービル1 ヤマハ 8 ジャン＝フィリップ・ルジア ヤマハ・ソノート・モービル1 ヤマハ 20 アドリアン・モリラス ヤマハ・ソノート・モービル1 ヤマハ 6 ファン・ガリガ ドゥカドス・ヤマハ ヤマハ 7 エディ・ローソン カジバ カジバ 11 マルコ・パパ カジバ カジバ 12 アレックス・バロス カジバ カジバ 33 レイモン・ロッシュ カジバ カジバ 9 ケビン・マギー チーム・ラッキーストライク・スズキ スズキ 27 ディディエ・デ・ラディゲス チーム・ラッキーストライク・スズキ スズキ 34 ケビン・シュワンツ チーム・ラッキーストライク・スズキ スズキ 10 シト・ポンス カンプサ・ホンダ ホンダ 11 マルコ・パパ# Moto Club Milano/Team Papa ホンダ 13 ニッギ・シュマスマン Technotron ホンダ 15 ロン・ハスラム Norton/JPS Racing ノートン 16 ケース・ドゥーラッカース HEK-Bauwmachines ホンダ 17 エディ・レイコック ミラー・レーシング ヤマハ 23 アンドレアス・ロイテ Librenti Corse スズキ / ホンダ 24 ヘルムート・シュッツ R.S. Rallye Sport ホンダ 32 ミハエル・ルドルフ# R.S. Rallye Sport ホンダ 25 新辰朗 伊藤園 ヤマハ 28 伊藤真一 ペンタックス・ホンダ ホンダ 29 ラリー・モレノ Domina Domina 30 マルティン・トロシュ MT Racing ホンダ 30 ミケーレ・バルド# Team Paton パトン 31 スティーヴ・スプレイ Roton Roton 31 ロモロ・バルビ# ホンダ 33 セップ・ドップラー# Doppler Racing ヤマハ / ホンダ 35 藤原儀彦 キリンメッツRT ヤマハ 35 ヴィットリオ・スキャトーラ# Bimota Experience ビモータ / スズキ 35 ハンス・ベッカー# Romero Racing Team ヤマハ 36 宮城光 味の素・ホンダ ホンダ 41 岩橋健一郎 味の素・ホンダ ホンダ 36 サイモン・バックマスター# Padgett’s Racing Team スズキ 37 町井邦生 ネスカフェ・ヤマハ ヤマハ 38 樋渡治 S.R.T. スズキ 40 辻本聡 S.R.T. スズキ 39 大石敬二 キャメル・ヤマハ ヤマハ 44 平忠彦 Y.R.T.R. ヤマハ 45 本間利彦 YMO ヤマハ 46 ピーター・ゴダード Hayashi ヤマハ 50 ヴィセンツォ・カシーノ Vogt Vogt

凡例 レギュラー ワイルドカード 代理出場

# パパは18番も使用
# ルドルフは35番と39番も使用
# バルドは37番、38番、39番も使用
# バルビは36番も使用
# ドップラーは35番、36番、37番、38番も使用
# スキャトーラは37番も使用
# ベッカーは36番、38番、40番も使用
# バックマスターは37番、39番も使用

車番 ライダー チーム コンストラクター 2 カルロス・カルダス Repsol Honda/Cardus ホンダ 3 ルカ・カダローラ ロスマンズ・カネモト・ホンダ ホンダ 4 ヘルムート・ブラドル HB Honda Racing Team Germany ホンダ 33 ステファン・プレイン HB Honda Racing Team Germany ホンダ 5 ウィルコ・ズィーレンベルグ Sharp-Samson-Bieffe Team ホンダ 21 レオン・ファン・デル・ヘイデン Sharp-Samson-Bieffe Team ホンダ 6 マーチン・ウィマー チーム・ラッキーストライク・スズキ スズキ 72 エリ・トロンテギ チーム・ラッキーストライク・スズキ スズキ 7 清水雅広 HRC / 味の素・ホンダ ホンダ 29 岡田忠之 HRC ホンダ 8 ヨッヘン・シュミット Schuh-Zwafink Racing ホンダ 9 ピエール・フランチェスコ・キリ Iberna Aprilia/Valesi Racing アプリリア 27 レンツォ・コレオーニ Iberna Aprilia/Valesi Racing アプリリア 10 ドミニク・サロン Team Gallina/Compagnucci ヤマハ 23 ジム・フィリス Team Gallinai ヤマハ 63 ステファノ・カラッキ# Team Gallina ヤマハ 11 アレックス・クリビーレ Marlboro/JJ Cobas JJコバスホンダ 13 ロリス・レジアーニ Aprilia Unlimited Jeans Team アプリリア 14 ピーター・リンデン ホンダ 15 カルロス・ラバード Team Greco ヤマハ 16 アルベルト・プーチ Ducados Yamaha Puig ヤマハ 17 パオロ・カソリ Team Agostini/API ヤマハ 18 アンディ・プライニング OKM-Aprilia/SK Vost アプリリア 19 マルセリーノ・ルッキ OZ Racing System アプリリア 52 レナート・コレオーニ# OZ Racing System アプリリア 20 ドリアーノ・ロンボニ HB Honda Racing Team Italy ホンダ 22 ステファノ・ペネッセ LMC Pennesse Racing アプリリア 25 ウェイン・ドラン LMC Pennesse Racing アプリリア 30 ハラルド・エッケル JF-Aprilia-Kuhnert アプリリア 32 ベルナルド・ハエンゲリ Marlboro Aprilia Mohag アプリリア 49 エスキル・スッター# Marlboro Aprilia Mohag アプリリア 34 パトリック・ファン・デン・グールベルク Docshop/Servopax アプリリア 36 ジャン・フォーレイ# Team St Yrian Motos ヤマハ 39 アラン・カーター Silkolene Honda Britain ホンダ 39 スティーヴ・ヒスロップ# Silkolene Honda Britain ホンダ 41 フレデリック・プロター# FP Moto Team アプリリア 42 ケヴィン・ミッチェル# Medd Holdings ヤマハ 43 ファウスト・リッチ# Team Rocker by Gallina ヤマハ 44 ジェイミー・マリアーノ# Tecno Racing/Barrca March アプリリア 44 ベルント・カスナー# RS Rallye Sport GmbH アプリリア 45 コラード・カタラーノ# Rothmans Honda Italy ホンダ 47 ウルス・ユッカー# Swiss Yamaha Team ヤマハ 48 イアン・ニュートン# Trans Freight Europa ヤマハ 51 ジャン＝ピエール・ジャンダ Rothmans Honda France ホンダ 52 原田哲也 Nescafe Yamaha Racing Team ヤマハ 53 田口益充 ホンダ 54 宇田川勉 ホンダ 55 青木宣篤 Cup Noodle Racing Team ホンダ 57 小園勝義# Jha Racing ホンダ 60 マックス・ビアッジ# Team Italia アプリリア 61 難波恭司 ヤマハ 65 エルッカ・コルピアホ# AMS Mauri Racing アプリリア 72 エリ・トロンテギ# Tecno Racing アプリリア

凡例 レギュラー ワイルドカード 代理出場

# カラッキは52番、41番も使用
# コレオーニは45番、49番、46番も使用
# スッターは53番、55番、47番も使用
# フォーレイは54番、37番も使用
# ヒスロップは57番も使用
# プロターは48番、36番、69番も使用
# ミッチェルは39番、46番、37番も使用
# リッチは49番、47番、42番も使用
# マリアーノは43番、42番も使用
# カスナーは41番、54番、45番も使用
# カタラーノは41番、48番、50番、57番、59番も使用
# ユッカーは46番、48番、44番、40番も使用
# ニュートンは53番、40番、50番、38番も使用
# 小園は40番、52番も使用
# ビアッジは58番、46番も使用
# コルピアホは50番、38番、42番、54番、37番も使用
# トロンテギは56番も使用

車番 ライダー チーム コンストラクター 1 ロリス・カピロッシ AGV-Pileri Corse ホンダ 7 ファウスト・グレシーニ AGV-Pileri Corse ホンダ 2 ハンス・スパーン Sharp Samson Racing Team ホンダ 46 アリー・モレナー Sharp Samson Racing Team ホンダ 3 ブルーノ・カサノバ Team Semprucci IDM ホンダ 4 ダーク・ラウディス Schuh HB Honda Racing Team ホンダ 5 ホルヘ・マルチネス Elf Coronas Racing Team JJコバスホンダ 14 フリアン・ミラレス Elf Coronas Racing Team JJコバスホンダ ? ジェイミー・マリアーノ Elf Coronas Racing Team JJコバスホンダ 5 ホルヘ・マルチネス Metraux ホンダ 6 エツィオ・ジャノーラ Derbi Racing Team デルビ 66 ルイス・イ・アルバロ# Derbi Racing Team デルビ 9 アレッサンドロ・グラミーニ Team Italia アプリリア 12 ガブリエーレ・デッビア Team Italia アプリリア 10 ハインツ・ルティ Elf Competition ホンダ 11 アドルフ・スタドラー RS Rallye Sport GmbH JJコバス 15 マウリツィオ・ヴィターリ ガザニーガ・コルセ ガザニーガ 34 エミリオ・クッピーニ ガザニーガ・コルセ ガザニーガ 16 高田孝慈 Team Takeshima ホンダ 17 スティーヴ・パトリックソン Derek Clarke Racing Team/Levior ホンダ 18 ロビン・アップルヤード Colin Appleyard Racing ホンダ 19 アルフレッド・ヴァイベル ホンダ 20 畝本久 Team Unemoto ホンダ 22 ペーター・エッテル AGV Racing Team ロータックス 63 ステファン・クラフィス# AGV/MDS Racing Team ロータックス 26 ハビエル・デボン JJ Cobas Ducados-Agrati ホンダ 27 ジーミ・ボシオ HB Italy/Gilera Club ホンダ 28 ラルフ・ウォルドマン Schuh/Zwafink Honda Racing ホンダ 29 ピーター・ガルヴィン Team Driza Bone ホンダ 35 坂田和人 Team Elf Kepla/Meiko ホンダ 36 イアン・マコナッキ# Clay Cross Motorcycles ホンダ 39 ジョニー・ウィックストロム# Silja Line Racing Team ホンダ 41 アラン・ブロネク Ville de Thiers ホンダ 42 エリ・トロンテギ Herri Racing Team JJコバス 44 ハビエル・トロンテギ# Herri Racing Team JJコバス 43 マヌエル・ヘルナンデス Racing Team Honda Cartagena ホンダ 45 ティエリー・フューズ BP Racing Team Switzerland ホンダ 47 オリバー・ペトルチアーニ# Marlboro Aprilia Mohag アプリリア 49 レネ・ダンキ Dianetik Racing Team ホンダ 50 ヒューベルト・アボルド Moto Co Team Kepla ホンダ 50 アントニオ・サンチェス# Team Ducados JJコバス 53 カルロス・ジロ# Team Ducados JJコバス 51 若井伸之# Moto Bum Racing Team ホンダ 53 斉藤明 ホンダ 54 佐藤総一郎 ホンダ 55 島正人 ホンダ 55 ヨス・ファン・ドンゲン# Ringleberg Team ホンダ 56 上田昇# Hero Sports TS ホンダ 58 和田欣也# ICM Racing Associates ホンダ 61 セラフィーノ・フォティ# Eugenio Lazzarini Racing ホンダ 62 ステファン・ブラッガー Team Bragger ホンダ

凡例 レギュラー ワイルドカード 代理出場

# アルバロは62番も使用
# クラフィスは57番も使用
# マコナッキは45番、62番も使用
# ウィックストロムは51番、40番も使用
# トロンテギは40番も使用
# ペトルチアーニは48番、76番も使用
# サンチェスは61番、75番も使用
# ジロは60番、76番も使用
# 若井は52番、61番、36番、39番も使用
# ファン・ドンゲンは52番、71番も使用
# 上田は60番、36番、30番、37番も使用
# 和田は73番、60番、33番、43番も使用
# フォティは38番も使用

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