1965年メキシコグランプリ

1965年メキシコグランプリ (1965 Mexican Grand Prix) は、1965年のF1世界選手権第10戦として、1965年10月24日マグダレナ・ミクスカで開催された。

メキシコの旗 1965年メキシコグランプリ
レース詳細
1965年F1世界選手権全10戦の第10戦
マグダレナ・ミクスカ(1962–1970)
マグダレナ・ミクスカ(1962–1970)
日程1965年シーズン
決勝開催日10月24日
正式名称IV Gran Premio de Mexico
開催地マグダレナ・ミクスカ
メキシコの旗 メキシコ メキシコシティ
コース恒久的レース施設
コース長5.000 km (3.107 mi)
レース距離65周 325.000 km (201.946 mi)
決勝日天候晴 (ドライ)
ポールポジション
ドライバーロータス-クライマックス
タイム1:56.17
ファステストラップ
ドライバーアメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニーブラバム-クライマックス
タイム1:55.84 (57周目)
決勝順位
優勝ホンダ
2位ブラバム-クライマックス
3位
  • イギリスの旗 マイク・スペンス
ロータス-クライマックス

1961年から続いた1.5リッター規定最後のレースは65周で行われ、リッチー・ギンサーが全周回トップを走り、自身及びホンダに初優勝をもたらした。ブラバムダン・ガーニーが2位、ロータスマイク・スペンス英語版が3位となった。

レース概要

ホンダ・RA272ホンダコレクションホール所蔵)

メキシコGPは多くの新しい記録を提供した。1,500cc時代の最後のレースは、イギリスのドライバー、チーム及びエンジンが勝てなかった本年唯一のレースとなった。

この年は市販車の開発に回っていたホンダの初代チーム監督の中村良夫が、監督への復帰を志願した[1]メキシコシティは標高2,240mの高地で空気が薄く、エンジンパワーの低下に陥りやすいため[1]燃料噴射装置への混合比調整に全力を注いだ[2]

予選はジム・クラークポールポジションダン・ガーニーが2番手で、リッチー・ギンサーは2列目の3番手、ロニー・バックナムは10番手[注 1]からのスタートとなる[1]

決勝はポールポジションからスタートしたクラークが序盤でエンジントラブルが発生して後退し、すかさずギンサーが首位に躍り出る。BRM勢はグラハム・ヒルがエンジントラブルで、ジャッキー・スチュワートがクラッチに問題を抱えて2台ともリタイアした。これでギンサーを追うのはガーニーのみとなり、ギンサーとガーニーの一進一退の緊迫した争いが繰り返されるも、ギンサーは最後まで首位の座を譲らず、2秒89の差でガーニーから逃げ切った。ギンサーにとっては47戦目、ホンダにとっては11戦目でF1初勝利を挙げた。また、本年から本格参戦を開始したグッドイヤータイヤにとってもF1初勝利となった[1]。チームメイトのバックナムも5位に入賞し、初ポイントを獲得した。

レース終了後、ロータスコーリン・チャップマンは群衆をかき分けて中村良夫監督に「Congratulation(おめでとう)」と祝福した[3][注 2]。そして、中村監督は東京ホンダ本社宛に "Veni,Vidi,Vici." (来た、見た、勝ったと言う意味のガイウス・ユリウス・カエサルの戦勝報告)と電報を送った[4][3][1]

エントリーリスト

チームNo.ドライバーコンストラクターシャシーエンジンタイヤ
スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC1 ジョン・サーティース 1フェラーリ1512フェラーリ 207 1.5L F12D
2 ロレンツォ・バンディーニ
24 ルドビコ・スカルフィオッティ
ノース・アメリカン・レーシングチーム14 ペドロ・ロドリゲス
オーウェン・レーシング・オーガニゼーション3 グラハム・ヒルBRMP261BRM P60 1.5L V8D
4 ジャッキー・スチュワート
チーム・ロータス5 ジム・クラークロータス33クライマックス FWMV 1.5L V8D
6 マイク・スペンス
18 モイセス・ソラーナ25
ブラバム・レーシング・オーガニゼーション7 ジャック・ブラバムブラバムBT11クライマックス FWMV 1.5L V8G
8 ダン・ガーニー
クーパー・カー・カンパニー9 ブルース・マクラーレンクーパーT77クライマックス FWMV 1.5L V8D
10 ヨッヘン・リント
ホンダ・R&D・カンパニー11 リッチー・ギンサーホンダRA272ホンダ RA272E 1.5L V12G
12 ロニー・バックナム
R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム15 ヨアキム・ボニエブラバムBT7クライマックス FWMV 1.5L V8D
16 ジョー・シフェールBT11BRM P56 1.5L V8
レグ・パーネル・レーシング21 リチャード・アトウッドロータス25BRM P56 1.5L V8D
22 ボブ・ボンドゥラント33
イネス・アイルランド 225
ソース:[5]
追記
  • ^1 - サーティースは負傷のため欠場[6]
  • ^2 - アイルランドはチームを解雇され、ボンデュラントに交代した[7]

結果

予選

順位No.ドライバーコンストラクタータイムグリッド
15 ジム・クラークロータス-クライマックス1:56.17-1
28 ダン・ガーニーブラバム-クライマックス1:56.24+0.072
311 リッチー・ギンサーホンダ1:56.48+0.313
47 ジャック・ブラバムブラバム-クライマックス1:56.78+0.614
53 グラハム・ヒルBRM1:57.06+0.895
66 マイク・スペンスロータス-クライマックス1:57.22+1.056
72 ロレンツォ・バンディーニフェラーリ1:57.31+1.147
84 ジャッキー・スチュワートBRM1:57.53+1.368
918 モイセス・ソラーナロータス-クライマックス1:57.55+1.389
1012 ロニー・バックナムホンダ1:57.88+1.7110
1116 ジョー・シフェールブラバム-BRM1:57.94+1.7711
1215 ヨアキム・ボニエブラバム-クライマックス1:58.22+2.0512
1324 ルドヴィコ・スカルフィオッティフェラーリ1:58.93+2.7613
1414 ペドロ・ロドリゲスフェラーリ1:59.06+2.8914
159 ブルース・マクラーレンクーパー-クライマックス1:59.15+2.9815
1610 ヨッヘン・リントクーパー-クライマックス1:59.30+3.1316
1721 リチャード・アトウッドロータス-BRM2:00.61+4.4417
1822 ボブ・ボンデュラントロータス-BRM2:00.80+4.6318
1922 イネス・アイルランドロータス-BRM2:02.36+6.19DNS 1
ソース: [8]
追記
  • ^1 - アイルランドはチームを解雇され、ボンデュラントに交代した[7]

決勝

順位No.ドライバーコンストラクター周回数タイム/リタイア原因グリッドポイント
111 リッチー・ギンサーホンダ652:08:32.1039
28 ダン・ガーニーブラバム-クライマックス65+2.8926
36 マイク・スペンスロータス-クライマックス65+1:00.1564
416 ジョー・シフェールブラバム-BRM65+1:54.42113
512 ロニー・バックナムホンダ64+1 Lap102
621 リチャード・アトウッドロータス-BRM64+1 Lap171
714 ペドロ・ロドリゲスフェラーリ62+3 Laps14
82 ロレンツォ・バンディーニフェラーリ62+3 Laps7
Ret3 グラハム・ヒルBRM56エンジン5
Ret18 モイセス・ソラーナロータス-クライマックス55イグニッション9
Ret15 ヨアキム・ボニエブラバム-クライマックス43サスペンション12
Ret10 ヨッヘン・リントクーパー-クライマックス39イグニッション15
Ret7 ジャック・ブラバムブラバム-クライマックス38オイル漏れ4
Ret4 ジャッキー・スチュワートBRM35クラッチ8
Ret22 ボブ・ボンデュラントロータス-BRM29サスペンション17
Ret9 ブルース・マクラーレンクーパー-クライマックス25ギアボックス14
Ret5 ジム・クラークロータス-クライマックス8エンジン1
DNS22 イネス・アイルランドロータス-BRMボンデュラントに交代
DNS24 ルドヴィコ・スカルフィオッティフェラーリロドリゲスにマシンを譲る
ソース: [9]
ファステストラップ[10]
ラップリーダー[11]

ランキング

コンストラクターズランキング
順位コンストラクターポイント
1 ロータス-クライマックス54 (58)
2 BRM45 (61)
13 ブラバム-クライマックス27 (31)
14 フェラーリ26 (27)
5 クーパー-クライマックス14
ソース: [12]

  • :トップ5のみ表示。ベスト6戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント。括弧内は総獲得ポイント。

注釈

脚注

参照文献

  • en:1965 Mexican Grand Prix(2019年3月19日 14:37:17(UTC))より翻訳
  • 林信次『F1全史 1961-1965』ニューズ出版、1997年。ISBN 4-938495-09-0 
  • 中村良夫『F-1グランプリ ホンダF-1と共に 1963-1968 (愛蔵版)』三樹書房、1998年。ISBN 4-89522-233-0 
  • アラン・ヘンリー『チーム・フェラーリの全て』早川麻百合+島江政弘(訳)、CBS・ソニー出版、1989年12月。ISBN 4-7897-0491-2 

外部リンク

前戦
1965年アメリカグランプリ
FIA F1世界選手権
1965年シーズン
前回開催
1964年メキシコグランプリ
メキシコグランプリ次回開催
1966年メキシコグランプリ