黒歯国(こくしこく 黑齒國)とは、古代中国の伝説で遥か東方にあると考えられていた黒い歯をした人の国である。侏儒国、裸国とともに記述されている。
次のとおり中国の書籍に伝えられる。なお『三国志』のいわゆる魏志倭人伝に倭国のはるか東南方にあるとされることから実在の国とする研究者も多い。韓国では黒歯常之が関係するとの説がある。
研究者によっては、インドネシアと関連する国ではないかと考察されており、論拠として、インドネシアではベテルチューイング(日本ではキンマと呼ばれる)という檳榔樹と石灰で作ったガムのようなものを噛む習慣があり、時々赤黒い汁を出しながら話をするとされ、『三国志』の記述にある水路の行程・地理からも指摘される[1]。
『淮南子』では以下のとおり記述される。
黑齒 齒牙盡黑 — 『淮南子』卷四 墬形訓[2] 王逸注 楚詞招魂云
其人黑齒 食稻啖蛇 在湯谷上 — 『淮南子』卷四 墬形訓[2] 高誘注
西教沃民 東至黑齒 — 『淮南子』卷十九 脩務訓[3]
『山海經』では以下のとおり記述される。
なお、『源氏物語』末摘花では「歯黒 山海経云東海有黒歯国其俗婦人歯志黒染」との注がある。
『文選』では以下のとおり記述される。
於是舟人漁子 徂南極東 或屑沒於黿鼉之穴 或挂罥於岑㟼之峯 或掣掣洩洩於裸人之國 或汎汎悠悠於黑齒之邦 — 文選 江海 海賦[8]
『三国志』の魏志倭人伝では以下のとおり記述される。
『後漢書』倭傳では以下のとおり記述される。
『梁書』卷五十四 列傳第四十八 諸夷傳 東夷条 倭では以下のとおり記述される。
其南有侏儒國 人長三四尺 又南黑齒國 裸國 去倭四千餘里 船行可一年至 — 『梁書』卷五十四 列傳第四十八 諸夷傳 東夷条 倭[13]
『路史』国名紀では以下の通り記述される。
黑齒 姜姓 『山海經』黑齒之國 帝俊生其中冝梁竟 — 『路史』国名紀
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