雨に唄えば (曲)
『雨に唄えば』(あめにうたえば、原題:Singin' in the Rain)は、アーサー・フリード作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン作曲によるアメリカ合衆国のポピュラーソング[1]。
「雨に唄えば」 | |
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楽曲 | |
英語名 | Singin' in the Rain |
リリース | 1929年 |
作詞者 | アーサー・フリード |
作曲者 | ナシオ・ハーブ・ブラウン |
言語 | 英語 |
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/76/Singin%27_in_the_Rain_trailer_screenshot_crop.jpg/237px-Singin%27_in_the_Rain_trailer_screenshot_crop.jpg)
1929年公開の映画『ハリウッド・レヴィユー』で紹介されて以降、1952年の同名映画を筆頭に多くのアーティストによって歌われている。
解説
製作背景・リリース
本曲の初公開時期は不明瞭である。現在ではリリースや著作権登録が行われた1929年の楽曲と扱われているが、元々は1928年(1927年とも[2])にブロードウェイのハリウッド・ミュージック・ボックス・シアターで開催されたステージ『ハリウッド・ミュージック・ボックス・レビュー』の演目のために作られ発表されたといい、同レビューの出演者だったダンサーのドリス・イートン・トラヴィスと8人の男性による合唱で初めて歌われたとされる[1][3]。
1929年、映画『ハリウッド・レヴィユー』で本曲が使われ初リリースされた。この映画ではクリフ・エドワーズが歌い、発売されたレコードはポップチャートで3週1位を記録。楽譜の売り上げも良く、以来、本曲はスタンダード・ナンバーとなり多くのアーティストにカバーされた[1][4]。
映画
1952年、作詞したアーサー・フリードの提案から、この曲を翻案し主題歌ともなった同名のミュージカル映画が公開された[2]。雨の中で本曲を歌い踊るジーン・ケリーのパフォーマンスは映画史に残る名場面となり、AFIがアメリカ映画で使われた曲から選んだベスト100曲のリスト『アメリカ映画主題歌ベスト100』では3位を獲得した[5]。そのため、本曲は同作のために書かれたと間違われることもある。
作詞者フリードが後にMGMミュージカル映画の名プロデューサーとして名をはせたこともあり、アンソロジー映画『ザッツ・エンターテインメント』冒頭でこの曲が紹介されるなど、同社のミュージカル作品を象徴する曲としても知られる[1]。
その他
この曲は32小節のコーラスの前に歌詞があり、当時一般的だった内部ブリッジが含まれているのではなく、曲を開始からブリッジのコーラスが繰り返される前に24小節の歌詞が続くという、当時としては珍しい形態をしている。
主なカバー
- アネット・ハンショウ(1929年)
- ボブとアルフ・ピアソン(1929年)
- フランシスコ・カナロ オーケストラ[7](1929年)
- ディーン・マーティン(1950年)- バラエティ番組「The Colgate Comedy Hour」内で披露。
- ジョン・セリー・シニア(1954年)
- アダム・フェイス(1960年)
- 榎本健一[8](1960年)- 日本語に訳詩したものを発表。アルバム「甦るエノケン・榎本健一大全集」に収録。
- ビング・クロスビー、ローズマリー・クルーニー[9](1961年)- ラジオ番組で使用するため録音。その後、いくつかのクロスビーのアルバムにこの音源が収録。
- サミー・デイヴィスJr.(1974年)
- シェイラ(1978年)ディスコアレンジを発表。
- レイフ・ギャレット[10](1979年)- アルバム「SameGoesforYou」内に収録。
- タコ[11](1982年)
- ジェイミー・カラム(2003年)- アルバム「Twentysomething 」に収録。
- モーカム&ワイズ(2007年)
- セス・マクファーレン[12](2009年)- BBCプロムスにて歌唱。
- ジェイミー・カラム(2009年)
- 少女時代(2009年・2010年)- 1stアジアツアー「Into the New World」にて披露。
- ウエストライフ(2010年)- コンサートツアーの休憩時間に歌われた。
- 山崎育三郎[13](2019年)- カバー・アルバム「MIRROR BALL'19」に収録。日本語詞は高平哲郎。
- ダイアナ・クラール[14](2020年)- アルバム「This Dream of You」に収録。
- その他
- カート・ブラウニング - フィギュアスケートの演目として、ブラウニングの作品を代表するのがこの曲である。
リミックス版
2005年8月、ミント・ロワイヤルによるリミックス版がシングルとしてリリースされ[15]、全英シングルチャートで最高位20位を記録した[16]。
2008年、公開オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』にて、当時無名のダンサーだったジョージ・サンプソンにて本曲を使用したため、同年には英国のiTunesトップ100で1位になった。また、同年6月1日には全英シングルチャートに28位と再浮上し[17]、翌週には1位を記録[18]。45,987部を売り上げた。
チャート (2005年) | 最高位 |
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UK シングルス (Official Charts Company)[16] | 20 |
チャート (2008年) | 最高位 |
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UK シングルス (Official Charts Company)[18] | 1 |
アイルランド (IRMA)[19] | 3 |
主な使用作品
※初期のMGM製作のミュージカル映画には多く使用されている。1952年の同名映画は除外。
- ハリウッド・レヴィユー(1929年)- 実質的に初出となった作品。
- 上海からの船(1930年)[20]
- 盗んだ結婚(1930年)[20]
- 結婚双紙(1930年)[20]
- キートンの歌劇王(1932年)[20]
- 魔の家(1932年)[20]
- 青春一座(1939年)
- ベーブ・ルース物語(1948年)
- 北北西に進路を取れ(1959年)- ケーリー・グラントがこの曲をハミングするシーンがある。
- 時計じかけのオレンジ(1971年)映画版でグロテスクなパロディーがある。
- エル・チャプリン・コロラド(1978年)
- フェーム(1980年)
- ペニーズ・フロム・ヘブン(1981年)
- ピンク・パンサーX(1982年)- クルーゾー警部が歌うシーンがある。
- スラッガーズ・ワイフ(1985年)
- ザ・ギャンブラー(1985年)
- 夜霧のマンハッタン(1986年)
- ダイ・ハード(1988年)- マイケル・ケイメン作曲の劇中音楽に組み込まれた。
- おつむて・ん・て・ん・クリニック(1991年)
- 天才執事ジーヴス(1991年)
- レオン(1994年)
- フレンズ(1995年)
- GODZILLA(1998年)
- シャンハイ・ナイト(2003年)
- ロボッツ(2005年)
- 潜水服は蝶の夢を見る(2007年)
- 空の境界(2008年)- 劇中にて、雨の中この音楽を口ずさむシーンがある。
- glee/グリー(2010年)- リアーナの曲「アンブレラ」とのマッシュアップで歌われた。
- フィニアスとファーブ(2011年)
- バビロン(2022年)