除籍(じょせき、英: Weedingまたはdiscard、独: Makulierung)は、図書館において図書原簿から図書館資料を除去すること[1]。資料の収集とは逆の行為であるが、収集と除籍はしばしば同じ思考プロセスをたどることになる。除籍はコレクションを最新・適切・良好な状態に保つために極めて重要なプロセスであり、継続的に行われるべきである[2]。
「よく管理され、よく絞り込まれたコレクションは、古くなったまたは不要な資料でいっぱいになったコレクションよりもはるかに役に立つ」という考えに基づく[3]。物理的なコレクションに対して除籍を行うことで次のような利益が得られる[2]。
デジタル媒体のコレクションの場合、スペースは問題にならない。しかし、これはデジタルコレクションに除籍を行う必要がないということを意味するわけではない。デジタル資料であっても古いものや不適切なものを除去しておくことで、検索結果が絞り込まれ、利用者が本当に必要としている資料にたどり着きやすくなるのである[3]。よってデジタルコレクションも物理的コレクション同様に最新かつ容易に見つけやすくしておくべきである。
除籍は図書館の資料収集部門の指針に沿うべきであり、除籍基準は示されるべきである。しかし日本国内では統一した明確な除籍基準は存在しない[4]。以下は除籍されうる資料の基準である[2]。
除籍された資料はたいてい無償譲渡されるか廃棄処分となる[4]。図書館の利用者などに無償譲渡される除籍資料は、著しく破損したものはまれで、読む分には何ら差支えがないものがほとんどである[6]。通常、除籍資料を転売することは図書館側が禁止しているが、罰則がないため古本市やネットオークションなどで流通することがある[6]。利用頻度の高い児童書は、破損すると一度除籍されるが、もう一度同じ図書を購入し直すことが一般的である[7]。
除籍は地域住民の間で物議をかもすことがあり、Library Journal(英語版)の編集者を長年務めてきたジョン・N・ベリー三世(John N. Berry III)は「除籍戦争」と題した評論を寄稿している[8]。日本では1990年代前半にマスメディアで除籍と廃棄の問題が盛んに取り上げられたことから図書館学でも議論が行われた[9]ほか、2001年に司書が新しい歴史教科書をつくる会の会員の著作を独断で除籍した船橋市西図書館蔵書破棄事件が発生している[10]。
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