詹詠然

台湾の女子テニス選手

詹 詠然 (チャン・ユンジャン、英語表記:Yung-Jan Chan) またはラティシャ・チャン (Latisha Chan, 1989年8月17日 - ) は、台湾台北市出身の女子プロテニス選手。マルチナ・ヒンギスとペアを組み、2017年全米オープン女子ダブルスで優勝した選手である。ベースライン・プレーヤーで、バックハンド・ストロークのダウン・ザ・ラインを最も得意にする。身長170cm、体重60kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。これまでにWTAツアーでダブルス31勝を挙げる。自己最高ランキングはシングルス50位、ダブルス1位。日本では「チャン・ユンヤン」の表記も見られる。

詹詠然
Latisha Chan
詹詠然
基本情報
フルネームYung-Jan Chan
国籍中華民国の旗 台湾
出身地台湾・台北市
生年月日 (1989-08-17) 1989年8月17日(34歳)
身長170cm
体重60kg
利き手
バックハンド両手打ち
ツアー経歴
デビュー年2004年
ツアー通算28勝
シングルス0勝
ダブルス28勝
生涯獲得賞金6,155,320 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪2回戦(2009・13)
全仏3回戦(2011)
全英2回戦(2010)
全米3回戦(2010)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪準優勝(2007・15)
全仏ベスト4(2017)
全英ベスト8(2017)
全米優勝(2017)
優勝回数1(米1)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪準優勝(2011)
全仏優勝(2018)
全英ベスト4(2011)
全米ベスト4(2014-16)
優勝回数1(仏1)
キャリア自己最高ランキング
シングルス50位(2007年6月11日)
ダブルス1位(2017年10月23日)
獲得メダル
女子 テニス
チャイニーズタイペイの旗 チャイニーズタイペイ
アジア競技大会
2006 ドーハ団体
2010 広州ダブルス
2010 広州混合ダブルス
2014 仁川団体
2006 ドーハダブルス
2010 広州団体
2018 ジャカルタダブルス
2014 仁川ダブルス
2019年4月20日現在

来歴

6歳からテニスを始める。詹は10歳の時、1999年9月21日台湾大地震で被災した経験を持つ。ジュニア時代、2004年全豪オープン中国の孫勝男とペアを組んで優勝したことがある。2004年8月にプロ入り。国際テニス連盟(ITF)主催のサテライト・サーキット(女子ツアー下部組織の大会群)で下積み生活を始めた初期の頃から、日本のトーナメントにも数多く参加してきた。2005年全米オープンでシングルスの予選3試合を勝ち上がり、4大大会の本戦に初出場を果たす。この大会では、詹は本戦1回戦で第8シードのセリーナ・ウィリアムズに 1-6, 3-6 で敗れた。

2006年度の4大大会では、詹はウィンブルドン全米オープンで予選会を通過した。この後、10月のジャパン・オープンでシングルスのベスト4に入り、ダブルスでは準優勝する。シングルスでは準々決勝で第2シードの杉山愛を 6-3, 6-4 で破ったが、続く準決勝で中村藍子に 6-7, 6-2, 4-6 で競り負けた。ダブルスでは荘佳容とのペアで出場し、準決勝で第1シードのビルヒニア・ルアノ・パスクアル&パオラ・スアレス組を破ったが、決勝でバニア・キング&エレナ・コスタニッチ組に敗れて準優勝になっている。

2007年全米オープンにて

詹詠然と荘佳容は、2007年全豪オープンの女子ダブルスで躍進した。詹はシングルスでは1回戦でアリシア・モリクに敗れたが、荘と組んだ女子ダブルス準決勝で前年度優勝の中国ペア、鄭潔&晏紫組を 6-3, 6-4 で破り、台湾出身のテニス選手として初の4大大会決勝戦に進出した。2人は決勝で第3シードのリーゼル・フーバー&カーラ・ブラックと対戦し、第2セットのタイブレークを奪う健闘を見せたが、結局 4-6, 7-6, 1-6 で敗れて準優勝になった。2人は2007年全米オープンでも女子ダブルス決勝に進んだが、ディナラ・サフィナ&ナタリー・ドシー組に 4-6, 2-6 で敗れ、ここでも優勝を逃した。

詹は2007年10月のバンコク大会でツアー初のシングルス決勝に進んだがフラビア・ペンネッタに 1–6, 3–6 で敗れている。4大大会のシングルス最高成績は2010年全米オープン2011年全仏オープンの3回戦進出である。

2011年全豪オープンの混合ダブルスではポール・ハンリーとペアを組んで決勝に進出した。決勝ではダニエル・ネスター&カタリナ・スレボトニク組に 3–6, 6–3, [7–10] で敗れ準優勝となった。

詹詠然の妹の詹皓晴もプロテニス選手になり、2012年2月のパタヤ大会では2人で組んだダブルスで決勝に進出した。決勝ではサニア・ミルザ&アナスタシア・ロディオノワ組に 6–3, 1–6, [8–10] で敗れ準優勝となった。2013年シーズン開幕戦の深圳オープンでは決勝でイリナ・ブリャコク&バレリア・ソロビエワ組を 6–0, 7–5 で破りダブルスツアー10勝目を挙げた。

2017年全米オープンではマルチナ・ヒンギスと組み女子ダブルスの決勝でルーシー・ハラデツカカテリナ・シニアコバ組を 6–3, 6–2 で破り初の4大大会ダブルスタイトルを獲得した。2017年10月23日付のランキングでヒンギスと並んでダブルス1位になった。

WTAツアー決勝進出結果

シングルス: 1回 (0勝1敗)

大会グレード
2008年以前2009年以後
グランドスラム (0–0)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (0–0)プレミア・マンダトリー (0-0)
プレミア5 (0-0)
ティア II (0–0)プレミア (0–0)
ティア III (0–1)インターナショナル (0–0)
ティア IV & V (0–0)
結果No.決勝日大会サーフェス対戦相手スコア
準優勝1.2007年10月14日 バンコクハード フラビア・ペンネッタ1–6, 3–6

ダブルス: 55回 (31勝24敗)

大会グレード
2008年以前2009年以後
グランドスラム (1–3)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (1-1)プレミア・マンダトリー (3-1)
プレミア5 (5-1)
ティア II (1-2)プレミア (4-8)
ティア III (3-2)インターナショナル (11-4)
ティア IV & V (2-2)
結果No.決勝日大会サーフェスパートナー対戦相手スコア
優勝1.2005年10月2日 ソウルハード 荘佳容 ナタリー・グランディン
ジル・クレイバス
6–2, 6–4
準優勝1.2006年10月8日 東京ハード 荘佳容 バニア・キング
エレナ・コスタニッチ
6–7(2), 7–5, 2–6
準優勝2.2007年1月27日 全豪オープンハード 荘佳容 カーラ・ブラック
リーゼル・フーバー
4–6, 7–6(4), 1–6
準優勝3.2007年2月11日 パタヤハード 荘佳容 ニコル・プラット
マラ・サンタンジェロ
4–6, 6–7(4)
優勝2.2007年2月18日 バンガロールハード 荘佳容 アーラ・クドゥリャフツェワ
謝淑薇
6–7(4), 6–2, [11-9]
準優勝4.2007年3月18日 インディアンウェルズハード 荘佳容 リサ・レイモンド
サマンサ・ストーサー
3–6, 5–7
準優勝5.2007年5月26日 イスタンブールクレー サニア・ミルザ アグニエシュカ・ラドワンスカ
ウルシュラ・ラドワンスカ
1–6, 3–6
優勝3.2007年6月17日 バーミンガム 荘佳容 孫甜甜
メイレン・ツー
7–6(3), 6–3
優勝4.2007年6月22日 スヘルトーヘンボス 荘佳容 アナベル・メディナ・ガリゲス
ビルヒニア・ルアノ・パスクアル
7–5, 6–2
準優勝6.2007年9月9日 全米オープンハード 荘佳容 ナタリー・ドシー
ディナラ・サフィナ
4–6, 2–6
準優勝7.2007年10月7日 シュトゥットガルトハード ディナラ・サフィナ クベタ・ペシュケ
レネ・スタブス
7–6(5), 6–7(4), [2–10]
優勝5.2008年2月10日 パタヤハード 荘佳容 謝淑薇
バニア・キング
6–4, 6–3
準優勝8.2008年3月9日 バンガロールハード 荘佳容 彭帥
孫甜甜
4–6, 7–5, [8–10]
優勝6.2008年5月18日 ローマクレー 荘佳容 イベタ・ベネソバ
ヤネッテ・フサロバ
7–6(5), 6–3
準優勝9.2008年5月24日 ストラスブールクレー 荘佳容 晏紫
タチアナ・ペレビニス
4–5, 7–6(3), [6–10]
優勝7.2008年7月27日 ロサンゼルスハード 荘佳容 ブラディミラ・ウーリロバ
エバ・ハルディノバ
2–6, 7–5, [10–4]
準優勝10.2009年8月2日 スタンフォードハード モニカ・ニクレスク セリーナ・ウィリアムズ
ビーナス・ウィリアムズ
4–6, 1–6
優勝8.2009年9月27日 ソウルハード アビゲイル・スピアーズ カーリー・ガリクソン
ニコール・クリッツ
6–3, 6–4
準優勝11.2010年1月16日 ホバートハード モニカ・ニクレスク 荘佳容
クベタ・ペシュケ
6–3, 3–6, [7–10]
優勝9.2010年2月28日 クアラルンプールハード 鄭潔 アナスタシア・ロディオノワ
アリーナ・ロディオノワ
6–7(4), 6–2, [10–7]
準優勝12.2010年8月1日 スタンフォードハード 鄭潔 リンゼイ・ダベンポート
リーゼル・フーバー
5–7, 7–6(8), [8–10]
準優勝13.2012年2月12日 パタヤハード 詹皓晴 サニア・ミルザ
アナスタシア・ロディオノワ
6–3, 1–6, [8–10]
優勝10.2013年1月5日 深圳ハード 詹皓晴 イリナ・ブリャコク
バレリア・ソロビエワ
6–0, 7–5
準優勝14.2014年4月6日 チャールストンクレー 詹皓晴 アナベル・メディナ・ガリゲス
ヤロスラワ・シュウェドワ
6–7(4), 2–6
準優勝15.2014年4月20日 クアラルンプールハード 鄭賽賽 詹皓晴
ティメア・バボシュ
3–6, 4–6
優勝11.2014年6月21日 イーストボーン 詹皓晴 マルチナ・ヒンギス
フラビア・ペンネッタ
6-3, 5-7, [10-7]
準優勝16.2015年1月30日 全豪オープンハード 鄭潔 ルーシー・サファロバ
ベサニー・マテック=サンズ
4–6, 6–7(5)
優勝12.2015年2月15日 パタヤハード 詹皓晴 青山修子
タマリネ・タナスガーン
2–6, 6–4, [10–3]
準優勝17.2015年6月27日 イーストボーン 鄭潔 キャロリン・ガルシア
カタリナ・スレボトニク
6–7(5), 2–6
優勝13.2015年8月23日 シンシナティハード 詹皓晴 ケーシー・デラクア
ヤロスラワ・シュウェドワ
6–4, 7–5
優勝14.2015年9月19日 東京ハード 詹皓晴 土居美咲
奈良くるみ
6–1, 6–2
準優勝18.2015年9月26日 東京ハード 詹皓晴 ガルビネ・ムグルサ
カルラ・スアレス・ナバロ
5–7, 1–6
準優勝19.2015年10月10日 北京ハード 詹皓晴 マルチナ・ヒンギス
サニア・ミルザ
7–6(9), 1–6, [8–10]
優勝15.2016年2月14日 高雄ハード 詹皓晴 穂積絵莉
加藤未唯
6–4, 6–3
優勝16.2016年2月27日 ドーハハード 詹皓晴 サラ・エラニ
カルラ・スアレス・ナバロ
6–3, 6–3
準優勝20.2016年6月25日 イーストボーン 詹皓晴 ダリア・ユラク
アナスタシア・ロディオノワ
7–5, 6–7(4), [6–10]
優勝17.2016年10月16日 香港ハード 詹皓晴 ナオミ・ブローディ
ヘザー・ワトソン
6–3, 6–1
優勝18.2017年2月5日 台北ハード 詹皓晴 ルーシー・ハラデツカ
カテリナ・シニアコバ
6–4, 6–2
優勝19.2017年3月18日 インディアンウェルズハード マルチナ・ヒンギス ルーシー・ハラデツカ
カテリナ・シニアコバ
7–6(4), 6–2
優勝20.2017年5月13日 マドリードクレー マルチナ・ヒンギス ティメア・バボシュ
アンドレア・フラバーチコバ
6–4, 6–3
優勝21.2017年5月21日 ローマクレー マルチナ・ヒンギス エカテリーナ・マカロワ
エレーナ・ベスニナ
7–5, 7–6(4)
準優勝21.2017年5月27日 ストラスブールクレー 詹皓晴 アシュリー・バーティ
ケーシー・デラクア
4–6, 2–6
優勝22.2017年6月25日 マヨルカ マルチナ・ヒンギス アナスタシヤ・セバストワ
エレナ・ヤンコビッチ
不戦勝
優勝23.2017年7月1日 イーストボーン マルチナ・ヒンギス アシュリー・バーティ
ケーシー・デラクア
6–3, 7–5
優勝24.2017年8月19日 シンシナティハード マルチナ・ヒンギス 謝淑薇
モニカ・ニクレスク
4–6, 6–4, [10–7]
優勝25.2017年9月10日 全米オープンハード マルチナ・ヒンギス ルーシー・ハラデツカ
カテリナ・シニアコバ
6–3, 6–2
優勝26.2017年9月30日 武漢ハード マルチナ・ヒンギス 青山修子
楊釗煊
7–6(5), 3–6, [10–4]
優勝27.2017年10月8日 北京ハード マルチナ・ヒンギス ティメア・バボシュ
アンドレア・フラバーチコバ
6–1, 6–4
優勝28.2017年10月15日 香港ハード 詹皓晴 逯佳境
王薔
6–1, 6–1
準優勝22.2018年1月12日 シドニーハード アンドレア・フラバーチコバ ガブリエラ・ダブロウスキー
徐一幡
3–6, 1–6
優勝29.2018年8月5日 サンノゼハード クベタ・ペシュケ リュドミラ・キチェノク
ナディヤ・キチェノク
6–4, 6–1
準優勝23.2018年8月12日 モントリオールハード エカテリーナ・マカロワ アシュリー・バーティ
デミ・シュールス
6–4, 3–6, [8–10]
準優勝24.2019年1月5日 ブリスベンハード 詹皓晴 ニコール・メリチャー
クベタ・ペシュケ
1–6, 1–6
優勝30.2019年1月12日 ホバートハード 詹皓晴 キルステン・フリプケンス
ヨハンナ・ラーション
6–3, 3–6, [10–6]
優勝31.2019年2月16日 ドーハハード 詹皓晴 デミ・スゥース
アンナ=レナ・グローネフェルト
6-1, 3-6, [10–6]

4大大会シングルス成績

略語の説明
 W  F SFQF#RRRQ#LQ A Z#PO G  S  B NMS P NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会20052006200720082010201020112012201320142015通算成績
全豪オープンALQ1R1R2R1RLQA2R1RLQ2–6
全仏オープンALQ1R1RA1R3R2RAALQ3–5
ウィンブルドンA1R1R1R1R2RLQLQAAA1–5
全米オープン1R1R1R2RLQ3R1RLQLQ1RLQ3–7

外部リンク