熱機関

熱をエネルギー源とした機関

熱機関ねつきかん: heat engine)とは、エネルギー源とした機関である。装置外から熱を取り込むものと、装置内で生成した熱エネルギーを使用するものとがある。[要検証]

熱機関の種類

内燃機関

内燃機関は、燃焼ガスが膨張する圧力で直接ピストンを押す・タービンを回転させるなどの仕事をするものである。自動車用の高速機関でも20 %以上、大型船舶用のユニフロー掃気ディーゼルエンジンでは50 %もの熱効率を引き出すなど、熱効率が高い反面、燃料の性質に制約がある。火花点火式等の場合は、点火栓による火炎の伝播によらない異常燃焼(プレイグニッションデトネーション)が問題であり、オクタン価が主な焦点である。また、火炎伝播速度には限界があり、闇雲にシリンダー容積を大きくすることはできない。一方、ディーゼル式では逆に着火しやすさが焦点であり、セタン価となる。

外燃機関

外燃機関は、熱交換器により熱源の熱を作動ガス(作動気体)に与え、この作動ガスがピストンを押す・タービンを回転させるなどの仕事をするものである。代表的な実用例である蒸気機関車では熱効率10 %程度と効率のよい物ではないが、発電所の汽力発電系では40 %弱の効率を引き出している。なお理論的には、スターリングエンジンカルノーサイクルに最も近い効率を引き出すことができる。作動流体と熱源・燃料が分離されているという原理から、熱源・燃料については、液体重油)・固体石炭など)・原子力太陽熱廃熱などなど、自由度がある。

動力変換の種類

また、作動ガスのエネルギーを仕事として取り出す際、主としてガスの流速による場合、速度形(ジェット、ガスタービン、蒸気タービン等)と呼び、容積変化によるものを容積形(レシプロ蒸気、ガソリン、ディーゼル等)と呼ぶ。

熱機関の特徴と主な用途

熱機関の特徴と主な用途
構造燃焼動力変換名称理論サイクル速度トルク出力制御速度制御始動時間効率動作原理特徴主な用途
外燃機関連続速度形蒸気タービンランキン再熱・再生不適外部で発生させた高温の蒸気を羽根車(タービン)に吹きつける汽力発電
容積形蒸気機関ランキン不良外部で発生させた高温の蒸気をシリンダーに注入しピストンを往復運動させる始動時のトルクが大きい蒸気機関車
スターリングエンジンスターリング(カーク)・ヴィルマイアー・ギフォードマクマホン最良二つのシリンダー内の作動気体を外部の熱源で交互に加熱・冷却することにより差動的にピストンを往復運動させる理論的にはカルノーサイクルと同じ熱効率実用化へ向けて研究段階
内燃機関間欠火花点火(SI)機関オットーミラーサイクル燃料と空気の混合気をシリンダ内で圧縮したあとプラグで着火,燃焼・膨張させるスロットルで空気と燃料の混合気の量を制限することで出力の制御をする自動車
高速ディーゼル(圧縮着火)機関サバテサイクル空気を圧縮したシリンダ内に燃料を噴射して燃焼・膨張させるスロットルを必要としないので熱効率が良い反面、空気と燃料の混合が難しく排気が汚くなりやすい貨物自動車ディーゼル機関車気動車
低速ディーゼル(圧縮着火)機関ディーゼルサイクル船舶
連続速度形ガスタービン機関ブレイトンサイクル不適圧縮機で空気を圧縮したところに燃料を噴射して燃焼させた高温気体を、タービン(羽根車)に吹き付けて直接回転運動を得る体積・質量あたり出力が大きいジェットエンジン

関連項目