松本清張賞

日本の文学賞

松本清張賞(まつもとせいちょうしょう)は、1992年平成4年)に死去した松本清張の業績を記念して1993年(平成5年)に創設された、良質な長篇エンターテインメント小説(第11回以降。第10回以前に関しては後述)を表彰する公募の文学賞[1]公益財団法人日本文学振興会が主催、文藝春秋が運営する。

松本清張賞
受賞対象ジャンルを問わない広義のエンタテインメント小説
会場オンライン開催
日本の旗 日本
主催日本文学振興会
報酬正賞:時計
賞金:500万円
初回1994年
最新回第31回(2024年)
最新受賞者井上先斗『オン・ザ・ストリートとイッツ・ダ・ボム』
公式サイトhttps://bungakushinko.or.jp/award/matsumoto/

概要

選考会は各年4月に開催され、現在は『オール讀物』6月号誌上[2]で受賞発表される。贈呈式は6月に開催され、受賞者には正賞として時計、副賞として500万円が授与される。また、受賞作は文藝春秋から単行本として刊行される(創設当初から2007年までは『文藝春秋』7月号誌上[3]で受賞作が発表された)。

第1回(1994年)から第5回(1998年)までは短編を募集していたが、第6回(1999年)からは長篇作品を募集している。また、当初は「広義の推理小説又は、歴史・時代小説」を対象にしていたが、第11回(2004年)以降は「ジャンルを問わぬ良質の長篇エンターテインメント小説」を対象としている。

受賞作一覧

第1回から第5回

  • 短編(推理小説または歴史・時代小説)を募集。
  • 受賞作は同題の短編集に収録され、文藝春秋より刊行されている。
回(年)応募総数受賞者受賞作初刊文庫化
第1回(1994年度)1136編受賞葉治英哉「またぎ物見隊顛末」1994年8月2010年9月
候補乙川優三郎「穴惑い」
高橋直樹「悲刃」
永井義男「螢狩り殺人事件」
松浪和夫「キャデイヴァー・ドナー」
柚木亮二「昏い通路」
若松忠男「セピア色の視線」
第2回(1995年度)805編受賞受賞作なし
佳作岡島伸吾「さざんか」
候補青山瞑「石の絆」
佐々木基成「源五憂悶」
清水風慈「影踏み」
霜月烈「寒月」
村雨貞郎「人食い」
第3回(1996年度)861編受賞森福都「長安牡丹花異聞」1997年4月2005年7月
候補伊藤日出造「作左衛門の出府」
岡田義之「月待岬」
永井義男「天保糞尿伝」
柚木亮二「一億三千万円のアリバイ」
佐々木基成「仙十郎の義」
第4回(1997年度)755編受賞村雨貞郎「マリ子の肖像」1998年4月
候補柚木亮二「逆転無罪」
佐佐木邦子「オシラ祭文」
松浦潤一郎「流罪」
第5回(1998年度)770編受賞横山秀夫陰の季節1998年10月2001年10月
候補新井政彦「シリウスの雨」
河井良夫「代役」
竹内大「公事だくみ」
大内曜子「理由」

第6回から第10回

  • 長編(推理小説または歴史・時代小説)を募集。
回(年)応募総数受賞者受賞作初刊文庫化
第6回(1999年度)299編受賞島村匠「芳年冥府彷徨」1999年6月
候補桜井正雄「夢の男」
大野由布「汚れた白衣」
潮田重八郎「朱い渦」
第7回(2000年度)378編受賞明野照葉「輪(RINKAI)廻」2000年6月2003年11月
候補飯倉章「ペルソナたちの夏」
大野由布「緑の剣」
三咲光郎「曠野の涯て」
第8回(2001年度)314編受賞三咲光郎「群蝶の空」2001年6月
候補大野由布「異植」
北重人「蒼火」2005年11月2008年11月
六車脩平「Xの恋人」
第9回(2002年度)286編受賞山本音也[注 1]「ひとは化けもん われも化けもん」[注 2]2002年6月2005年8月
候補福井康雄「毒婦伝説」
六車脩平「ハーフ・ムーン」
山下一二三「長安の古文書」
第10回(2003年度)347編受賞岩井三四二「月ノ浦惣庄公事置書」2003年6月2006年4月
候補大石直紀「ファルナースに捧ぐ」2004年11月[注 3]
高橋俊一「雪の黒白」
矢元竜「火縄銃」

第11回から第20回

  • 長編エンターテインメント作品を募集。
回(年)応募総数受賞者受賞作初刊文庫化
第11回(2004年度)892編受賞山本兼一火天の城2004年6月2007年6月
候補北重人「天明、彦十店始末」2004年12月[注 4]2008年1月
田村正之「夏の光」
樋上拓郎「そしてクジラは眠る」
第12回(2005年度)582編受賞城野隆「一枚摺屋」2005年6月2008年6月
候補北林一光幻の山[注 5]2007年11月[注 6]2010年12月[注 7]
倉石歩「プリテンダー」
桜木紫乃「霧灯」
第13回(2006年度)397編受賞広川純「一応の推定」2006年6月2009年6月
候補指方恭一郎「商寇一人なり」
廣瀬昇「狙撃兵」
山田健「東京北目黒 エンガチョ自然農園」
第14回(2007年度)393編受賞葉室麟銀漢の賦2007年7月2010年2月
候補荒川勝利「空の青さを君は知らない」
指方恭一郎「擾乱の花」
達了「ルトラ」
第15回(2008年度)378編受賞梶よう子[注 8]「一朝の夢」[注 9]2008年6月2011年10月
候補奥山景布子「びいどろの火」2011年5月
桜坂豪「光は闇を好むとて」
松田美智子「海馬の恋」
第16回(2009年度)410編受賞牧村一人「アダマースの饗宴」[注 10]2009年7月2012年12月[注 11]
候補本城雅人「ノーバディーノウズ」2009年8月2013年1月
三好昌子「朧烏」
村木嵐「春の空風」
第17回(2010年度)472編受賞村木嵐「マルガリータ」2010年6月2013年6月
候補伊兼源太郎「花火の痕」
指方恭一郎「臥龍」
立花水馬「天上に鳴る金剛鈴」
第18回(2011年度)426編受賞青山文平「白樫の樹の下で」2011年6月2013年12月
候補小嶋貴裕「このはなのさく」
立花水馬「海翔ける」
丸山正樹「デフ・ボイス」2011年7月[注 12]2015年8月
第19回(2012年度)521編受賞阿部智里「烏に単は似合わない」2012年6月2014年6月
候補沢村鐵[注 13]「フロスティ・グレイの肖像」
増山実「いつの日か来た道」2013年12月[注 14]2015年11月
三好昌子「空蝉の夢」
第20回(2013年度)595編受賞山口恵以子「月下上海」2013年6月2015年6月
候補黒澤主計「スリップリー・スロープ」
三宅登茂子「聖天供養」
三好昌子「群青の闇」

第21回から第30回

回(年)応募総数受賞者受賞作初刊文庫化
第21回(2014年度)588編受賞未須本有生[4]「推定脅威」2014年6月2016年6月
候補赤神諒「猛き名をとどめん」
佐藤友美「鰹島十景」
三宅登茂子「二百年の輪廻」
第22回(2015年度)608編受賞額賀澪「屋上のウインドノーツ」[注 15]2015年6月2017年6月
候補榎本まう「所詮、ガス栓に火を点けるだけの人生」
柳井政和「T2」
隆麻生「怨空華」
第23回(2016年度)709編受賞蜂須賀敬明「待ってよ」[5]2016年6月2018年6月
候補阿野冠「イマジン」
香月夕花「Anchor Me」
柳井政和「バックドア」2016年8月[注 16]
第24回(2017年度)661編受賞滝沢志郎「明治乙女物語」[6]2017年7月2019年6月
候補阿野冠「暗殺の森」
内山りょう「背徳の鍵」
夏山かほる「天人哀想」
第25回(2018年度)538編受賞川越宗一「天地に燦たり」2018年7月2020年6月
候補麻宮好「かぎろひ」
阿野冠「ジュリー」
黒澤主計「我が名はベシャメール」
第26回(2019年度)677編受賞坂上泉「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」2019年7月[注 17]2021年6月
候補青木海斗「かしられ島」
水上広美「タクト!」
山中ミチル「青い刺繍」
第27回(2020年度)644編受賞千葉ともこ「震雷の人」2020年9月2022年6月
候補相澤優一「LOST PLAYERS」
杉浦昭嘉「ゴールドバック」
山中ミチル「珠の子供」
第28回(2021年度)748編受賞波木銅[注 18]「万事快調(オール・グリーンズ)」2021年7月2023年6月
候補いとうきぬこ「心ノ錨」
不動青依「ラストピース」
古川雅春「明日(あす)には忘れる」
第29回(2022年度)757編受賞天城光琴[注 19]「凍る草原に鐘は鳴る」[注 20]2022年7月
候補石野莉子「潜龍(せんりょう)の月」
川村映「槐(えんじゅ)に朽ちる」
森バジル「ニゲラ」
第30回(2023年度)677編受賞森バジル「ノウイットオール」2023年7月
候補岩渕涼「誰が為に星は降る」
川窪ゆか「八丁堀の七不思議」
榛野文美「埋火(うずみび)」

第31回から

回(年)応募総数受賞者受賞作初刊文庫化
第31回(2024年度)685編受賞井上先斗「オン・ザ・ストリートとイッツ・ダ・ボム」
候補岩渕涼「もも」
城戸川りょう「高宮麻綾の引継書」
榛野文美「エゴイストは誰か」

選考委員

脚注

注釈

出典

外部リンク