東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント

東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント(とうレ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント、Toray Pan Pacific Open Tennis Tournament)は、毎年9月に日本で開催されているWTAツアー大会の一つ。日本最大の国際女子プロテニス大会である。略称は東レPPOテニス。トーナメントカテゴリーはWTA500

パン・パシフィックオープン
WTAツアー
開始年1984年 (40年前) (1984)
38 (2023)
開催地Japan
Tokyo (1984–1992; 1994–2017; 2022–present)
Yokohama (1993)
Tachikawa (2018)
Osaka (2019)
会場東京体育館 (1984–1985; 1991–1992; 1994–2007)
代々木第二体育館 (1986–1987; 1990)
湘南スポーツセンター (1986–1988)
青山学院記念館 (1988–1989)
早稲田大学記念会堂 (1990)
横浜アリーナ (1993)
有明テニスの森公園 (2008–2017; 2022–present)
アリーナ立川立飛 (2018)
靱テニスセンター (2019)
カテゴリ500
サーフェスCarpet / indoor (1984–2007)
Hard / outdoor (2008–2017,2019,2022–)
Hard / indoor (2018)
ドロー28M / 24Q / 16D
賞金総額$757,900 (2022)
前回優勝
シングルス ベロニカ・クデルメトワ
ダブルスカナダの旗 Gabriela Dabrowski
メキシコの旗 Giuliana Olmos

歴史

有明コロシアム

主催は東レ・パン・パシフィック・テニス実行委員会(ADKマーケティング・ソリューションズ他)、特別協賛は東レ株式会社。前身となる大会は1973年より開催された日本初の女子プロテニスサーキット「東レシルックトーナメント」で、この大会は東京12チャンネルで中継されていた。

1984年にアジア初で最大の国際女子公式戦である「東レ・パン・パシフィック・テニス」に生まれ変わり、放送局もTBSに変更となった。最初の2回は年末の12月に行われ、何度かの開催時期変更を経て、1990年からは全豪オープン終了直後の1月末から2月初頭(第1週)開催で定着した。トーナメントカテゴリーは1992年までWTAティアIIだったが、1993年からWTAティアIに昇格した。

会場は東京体育館渋谷区)が使用できない場合、代々木第二体育館(渋谷区)、湘南スポーツセンター藤沢市)、青山学院記念館(渋谷区)、早稲田大学記念会堂新宿区)、横浜アリーナ横浜市)などが使用された。

真夏の南半球メルボルンから即座に真冬の北半球東京へ移動するスケジュールは、この大会に出場する女子選手たちにとってハードな調整が要求された。また、この大会で使用されていた人工芝コート「東レ・スパックターフ」は世界最速ともいわれるほどの超高速サーフェスであった。2007年は、日本国内の大会では初めてオンコート・コーチングが実施された。

2008年以降はWTAの決定により、アジアで行われる大会を9月に集中して開催することを決定。これにより全米オープン後の9月中旬・下旬(年によっては10月初頭におよぶ)開催となり、会場も有明テニスの森公園に変更されることとなった。2008年は9月中旬に開催され、国内のツアー大会では初めて、ビデオ判定制度「ホーク・アイ」が導入された。

2009年からトーナメントカテゴリーがWTAプレミア5(現:WTA1000)に、開催期間も9月下旬に変更され、同じ有明テニスの森公園で行われる男子・ジャパン・オープン・テニス選手権楽天オープン」の開催日程の都合で決勝戦がこれまでの日曜日から土曜日に1日繰り上がった。

2014年当初、本大会はWTAツアー日程から外され、同週の大会に武漢武漢オープンが行われることが決まり、大会の存続が危ぶまれていたが、カールスバッドで開催されていた南カリフォルニア・オープンの権利を借りて2014年度以降も開催されることが決定した。これまでより1週前の9月第3週の開催になり、トーナメントカテゴリーはWTAプレミア5からWTAプレミア(現:WTA500)に降格となった[1]。決勝戦は日曜日に戻っている。

2020年東京オリンピックへ向けて施設改修工事に入った有明に代わって、2018年はアリーナ立川立飛立川市)で開催され[2]、2019年は靱テニスセンター大阪市)で開催された[3]。2020年・2021年はコロナの影響で中止。

優勝杯

2011年シングルス優勝のアグニエシュカ・ラドワンスカ

優勝者に贈られるトロフィーは、日本開催の大会にふさわしく蒔絵が施された漆器の皿(シングルス)と羽子板(ダブルス)になっている。(2003年以降)

また、プレゼンターは東レキャンペーンガールが務める。

放送

  • TV放送はTBSをキー局にJNN系列28局ネットで中継録画していた。
    • 2008年までは週末の午後、1時間30分の番組として放送された。(日曜日はほぼ「別府大分毎日マラソン大会」の後に放送した。)
    • 2009年以後は土曜日のみ全国ネットの放送となり、「オールスター感謝祭」と並ぶように特番が集中していた。
    • 2011年以降は前の「CBCスペシャルドラマ」が別の週の土曜日に移行した。
    • 2017年はBS-TBSで準決勝以降を生中継で放送した。またDAZNでも配信されていた。
    • 2018年はWOWOWが放映権を取得した為、TBSでは録画放送となった。
  • CS放送では2017年までGAORAが準々決勝までを生中継(一部ニアライブになる場合あり)、準決勝以降を録画で放送していた。

大会歴代優勝者

シングルス

優勝者準優勝者決勝結果
1984 マニュエラ・マレーバ クラウディア・コーデ=キルシュ3-6, 6-4, 6-4[4]
1985 マニュエラ・マレーバ ボニー・ガドゥセク7-6, 3-6, 7-5[5]
1986 シュテフィ・グラフ マニュエラ・マレーバ6-4, 6-2[6]
1987 ガブリエラ・サバティーニ マニュエラ・マレーバ6-4, 7-6[7]
1988 パム・シュライバー ヘレナ・スコバ7-5, 6-1[8]
1989 マルチナ・ナブラチロワ ロリ・マクニール7-6, 3-6, 7-6[9]
1990 シュテフィ・グラフ アランチャ・サンチェス・ビカリオ6-1, 6-2[10]
1991 ガブリエラ・サバティーニ マルチナ・ナブラチロワ2-6, 6-2, 6-4[11]
1992 ガブリエラ・サバティーニ マルチナ・ナブラチロワ6-2, 4-6, 6-2[12]
1993 マルチナ・ナブラチロワ ラリサ・ネーランド6-2, 6-2[13]
1994 シュテフィ・グラフ マルチナ・ナブラチロワ6-2, 6-4[14]
1995 伊達公子 リンゼイ・ダベンポート6-1, 6-2[15]
1996 イバ・マヨリ アランチャ・サンチェス・ビカリオ6-4, 6-1[16]
1997 マルチナ・ヒンギス シュテフィ・グラフ不戦勝[17]
1998 リンゼイ・ダベンポート マルチナ・ヒンギス6-3, 6-3[18]
1999 マルチナ・ヒンギス アマンダ・クッツァー6-2, 6-1[19]
2000 マルチナ・ヒンギス サンドリーヌ・テスチュ6-3, 7-5[20]
2001 リンゼイ・ダベンポート マルチナ・ヒンギス6-7(4), 6-4, 6-2[21]
2002 マルチナ・ヒンギス モニカ・セレシュ7-6(6), 4-6, 6-3[22]
2003 リンゼイ・ダベンポート モニカ・セレシュ6-7(6), 6-1, 6-2[23]
2004 リンゼイ・ダベンポート マグダレナ・マレーバ6-4, 6-1[24]
2005 マリア・シャラポワ リンゼイ・ダベンポート6-1, 3-6, 7-6(5)[25]
2006 エレーナ・デメンチェワ マルチナ・ヒンギス6-2, 6-0[26]
2007 マルチナ・ヒンギス アナ・イバノビッチ6-4, 6-2[27]
2008 ディナラ・サフィナ スベトラーナ・クズネツォワ6-1, 6-3[28]
2009 マリア・シャラポワ エレナ・ヤンコビッチ5-2 途中棄権[29]
2010 キャロライン・ウォズニアッキ エレーナ・デメンチェワ1-6, 6-2, 6-3[30]
2011 アグニエシュカ・ラドワンスカ ベラ・ズボナレワ6-3, 6-2[31]
2012 ナディア・ペトロワ アグニエシュカ・ラドワンスカ6–0, 1–6, 6–3[32]
2013 ペトラ・クビトバ アンゲリク・ケルバー6-2, 0-6, 6-3[33]
2014 アナ・イバノビッチ キャロライン・ウォズニアッキ6–2, 7–6(2)[34]
2015 アグニエシュカ・ラドワンスカ ベリンダ・ベンチッチ6–2, 6–2[35]
2016 キャロライン・ウォズニアッキ 大坂なおみ7–5, 6–3[36]
2017 キャロライン・ウォズニアッキ アナスタシア・パブリュチェンコワ6–0, 7–5[37]
2018 カロリナ・プリスコバ 大坂なおみ6–4, 6–4[38]
2019 大坂なおみ アナスタシア・パブリュチェンコワ6–2, 6–3[39]
2022 リュドミラ・サムソノワ 鄭欽文7–5, 7–5
2023 ベロニカ・クデルメトワ ジェシカ・ペグラ7–5, 6–1

ダブルス

優勝者準優勝者決勝結果
1984 クラウディア・コーデ=キルシュ
ヘレナ・スコバ
エリザベス・スマイリー
カトリーヌ・タンビエ
6-4, 6-4[4]
1985 クラウディア・コーデ=キルシュ
ヘレナ・スコバ
エリザベス・スマイリー
マルセラ・メスカー
6-0, 6-4[5]
1986 シュテフィ・グラフ
ベッティーナ・バンジ
マニュエラ・マレーバ
カテリナ・マレーバ
6-1, 6-7, 6-2[6]
1987 アン・ホワイト
ロビン・ホワイト
マニュエラ・マレーバ
カテリナ・マレーバ
6-1, 6-4[7]
1988 パム・シュライバー
ヘレナ・スコバ
ジジ・フェルナンデス
ロビン・ホワイト
4-6, 6-2, 7-6[8]
1989 ジーナ・ガリソン
カトリナ・アダムズ
クラウディア・コーデ=キルシュ
メアリー・ジョー・フェルナンデス
6-3, 3-6, 7-6[9]
1990 ジジ・フェルナンデス
エリザベス・スマイリー
レイチェル・マッキラン
ジョアン・フォール
6-2, 6-2[10]
1991 キャシー・ジョーダン
エリザベス・スマイリー
メアリー・ジョー・フェルナンデス
ロビン・ホワイト
4-6, 6-0, 6-3[11]
1992 アランチャ・サンチェス・ビカリオ
ヘレナ・スコバ
マルチナ・ナブラチロワ
パム・シュライバー
7-5, 6-1[12]
1993 マルチナ・ナブラチロワ
ヘレナ・スコバ
ロリ・マクニール
レネ・スタブス
6-4, 6-3[13]
1994 パム・シュライバー
エリザベス・スマイリー
マルチナ・ナブラチロワ
マノン・ボーラグラフ
6-3, 3-6, 7-6(3)[14]
1995 ジジ・フェルナンデス
ナターシャ・ズベレワ
リンゼイ・ダベンポート
レネ・スタブス
6-0, 6-3[15]
1996 ジジ・フェルナンデス
ナターシャ・ズベレワ
イリナ・スピールリア
マリアン・デスウォート
7-6(7), 6-3[16]
1997 リンゼイ・ダベンポート
ナターシャ・ズベレワ
マルチナ・ヒンギス
ジジ・フェルナンデス
6-4, 6-3[17]
1998 マルチナ・ヒンギス
ミリヤナ・ルチッチ
リンゼイ・ダベンポート
ナターシャ・ズベレワ
7-5, 6-4[18]
1999 リンゼイ・ダベンポート
ナターシャ・ズベレワ
マルチナ・ヒンギス
ヤナ・ノボトナ
6-2, 6-3[19]
2000 マルチナ・ヒンギス
マリー・ピエルス
ナタリー・トージア
アレクサンドラ・フセ
6-4, 6-1[20]
2001 リサ・レイモンド
レネ・スタブス
アンナ・クルニコワ
イロダ・ツルヤガノワ
7-6(5), 2-6, 7-6(6)[21]
2002 リサ・レイモンド
レネ・スタブス
エルス・カレンズ
ロベルタ・ビンチ
6-1, 6-1[22]
2003 レネ・スタブス
エレーナ・ボビナ
リサ・レイモンド
リンゼイ・ダベンポート
6-3, 6-4[23]
2004 レネ・スタブス
カーラ・ブラック
エレーナ・リホフツェワ
マグダレナ・マレーバ
6-0, 6-1[24]
2005 エレーナ・リホフツェワ
ヤネッテ・フサロバ
リンゼイ・ダベンポート
コリーナ・モラリュー
6-4, 6-3[25]
2006 リサ・レイモンド
サマンサ・ストーサー
レネ・スタブス
カーラ・ブラック
6-2, 6-1[26]
2007 リサ・レイモンド
サマンサ・ストーサー
レネ・スタブス
バニア・キング
7-6(6), 3-6, 7-5[27]
2008 ナディア・ペトロワ
バニア・キング
リサ・レイモンド
サマンサ・ストーサー
6-1, 6-4[28]
2009 アリサ・クレイバノワ
フランチェスカ・スキアボーネ
ダニエラ・ハンチェコバ
杉山愛
6-4, 6-2[29]
2010 イベタ・ベネソバ
バルボラ・ザフラボバ・ストリコバ
シャハー・ピアー
彭帥
6–4, 4–6, [10–8][30]
2011 リーゼル・フーバー
リサ・レイモンド
ヒセラ・ドゥルコ
フラビア・ペンネッタ
7–6(4), 0–6, [10–6][31]
2012 ラケル・コップス=ジョーンズ
アビゲイル・スピアーズ
アンナ=レナ・グローネフェルト
クベタ・ペシュケ
6–1, 6–4[32]
2013 カーラ・ブラック
サニア・ミルザ
詹皓晴
リーゼル・フーバー
4-6, 6-0, [11-9][33]
2014 カーラ・ブラック
サニア・ミルザ
カルラ・スアレス・ナバロ
ガルビネ・ムグルサ
6–2, 7–5[34]
2015 ガルビネ・ムグルサ
カルラ・スアレス・ナバロ
詹詠然
詹皓晴
7–5, 6–1[35]
2016 サニア・ミルザ
バルボラ・ストリコバ
梁晨
楊釗煊
6–1, 6–1[36]
2017 アンドレヤ・クレパーチ
マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス
ダリア・ガブリロワ
ダリア・カサトキナ
6–3, 6–2[37]
2018 加藤未唯
二宮真琴
アンドレア・セスティニ・フラバーチコバ
バルボラ・ストリコバ
6–4, 6–4[38]
2019 詹皓晴
ラティシア・チャン
謝淑薇
謝淑映
7–5, 7–5[39]
2022 Gabriela Dabrowski
Giuliana Olmos
Nicole Melichar-Martinez
Ellen Perez
6–4, 6–4
2023 Ulrikke Eikeri
Ingrid Neel
Eri Hozumi
Makoto Ninomiya
3–6, 7–5, [10–5]

脚注

外部リンク