日本とアゼルバイジャンの関係

日本とアゼルバイジャンの関係(にほんとアゼルバイジャンのかんけい、アゼルバイジャン語: Azərbaycan–Yaponiya münasibətləriロシア語: Азербайджано-японские отношения英語: Azerbaijan-Japan relations) では、日本アゼルバイジャンの関係について概説する。

日本とアゼルバイジャンの関係
AzerbaijanとJapanの位置を示した地図

アゼルバイジャン

日本

両国の比較

アゼルバイジャン 日本両国の差
人口1002万3318人(2019年)[1]1億2626万人(2019年)[2]日本アゼルバイジャンの約12.6倍
国土面積8万6600 km²[3]37万7972 km²[4]日本アゼルバイジャンの約4.4倍
人口密度120 人/km²(2018年)[5]347 人/km²(2018年)[6]日本アゼルバイジャンの約2.9倍
首都バクー東京都
最大都市バクー東京都区部
政体大統領制 共和制民主制議院内閣制[7]
公用語アゼルバイジャン語日本語事実上
通貨アゼルバイジャン・マナト日本円
国教なしなし
人間開発指数0.757[8]0.919[8]
民主主義指数2.75[9]7.99[9]
GDP(名目)480億4765万米ドル(2019年)[10]5兆819億6954万米ドル(2019年)[11]日本アゼルバイジャンの約105.8倍
一人当たり名目GDP4793.6米ドル(2019年)[12]40246.9米ドル(2019年)[13]日本アゼルバイジャンの約8.4倍
GDP(購買力平価)1507億6330万米ドル(2019年)[14]5兆5043億3091米ドル(2019年)[15]日本アゼルバイジャンの約52倍
一人当たり実質GDP15041.3米ドル(2019年)[16]43593.5米ドル(2019年)[17]日本アゼルバイジャンの約2.9倍
経済成長率2.2%(2019年)[18]0.7%(2019年)[19]
軍事18億5423万米ドル(2019年)[20]476億902万米ドル(2019年)[21]日本アゼルバイジャンの約25.7倍
地図

歴史

駐日アゼルバイジャン大使館全景(東京
駐日アゼルバイジャン大使館表札(東京

戦間期から冷戦時代にかけて、アゼルバイジャンはまだ独立国ではなくソ連の構成国アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国として、日本とはソ連を介した交流があった。1991年12月28日、日本政府はアゼルバイジャン共和国の独立を認め国家承認し、アゼルバイジャン共和国と日本国の外交関係は1992年9月7日に樹立された。2000年1月21日に在アゼルバイジャン日本大使館が開設された一方、2005年10月12日には駐日アゼルバイジャン大使館が開設された[3]

2020年9月、アルメニアの支援を受けて事実上独立状態にあったアルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ共和国)を巡って、アルメニアアゼルバイジャンの紛争が再燃した(2020年ナゴルノ・カラバフ紛争)。これに対し日本政府は同年10月1日、加藤勝信内閣官房長官は軍事衝突によって民間人を含む人的被害が出ていることに対して「深刻な懸念」を表明し、全ての当事者に軍事行動の即時停止と最大限の自制、対話の実施を求めた[22]

外交

日本要人のアゼルバイジャン訪問

コーカサス三国の中でも地域大国であるアゼルバイジャンは日本との交流が緊密で、2018年9月には外務大臣河野太郎がアゼルバイジャンを訪問し、アゼルバイジャン首相ノヴルス・マンマドフ英語版[23]及びアゼルバイジャン大統領イルハム・アリエフに表敬した[24]

そのほか近年では、2005年1月に外務副大臣逢沢一郎がアゼルバイジャンを訪問し、エネルギー分野での議論が行われた[25]。2007年8月には外務大臣政務官松島みどり[26]、2009年4月には外務大臣政務官西村康稔[27]、2011年5月には外務大臣政務官徳永久志[28]、2014年4月には外務大臣政務官牧野たかお[29]、2015年1月には外務副大臣城内実[30]、2016年8月には外務大臣政務官滝沢求[31]、2017年9月には外務大臣政務官堀井学[32]、2019年9月には外務大臣政務官山田賢司がアゼルバイジャンを訪問し[33]、友好関係を深めた。

アゼルバイジャン要人の訪日

2006年3月、アゼルバイジャン大統領イルハム・アリエフが訪日を実施して当時総理大臣であった小泉純一郎首脳会談を実施した[34]

2015年4月、アゼルバイジャン共和国議会議長であるオグタイ・アサドフ英語版参議院議長の招待により訪日し[35]安倍晋三首相に表敬してエネルギー分野について意見交換がなされた[36]

経済交流

2007年に発行された日アゼルバイジャン友好記念の切手

日本は2017年までにアゼルバイジャンに対し、1100億円以上の経済援助を実施[3]。2013年から2017年にかけては五年連続で最大のアゼルバイジャン援助国となるなど、同国の経済開発に注力している[3]。援助内容としては、アゼルバイジャン南部が乾燥帯に位置することから灌漑や土地改良のための機材供与など水資源にまつわるものや、産油国という背景からエネルギー開発面が多い[37]。また、アゼルバイジャンの電力を支えるセヴェルナヤ・ガス火力複合発電所は日本の二度にわたる円借款により建設された[38][39]

2020年の日本の対アゼルバイジャン貿易は、輸出58.9億円に対し輸入46.8億円となっている[40]。主要な輸出品目は機械輸送機器鉄鋼等であり、主要輸入品目は原油非鉄金属ワインなどである[40]

アゼルバイジャンには伊藤忠商事[41]国際石油開発帝石(INPEX)[42]などが進出しており、ACG油田に12.96%(国際石油開発帝石9.31%、伊藤忠3.65%)、BTCパイプラインに5.9%(伊藤忠商事3.4%、国際石油開発帝石2.5%)の権益を保有している[40]。そのほか、JTI、トヨタ・コーカサス等などが進出。

文化交流

1995年に河野孝典を讃えて作られたアゼルバイジャンの切手

2004年にはアゼルバイジャン国立図書館に対するマイクロフィルム及び視聴覚機材の供与が、2014年にはギャンジャ市スポーツセンター機能向上計画が、2016年にはバクー国立大学日本語学科整備計画が実施されるなど、文化的援助を通じた交流が存在する[3]

1995年には、1994年リレハンメルオリンピックで金メダルを獲得したスキーノルディック複合河野孝典を讃えた切手がアゼルバイジャンで発行された。また、2007年には、両国間の友好を記念しアゼルバイジャンで記念切手が発行された。

また、日本では日本アゼルバイジャン商工会議所(JACC)が設立されており、事実上の友好協会として経済や商業のみならず文化面での交流の発展にも寄与している[43]

外交使節

駐アゼルバイジャン日本大使

駐日アゼルバイジャン大使

  1. アゼル・トフィグ・オグル・ホセイン(2005~2011年、信任状捧呈は12月8日[44]
    • (臨時代理大使)ロウシャン・カズモフ(2011年)
  2. ギュルセル・イスマイルザーデ(2011~2019年、信任状捧呈は12月5日[45]
    • (臨時代理大使)ファリド・タリボフ(2019~2020年)
  3. ギュルセル・イスマイルザーデ(再任、2020年~、信任状捧呈は7月8日[46]

脚注

参考文献

  • アゼルバイジャン共和国(Republic of Azerbaijan)基礎データ 外務省
  • 廣瀬陽子(著・編)『アゼルバイジャンを知るための67章 (エリア・スタディーズ165)』2018/8/3

関連項目

外部リンク