抗体依存性感染増強

抗体依存性感染増強 (こうたいいそんせいかんせんぞうきょう、: Antibody-dependent enhancement, ADE) または抗体依存性免疫増強 (こうたいいそんせいめんえきぞうきょう) とは、ウイルス粒子と不適切な抗体とが結合すると宿主細胞への侵入が促進され、ウイルス粒子が複製される現象である[1][2]。不適切な抗ウイルス抗体は、食細胞のFcγ受容体(FcγR)または補体経路を経由して目標の免疫細胞のウイルス感染を促進する[3]。ウイルスと相互作用した後、抗体は特定の免疫細胞または補体タンパク質の一部で発現されるFcγRに、Fc領域で結合する。この相互作用は、免疫細胞によるウイルス抗体複合体の食作用を促進する。

抗体依存性感染増強では、不適切な抗体(図中の青いY形)がウイルス粒子と免疫細胞のFcγ受容体(図中のFcγRII)の両方と結合し、免疫細胞への感染が促進される。

概要

1960年代にRSウイルスワクチンに関して初めて報告された[4]。通常は、食作用後はウイルスが分解されるが、ADEの場合は逆にウイルスの複製が引き起こされ、その後免疫細胞が死滅することがある。つまり、ウイルスは免疫細胞の食作用のプロセスを「誑かし」、宿主の抗体を「トロイアの木馬」として使用する。抗体-抗原相互作用の強さが特定の閾値を下回ると、ADEが誘発される[5][6]。この現象は、ウイルスの感染力毒性(virulence)の両方につながる可能性がある。ADEを引き起こす可能性のあるウイルスは、抗原の多様性、免疫細胞内での複製能力、細胞内での生存維持などの点で共通点を持つことが多い[1]。ADEは、ウイルスへの一次ないし二次感染時や(生)ワクチン接種後のウイルスの攻撃によって起こりうる[1][7]。これは主に一本鎖プラス鎖RNAウイルスで観察される。デングウイルス[8]黄熱病ウイルスジカウイルス[9][10]、α,β-コロナウイルスを含むコロナウイルス[11][12]、インフルエンザなどのオルトミクソウイルス[13]HIVなどのレトロウイルス[14]RSVなどのオルトニューモウイルス英語版[15][16][17]などのフラビウイルス科がそれに含まれる。

FcγRII/CD32受容体を介した免疫複合体の食作用によるメカニズムは、補体受容体経路よりも解明されている[18]。この受容体を発現する主な細胞は、単球マクロファージ、一部の樹状細胞およびB細胞である。ワクチン接種で生成された抗体が目的感染症についてADEを発生させることがあり、この場合ADEはワクチンの開発を妨げる。このことはCOVID-19のワクチン開発の後期臨床段階における決定的な問題である[19][20][21]。コロナウイルスやRSウイルス、デング熱ウイルスを標的とした一部のワクチン候補はADEを誘発したため、その後の開発が中止されたか、以前に当該ウイルスに感染したことがある患者に対してのみ使用が承認された。

コロナウイルス感染の場合

α-およびβ-コロナウイルスで、抗体依存性感染増強が報告されている[22][23]

機序

コロナウイルスが惹起するADEのメカニズムについてはいくつもの仮説が提唱されている。そのうちの一つである、コロナウイルスのスパイクタンパク質と免疫細胞のFcRII/CD32受容体との相互作用であるとの説は、実験結果からも最も支持されている。実験データでは、ウイルス-抗体-Fc受容体複合体が標的とするCD32+免疫細胞に侵入する際に機能的にウイルス受容体を模倣していることが示唆されている[24]

ウイルス抗原

コロナウイルスによるADEは、ウイルスのスパイク (S) タンパク質に対する抗体により促進されると考えられる[11][25][23][26][27][28]。この現象はネコ伝染性腹膜炎ウイルス英語版などのα-コロナウイルス[27][26][29]の他、SARS-CoV-1[23][30][31][32][22][12]MERS-CoV[24]などのβ-コロナウイルスでも観察される。これまでのところ、ウイルスの他の部位に結合した抗体ではこのような作用はなく、スパイクタンパク質に抗体が結合した場合にのみ、食作用によりFcγRII経由で免疫細胞内に取り込まれ、ウイルス粒子が分解されずに複製され始める。スパイクに抗体を持つ血清はヒト単球由来マクロファージへのSARS-CoVの感染を増加させる[25]。SARSウイルスのヒト免疫優性エピトープ(ヒト免疫が抗体を作りやすい部位)はヒト以外の霊長類では増強作用と中和作用の両方を示す[23]。ただし、マウスをベクター構築をエンコードするNタンパク質で事前免疫すると、SARS-CoV-1の感染時に重度の肺炎が促進される[33][34]。このワクチン誘発性肺炎は恐らくADEと関係がある。SARS-CoVやMERS-CoV、SARS-CoV-2のNタンパク質は、補体活性化経路に関与するセリンプロテアーゼMASP-2に結合できることが示されている。この結合はタンパク質誘発性の補体過剰活性化を引き起こす。マウスでこの現象が起こるということは、ヒトでも同様の現象が起こりうることを示している[35]。Nタンパク質の一部(115-123)はMASP-2と直接相互作用する[35]。しかし、Nタンパク質は検出可能量のSARS-CoV中和抗体産生のきっかけとはならなかったため[36]、ADEとの関連は非常に薄いと考えられる。

細胞の受容体

FcyRII/CD32受容体を介してβ-コロナウイルスが免疫細胞に侵入できるという実験結果がある。ウイルス-抗体複合体はFcγRII受容体と結合した後CD32+英語版細胞に食作用により取り込まれる[11][37][38][25][23]。免疫細胞表面に発現する2種類の受容体(FcγRIIaとFcγRIIb)のみが、SARS-CoV-1によるADEを惹起する[32]。一方で、FcγRIやFcγRIIIaは惹起しない。加えて他の研究では、SARS患者の重症度がFcγRIIaの遺伝子多型に関連していることが示された。IgG1とIgG2の双方と相互作用可能なFcγRIIa多型患者では、IgG2のみと相互作用可能な多型の患者よりも重症化する傾向にある[39]。下表に示すように、FcyRII受容体は好塩基球好中球好酸球血小板に存在する[3]。これまでのところ、これらの細胞への感染は実証されていないが、除外することはできない。

FcyRIIaFcyRIIb
好中球++
好酸球++
単球++
マクロファージ++
樹状細胞++
NK細胞--
B細胞-+
T細胞--
血小板+-
好塩基球++

感染細胞の種類

SARS-CoV-1のSタンパク質を標的とする抗体は、B細胞[40][41]単球[30][42]マクロファージ[40][31][12][42]などのFcγRII受容体を持つ細胞(CD32+細胞)へのウイルス侵入を促進する。これらの細胞ではウイルスは複製するが、増殖性の感染は促進しない。これは、骨髄系のこれらの細胞が、ビリオンの活性化に必要なセリンプロテアーゼ[43]を充分に発現しないという事実が原因である可能性がある。しかしながら、ウイルスの複製は、感染性のビリオンが形成されていない場合でも、FcγRII受容体を持つ免疫細胞の大量死につながる可能性がある。確立された複数の細胞株[22][32][42]や初代(継代していない)ヒトマクロファージ[31][12]は、抗体を媒介するSARS-CoV-1感染に対して脆弱であった。また、初代ネコマクロファージは抗体媒介性ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)感染に対して脆弱であった[42]

抗体

FcγRII受容体はIgG抗体とのみ結合する[3]。一部の実験では、ADEは主にIgG2aサブクラスの抗体で発生したが、IgG1サブクラスの抗体では発生しなかったことが示されている[29]

α-コロナウイルス

ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)は、飼い猫と野生猫の両方で非常に一般的な病原体でα-コロナウイルスである[44]。FIPVはADEを惹起しうるので、FIPVに対するワクチン接種は疾患の重症化に繋がる[45]in vitro におけるマクロファージのFIPV感染は、スパイク(S)タンパク質を標的とする非中和モノクローナル抗体によって引き起こされる可能性があり、この現象は希釈中和抗体でも発生する可能性がある[26]。いくつかのデータは、ADEがFIPSウイルスと同じ血清型での再感染により促進される可能性が高いことを示している[42][46]。ADEは、ネコの半数が、抗ウイルス抗体で受動免疫されてから同じFIPV血清型に暴露された後、腹膜炎を発症する理由を説明している[11]。いくつかの国では、弱毒ウイルスワクチンが点鼻薬の形で入手可能である、しかしこれは、多くの専門家の間でまだ、安全性と有効性の両面で論争の的になっていると思われる[47]

β-コロナウイルス

ADEに関するワクチン開発上の障害

ADEによると思われるβ-コロナウイルス感染事例が複数確認されている。ウイルス曝露時におけるADE関連疫病理学は、コロナウイルスワクチン開発[48]の主要な課題であり、SARS-CoV-2ワクチン研究にも同様に影響を与える可能性がある[49]。この現象は、培養細胞実験と動物モデル試験の両方で実証されている。ADE関連の急性肺損傷は、重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)の両方の動物モデルについて論文化されている[24]。これは、初期感染、再感染、ワクチン接種後の感染中に発生する可能性がある。例えば、MERS-CoVを鼻腔内感染させたウサギは、ウイルス血症と肺の血管周囲炎、中和抗体を欠いた抗体反応を特徴とする肺感染症を発症した[50]。ウサギは最初のMERS-CoV感染後には中和抗体を産生したものの、ウイルスへの再曝露によってより重篤な肺疾患を発症した[50]。同様の結果はマウスにSARS-CoVを再感染させた場合やワクチン接種したマウスにウイルスを感染させた場合にも観察された。マウスは、SARS-CoV自体による再感染後または4種類のワクチン接種後に中和抗体を発生させることができたが、これらの群が対照群と比較してウイルスから保護されているにも拘わらず、SARS-CoV再感染後に全ての群が免疫病理学的な肺損傷を発症した[48]。同様の問題はハムスター[41]や非ヒト霊長類でも観察されている。ワクチン接種されたマカクは少量のウイルス再投与でもADEによる急性肺障害を発症した[51][52]。これらの動物では、不活化ウイルス[51]やSARS-CoVのスパイク(S)タンパク質の全長をコードする改変ワクシニアアンカラ英語版にもとづくベクター構築物[52][53]を用いたワクチンの両方で肺損傷が発生した。しかしフェレットの場合は、同様のベクター構築物投与後にウイルスを感染させると、肺障害ではなく重症肝炎が発生した[54]。下表に、MERS-CoVとSARS-CoV-1を対象とした動物実験のまとめを掲載する[55]。マウスを用いたワクチン候補物質に関する詳細は、別の論文にまとめられている[53]

VirusAnimalVaccine typeVaccinationProtectiveImmuno-pathologyRef.
MERS_CoVMiceWhole Inactivated VirusNo AdjuvantYesYes[56]
AlumYesYes[56]
MF59YesYes[56]
Adenovirus VectorS1YesYes[57]
S1 + CD40LYesNo[57]
SARS-CoVMiceWhole Inactivated VirusNo AdjuvantYesTh2-type immunopathology with prominent eosinophil lung infiltration[48][58][59]
AlumYesTh2-type immunopathology with prominent eosinophil lung infiltration[58][60][48]
TLR agonistYesMild[58]
delta inulin adjuvant [61]YesNo[59]
No Adjuvant – Aged MicePartialYes[60]
Alum – Aged MicePartialYes[60]
DNA vaccinesThese vaccines are described in a separate review[53]
Venezuelan Equine Encephalitis VectorS protein
Young miceYesNo[62]
Aged micePartialNo[62]
N protein
Young miceNoYes[62]
Aged miceNoYes[62]
S + N Protein
Young miceYesMild[62]
Old miceNoMild[62]
Recombinant Vaccinia Virus VectorS proteinYesNo[63]
N ProteinNoYes[63]
S + N ProteinYesYes[63]
Variable Virus vectorsMore vaccines are described in a separate review[53]
Virus Like ParticleNo AdjuvantYesYes[48][64]
AlumYesYes[48][64]
SubunitS protein
No AdjuvantYesYes[48][59]
AlumYesYes[59][48]
Delta inulin adjuvantYesNo[59]
TLR agonistYesNo[65]
S1 RBD
hFCA AdjuvantYesNo[66]
ProteinsMore vaccines are described in a separate review[53]
FerretWhole Inactivated VirusNo adjuvantYesYes[67]
AlumYesYes[67]
Adenovirus VectorS + N protein
Intra-nasalYesYes[67]
Intra-muscularYesYes[67]
Modified Vaccinia Virus Ankara VectorS proteinNoYes[54]
HamsterLive Attenuated VirusYesMild[68]
Whole Inactivated VirusNo AdjuvantYesMild[69]
AS01YesMild[69]
SubunitS protein trimer
No AdjuvantYesNo[41]
AlumYesNo[41]
Non Human PrimateModified Vaccinia Virus Ankara

Vector

S proteinYesYes[52]
Whole Inactivated VirusYesYes[51]
B-cell peptide- epitopesThree peptides from Spike protein (S471-503, S604-625, and S1164-1191)YesNo[23]
One peptide from Spike protein (S597-603)NoYes


ADEおよび疾患の発症機序英語版

一次感染

SARS、MERS、COVID-19の病因は、初期感染中の単球、マクロファージ、B細胞の感染で発生する。ADEに関連している可能性がある。一部では[70][6][71]、軽症のCOVID-19が重大な症状を伴って重症化する過程においてADEが重要なステップであると考えられている。ADEは、Th1サイトカインであるIL-2TNF-αIFN-γの減少、およびTh2サイトカインであるIL-10IL-6PGE-2INF-αの増加、ならびにSTAT経路の阻害を伴って発生する[72]。このプロセスは、COVID-19感染を特徴付ける多臓器での汎発的な免疫細胞感染およびサイトカインストームを誘発する可能性がある[73][74]。ADEは、免疫細胞のアポトーシスT細胞減少症、肺でのマクロファージ好中球の蓄積を伴う炎症性カスケード、過剰な免疫反応であるサイトカインストームなどの免疫系の調整不全を説明できる可能性がある。他にもSARSとMERSに関する同様の仮説がいくつか提示されている[22][40][75][76][31]

SARS-CoVとMERS-CoVは、不明確な機序による攻撃的な炎症を含むCOVID-19の免疫病理学的英語版効果と同様に、急性肺障害[77]に寄与する。この研究では[76]、ワクチン接種されたSARS-CoV/マカクモデルと、最終的にSARSで死亡した重症患者との間の対応が示されている。この論文の著者らは、Sタンパク質を標的とするIgG抗体がウイルスの攻撃後にサルの急性肺損傷を引き起こすと結論付けた。ウイルスの除去前にこの抗体が存在すると、MCP1英語版IL-8の産生が促進され、炎症性単球/マクロファージの動員と蓄積が引き起こされる。重症患者の血清にも同様の特徴が見られる。しかし、Fcγ受容体を阻害するとこれらの免疫病理学的効果は軽減される。これらのデータは、重症のSARS患者やワクチン接種マカクの感染における免疫を介した急性肺損傷のいくつかの特徴を示している。これは、ウイルスのSタンパク質を標的とするIgG抗体が、ヒトおよび動物の免疫病理学的発症の共通の引き金となることを意味している[76]

抗体を介した、または介さない免疫細胞の感染

SARS-CoV-1ex vivo の実験で、SARS-CoV-1が初代単球およびマクロファージ内で複製され、不稔感染[78]を引き起こしたり、感染力の低いウイルス力価をもたらしたり[38]する可能性があるという限定的な証拠が存在する。また、Sタンパク質を標的とする抗体が、ex vivo で、単球B細胞マクロファージの非生産的なウイルスの不稔感染を促進する可能性があるという証拠も存在している。確立された細胞株[22][32][41]と初代ヒトマクロファージ[31][12]は、抗体媒介性の不稔ウイルス感染に対して脆弱である可能性がある。

SARS-CoV-2ex vivo の実験で、SARS-CoV-2が健康なドナーの末梢血単核球英語版(PBMC)から分離された 初代CD4+ T細胞の不稔感染を促進できるという限定的な証拠が存在する[79]。このウイルス複製過程は、抗体の不在下でも進行する。いくつかの予備データは、SARS-CoV-2抗原および複製二本鎖RNA中間体がCOVID-19患者の単球、B細胞、(より頻度は低いが)末梢血単核球由来のCD4+ T細胞で検出されたことを示している。加えてこの研究では、ウイルスはex vivo で健康なドナーの末梢血単核球中で低力価のウイルスを複製できることが示されている[80]

下表にSARS-CoV-1とSARS-CoV-2による免疫細胞感染の証拠となる論文をまとめる。

SARS-CoV-1
Evidence of viral replication in immune cells without antibodiesReference.
PBMCs of SARS patientsGenomic RNA (+RNA) and replicative intermediates (-RNA) were detected by RT-PCR.[37]
Evidence of viral infection of immune cells without antibodies
PBMCs of healthy donors (ex vivo)Primary monocytes/macrophagesPrimary cells from some donors were virus resistant and from others were capable of being infected and produce infectious virions.[38]
Abortive infection[78]
Immature and mature monocyte-derived dendritic cells[81]
Monocyte-derived dendritic cellsLow infectious titer of produced virions[82]
Evidence of antibodies mediated non-productive infection of immune cells
PBMCs of healthy donors (ex vivo)Primary monocytes/macrophagesAntibodies targeting S-protein can promote non-productive viral infection.[31][12]
Cell lineMonocyte/macrophage cell line (THP-1)[22]
B-cell lines (Raji, Daudi)[22][32][41]
SARS-CoV-2
Evidence of viral replication in immune cells without antibodies
PBMCs of COVID-19 patients (ex vivo)Some traces of viral RNA are present in PBMCs[83]
B-cells, monocytes, CD4+ T-cellsDouble stranded viral RNA replication intermediates can be detected[80]
Evidence of viral infection of immune cells without antibodies
PBMCs of healthy donors (ex vivo)Primary CD4+ T-cellsNon-productive infection[79]
B-cells, monocytes and T-cellsProductive infection with low virus titer[80]
Evidence of viral infection of immune cells in vivo
PBMCs of COVID-19 patients (in vivo)B-cells, monocytes, CD4+ T-cellsPositive staining for SARS-CoV-2 antigens and double stranded viral RNA
二次感染

MERS-CoVを鼻腔内感染させたウサギは、ウイルス血症および周皮細胞炎を伴う肺感染症を発症した[50]。ウサギは最初のウイルス感染後に中和抗体を産生したが、MERS-CoVへの再曝露はより重篤な肺疾患を引き起こした[50]。ネコの場合は、ADEは同じ血清型ネコ伝染性腹膜炎ウイルスに再感染した場合に発症すると考えられる[46]

抗原刷り込みまたは抗原原罪

COVID-19パンデミックで現在進行中の問題は、COVID-19が抗原原罪[84]として知られている抗原刷り込み[85]のメカニズムを通じて季節性コロナウイルスによる以前の感染を原因としてADEが発生するか否かである。抗原刷り込みの現象は、初期感染中に永続性の免疫記憶細胞を形成する身体の能力にもとづいており、これは体内に残ってその後の感染に対する保護機能を提供する。免疫記憶細胞は、ウイルスタンパク質の表面上の特定の抗原性エピトープに応答して、抗原特異的抗体を産生する。メモリーB細胞は、新しい抗原に対する抗体を産生するナイーブB細胞よりも速く感染に反応する。抗原刷り込みは、その後の感染を除去するために必要な時間を短縮する。これは感染との戦いにおいては正の役割であるが、同時に負の役割でもある。初期感染と、二次感染またはワクチン投与後の感染との間に、ウイルスは抗原連続変異を生じる可能性があり、ウイルス表面の抗原性エピトープが変異によって変化するため、ウイルスは免疫の監視から逃れることができる。これが起こった場合、ウイルスの新しい変異体は以前のメモリーB細胞を優先的に再活性化し、対応する抗体の産生を刺激するが、これらの抗体は、変異した抗原に非効率的に結合する傾向がある。これには親和性と結合力の消失を伴うことが多い。加えて、この抗体はナイーブB細胞の活性化を抑制し、変異ウイルスに対する親和性の高いより適切な抗体の産生を阻害する。このため免疫応答の効率が低下し、抗体依存性感染増強や再発性感染が惹起される。その結果、感染から回復に時間が掛かることになる。ある仮説[84]はこの現象に紐付けられており、季節性の低病原性コロナウイルスとSARS-CoV-2の間の考えうる免疫学的交差反応性にもとづいている。この仮説によれば、病原体に対する免疫系の迅速な反応により、季節性コロナウイルス用に開発された抗原刷り込みは、COVID-19の経過を防止または緩和することができる。おそらく、何らかの形での感染症の発症は、人体のすべてのシステムの個々の特性と、免疫システムが既に遭遇した病原体のレパートリーの両方に依存する。

抗SARS-CoV-1 IgG抗体

6人の患者を観察した結果、3人が回復し3人が死亡し、Sタンパク質に対する抗体がADEを引き起こすことによって患者に害を及ぼす可能性があるという考えが裏付けられた[86]。特定の体液性応答の比較分析では、SARS-CoV-1感染で死亡した患者では、Sタンパク質に対する中和抗体が、回復した人よりもはるかに速く産生されたことが示された。その後死亡した患者の15病日目のSタンパク質に対する抗体の力価は、その後回復した患者よりも有意に高かったことが明らかにされた。同時に、死亡した患者の中和抗体の力価は、回復した患者の力価よりも速く増加したが、より速く減少した。更に回復した患者では、抗体価はゆっくりと増加した後、より高いレベルに上昇し、その高力価に長く留まった。抗体力価の変化のこの動力学的特徴は、IgM抗体とIgG抗体の両方で見られた。死亡した患者ではウイルス感染の抗体依存性の増加が重症に惹起され、ウイルスを中和する能力のない抗Sタンパク質抗体の急速な産生がこれに寄与したと推定される。力価上昇がより遅い程、より強い親和性および結合力を持つ高い結合定数を有する抗体の産生に寄与した可能性がある[86]。非重症患者と比較して重症患者の抗体レベルが有意に過剰であることは、別の研究の患者325人のサンプルでも観察された[87]。347人のSARS患者を観察した他の研究では、死亡した患者では抗体が早期に出現することが判明した[88]

抗SARS-CoV-2 IgG抗体

63例の患者を観察した結果、すべてのIgG抗体サブクラスの中でIgG1とIgG3が最も一般的であり、入院患者の方が軽症患者よりも量が多いことが示されている。IgG1からSタンパク質へのシグナルはIgG3シグナルよりも強かったが、この違いはNタンパク質を標的とする抗体では不明瞭であった[89]。入院患者の血清中に見つかったSARS-CoV-2のSタンパク質に対するIgG抗体の量を測定すると、SARS-CoV-1と同様の結果が得られた。285人の患者を観察した結果、重症患者では、軽度患者と比較してIgG抗体の早期出現が認められた[90]。興味深いことに、IgM抗体に関しては、異なる動力学が観察され、重症患者でも、軽度患者と同等またはより低い力価であった[90][91]。同様の結果が723人の患者の観察研究からも得られた。重症患者ではIgG抗体量が多かったが、IgM抗体はそうではなかった[92]。COVID-19患者173[93]人と153[94]人のデータでは、非重症患者と比較して、重症患者の抗体レベルが大幅に過剰になるのは、症状の発症から2-3週間後であった。また、29人の患者の観察結果からは、S1サブユニットをターゲットとするIgG抗体価と、乳酸脱水素酵素(LDH)などのいくつかの炎症マーカーの濃度との間に、正の有意な相関が見られた[95]。同時に、S1サブユニットを標的とするIgG抗体価とリンパ球数の間に有意な逆相関が見られた[95]。別の研究では、抗体レベルと心筋障害の発生との間に正の相関があることが示されている[96]。しかし、338人を対象とした研究では、これらの知見を確認できなかった[97]。アボットARCHITECT測定機を用いた497名の研究でも違いは検出されなかった[98]。しかし、この測定機はSARS-CoV-2のNタンパク質に直接結合している抗体のみを検出するもので、Sタンパク質に結合している抗体は検出されない。それにも拘わらず、すべてのデータのかなりの部分は、重病患者ではIgG抗体が特定の病期でより高いレベルで見られるという観察結果を裏付けている。これらの抗体のかなりの部分はSタンパク質を標的としている可能性が最も高く、Sタンパク質に対する抗体は、COVID-19に罹患した患者における抗体のかなりの部分を占めている[99]。したがって、おそらく、Sタンパク質を標的とする抗体は、免疫系に損傷を与えている可能性がある。ただし、この仮説には、さらに実験的な証明が必要である。以表に、抗体測定結果をまとめた。

Number of patientsIgG level difference in severe and mild casesDays after symptoms onsetIgM level difference in severe and mild casesDays after symptoms onsetAntibody targetingDetectionref
285Significant increase in severe patients8-14No significant difference8-14S-protein peptide and N-proteinMCLIA kits supplied by Bioscience, China[90]
285Not reportedSignificant increase in severe patients3-21S-protein, N-proteinSARS-CoV-2 IgM GICA kit (Shanghai Outdo Biotech Co., China)[91]
723Significant increase in severe patientsActive stage of diseaseNo significant differenceActive stage of diseaseNot reportedAxceed 260 magnetic particle-based chemiluminescence immunoanalyzer

(Bioscience, Tianjin, China)

[92]
No significant differenceEarly stageEarly stage
Late convalescentLate convalescent
173Significant increase in severe patients of total Ab from

10–22 days after symptoms onset

RBDELISA kits by Beijing Wantai Biological Pharmacy Enterprise Co.,Ltd, China[93]
149Significantly higher in severe and hospitalized patientsnon reportedNo significant differencenon reportedRBD, S-protein and otherELISA kits[100]
153Significant increase in severe patients10-40Significant increase in severe patients10-40RBD and N-proteinPylon 3D automated immunoassay system (ET Healthcare, Palo Alto, CA)[94]
338Small but significant decrease in severe patients1-35Small but significant increase in severe patients1-35S-protein and N-proteinanti‐SARS‐CoV‐2 CLIA‐YHLO kit (YHLO Biotech Co. Ltd Shenzhen, China)[97]
38Lower in severe patients14-21Higher in severe patients7-14S-proteinELISA[101]
38Significantly higher in severe patients1-21Significantly higher in severe patients1-21N-protein
22Lower IgG in diseased patient1-20Lower in individuals who died1-20S-protein, RBDCustomized multiplexed Luminex assay[102]
22Higher IgG in diseased patientHigher in individuals who diedN-protein
76No significant difference between severe and mild cases in IgG and IgM antibody levelsN-proteinAbbott Architect SARS-CoV-2 497 platform[98]
2529No significant difference between severe and mild cases20-40No significant difference between severe and mild cases20-40not reportedIgM/IgG chemiluminescence test kit (Shenzhen Yahuilong Biotechnology Co., Ltd., China)[103]

インフルエンザウイルス感染の場合

2008〜09年の三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)接種は、2009年の春から夏に掛けてのカナダでのH1N1パンデミックに関係があるとされるが、選択バイアス、情報バイアス、交絡の発生を完全には否定できない。解明にはさらなる実験的・疫学的評価が必要であり、生物学的機序や免疫疫学的意味を考慮しなければならない[104]

A型インフルエンザウイルスに一次感染した、または弱毒化生ワクチンで免疫された幼児の血清について、ウイルスを中和する抗体反応またはFc受容体を持つ細胞へのウイルス取り込みを促進する抗体応答について調べたところ、その数年後に分離された同種ウイルスや別のH1N1ウイルスに対する中和抗体価は、弱毒化生ワクチン接種後よりも自然感染後の方が高かった。自然感染と弱毒化生ワクチンは、数年後に分離された相同ウイルスとH1N1ウイルスの取り込みを促進する抗体を誘導した。これはA型インフルエンザウイルスへの一次感染が感染増強抗体の誘導をもたらすことを示す[105]

H7N9ウイルス感染流行に関して抗体依存性感染増強の発生が疑われたが、知見は限られている[106][107]

デングウイルス感染の場合

The most widely known example of ADE occurs in the setting of infection with dengue virus, a single-stranded positive-polarity RNA virus of the family Flaviviridae. It causes a disease of varying severity in humans, from dengue fever (DF), which is usually self-limited, to dengue hemorrhagic fever and dengue shock syndrome, either of which may be life-threatening.[108] It is estimated that as many as 390 million individuals are infected with dengue virus annually.[109]

The phenomenon of ADE may be observed when a person who has previously been infected with one serotype of the dengue virus becomes infected months or years later with a different serotype. In such cases, the clinical course of the disease is more severe, and these people have higher viremia compared with those in whom ADE has not occurred. This explains the observation that while primary (first) infections cause mostly minor disease (dengue fever) in children, secondary infection (re-infection at a later date) is more likely to be associated with dengue hemorrhagic fever and/or dengue shock syndrome in both children and adults.[110]

There are four antigenically different serotypes of dengue virus (dengue virus 1–4).[111] In 2013 a fifth serotype was reported.[112] Infection with dengue virus induces the production of neutralizing homotypic immunoglobulin G (IgG) antibodies which provide lifelong immunity against the infecting serotype. Infection with dengue virus also produces some degree of cross-protective immunity against the other three serotypes.[113] Neutralizing heterotypic (cross-reactive) IgG antibodies are responsible for this cross-protective immunity, which typically persists for a period of several months to a few years. These heterotypic antibody titers decrease over long time periods (4 to 20 years).[114] While heterotypic IgG antibody titers decrease, homotypic IgG antibody titers increase over long time periods. This could be due to the preferential survival of long-lived memory B cells producing homotypic antibodies.[114]

In addition to inducing neutralizing heterotypic antibodies, infection with the dengue virus can also induce heterotypic antibodies that neutralize the virus only partially or not at all.[115] The production of such cross-reactive but non-neutralizing antibodies could be the reason for more severe secondary infections. It is thought that by binding to but not neutralizing the virus, these antibodies cause it to behave as a "trojan horse",[116][117][118] where it is delivered into the wrong compartment of dendritic cells that have ingested the virus for destruction.[119][120] Once inside the white blood cell, the virus replicates undetected, eventually generating very high virus titers which cause severe disease.[121]

A study conducted by Modhiran et al.[122] attempted to explain how non-neutralizing antibodies down-regulate the immune response in the host cell through the Toll-like receptor signaling pathway. Toll-like receptors are known to recognize extra- and intracellular viral particles and to be a major basis of the cytokines production. In vitro experiments showed that the inflammatory cytokines and type 1 interferon production were reduced when the ADE-dengue virus complex bound to the Fc receptor of THP-1 cells. This can be explained by both a decrease of Toll-like receptor production and a modification of its signaling pathway. On one hand, an unknown protein induced by the stimulated Fc receptor reduces the Toll-like receptor transcription and translation, which reduces the capacity of the cell to detect viral proteins. On the other hand, many proteins (TRIF, TRAF6, TRAM, TIRAP, IKKα, TAB1, TAB2, NF-κB complex) involved in the Toll-like receptor signaling pathway are down-regulated, which led to a decrease of the cytokine production. Two of them, TRIF and TRAF6, are respectively down-regulated by 2 proteins SARM and TANK up-regulated by the stimulated Fc receptors.

To illustrate the phenomenon of ADE, consider the following example: an epidemic of dengue fever occurred in Cuba, lasting from 1977 to 1979. The infecting serotype was dengue virus-1. This epidemic was followed by two more outbreaks of dengue fever—one in 1981 and one in 1997; dengue virus-2 was the infecting serotype in both of these later epidemics. 205 cases of dengue hemorrhagic fever and dengue shock syndrome occurred during the 1997 outbreak, all in people older than 15 years. All but three of these cases were demonstrated to have been previously infected by the dengue virus-1 serotype during the epidemic of 1977–1979.[123] Furthermore, people who had been infected with dengue virus-1 during the 1977-79 outbreak and secondarily infected with dengue virus-2 in 1997 had a 3-4 fold increased probability of developing severe disease than those secondarily infected with dengue virus-2 in 1981.[114] This scenario can be explained by the presence of neutralizing heterotypic IgG antibodies in sufficient titers in 1981, the titers of which had decreased by 1997 to the point where they no longer provided significant cross-protective immunity.

HIV-1ウイルス感染の場合

ADE of infection has also been reported in HIV. Like dengue virus, non-neutralizing level of antibodies have been found to enhance the viral infection through interactions of the complement system and receptors.[124] The increase in infection has been reported to be over 350 fold which is comparable to ADE in other viruses like dengue virus.[124] ADE in HIV can be complement-mediated or Fc receptor-mediated. Complements in the presence of HIV-1 positive sera have been found to enhance the infection of MT-2 T-cell line. The Fc-receptor mediated enhancement was reported when HIV infection was enhanced by sera from HIV-1 positive guinea pig enhanced the infection of peripheral blood mononuclear cells without the presence of any complements.[125] Complement component receptors CR2, CR3 and CR4 have been found to mediate this Complement-mediated enhancement of infection.[124][126] The infection of HIV-1 leads to activation of complements. Fragments of these complements can assist viruses with infection by facilitating viral interactions with host cells that express complement receptors.[127] The deposition of complement on the virus brings the gp120 protein close to CD4 molecules on the surface of the cells, thus leading to facilitated viral entry.[127] Viruses pre-exposed to non-neutralizing complement system have also been found to enhance infections in interdigitating dendritic cells. Opsonized viruses have not only shown enhanced entry but also favorable signaling cascades for HIV replication in interdigitating dendritic cells.[128]

HIV-1 has also shown enhancement of infection in HT-29 cells when the viruses were pre-opsonized with complements C3 and C9 in seminal fluid. This enhanced rate of infection was almost 2 times greater than infection of HT-29 cells with virus alone.[129] Subramanian et al., reported that almost 72% of serum samples out of 39 HIV positive individuals contained complements that were known to enhance the infection. They also suggested that the presence of neutralizing antibody or antibody-dependent cellular cytotoxicity-mediating antibodies in the serum contains infection-enhancing antibodies.[130] The balance between the neutralizing antibodies and infection-enhancing antibodies changes as the disease progresses. During advanced stages of the disease the proportion of infection-enhancing antibodies are generally higher than neutralizing antibodies.[131] Increase in viral protein synthesis and RNA production have been reported to occur during the complement-mediated enhancement of infection. Cells that are challenged with non-neutralizing levels of complements have been found have accelerated release of reverse transcriptase and the viral progeny.[132] The interaction of anti-HIV antibodies with non-neutralizing complement exposed viruses also aid in binding of the virus and the erythrocytes which can lead to more efficient delivery of viruses to the immune-compromised organs.[126]

ADE in HIV has raised questions about the risk of infections to volunteers who have taken sub-neutralizing levels of vaccine just like any other viruses that exhibit ADE. Gilbert et al., in 2005 reported that there was no ADE of infection when they used rgp120 vaccine in phase 1 and 2 trials.[133] It has been emphasized that much research needs to be done in the field of the immune response to HIV-1, information from these studies can be used to produce a more effective vaccine.

機序

抗体はウイルスと相互作用して、ウイルスが宿主細胞のエントリーレセプターに付着するのを防ぐ必要がある。しかし、このプロセスは、宿主細胞への感染を防ぐ代わりに、ウイルスの免疫細胞への感染を促進し、ADEを引き起こす可能性がある[1][134]。ウイルスと結合した後、抗体は、特定の免疫細胞に発現するFcまたは補体受容体と相互作用する。これらの受容体は、免疫細胞によるウイルス-抗体複合体の内在化を促進し、これにより通常はウイルスは破壊される。しかし、ウイルスが抗体複合体から逃れ、分解を避けて免疫細胞内で複製サイクルを開始する可能性も存在する[134][135]。これは、ウイルスが低親和性の抗体と結合している場合に起こりうる。

ウイルス血清型が異なる場合

細胞内でのウイルスの生存率が高まる現象を説明するものには、いくつかの可能性がある。

  1. ある血清型のウイルスに対する抗体が、異なる血清型のウイルスに結合する。この結合は、ウイルスが宿主細胞に付着するのを中和するためのものであるが、ウイルス-抗体複合体は、免疫細胞上のFc領域の抗体受容体(FcγR)にも結合する。細胞はウイルス破壊のためにウイルスを内在化するが、ウイルスはそこから逃れ、複製サイクルを開始する[136]
  2. ある血清型のウイルスに対する抗体が、異なる血清型のウイルスに結合し、補体系の古典経路を活性化する。補体カスケードシステムは、抗体を介してウイルス表面タンパク質に結合したC1q複合体英語版と結合し、C1q複合体は細胞に存在するC1q受容体と結合して、ウイルスと細胞を近づけ、特定のウイルス受容体がウイルスと結合して感染が始まる[135]。このメカニズムは、in vitro ではエボラウイルス[137]in vivo ではいくつかのフラビウイルスで示されている[135]

結論

ウイルスに対する抗体がウイルスを充分に中和できない場合、不完全中和ウイルス-抗体複合体を形成する。マクロファージなどの免疫細胞に貪食されると、抗体との結合が不充分なため、複合体からウイルスが放出される。これは、ファゴソーム[138][139]が酸性化し、最終的にリソソームと融合する際に発生する[140]。脱出したウイルスは、細胞内で複製サイクルを開始し、ADEの引き金となる[1][134][141]

脚注

関連項目

  • 抗原原罪
  • 抗体が感染を改善するのではなく悪化させる他の機序
    • 阻止抗体:状況に依り、良い働きをする場合と悪い働きをする場合がある。
    • フック効果英語版:しばしばin vitro 試験で見られるが、in vivo 試験でも見られることがある。