怪物くん (モノクロアニメ)

日本のモノクロ版アニメーション作品

本項では、藤子不二雄名義[注 1]で発表された漫画『怪物くん』(安孫子素雄の単独執筆作)を原作としたテレビアニメ作品の第1作にあたるモノクロ版『怪物くん』(かいぶつくん)及びその劇場版を扱う。第2作のカラー版アニメ及びその劇場版については、『怪物くん (カラーアニメ)』を参照。

怪物くん(第1作・モノクロ版)
アニメ
原作藤子不二雄[注 1]
監督大隅正秋
音楽岡本道夫
アニメーション制作Aプロダクションスタジオ・ゼロ
製作東京ムービー、スタジオ・ゼロ
放送局TBSほか
放送期間1968年4月21日 - 1969年3月23日
話数全49回・全98話
怪物くん
ドラキュラ
オオカミ男
フランケン
市川ヒロシ
白石冬美
大竹宏
兼本新吾
今西正男
松島みのり
テンプレート - ノート

概要

1968年4月21日から1969年3月23日までTBS系列ほかにて不二家一社提供不二家の時間」枠で放送された。15分2話構成で全49回(全98話)。

前番組『パーマン (第1作)』に引き続き、東京ムービーとスタジオ・ゼロが交互に制作。

本編中の登場怪物の解説及びエンディングのナレーションは、当時NET系の『日曜洋画劇場』の解説で人気を博していた映画評論家の淀川長治が担当。時には実写スチルで登場した。

シナリオを担当した山崎敬之の著書によると、山崎が書いた最終回のシナリオに対して、原作者の安孫子素雄はOKをなかなか出さず、結局は最後のタイミングというべき日の早朝に、TBSのロビーを訪れてまで打ち合わせを行い、ようやくOKが出たというエピソードが残っている。山崎は「あとから思えば、これほど手ごわい原作者もいなかった」と語っている[1]

TBS系アニメでありながらフジテレビジョンから『フジテレビのとびだすえほん[注 2]』として本作品の絵本が放送当時に発売されていた。

放送終了後

1989年、藤子不二雄がレギュラー出演していた番組『ギミア・ぶれいく』の中で5話Bパート『フランケンの映画カントクの巻』が20年以上の時を経て放送された[注 3]

長らく映像ソフト化に恵まれず、1999年にビーム・エンタテインメントから発売されたLDVHS「東京ムービー アニメ主題歌大全集」第1巻に収録されたオープニングとエンディング以外に視聴手段が無かった[注 4]が、2010年10月12月に本編全話収録のDVD-BOX上下巻がキングレコードから発売された。下巻にはブローアップ劇場版の2作も収録されている。

スタッフ

声の出演

主題歌

オープニング・エンディング「おれは怪物くんだ
作詞 - 藤子不二雄 / 作曲・編曲 - 筒美京平 / 歌 - 白石冬美、今西正男、大竹宏、兼本新吾
エンディングはオープニングとは別テイクで、テンポがやや速くなっているほか、最後に淀川長治のナレーションと「それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の挨拶が入る。
2013年3月16日より、藤子がかつて生活していた「トキワ荘」の最寄である西武池袋線椎名町駅発車メロディに本曲が採用されている[2]
夏季版エンディング「怪物くん音頭」
作詞 - 藤子不二雄 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 編曲 - 小谷充 / 歌 - 白石冬美、石川進
最初と最後に淀川長治のナレーションと挨拶が入る。エンディング終了後のペコちゃんと怪物くんの共演アニメは映像・歌・台詞は一切変更が無かったが、BGMがアレンジされた。後年、カラー版アニメが放送された際には、「新・怪物くん音頭」が発表されている。
挿入歌「そろた怪物三人組」
作詞 - 藤子不二雄 / 作曲・編曲 - 筒美京平 / 歌 - 今西正男、大竹宏、兼本新吾
挿入歌「怪物くんの子守歌」
作詞 - 藤子不二雄 / 作曲・編曲 - 筒美京平 / 歌 - 白石冬美、今西正男、大竹宏、兼本新吾
イメージソング「怪物くんのクリスマス」
作詞 - 藤子不二雄 / 作曲・編曲 - 筒美京平 / 歌 - 白石冬美、松島みのり、今西正男、大竹宏、兼本新吾
「不二家の時間」枠で放送された他の藤子不二雄アニメ作品と同様、スポンサーの不二家のキャラクター・ペコちゃん(声 - 斉藤尚子)がオープニングとエンディングの最後に登場し、怪物くんと共演している。
オープニング (OP) 映像は3つのバージョンが存在する。OP1は漫画のコマ割り形式、OP2はOP1のマイナーチェンジ版、OP3は夏季のみ使用されたもので、怪物くんと怪物3人組のドライブと水上スキーの映像となっている。OP1とOP2の相違点は次の通り。
  1. 名タイトル表示の際、OP1では漫画の右上に描かれたタイトルが移動するのに対し、OP2は後ろからせり出して来る。
  2. フランケンの歩行から怪物くん&怪物3人組の歩行に転換する時のワイプ画面は、OP1では爆発状の画面であるのに対し、OP2では渦巻状になっている。
  3. OP終了後、ペコちゃんとの共演アニメに切り替わる際、OP1ではページをめくるようなワイプ画面があったが、OP2にはそのようなシーンは無い。

各話リスト

回数放送日サブタイトル脚本制作
11968年
4月21日
怪物くんがやってきたの巻浪江志摩スタジオ・ゼロ
怪物くんと怪物屋敷の巻
24月28日怪物くんが野球をすればの巻東京ムービー
怪物くんとミイラ男の巻
35月5日ちびっこ怪物三人組の巻スタジオ・ゼロ
怪物くんとハニワ怪神の巻
45月12日怪物くんと怪物ッ子の巻東京ムービー
怪物くんと怪星人ウルの巻
55月19日フランケンの映画スターの巻スタジオ・ゼロ
フランケンの映画カントクの巻
65月26日大ぐもタランチュラきたるの巻東京ムービー
手のひら怪物あらわるの巻
76月2日恐竜でてこーいの巻スタジオ・ゼロ
豆人間・スモールXの巻
86月9日怪物たちもはたらくぞの巻東京ムービー
みずうみにでた大怪獣の巻
96月16日ビンの中の大男の巻スタジオ・ゼロ
怪物音楽会の巻
106月23日怪物くんと貝男ホーラの巻東京ムービー
怪物くんタコ・イカ作戦の巻
116月30日カミナリ怪物エレキドンの巻スタジオ・ゼロ
脳波怪物アタマデンの巻
127月7日兄弟怪物キョウダイゴンの巻東京ムービー
怪物グランプリの巻
137月14日三匹のスパイの巻スタジオ・ゼロ
怪物スパイ大戦争の巻
147月21日フニャフニャ怪物の巻東京ムービー
サタンの魔法塾の巻
157月28日地底のモンキー族の巻スタジオ・ゼロ
恐怖の城の巻
168月4日アイス怪物ペンジンの巻東京ムービー
影男シャドウマンの巻
178月11日よっぱらい怪物の巻スタジオ・ゼロ
怪物・お化け大合戦の巻
188月18日不思議な人形の巻東京ムービー
悪魔の人形つかいの巻
198月25日サボテンのトゲはいたいよの巻北満夫スタジオ・ゼロ
透明人間対透明怪物の巻
209月1日シャボン玉は恐いの巻西田敬一東京ムービー
ニセモノ怪物勢ぞろいの巻藤原真純
219月8日ネムール来たぞ!の巻吉田秀子スタジオ・ゼロ
怪物百面相の巻真武善行
229月15日砂魔人をやっつけろの巻草川隆東京ムービー
木人がウキキキーッといかったの巻若林一郎
239月22日空飛ぶプラモの巻吉田秀子スタジオ・ゼロ
ミイラ王子の巻西田敬一
249月29日半魚人ピラニアボーイの巻松元力東京ムービー
モーグリ砦の巻藤原真純
2510月6日ドタマカチンの巻若林一郎スタジオ・ゼロ
フランケンはやさしいの巻夫馬基彦
2610月13日怪物ハンター現わるの巻岩本健次東京ムービー
おれはボカチン!なぐり魔だいの巻藤原真純
2710月20日島怪物の巻吉田秀子スタジオ・ゼロ
怪物学校の巻藤原真純
2810月27日絵の中の怪物の巻西田敬一東京ムービー
怪子ちゃんこんにちはの巻宇佐美寛
2911月3日モクモク怪物とドラキュラじいさんの巻若林一郎スタジオ・ゼロ
マイホ・ムーの巻[3]今戸悠
3011月10日怪物くん美容体操の巻西田敬一東京ムービー
バラがかみつくの巻松元力
3111月17日むく犬はこわいぞの巻今戸悠スタジオ・ゼロ
こわい!こわい!女の子の巻西田敬一
3211月24日風のマタクルぞうの巻松元力東京ムービー
うらない怪物アジパーの巻吉田秀子
3312月1日モジャオのラブレターの巻島修司スタジオ・ゼロ
モスキートマンが出たぞの巻岡本欣三
3412月8日いそうろう怪物ガメルくんの巻芹川満東京ムービー
黄金怪物ゴールドフンガーの巻
3512月15日カメレオン・マン来たるの巻吉田喜昭スタジオ・ゼロ
サタンミラーの巻宇佐美寛
3612月22日ゴキブリ出たぞの巻西田敬一東京ムービー
落っこちたサンタじいさんの巻島修司
3712月29日怪物ランド行特急の巻藤原真純スタジオ・ゼロ
怪物くんの同窓会の巻島修司
381969年
1月5日
雪こぞうが降ってきたの巻伊東恒久東京ムービー
みんなで飛行船にのろうの巻松元力
391月12日ペット怪物ゴロニャンの巻草川隆スタジオ・ゼロ
家出したオオカミ男の巻伊東恒久
401月19日怪物トレーニングセンターの巻夫馬基彦東京ムービー
怪物ウエスタン大あたりの巻宇佐美寛
411月26日フランケンのパパの巻岡本欣三スタジオ・ゼロ
人間になりたい怪物の巻草川隆
422月2日怪物くんと豆の木の巻吉田秀子東京ムービー
東京の空に豆が降るの巻
432月9日おれはかなしいヒヒ男の巻吉田喜昭スタジオ・ゼロ
第四のけらいの巻
442月16日怪物くんはオレだの巻松元力東京ムービー
怪鳥コンドル魔人の巻宇佐美寛
452月23日怪物くん怪子ちゃんになるの巻藤原真純スタジオ・ゼロ
厄病神がとりついたの巻岡本欣三
463月2日ミイラー男は骨つぎ名人の巻草川隆東京ムービー
悪魔王子デモキンの巻山崎晴哉
473月9日にせの怪物ランドの巻吉田秀子スタジオ・ゼロ
動物園は大さわぎの巻島修司
483月16日怪物オリンピックの巻伊東恒久東京ムービー
兵隊ルックで突撃しろの巻松元力
493月23日ヒロシよさらばの巻吉田喜昭スタジオ・ゼロ
怪物くんの戴冠式の巻伊東恒久

ネット局

無印=同時ネット局(福島テレビのみ日本テレビ系列。その他は全てTBS系列) ※=時差ネット局(いずれも日本テレビ系列)[注 16]

劇場版

1969年3月18日公開の『東映まんがまつり』内で、第22回Aパート「砂魔人をやっつけろの巻」と第3回Bパート「怪物くんとハニワ怪神の巻」のブローアップ再編集版が上映された。フォーマットは次の通り。

  1. オープニング冒頭には「東映マーク」(白黒スタンダード版)を追加。
  2. オープニングは第3バージョン、エンディングは『怪物くん音頭』バージョンをそれぞれ使用、双方ともラストの「ペコちゃんと怪物くんの共演」はカットされた。
  3. エンディングは冒頭、「花火と『不二家の怪物くん』のテロップ」の部分はラスト近くの「踊る怪物くんとタヌラ」に差し替え、ラストはエンドカード「おわり」に差し替えた。また双方とも淀川長治のナレーションはカットされた。

なお「砂魔人をやっつけろの巻」は東京ムービー制作なのに対し、「怪物くんとハニワ怪神の巻」はスタジオ・ゼロ制作であったが、オープニング最後の制作クレジットは「制作 東京ムービー」と単独で表記された。

併映は『長靴をはいた猫』・『ひみつのアッコちゃん』(第1作)・『ひとりぼっち』・『チャコとケンちゃん』(第1作)の4本。

東映系における東京ムービー作品の上映は、1965年12月25日公開の『オバケのQ太郎』以来であり、『東映まんがまつり』としては最初で最後(『オバQ』は『まんが大行進』内で上映)。この後、東京ムービー作品は『東宝チャンピオンまつり』内で上映される様になる。

なおこの劇場版は、前述の通りDVD-BOX下巻に収録されているが、2012年8月10日にはDVD『復刻! 東映まんがまつり 1969年春』が発売され、併映全作と共に収録された。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

TBS 不二家の時間
前番組番組名次番組
パーマン(第1作)
怪物くん(第1作)
【当番組までアニメ枠】
(1968年4月21日 - 1969年3月23日)
青空にとび出せ!
※ここからドラマ