少年探偵団 (名探偵コナン)

漫画『名探偵コナン』の登場組織
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少年探偵団(しょうねんたんていだん)は、『週刊少年サンデー』で連載されている青山剛昌原作の漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメなどのメディアミックス名探偵コナン』の作品に登場する、子供だけで構成された架空の探偵団である。

青山剛昌ふるさと館前に設置されている少年探偵団のブロンズ像。左から、元太、歩美、コナン、光彦、灰原。

概要

少年探偵団のメンバーは、江戸川コナン灰原哀吉田歩美小嶋元太円谷光彦の5人で構成されており、いずれも帝丹小学校1年B組に所属している。

由来は、シャーロック・ホームズが組織したベイカー・ストリート・イレギュラーズ[注 1]と、江戸川乱歩『少年探偵団シリーズ』の少年探偵団から[注 2]

キャンプなどで遠出する際には阿笠博士が主に引率役を務めるが、博士が同行できない時は毛利小五郎もコナンの保護者として同行して引率をすることがある。他に、毛利蘭もコナンの保護者的立場として自ら引率したり博士や小五郎の引率時に同行したりすることがある[注 3]

メンバーはコナン・灰原も含めて強い信頼関係を築き合っており、全員で協力し合い事件を解決に導くことも珍しくない。互いに仲も良く、平時からよく集まって遊んでいる。阿笠博士がキャンプなどに連れていくときも大抵、このメンバーである。

少年探偵団の中でも歩美・元太・光彦の3人は、灰原を潜り込ませるために考えられたキャラクターである[1]。この3人は、好奇心旺盛で自己顕示欲と英雄願望が強いため興味本位で事件に首を突っ込むが、その目的のほとんどは手柄を上げることにあり[注 4]、コナン・灰原とは異なる。また暗号や不審者を見るとすぐに「宝」や「事件(主に殺人・誘拐)」を連想し、捜査に乗り出した結果、犯人に捕まって命の危機に遭ったり[2][3][4]、周囲に迷惑をかけたりすることがあり[5][6]、身内や目上の人から厳しく叱責されることもある[7][8]。初期はコナンの指示に反して勝手な行動をとることも多かったが、[注 5]現在は多くの事件を経て場慣れしてきており、顧問を自称している1年B組担任の小林先生[注 6]よりも的確な対応ができている。

アニメと異なり、元々の原作初期では少年探偵団は結成されておらず、歩美・元太・光彦の3人もコナンと仲の良い同級生でしかなかったため、阿笠博士と接点も少なく、同伴する保護者は蘭であった。探偵団が結成されて博士がバッジ等の発明品を作るようになってから、遠出時の博士による引率や阿笠邸へ3人が頻繁に出入りするようになることが増えていった。そのため、彼らの出入りの頻度は、学校以外では阿笠邸が主で、次いで毛利探偵事務所という傾向になっている。

基本的にコナンが指揮をとるが、灰原が登場して以降、コナンの不在時に灰原も同様の役割を担っている。当初は不本意であったコナン達も徐々に歩美・元太・光彦を信頼するようになり、小学1年生である彼らに聞き込みなどの捜査を依頼することもある。コナン・灰原が3人を親のような口調で咎めたりする場面も見られる。特にコナンが変声機で推理している際や灰原との電話中などに3人が邪魔した際に灰原が咎める事が多いが、コナンも『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』で危険を冒してまで行動した3人(と阿笠博士)に対してかなり強い口調で説教した挙句「全員外出禁止」とまで言い放った場面がある。

メンバー

江戸川コナンと灰原哀の2人については、各リンク先の個別記事を参照。

江戸川 コナン(えどがわ コナン)
- 高山みなみ
明確な入団の意思は示していなかったが、半ば強制的に入団させられた。探偵団の実質的リーダー。
灰原 哀(はいばら あい)
声 - 林原めぐみ
コナンと同じく明確な入団の意思を示していなかったが、転校後すぐに歩美たちに入団させられた。探偵団の副団長的存在。コナン不在時のリーダーでもある。
声 - 岩居由希子
コナンを少年探偵団に誘った張本人であり、灰原が入団するまでは探偵団の紅一点であった[注 7]。探偵団のムードメーカー的存在でもある。一人称は「歩美」がほとんどだが、「わたし」と言うこともある。
周囲からの呼称は、コナンからは「歩美ちゃん」であるが、事件が起きた場合などの興奮した時は「歩美」と言う事もある。また、元太からは「歩美」、灰原からは「吉田さん」、阿笠博士からは「歩美ちゃん」または「歩美君」、目暮警部が「歩美君」、光彦・安室透・目暮以外の警察関係者からは「歩美ちゃん」と呼ばれている事が多い。
おかっぱ頭にカチューシャを着けた好奇心旺盛な少女で、推理よりも暗号解読の方が好み。素直で純情な性格だが、少し天然気味である。年齢以上にお洒落に興味を持っている[注 8]。誘拐されることが多い[5][12]。動物好き。好きな食べ物はハムサンドとタマゴサンド[注 9]。体重は15キログラム。
また、連載初期は元太・光彦ともに歩美のことが恋愛面で好きであるような描写が点在していた[5]。現在でも彼らが歩美に好意を見せる行動は多い。一方、歩美はコナンに「私たちは結ばれる運命」などと言う[5]など好意を寄せており、まれに小学生とは思えない積極的な言動でコナンに恋心をアピールする[注 10]。現在でもその描写は確認できる[注 11]。その一方、コナンには好きな人物が他にいるのではと悩んだりもする[注 12]
他人の感情や想いに対しては年齢以上に敏感で、特に他人の恋愛などに対しては強い傾向にある。また光彦にもキスをしたことがあるが、その時はコナンに対して「目をつぶってて」と言った。[15]
小学1年生にしてかなりの耳年増であり、「安産型[16]や「A(キスを表す隠語)」[17]など性にまつわる単語についても探偵団内で一番正確に理解している。また、灰原のイタズラで腫れ上がったコナンの尻をのぞき見る[18]など実際の行動に出ることもある。
時には犯人や被害者の感情に対し、一言つぶやいたり物申したりすることもある[19]
灰原のことは当初一歩引いて「灰原さん」と呼んでいたが、ある事件をきっかけに親しみを込めて「哀ちゃん」と呼ぶようになり、ますます打ち解けるようになった[19][注 13][注 14]
高層マンションの28階[21]に住んでおり[注 15]、母親(声 - 佐藤しのぶ)と手をつないで歩く[22]など、家族との描写は見られるが、作中で顔が描かれたのは父親のみ(それも連載初期の小さな1コマのみ)である[注 16]。仕事は両親ともに不明。
10年後には、かわいらしい容姿の美人へと成長することが予測されている[23]
名前の由来は、推理作家の北川歩実から。
声 - 高木渉[注 17]
探偵団の切り込み隊長的存在で団長を自称しているが、他のメンバーはまったく承認しておらず、実質的なリーダーはコナンである[注 18]。一人称は「オレ」。
周囲からの呼称は、コナン・小五郎からは「元太」、灰原からは「小嶋君」、歩美・光彦・・阿笠博士・警察関係者からは「元太君」である。
体重は40キログラム[注 19]。歩美に「それ以上太るとブタさんに笑われちゃうよー」と言われるくらいの大きさ[24]。頭はおにぎりのような形をしており、左側頭部に10円ハゲがある。
活動的な割に運動はあまり得意ではなく、少し走っただけで息を切らせたりしていることが多々見られる。水泳も苦手で、7メートルほどしか泳げない[25]。その一方で、死のうとした灰原を片手で持ち上げ、そのまま走って連れ戻したことがある[23]。身長は探偵団の中では最も高い。
探偵団の中では人一倍食欲が旺盛で、キャンプ等に出かける際には、目的地へ着く前に光彦たちの分のお菓子まで平らげて注意されることが多々ある。また、たまたま訪れた回転寿司のお店で殺人事件に遭遇した時にも、現場保存のために停止したレーンの上に乗ったままになっていたお寿司にまで手をつけようとしたことがある[26]
「玉子焼き」を「おうじやき」と読んでしまう[27]など、勉強はあまりできないが[注 20]、核心をつく大人顔負けの鋭いツッコミを入れることもある[28][16][23]
性格は直情的かつ短気[注 21]で、思っていることがすぐに顔に出てしまう。面倒なことからは逃げようとする傾向もある。光彦とは正反対で、口調は荒く、相手が大人であってもめったに敬語を使わず[注 22]呼び捨てしたり「お前」呼ばわりしたりすることもある[注 23]。また、「子分」とも呼ぶこともある。また、光彦に正論を言われた際怒鳴って胸倉をつかんでしまうこともあるが、典型的なガキ大将とは違ってそれほど暴力的ではない[注 24]。また、殺人や監禁などの重大事件に出くわしたときでも、金や食べ物が絡むと短絡的な行動をとってしまい、結果的に探偵団を窮地に陥れることが多い。また、その点を反省することがほとんどないため、探偵団のエピソードでは同様の行動を繰り返して周囲の足を引っ張ることが多い[注 25]。さらに、他者に迷惑を掛けた際、自分が悪かったと痛感した時は素直に反省して詫びることがあるが、割合に鈍感なため自覚しない傾向の方が強く、謝罪することは少なめである[注 26]。しかし、いざとなれば危険な事態にも歩美や光彦と共に立ち向かう勇気を持ち合わせている。元太自身、頭脳面でコナンと灰原にはまったく敵わないため、行動時は彼らに従っている。自身が好意を寄せる歩美には優しく、釣り道具を持ってあげたりする[30]など、かっこいいところを見せようとする。しかし、連載が進むにつれ、元太は初期ほど歩美への恋愛感情は口にしなくなる[注 27]。一方、元太は灰原のことを初対面時には「か、かわいー」と発言するものの、その後は「ツンツン女」と言う[31]など、灰原に対しては初期から恋愛面での関心は見られない。また前述の灰原にビンタされた件などから苦手意識を持っている部分も多い。ただし、灰原の顔を至近距離から見て照れることもある[32]
鰻重が大好物[注 28]。灰原から甲殻類アレルギーの疑いがあるとの指摘をされている[33]
家は父・元次(声 - 野島昭生)が経営する酒屋[34][注 29]。本人いわく岐阜県に伯父がいるとのこと。
名前の由来は、小説家の小峰元から。
単行本67 FILE.3「明日があるさ」では、翌日歯医者で虫歯を抜かれると言っている[35]
声 - 大谷育江[注 30]折笠愛(代役)[注 31]
両親とも教師。中学生の姉・円谷朝美がいる[注 32][注 33]。一人称は「僕」。
周囲からの呼称は、コナン・元太からは「光彦」、歩美・阿笠博士・警察関係者からは「光彦君」、灰原からは「円谷君」である。
親が教師であり言葉遣いに対して厳しいのもあるため、同級生に対しても常に敬語を使う[注 34]など、礼儀作法を重んじている。そのため、マナーをあまり守らない元太に対して注意をすることがよくある。顔にそばかすがあり、髪型は真ん中で分けているのが特徴。ヨーグルトが好きでにんじんが嫌い[注 35]。体重は20キログラム。
実年齢が10〜12歳離れているコナンや灰原には劣るものの、小学1年生とは思えないほど豊富かつ横断的に知識を持っている[注 36]。アニメオリジナルストーリーでは特にそれが強調されており、源義経吉田松陰、幕末の日本など日本史[37]や、アーサー・コナン・ドイルの『赤毛連盟[38]を解説した。さらに劇場版第10作『探偵たちの鎮魂歌』では中学受験レベルの数学を用い、アトラクションの待ち時間を計算する(一種のフェルミ推定)など、論理的思考力も兼ね備えている。様々な事件での経験を通してとっさの状況下での判断力も鍛えられており、発作を起こした人の謎のうわ言をすぐさまメモに取ってコナンの状況解析に一役買ったこともある[39]。また、知らない道を覚えるため、ガソリンスタンドの場所と名前を覚えていった[40]ように冷静さと記憶力も持ち合わせている。ランドセルから取り出した昆虫図鑑の目的のページを素早く開けたことから、昆虫にも精通している模様[38][41][42]。経済情報にも通じており、東都水族館に鈴木財閥の資本が入っていることを知っていた[39]。『ロンドンからのマル秘指令!』ではアメリカの少女タレントが灰原本人ではないかと疑った結果、彼女がイギリス情報局の諜報員でマフィアに追われ年齢を偽って日本に隠れていたと推理していた[注 37]
頭脳面だけではなく、マラソンでバテていたコナン・歩美・元太をよそに息も切らさず涼しい顔をしている体力や、劇場版第10作『探偵たちの鎮魂歌』ではやや遠くにいる犯人にほうきを槍投げの要領で当てる運動神経も持ち合わせている。
普段はコナンや灰原がいるために強調されることは少ないが、彼らの不在時には歩美や元太と協力して推理を組み立て、中心となって事件を解決に導くことが多い[注 38]。「商売繁盛のヒミツ」では、『赤毛連盟』を元に全く推理できないコナンに代わり事件を解いた[38][注 39]
行動力もあり、「青の古城探索事件」では犯人が仕掛けた罠には掛からず、逆にその罠にかかったコナンの追跡メガネを使用してコナン、阿笠、元太を救出している[44]
責任感と男気あふれる一面もあり、「龍神山転落事件」では、自ら首を突っ込んだ事件のため、銃で脅されてもコナンや阿笠博士について口を割らなかった[43]
ヒーロー好きで、暗号を見るとすぐ「お宝」を連想してしまうなど、子供らしい面もある[2][43][45]
以前は一途に歩美のことが好きだったが、途中から転入生として現れた灰原にも心惹かれている[注 40]また、灰原登場後は歩美に好意を寄せる描写は続くものの、恋愛対象としての比重は灰原の方へ大きく傾くようになった。[注 41]
名前の由来は、姉弟共に浅見光彦から[47]

補足

  • 歩美・元太・光彦と似ている人物として、特別編第32巻「杉の精にさらわれた少年」に種ヶ島 夏美たねがしま なつみ)・大神 甘太おおかみ かんた)・牡鹿 国彦おが くにひこ)が、OVA『コナンと平次と消えた少年』に声や容姿がよく似た江坂 繭美えさか まゆみ)・大沢 健太おおさわ けんた)・八木 幹彦やぎ みきひこ)がそれぞれ登場している。後者の声優は岩井・大谷・高木が兼任で担当。また特別編29巻「少女探偵団!?」に桐野 あきみきりの -)・松下 えみまつした -)・武下 ひとみたけした -)という三人の少女たちが登場している。
  • 歩美・元太・光彦の3人はアニメ版では第1話から登場し[注 42]、劇場版でも全作品に登場する。3人は揃って登場するのがほとんどだが、歩美のみ単独で登場したことが1回だけある[48]
  • 原作・アニメでは警視庁の人々との共演が多く、特に高木渉佐藤美和子とはかなり共演が多い。一方で服部平次[注 43]怪盗キッドと共演する機会は少ないが、劇場版・OVAでは原作・アニメに先行して彼らと会っている。
  • 歩美・元太・光彦は黒ずくめの組織の存在を全く認識していないが、組織が起こした事件に巻き込まれたことはある。また、灰原以外の組織の関係者(脱退者・潜入捜査官を含む)にも沖矢昴(赤井秀一/ライ)、安室透(降谷零/バーボン)、沼淵己一郎原佳明[23]とは面識があり、記憶喪失になっていたキュラソー[39]と交流したこともある。
  • 2019年に竣工した読売テレビの新社屋の正面玄関前には、少年探偵団5人の銅像が建てられている[50]

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク