寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント

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寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(ともひとしんのうはい・せかいせんしゅけんきねんトーナメント)は、競輪GI競走である。通称「親王牌」。

寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント
概要
格付けGI
愛称親王牌
概定番組4日間トーナメント
主催者持ち回り
開催地持ち回り(前橋青森弥彦
開催時期10月
歴史
初回開催1992年(特別競輪昇格は1994年)
開催回数32回(2023年)
初代優勝者吉岡稔真
最多優勝者小橋正義(4回)
直近優勝者古性優作(2023年)
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概要 

大会のタイトルになっている寬仁親王牌は、寬仁親王1990年に日本で開催された世界選手権自転車競技大会の名誉総裁だったことに由来しており、寬仁親王は1992年から優勝者に贈呈されるトロフィーを下賜していた[注 1]

前橋競輪場で初めて開催されたことから前橋競輪場で開催されることが多いが、2001年2005年2009年青森競輪場で、2011年から2015年2021年2023年弥彦競輪場でそれぞれ開催されるなど、必ずしも固定開催とはなっておらず、持ち回り開催である(但し、これまで開催実績があるのはこれら関東と北日本の3場のみ)。

初日特選は日本競輪選手会理事長杯、2日目優秀競走はローズカップの名称で行われている。1992年から2007年、2009年から2011年までは表彰式に寬仁親王が出席して優勝者に直接トロフィーを授与したが、本人が購入した車券が的中したというエピソードもある。

賞金

以下は、第32回(2023年)大会の決勝戦における各着順の賞金額[1]。( )内は副賞(1〜3着に授与)を含んだ金額。

1着2着3着4着5着6着7着8着9着
3,800.0万円(3,890.0万円[2][3]1,969.0万円(2,009.0万円[3]1,270.3万円(1,294.3万円[3]913.7万円743.0万円619.2万円516.0万円473.4万円446.6万円

歴史 

大会のベースとなった世界選手権記念競輪は、1990年(平成2年)に群馬県前橋市グリーンドーム前橋(前橋競輪場)で行われた世界選手権自転車競技大会日本大会の開催を記念して、同年5月に移転前の旧前橋競輪場を舞台に「スーパープロピストレーサー賞」[注 2]をメインとした単発開催でスタートした。

1992年(平成4年)から準特別競輪(現在のGII相当)に格上げされ(この年の開催を第1回大会としている)、さらに1994年(平成6年)からは特別競輪(現在のGI相当)に格上げされ[4]、現在に至る。

1999年(平成11年)から7月開催となる(2016年大会から10月に戻った)[5]

2008年(平成20年)は、瑶子女王が退院直後の寬仁親王の代わりに表彰式に出席した[6]

2012年(平成24年)6月6日に寬仁親王が薨去したことにより、同年は寬仁親王を追悼する大会として開催され、開会式において黙祷の実施、開催期間中の半旗掲揚、出場選手及び関係者による喪章の着用を行った。

2014年以降は、彬子女王により優勝者へのトロフィーが下賜されている[7][8][9]

2020年(令和2年)は2月の第35回読売新聞社杯全日本選抜競輪以来[注 3]となる有観客でのGI開催となったが、COVID-19流行と感染拡大を防止する観点から入場は各日5,000名[注 4]・特別観覧席57名と制限した上で来場者にはマスク着用を義務付け、また入場時の検温も実施するなどの対策を取った上で開催された。2021年(令和3年)も、前年同様に事前申込制による入場制限[注 5]を行った上で有観客にて開催された[10]2022年は、2年前同様の状態で開催された。

2023年は、4年ぶりに入場制限が撤廃された[注 6]

出場選手選抜方法

寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントの出場選手は、自転車競技で活躍している選手を中心に選抜される。毎回若干変更・修正されるものの、概ね以下の資格順位により正選手108名、補欠選手8名を選抜する[11]

  • 選考期間…平均競走得点:当年2月〜7月(6ヶ月)・国際大会:前年8月〜当年7月(12ヶ月)、選考月…8月、最低出走回数…24出走[注 7](但し変更になる可能性がある)
  1. S級S班在籍者
  2. 過去3回以上優勝した者(開催時S級1班所属が条件)
  3. 東京オリンピック自転車競技トラック種目代表選手(第29回第30回
  4. 世界選手権自転車競技大会(以下、世界選手権)トラック競技出場者
  5. 世界選手権に準ずる国際大会トラック競技で1〜3位となった者
  6. アジア自転車競技選手権大会(以下、アジア選手権)においてケイリンまたはスプリントで1位となった者
  7. 過去のオリンピック自転車競技トラック種目メダリスト
    ただし、全日本プロ選手権自転車競技大会(以下、全プロ)トラック競技出場予定かつ開催時S級1班所属が条件
  8. 選手選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者
    ただし、全プロトラック競技出場予定かつ開催時S級1班所属が条件
  9. 全プロトラック競技出場予定者から平均競走得点上位者を順次選抜
  10. 残余がある場合は各地区のプロ選手権自転車競技大会(以下、地区プロ)トラック競技出場者から平均競走得点を勘案し推薦

なお、補欠選手は正選手を除く全プロまたは地区プロ出場者のうち平均競走得点上位者からさらに順次選抜される。

また、正選手のうち、以下の条件を満たした合計27名については、日本競輪選手会理事長杯または特別選抜予選に出走できる。

日本競輪選手会理事長杯(9名)

  1. オリンピック自転車競技トラック個人種目メダル獲得者(オリンピック開催当年の場合)
  2. 世界選手権において以下の成績に該当する者
    ケイリン1〜3位、スプリント1〜3位
  3. 全プロトラック競技において以下の競技で1位となった者
    ケイリン、スプリント、1kmタイムトライアル
  4. S級S班在籍の全プロ出場者のうち平均競走得点上位者
  5. S級S班在籍者のうち平均競走得点上位者
  6. S級1班在籍者のうち平均競走得点上位者

特別選抜予選(18名)

  1. UCIワールドカップまたはアジア選手権において以下の競技で1位となった者
    ケイリン、スプリント
  2. 前年のKEIRINグランプリ優勝者(日本競輪選手会理事長杯に選抜されなかった場合)
  3. 全プロトラック競技において以下の成績に該当する者
    ケイリン2〜9位、スプリント2・3位、1kmタイムトライアル2・3位、チームスプリント1位
  4. S級S班在籍の全プロ出場者のうち平均競走得点上位者
  5. S級S班在籍者のうち平均競走得点上位者
  6. S級1班在籍者のうち平均競走得点上位者

勝ち上がり方式

初日〜4日目すべて12レース[注 8][12]

 優秀 初日0002日目0000003日目000最終日
ローズカップ(1)準決勝(3)
日競選杯(1)
特選予選(2)
二次予選A(3)
二次予選B(3)
00決勝(1)00
一次予選(9)
敗者戦00-00(5)(9)(11)
  • 初日
「一次予選」 合計9レース行われ、各レース1〜2着18名が「二次予選A」、3〜4着18名が「二次予選B」進出。
「特別選抜予選」 合計2レース行われ、各レース1〜2着4名は無条件で2日目の「ローズカップ」と、3日目の「準決勝」進出権利が同時に得られる。各レース3〜4着4名と5着2名のうち選考順位上位1名は「二次予選A」、各レース5着2名のうち選考順位下位1名と6〜9着8名は「二次予選B」進出。
「日本競輪選手会理事長杯」 最上位の特別選抜予選、という位置づけで最終レースに行われ、1〜5着5名は無条件で2日目の「ローズカップ」と、3日目の「準決勝」進出権利が同時に得られる。6〜9着4名は「二次予選A」進出。
  • 2日目
「二次予選B」 合計3レース行われ、1〜2着6名が「準決勝」進出。
「二次予選A」 合計3レース行われ、1〜4着12名が「準決勝」進出。
「ローズカップ」 二次特別選抜予選として、最終レースに行われる。失格にならない限り、9名全員が「準決勝」進出。
  • 3日目
「準決勝」 後半3レース。各レース1〜3着9名が「決勝」進出。
  • 4日目(最終日)
「決勝」 最終レース。上位3着は表彰式で表彰台に上がることができる。また、優勝者には優勝インタビューやウイニングランなどが執り行われる。
「特別優秀」 「決勝」前の合計2レース。「準決勝」各レース4〜7着12名と、二次予選敗退選手による3日目「特選」各レース1〜2着6名の18名により行われる。
「優秀」 「特別優秀」前の合計2レース。「準決勝」各レース8〜9着6名と、二次予選敗退選手による3日目「特選」各レース3〜4着6名及び3日目「選抜」各レース1〜2着6名の18名により行われる。

その他、2日目以降に予選敗退者を対象とした「特一般」(2日目)、「一般」、「選抜」、「特選」(3日目以降)が開催される。

過去の優勝者

開催年開催場優勝者ローズC勝者
氏名府県氏名府県
11992年前橋吉岡稔真40福岡
21993年滝澤正光12千葉
31994年吉岡稔真40福岡神山雄一郎09栃木
41995年小橋正義33岡山海田和裕24三重
51996年神山雄一郎09栃木神山雄一郎09栃木
61997年小嶋敬二17石川
71998年小橋正義33岡山神山雄一郎09栃木
81999年児玉広志37香川山田裕仁21岐阜
92000年神山雄一郎[注 9]09栃木十文字貴信08茨城
102001年青森小橋正義15新潟渡邉晴智22静岡
112002年前橋松本整26京都松本整26京都
122003年太田真一11埼玉岡部芳幸07福島
132004年小橋正義15新潟佐藤慎太郎
142005年青森小嶋敬二17石川神山雄一郎09栃木
152006年前橋後閑信一10群馬加藤慎平21岐阜
162007年小嶋敬二17石川山崎芳仁07福島
172008年山崎芳仁07福島岡部芳幸
182009年青森海老根恵太12千葉伏見俊昭
192010年前橋市田佳寿浩18福井武田豊樹08茨城
202011年弥彦浅井康太24三重新田祐大07福島
212012年佐藤友和03岩手平原康多11埼玉
222013年金子貴志23愛知藤木裕26京都
232014年深谷知広桐山敬太郎14神奈川
242015年園田匠40福岡新田祐大07福島
252016年前橋稲垣裕之26京都吉田敏洋23愛知
262017年渡邉一成07福島金子貴志
272018年脇本雄太18福井中川誠一郎43熊本
282019年村上博幸26京都松浦悠士34広島
292020年脇本雄太18福井新田祐大07福島
302021年弥彦平原康多11埼玉
312022年前橋新田祐大07福島松浦悠士34広島
322023年弥彦古性優作27大阪古性優作27大阪

今後の開催予定

  • 第33回 - 2024年 (令和6年) 10月17日〜20日 - 弥彦競輪場 (2年連続8度目)
  • 第34回 - 2025年 (令和7年) 10月23日〜26日 - 前橋競輪場 (2年ぶり度目)

エピソード

  • 第32回大会(2023年)までで、完全優勝(予選・準決勝とも全て1着)達成者は、2名[13]
  • 第32回までで、最多出場記録は神山雄一郎(第4回大会から第30回大会までで連続28回)。
  • 第29回大会〜第31回大会では、初日第12レースの日本競輪選手会理事長杯は、予定されていた当年の全日本プロ選手権自転車競技大会(全プロ)が中止となったため選考条件が一部変更になり[14][15]、当年のS級S班9名が選出された[16]
  • 第31回大会では、新田祐大が初優勝。新田はこれまで当大会以外のGIは既に全て制覇しており、この優勝により全てのGIを制覇し、史上4人目(現行のGI6大会制では神山雄一郎以来2人目)となるグランドスラムを達成となった[17]

決勝戦テレビ中継

  • 一部放送していない大会はあるが、2013年第22回)以降は中止順延があった2019年第28回)を除いて毎年テレビ東京系列[注 10]で放送されている(なお、テレビ東京[注 11]では2000年 - 2002年、2004年 - 2009年、2011年 - 2012年は放送されていない)。
    • 2019年の第28回大会は台風19号の影響で決勝戦が一日遅れて10月15日に行われたが、中継は順延せずに予定通り14日に12R準決勝を放送している。
  • また群馬テレビでも、2016年第25回)までは決勝戦が放送される場合があった。2017年第26回)以降は、3日目の準決勝のみの放送となっている[注 12](2019年は、中止順延の影響で2日目の11R二次予選Aとローズカップを放送した)。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク