妃英理

漫画『名探偵コナン』の登場人物

妃 英理(きさき えり)は、『週刊少年サンデー』で連載されている青山剛昌原作の漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメなどのメディアミックス名探偵コナン』の作品に登場する架空の人物。弁護士職務において旧姓利用しているだけで幼馴染毛利小五郎とは離婚しておらず、本名は毛利英理[1]。アニメでの声優高島雅羅が担当する。ドラマでの俳優は大塚寧々が担当。

妃 英理
名探偵コナン』のキャラクター
作者青山剛昌
大塚寧々
高島雅羅
詳細情報
愛称法曹界の女王(クイーン)
別名毛利英理(戸籍上の本名)
性別女性
職業弁護士
配偶者毛利小五郎(別居中の
子供毛利蘭
国籍日本の旗 日本
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概要

毛利蘭の母親で、毛利小五郎の妻。職業は弁護士で、小五郎との夫婦喧嘩が原因で数年前より別居して個人事務所「妃法律事務所」を経営している。秘書に栗山緑がいる[注 1]。年齢は38歳[注 2]。誕生日は10月10日と、江戸川コナン(工藤新一)と鈴木次郎吉以外で明確に設定されている数少ない1人。

「妃英理」と「毛利英理」

基本的に他者には旧姓の「妃」を名乗るが、小五郎と離婚したわけではないため、戸籍名は「毛利英理」のままである。プロ野球チームジャガーズのファンである英理のため、小五郎がジャガーズの投手だった能勢利三(声 - 石井康嗣)から「毛利英理さんへ」と書かれたサインボールを貰っている[2]。また、自分の飼い猫の体調について獣医に相談したとき[3]や、自身が盲腸で入院したとき[4]などは戸籍上の毛利姓を名乗っている。

人物

蘭たちの通う帝丹高校の出身で、コナン(新一)の母親で友人の工藤有希子とは小五郎と同じく同級生である。

黙っていても注目を集めるほどの美女であり、法廷での無敗記録を更新中の凄腕弁護士であることから「法曹界の女王(クイーン)」という異名を取る。頭髪は腰まで届く茶髪(アニメでは2003年[5]から2007年[6]まで黒髪)のロングヘアを、まとめてアップヘアにしている。なお、昼間に美容院へ通うことは仕事上難しいことから夜間に通っていたが、贔屓(ひいき)にしていた美容師がトリックを用いて殺人を犯した際にアリバイ証人として利用されたことがある[7]

弁護士という仕事柄、日本語の横書き文書の読点に「、」ではなくコンマの「,」を用いる癖があり、逆恨みから誘拐された際には携帯電話メッセージアプリで自分に成りすます犯人の目をかいくぐってコナンたちと会話しようと、それを活用している[8]。考えをまとめる際には音楽を聴く[9]。愛車は、ミニクーパー4速M/T)。ドラマの単発第3作のみ、相手に嘘をつかれると左目が痒くなるという職業病を患っている。

名前の由来は、「エラリー・クイーン」から[10]。『名探偵コナン50+ SDB』に記載されている作者インタビュー(174ページ)によると、黒ずくめの組織とは無関係である。弁護を担当した事件でも、現時点では作中において裏で黒の組織が関与していたような事案を担当した様子も描かれていない。

「コーヒーショップ殺人事件」での初登場[11]以降、蘭や小五郎抜きでの単独登場は長らくなかったが、「博士の動画サイト」で動画サイトに投稿した映像として初めて単独で登場した[12]。劇場版には、第2作『14番目の標的』にて初登場。以降、第4作・第8作・第10作・第22作に登場(第8作以外は緑とセットで登場)している。また、第8作では誤ってコナンに時計型麻酔銃の麻酔針で眠らせられた結果、小五郎に代わる形で探偵役を務めており、これは現時点で原作・アニメを通して唯一の事例となっている。

得手・不得手

民法刑法を暗唱できるほどきわめて明晰な頭脳を持つ[9][7][13]ほか、高校1年当時に東都大学の入学試験を満点通過してハーバード大学への留学を薦められたほど記憶力に優れている[5]。推理力も高く、コナンのアドバイスで事件を解決することもある[9][7]

運動神経もそこそこあり、小五郎からは一本背負いを教わっている[11][注 3]

編み物が上手であるが、料理に関しては家族や知人に恐怖されるほど壊滅的に下手である。原作では小五郎と別居するまでの毛利家の食卓事情は不明であるが、原作以外では詳細に描かれることが多い。劇場版第2作『14番目の標的』では、かつて怪我の痛みを我慢しながら入念に作った料理を小五郎に食べさせたところ、あまりの不味さから「こんなもん作るくらいならさっさと寝てろ!」と酷評されたことが英理の逆鱗に触れ、その大喧嘩が別居の一因になったと語られている[注 4]。劇場版第4作『瞳の中の暗殺者』では、両親の記憶すら喪失中の蘭に代わってビーフシチューを作ろうとしたところ、コナンは顔を真っ青にし、小五郎は「麻雀の約束がある」と言って逃亡を試みている。劇場版第22作『ゼロの執行人』ではエンディングで手料理を食べてすぐに吐き出し、口論となる描写もあった。ドラマの単発第3作では、新一はもちろん蘭も食べるのを嫌がり、共に「スタイルが気になっている」ことを口実として断っていた。そういったことからも、料理だけでなく家事全般が苦手ということが示唆されている。

仕事の結果による逆恨みについては想定が甘いところがあり、 離婚訴訟の裁判で敗訴となった男性3人に逆恨みされて誘拐された際には、事務所が無防備状態で緑も平然と開扉したことによるものであったことから、事件解決後にはコナン(新一)から蘭を通じて注意されている[8]

嗜好

好物はジゴバのチョコレートで、過去に小五郎からプレゼントとしてもらったことがあるが、劇場版第2作『14番目の標的』ではそのことを知った犯人に利用され、毒殺されかけている。

ゴロ」という名前の猫を飼っている。最初に飼っていたスノーシューが老齢で亡くなったため、現在は知り合いから譲り受けたロシアンブルーに同名を付けて飼っている[14][注 5]

家族・対人関係

小五郎とは幼馴染であり、大学在学中に結婚し、彼の外出時にネクタイを直してあげるほど円満な夫婦仲の家庭を築くが、結婚から7年後に別居する。別居後は、たまに会っても互いに悪口を言い合い意地を張っているが、彼のことは内心で大切に想っており、助けを求められると自分が忙しくてもなんとか助けようとし、小五郎に仕事を紹介することもある[15]。結婚指輪を着けていることについては「うっとうしい男を近づけないための虫よけ」と言っており、砂浜で結婚指輪を無くしてしまった際には、わざと外して小五郎が気付くかを試す旨を言い張り、気付く素振りのない彼に愛想を尽かしかけたが、実は発見してくれていたことを知り、見直すようになる[16]。そういった理由から、蘭が両親を仲直りさせようと機会を設けては、いずれかが何かしらの理由(大抵は小五郎のだらしない行為が原因)で台無しにしてしまう、という展開がほぼ定番と化している。一方、電話口で弱気な部分を見せた小五郎に元気付ける言葉を送ったこともある[17][18]

一人娘である蘭のことは小五郎と同じく大切に想っているが、幼馴染と探偵には気をつけるように言っている[16][注 6]。また、蘭が記憶喪失になった際には、小五郎と協力してケアを懸命に行っている[19]。コナン(新一)にとっては、幼少時に蘭と共に厳しく叱られた記憶とも相まって、きわめて苦手な存在である[11][注 7]。なお、初登場の際にコナン(新一)は10年会っていなかったこともあり、英理の顔を完全に忘れていた[11][注 8]。一方、英理は毛利家の居候であるコナンのことを可愛がっており、彼の正体が新一であることこそ知らないものの、コナンとしての初対面の時に見たコナンの推理力とそれを披露する威勢の良さから、普通の子供でないことを見抜いている。小五郎に対して「あの子、あれでなかなかきれるのよ」と褒め言葉を言ったこともあり、事件に遭遇した際にはコナンの推理力と知識量を活かして一緒に事件を推理したり情報を提供したりもする。そのため、小五郎や蘭と異なり、コナンが事件現場で言う言葉を当然のように聞き入れて参考にしている。小五郎が普段から一変して冴え渡った推理を見せる「眠りの小五郎」についても、そのからくりの主がコナンであることこそ想定するまでに至っていないが、次第に小五郎が本当に推理しているのか疑いを強めている[4]

美人でなおかつ頭脳派ということもあってライバルも多く、高校生時代には工藤有希子とミスコン対決を繰り広げた。ただし、有希子とは張り合うことはあるものの、仲は非常に良好である[注 9]。アニメオリジナルストーリーでは、「検察のマドンナ」と評される検察官九条玲子と法廷の戦いを繰り広げている。玲子とは現在までに3回戦い、いずれも勝利して無敗記録を更新した。この法廷の戦いは、九条が無敗記録を更新し続ける英理にストップを掛けようとしたことが始まりである[21][22][23]

服部平次遠山和葉とは、現在のところOVA第2作の『16人の容疑者!?』以外に直接会っている描写が無いが、回想で蘭が英理に平次の解決した事件を電話などにて話しているシーン[8]などはあり、原作やテレビシリーズでもお互いの存在認識は判明している[注 10]。周囲からの呼称は、コナンからは「英理おばさん」[注 11]、蘭からは「お母さん」、小五郎からは「英理」、有希子からは「英理ちゃん」[注 12]、栗山緑からは「妃先生」、目暮警部からは「妃弁護士」、阿笠博士からは「英理さん」と呼ばれる。父は小五郎の回想シーンに後ろ姿で登場している[注 13]

目暮とも顔馴染みだが初登場時までには目暮が警部補の時にあったのが最後であった[11]

脚注

注釈

出典

外部リンク