天問1号

中国の火星探査機

天問1号(てんもんいちごう、拼音: Tiānwèn ティエンウェン、Tianwen-1[2]) は、中華人民共和国2020年7月23日に打ち上げに成功[2]した火星探査ミッションで用いる探査機の名称である[3]

天问一号
Tianwen-1
所属中国国家航天局
主製造業者中国航天科技集団
国際標識番号2020-049A
カタログ番号45935
状態運用中
目的火星探査
観測対象火星
打上げ場所文昌衛星発射場[1]
打上げ機長征5号[1]
打上げ日時2020年7月23日4時41分15秒 (UTC)
軌道投入日2021年2月10日11時52分 (UTC)
軟着陸日2021年5月14日23時18分 (UTC)
本体寸法2.6 m × 3 m × 1.85 m(ローバー)
質量
5,000 kg (11,000 lb)
オービター: 3,175 kg (7,000 lb)
ローバー:240 kg (530 lb)
軌道要素
周回対象火星
軌道傾斜角 (i)11.8度
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中国が打ち上げ・着陸に成功した初の火星探査機である(2011年にロシア連邦に委託した「蛍火1号」打ち上げは失敗したため[4])。

概要

探査機は火星軌道を周回するオービター着陸船(ランダー)探査車マーズ・ローバー[2]から構成されている。探査機の名称の「天問」は戦国時代の詩人、屈原宇宙創造伝説などへの疑問をつづった天問』に由来し、真理を追究する精神を託した[5]。探査機の総質量は約5tで、周回機には各種カメラのほか、磁力計、地中探査レーダー、赤外線分光計、荷電粒子中性粒子センサーを搭載する。探査車の質量は約240kgで、太陽光で駆動し、航法や探査に使う各種カメラのほか、レーザー誘起ブレークダウン分光計、磁場検出器、地中レーダーなどを搭載[6]、約90火星日(約90地球)間稼働する予定で、地形や地質、気象の調査を予定している[2]。探査車は中国神話の祝融にちなんで「祝融号」と命名された[7]

発射

2020年7月23日、海南省文昌衛星発射場から長征5号ロケットで打ち上げられた[2]

探査車

探査活動の進捗

2021年

画像外部リンク
中国の火星探査車「祝融」が撮影した写真
中国の国家航天局(CNSA) 2021年7月9日公開
  • 2月5日、火星まで220万kmの地点にて、撮影した火星画像が公開された[8]
  • 2月10日20時頃 (CST)、火星周回軌道投入[9]
  • 5月14日23:18(UTC)、着陸船(ランダー)がユートピア平原の南部にある着陸予定地点に無事着陸した。ランダーと探査車「祝融」を積んだ大気圏突入カプセルが大気圏突入後、パラシュートを開き減速、逆噴射を経て、ランダーは予定地点にソフトランディングした[10][11]
  • 5月22日11時半過ぎ (JST)、探査車が着陸機を離れて火星表面での活動を開始。火星表面の探査はアメリカ合衆国に続いて2か国目[12]

2022年

画像外部リンク
火星探査機「天問1号」からの画像
中国の国家航天局(CNSA) 2022年1月1日公開
  • 1月1日、中国国家航天局は「天問1号」から送信された、周回機の一部、火星の北極冠、周回機と火星などの画像を公開した[13]
  • 3月7日、米国の「パーサヴィアランス(Perseverance)」火星探査車を撮影した[14]
  • 6月29日、火星への既定のリモートセンシング探査ミッションを完了[15]
  • 9月18日から22日まで開催された第73回国際宇宙会議(IAC)にて、「天問1号」は火星周回、着陸、巡視探査を1回の探査で実現したのは人類史上初として、「天問1号」のミッションチームが国際宇宙航行連盟(IAF)の2022年度「世界宇宙賞」を受賞、またすでに休眠状態にある「祝融号(Zhurong)」火星探査車は今年の12月に自主的に再起動する予定[16]

写真

脚注

関連項目

外部リンク