国際テニス殿堂

国際テニス殿堂(こくさいテニスでんどう、International Tennis Hall of Fame)は、テニスの歴史に名前を残した選手たちを記念するため、1954年アメリカロードアイランド州ニューポートに設立された、世界最大のテニス博物館である。設立者はニューポート出身の元テニス選手、ジェームズ・バン・アレン(James Van Alen, タイブレークの考案者としても知られる)である。

国際テニス殿堂の入居する「ニューポート・カジノ」(1880年)。現在も変わらない外見を残す。
現在の国際テニス殿堂

国際テニス殿堂の博物館は、ニューポート市に残る19世紀の社交クラブの建物「ニューポート・カジノ」に入居しており、7000点を超える名物品が展示され、長いテニスの歴史に触れることができる。殿堂内では、年間を通じて数々のイベントも催される。

殿堂入り選手のことを、英語の“Enshrinee”という語で呼ぶことからも分かるように、彼らはテニスの歴史に名前を刻んだ選手として、永遠に記憶されるべき人たちとして位置づけられている。第1回の国際テニス殿堂入り式典は1955年に行われ、第1回全米選手権の男子シングルス優勝者リチャード・シアーズを含む7名の選手が殿堂入りした。各年度の殿堂入り選手の選考にあたり、その時点ですでに物故した選手も含めてきた。例えばスザンヌ・ランランは、没後40年の1978年に殿堂入りしている。毎年の殿堂入り選手は、最近では3月頃に決定され、殿堂入り式典は7月のウィンブルドン選手権終了直後に開かれることが多い。

殿堂入りは「選手(Player)」のカテゴリーと「貢献した人物(Contributor)」のカテゴリーがあり、後者の例としてスウェーデン国王グスタフ5世が国内初のテニスクラブを設立した功績で殿堂入りしている。

2010年にはブラッド・パークス車いすテニス選手として初めて殿堂入りを果たした。

1960~70年代にダブルスで活躍したボブ・ヒューイット1992年に殿堂入りしたが、かつてコーチした教え子の女性に対する性的虐待疑惑が発覚し2012年にリストから除外された。

公式サイトでは「殿堂入り年代順」「アルファベット順」「国別」などで選手を探すことができる。サイト内の選手評伝は、バド・コリンズ執筆による「テニス百科事典」をもとにまとめられたものである。

殿堂入り人物

2021年現在、260人が殿堂入りしている。

殿堂入り人物
1955オリバー・キャンベルジョセフ・クラークジェームズ・ドワイトリチャード・シアーズヘンリー・スローカムマルコム・ホイットマンロバート・レン
1956ウィリアム・クローシャードワイト・フィリー・デービスウィリアム・ラーンドメイ・サットンホルコム・ウォードビールズ・ライト
1957メアリー・ブラウンヘイゼル・ホッチキス・ワイトマンモーリス・マクローリンリチャード・ノリス・ウィリアムズ
1958モード・バーガー=ウォラックモーラ・マロリービル・ジョンストンリンドレイ・マレー
1959ビル・チルデンヘレン・ウィルス・ムーディ
1960(なし)
1961フレッド・アレクサンダーマルコム・チェイスハロルド・ハケットフランシス・ハンタービンセント・リチャーズ
1962ジョン・ドエグヘレン・ジェイコブスエルスワース・バインズ
1963ウィルマー・アリソン、Julian Myrick、サラ・ポールフリージョン・バン・リン
1964George Adee、ドン・バッジジョージ・ロットアリス・マーブルフランク・シールズシドニー・ウッド
1965ポーリーン・ベッツエレン・ハンセルドン・マクニール、James Van Alen、ワトソン・ウォッシュバーン
1966ジョー・ハントフランク・パーカー、Theodore Pell、テッド・シュローダー
1967ルイーズ・ブラフマーガレット・オズボーン・デュポンボビー・リッグスビル・タルバート
1968モーリーン・コノリーアリソン・ダンジグパンチョ・ゴンザレスジャック・クレーマーエレオノラ・シアーズ
1969カール・ベアチャールズ・ガーランドドリス・ハートアーサー・ラーセンマリー・ワーグナー
1970シャーリー・フライクラレンス・グリフィン、Perry Jones、トニー・トラバート
1971アリシア・ギブソンエリザベス・ムーア、Arthur Nielsen、ビック・セイシャス
1972Bryan Grant、ガードナー・ムロイエリザベス・ライアン
1973ダーリーン・ハードジーン・マコアラステア・マーティン
1974ジュリエット・アトキンソンボブ・ファルケンバーグフレッド・ホビーバーサ・タウンゼント
1975Lawrence Baker、フレッド・ペリーエレン・ルーズベルト
1976ジャン・ボロトラジャック・ブルニョンマーベル・カーヒルアンリ・コシェルネ・ラコステディック・サビット
1977マニュエル・アロンソノーマン・ブルックスベティ・ナットールバッジ・パティーゴットフリート・フォン・クラム
1978マリア・ブエノピエール・エチュバステールハリー・ホップマンスザンヌ・ランランキャスリーン・マッケイン・ゴッドフリーアンソニー・ワイルディング
1979ジャック・クロフォード、Gladys Heldman、Al Laney、ラファエル・オスナフランク・セッジマンマーガレット・スミス・コート
1980ローレンス・ドハティーレジナルド・ドハティーグスタフ5世ルー・ホードケン・ローズウォール
1981ドロテア・ダグラス・チェンバース、William Ewing Hester、ロッド・レーバー、Mary Outerbridge
1982ロイ・エマーソン、William McChesney Martin、トム・ペティットランス・ティンゲイ
1983クラレンス・クラークロッティ・ドッドヤロスラフ・ドロブニーアーネスト・レンショーウィリアム・レンショー
1984ジョン・ブロムウィッチニール・フレーザーエイドリアン・クイストマニュエル・サンタナ、Pancho Segura
1985アーサー・アッシュ、David Gray、アン・ヘイドン=ジョーンズフレッド・ストール
1986チャック・マッキンリージョン・ニューカムニコラ・ピエトランジェリトニー・ローチドロシー・ラウンド、Ted Tinling
1987ビョルン・ボルグビリー・ジーン・キングアレックス・オルメドデニス・ラルストンスタン・スミス
1988イボンヌ・グーラゴング
1989ジェラルド・パターソンバージニア・ウェード
1990Joseph F. Cullman、ヤン・コデシュ
1991アシュレー・クーパーイリ・ナスターゼギリェルモ・ビラス
1992トレーシー・オースチン、Philippe Chatrier、フルー・マクミラン
1993Lamar Hunt、アンジェラ・モーティマー
1994バド・コリンズハナ・マンドリコワ
1995クリス・エバート
1996ロージー・カザルス、Dan Maskell
1997ヘンリー・オースチンレスリー・ターナーウォルター・クロプトン・ウィングフィールド
1998ジミー・コナーズ、Herman David
1999ジョン・マッケンローケン・マグレガー
2000マルコム・アンダーソン、Robert Kelleher、マルチナ・ナブラチロワ
2001イワン・レンドルメルビン・ローズ
2002パム・シュライバーマッツ・ビランデル
2003ボリス・ベッカーフランソワーズ・デュールナンシー・リッチー、Brian Tobin
2004ドロシー・バンディステファン・エドベリシュテフィ・グラフ
2005Earl Buchholz、ジム・クーリエヤニック・ノアヤナ・ノボトナ
2006ジャンニ・クレリッチアーサー・ゴアマリオン・ジョーンズ、Karel Koželuh、ハーバート・ローフォードシモーヌ・マチュー、Hans Nüsslein、パトリック・ラフターガブリエラ・サバティーニナンシー・ウィン・ボルトン
2007Russ Adams、スベン・デビッドソンピート・サンプラスアランチャ・サンチェス・ビカリオ
2008マイケル・チャン、Mark McCormack、Gene Scott
2009Donald Dell、アンドレス・ヒメノ、Robert Walter Johnson、モニカ・セレシュ
2010オーウェン・デビッドソンジジ・フェルナンデス、Derek Hardwick、ブラッド・パークストッド・ウッドブリッジマーク・ウッドフォードナターシャ・ズベレワ
2011アンドレ・アガシ、Peachy Kellmeyer
2012ジェニファー・カプリアティ、Mike Davies、グスタボ・クエルテンマニュエル・オランテスランディ・スノー
2013ダフネ・アクハーストジェームズ・アンダーソンウィルフレッド・バデリーブランチ・ビングリーシャーロット・クーパーテルマ・コイン・ロング、Cliff Drysdale、マルチナ・ヒンギスヒルデ・スパーリング、Charlie Pasarell、Ion Țiriac
2014John Barrett、Nick Bollettieri、Jane Brown Grimes、リンゼイ・ダベンポート、Chantal Vandierendonck
2015アメリ・モレスモデビッド・ホール、Nancy Jeffett
2016マラト・サフィンジュスティーヌ・エナンイボン・ペトラマーガレット・スクリブン
2017アンディ・ロディックキム・クライシュテルス、Monique Kalkman
2018ミヒャエル・シュティヒヘレナ・スコバ
2019エフゲニー・カフェルニコフ李娜マリー・ピエルス
2020ゴラン・イワニセビッチコンチタ・マルティネス
2021レイトン・ヒューイット、Dennis Van der Meer、オリジナル9

外部リンク