作品番号

作品番号(さくひんばんごう、: opus number)は、(クラシック音楽の)作曲家作曲した楽曲を1冊の楽譜として出版した際に付した連番号を指す。

英語圏では「Op.」、 ドイツ語フランス語などでは「op.」と略されることが多い。日本語では「作品○○」と呼ぶが、英語風に「オーパス○○」と呼ぶこともある。

改版などで2種類以上の版を区別するためには、番号に b (また a)などを付記する。

なお作品番号に似たものとして、学術的な整理番号作品目録番号)がある。後世の研究者が、出版に漏れた作曲なども含む全ての作品を研究し、作曲順に目録として纏め、整理番号を振ったものを指す。

概説

出版順の結果として、おおむね、作曲の若い順に付けられることになる。作曲家が自ら付ける場合もあるが、クラシック音楽の場合は、18世紀以降、出版された1冊の楽譜を単位として与えられることが一般的である。必ずしも作曲順ではなく、後人の混乱の元になることも多い。

交響曲など大曲は1曲で1冊の楽譜となるため、ひとつの作品番号を与えられるが、ピアノ小品(たとえばショパン練習曲)などは1冊に複数の曲が収録されるため、個々の曲は「作品25-1」「作品25の1」「作品25 第1番」「Op. 25 No. 1」など様々に表記される。同じ理由などにより、最初の作品が出版されるより前に作曲された作品には付番されないこともある。没後に出版された曲には「遺作 : opus postumus: opus posthumous」という表記が与えられることもある。欧文では「op.」や「No.」または学術的な整理番号と数字の間には半角スペースを入れるのが通常である。

作品番号 (Op.) をもつ作曲家一覧

作品番号 (Op.) をもたない作曲家一覧

一部の作品に作品番号 (Op.) をもつ作曲家一覧

学術的な整理番号(作品目録番号)

作品番号がない、または欠落が多い作曲家などの場合、学術的な整理番号(作品目録番号)をそれに代えて用いることがある。シューベルトやドヴォルザークなど、通常の作品番号を持っている作品にも付けられていることがある。また、生前未出版の作品には、「作品番号なし」を意味するドイツ語Werke ohne Opuszahlを略した「WoO」を用いることがある。

ドメニコ・スカルラッティカークパトリック番号 (K.)、ロンゴ番号 (L.) は、チェンバロソナタに付けられた番号)

学術的な整理番号のある作曲家一覧

作曲者作品番号備考
ジョン・ダウランドPリュート曲のみ付けられる番号
ハインリヒ・シュッツSWVウェルナー・ビッティンガーによる作品目録の番号
クラウディオ・モンテヴェルディSVManfred H. Stattkusによる作品目録
ディートリヒ・ブクステフーデBuxWVゲオルク・カールシュテットによる作品目録
マルカントワーヌ・シャルパンティエHヒュー・ウィリー・ヒチコックによる作品番号
ボフスラフ・マルティヌーHハリー・ハルプライヒによる作品番号
ジャン=バティスト・リュリLWVハンス・シュナイダーによる作品目録
トマゾ・アルビノーニSi
Co
So
Mi
マイケル・トールボットによる作品番号なしの目録
ルイジ・ボッケリーニGイーヴ・ジェラールによる作品目録番号
ヘンリー・パーセルZフランクリン・B・ツィンマーマン
アルカンジェロ・コレッリMCハンス・ヨアヒム・マックスによる作品目録
クリストフ・ヴィリバルト・グルックWqアルフレッド・ヴォトケンヌによる作品目録番号
ドメニコ・スカルラッティK
L
ラルフ・カークパトリックによる作品目録番号
アレッサンドロ・ロンゴによる作品目録番号
ヨハン・ゼバスティアン・バッハBWVバッハ作品主題目録番号。シュミーダーによる作品目録番号
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハWq
H
アルフレッド・ヴォトケンヌによる作品目録番号
ユージン・ヘルムによる作品目録番号
ヨハン・クリスティアン・バッハWアーネスト・ウォーバートンによる作品番号
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハFマルティン・ファルクによる作品目録番号
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルHWVヘンデル作品主題目録番号。バーゼルトによる作品目録番号
アントニオ・ヴィヴァルディRV
P
F
ペーター・リオムによるリオム番号
マルク・パンシェルルによるパンシェルル番号
アントニオ・ファンナによるファンナ番号
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトKルートヴィヒ・フォン・ケッヘルによるケッヘル番号
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンHess
Biamonti
ヴィリー・ヘスによるヘス番号
ジョヴァンニ・ビアモンティによるビアモンティ番号
フランツ・ヨーゼフ・ハイドンHobアントニー・ヴァン・ホーボーケンによるホーボーケン番号
ミヒャエル・ハイドンMH
P
チャールズ・H・シャーマンとT・ドンリー・トーマスによる作品番号
ローター・ペルガーによる作品番号
フェリックス・メンデルスゾーンMWVラルフ・ヴェーナーによる作品番号
フランツ・シューベルトDオットー・エーリッヒ・ドイッチュによるドイチュ番号
カール・マリア・フォン・ウェーバーJフリードリヒ・ヴィルヘルム・イェーンスによるイェーンス番号
エクトル・ベルリオーズHD.Kern Holomanによる作品番号
フレデリック・フランソワ・ショパンKK
BI
クリスティナ・コビラニスカによる作品番号
モーリス・ブラウンによる作品番号
フランツ・リストS
R
LW
ハンフリー・サールによるサール番号
ペーター・ラーベによるラーベ番号
レナ・チャーニン・ミュラーとマリア・エッカートによる作品番号
リヒャルト・ワーグナーWWVジョン・デスリッジによる作品番号
セザール・フランクFWV[注釈 2]ヴィルヘルム・モーアによる作品番号
アントン・ブルックナーWABレナート・グラスベルガーによる作品目録
リヒャルト・シュトラウスAVミュラー・フォン・アゾフによる作品目録
アントニン・ドヴォルザークBヤルミル・ブルクハウザーによる作品目録
エドヴァルド・グリーグEG
バルトーク・ベーラSz
BB
DD
セールレーシ・アンドラーシュによる作品番号
ラースロー・ショムファイによる作品番号
デニス・ディーレによる作品番号
アルテュール・オネゲルHハリー・ハルブライヒによる作品目録
グスターヴ・ホルストH
フレデリック・ディーリアスRTR.Threlfallによる作品目録
イサーク・アルベニスB
チャールズ・アイヴズKジョン・カークパトリックによる作品目録の番号
ニコロ・パガニーニMSマリア・ローサ・モレッティとアンナ・ソレントによる作品目録
フーゴ・ヴォルフWエリック・ウェルバによる作品目録
エンリケ・グラナドスHカルロ・A・ヘスによる作品目録
マヌエル・デ・ファリャGアントニオ・ギャレゴによる作品目録
カール・ニールセンFSダン・フォスとトーベン・スコウスボーによる作品目録
フランシス・プーランクFPカール・B・シュミットによる作品目録
クロード・ドビュッシーL
CD
フランソワ・ルシュールによる作品番号
オットリーノ・レスピーギPポティート・ペダッラによる作品目録
イーゴリ・ストラヴィンスキーK
HH
CC
W
ヘルムート・キルヒマイヤーによる作品番号
ハリー・ハルブライヒによる作品番号
クリフォード・シーザーによる作品番号
エリック・ウォルター・ホワイトによる作品番号
セルゲイ・ラフマニノフTN作品番号のない作品につけられる番号
ゲオルク・フィリップ・テレマンTWV
TVWV
Martin Ruhnkeによる器楽作品目録
Werner Menkeによる声楽作品目録
モーリス・ラヴェルMマルセル・マルナによる作品目録

音楽以外の作品番号

音楽以外においても、同一の作者・編さん者による作品群に、番号が振られ管理される場合がある。著名なものではグリム童話グリム童話の一覧も参照)、藤子・F・不二雄のSF短編藤子・F・不二雄のSF短編一覧も参照)などが挙げられる。

脚注

注釈