中部電力

愛知県名古屋市にある電力会社

中部電力株式会社(ちゅうぶでんりょく、: Chubu Electric Power Company,Incorporated)は、愛知県名古屋市に本店を置く電力会社である。日経平均株価の構成銘柄の一つ[3][4]

中部電力株式会社
Chubu Electric Power Company,Incorporated
中部電力本店ビル
種類株式会社
機関設計監査役会設置会社[1]
市場情報
大証1部(廃止) 9502
2013年7月12日上場廃止
略称中電、中部電
本店所在地日本の旗 日本
461-8680
愛知県名古屋市東区東新町1番地
設立1951年昭和26年)5月1日
業種電気・ガス業
法人番号3180001017428 ウィキデータを編集
事業内容電気事業、電気機械器具の製造・販売、熱供給事業他
代表者勝野哲代表取締役会長
林欣吾(代表取締役社長兼社長執行役員
水谷仁(代表取締役兼副社長執行役員 )
資本金4307億7736万円
(2024年3月31日現在)[2]
発行済株式総数7億5800万株
(2024年3月31日現在)[2]
売上高連結:3兆6104億14百万円
(2024年3月期)[2]
営業利益連結:3433億39百万円
(2024年3月期)[2]
経常利益連結:5092億95百万円
(2024年3月期)[2]
純利益連結:4031億40百万円
(2024年3月期)[2]
純資産連結:2兆6950億71百万円
(2024年3月31日現在)[2]
総資産連結:7兆1086億17百万円
(2024年3月31日現在)[2]
従業員数連結:28,374人
単体:3,180人
(2024年3月31日現在)[2]
決算期3月31日
会計監査人有限責任あずさ監査法人
主要株主明治安田生命保険相互会社 4.69%
(2024年3月31日現在)
主要子会社中部電力パワーグリッド 100%
中部電力ミライズ 100%
トーエネック 51.9%
JERA 50%
関係する人物福澤桃介
加藤乙三郎(元社長)
田中精一(元社長)
松永亀三郎(元社長)
川口文夫(元社長)
三田敏雄(元社長)
林政義(元副社長)
宮池克人(元副社長)
畔柳昇(元副社長)
清水成信(元副社長)
外部リンクhttps://www.chuden.co.jp/
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略称は中電(ちゅうでん)であり、一般に中部地方で「中電」と言えば、中部電力を指す。日本の中国地方に本店を置く中国電力[注釈 1]も、当該地域では通称で「中電」と言われているため、両者の混同を防止するために、株式市場では中部電力は「中部電」、中国電力は「中国電」と呼ばれている。

名古屋財界の有力企業御三家、かつての摂家の一社[注釈 2]中部経済連合会会長を度々輩出している[5]

沿革

中部電力ロゴ(2007-2020)
  • 2007年(平成19年) - 1988年に採用されたシンボルマーク・社名ロゴをマイナーチェンジ(カラーリングと角度を変更)。株式公開買付け(TOB)によりトーエネックを連結子会社にする。
  • 2008年(平成20年) - 中部電力初の1,500℃級コンバインドサイクル発電(MACC)を採用した新名古屋火力発電所8号系列が運転開始。
  • 2009年(平成21年) - 子会社の東邦石油株式会社を吸収合併。一般顧客向けの営業受付電話番号がフリーコールとなる(番号は各営業所で異なる)。
  • 2010年(平成22年) - 御前崎風力発電所が営業運転開始。
  • 2011年(平成23年)
  • 2012年(平成24年)
    • 4月1日 - 子会社のシーエナジーが同じく子会社のエル・エヌ・ジー中部を吸収合併[8]
    • 7月1日 - 中部電力初の多軸型1,300℃級ACCを採用した上越火力発電所1-1号系列が運転開始。
  • 2013年(平成25年)
  • 2014年(平成26年)
  • 2015年(平成27年)
    • 1月15日 - 太陽光発電所メガソーラーしみず営業運転開始[15]
    • 4月1日 - 三重県より長水力発電所、宮川第三水力発電所(不動谷ダム)、三瀬谷水力発電所(三瀬谷ダム)、大和谷水力発電所、青田水力発電所を譲り受け[16]
    • 4月30日 - 東京電力と共同で火力発電会社「JERA」を設立[17]
  • 2017年(平成29年)9月29日 - 西名古屋火力発電所7-1号機が運転開始。
  • 2018年(平成30年)
    • 3月27日 - 西名古屋火力発電所7-1号機が世界最高効率のコンバインドサイクル発電設備としてギネス世界記録認定(発電効率63.08%を達成)。
    • 3月30日 - 西名古屋火力発電所7-2号機が運転開始。
    • 9月7日 - 日本エスコンを資本業務提携により持分法適用関連会社化[18]
  • 2020年(令和2年)
    • 3月24日 - 名城大学産学連携協定を締結[19]
    • 3月25日 - 三菱商事と共同でのオランダのエネルギー企業「エネコ」買収を発表[20]
    • 4月1日 - 同社の送配電事業部門が法的な発送電分離の措置により「中部電力パワーグリッド株式会社」に、電力・ガスの販売事業部門が「中部電力ミライズ株式会社」にそれぞれ分社化された。そのことによりグループ全体の持株会社、および発電事業を行う事業持株会社となり、併せてシンボルマークも変更された[21]
    • 9月28日 - かねてより資本業務提携していたメディカルデータカードを子会社化[22]
  • 2021年(令和3年)
  • 2024年(令和6年)1月 - 株式会社ジェネックス、株式会社ジェネックスパートナーズおよび株式会社日本エネルギーネクストの全株式を取得し子会社化[26]

歴代社長

代数氏名在任期間出身校
1井上五郎1951年 - 1961年東京帝国大学工学部
2横山通夫1961年 - 1969年慶應義塾大学
3加藤乙三郎1969年 - 1977年法政大学経済学部
4田中精一1977年 - 1985年慶應義塾大学法学部
5松永亀三郎1985年 - 1991年関西学院高等商業学校
6安部浩平1991年 - 1995年京都大学
7太田宏次1995年6月 - 2001年6月東京大学工学部
8川口文夫2001年6月 - 2006年6月早稲田大学第一商学部
9三田敏雄2006年6月 - 2010年6月成蹊大学工学部
10水野明久2010年6月 - 2015年6月東京大学大学院工学系研究科
11勝野哲2015年6月 - 2020年3月慶應義塾大学工学部
12林欣吾2020年4月 - 現職京都大学法学部

営業地域

愛知県、岐阜県長野県静岡県富士川以西)、三重県の一部、関東地方近畿地方などで電力小売事業や、発電事業を行なっている。

発電施設

合計 211箇所、3313万8330kW(2016年度時点)[27]

  • 総出力には長期計画停止中、定期点検中の号機を含む。廃止された号機、建設中の号機は含まない。

水力発電所

196か所の発電所 出力545万180kW

奥美濃発電所
上大須ダム
  • 主な水力発電所(5万kW以上の発電所)[28]
発電所名水系名方式総出力所在地
畑薙第一発電所大井川ダム式(揚水式8.6万kW静岡県静岡市葵区
畑薙第二発電所ダム水路式8.66万kW静岡県静岡市葵区
井川発電所ダム式6.2万kW静岡県静岡市葵区
奥泉発電所ダム水路式9.2万kW静岡県静岡市葵区
大井川発電所ダム水路式6.82万kW静岡県榛原郡川根本町
川口発電所ダム水路式5.8万kW静岡県榛原郡川根本町
泰阜発電所天竜川ダム水路式5.25万kW長野県下伊那郡泰阜村
平岡発電所ダム水路式10.1万kW長野県下伊那郡天龍村
奥矢作第一発電所矢作川ダム水路式(揚水式)32.3万kW愛知県豊田市
奥矢作第二発電所ダム水路式(揚水式)78万kW愛知県豊田市
矢作第一発電所ダム式6.12万kW愛知県豊田市
高根第一発電所木曽川ダム式(揚水式)34万kW岐阜県高山市
馬瀬川第一発電所ダム式(揚水式)28.8万kW岐阜県下呂市
馬瀬川第二発電所ダム式6.64万kW岐阜県下呂市
新上麻生発電所ダム水路式6.14万kW岐阜県加茂郡七宗町
奥美濃発電所ダム式(揚水式)150万kW岐阜県本巣市
横山発電所ダム式7万kW岐阜県揖斐郡揖斐川町
徳山発電所揖斐川ダム水路式16.19万kW岐阜県揖斐郡揖斐川町
  • 中部電力で最古、最小の水力発電所
発電所名水系名方式総出力所在地
岩津発電所矢作川水路式140kW愛知県岡崎市

火力発電所

2019年4月1日付でJERAに継承したため、自社では所有していない。

内燃力発電所

1箇所、400kW

発電所名使用燃料総出力所在地備考
神島発電所重油400kW三重県鳥羽市内燃力発電方式。

原子力発電所

1箇所、361万7000kW[29]

発電所名原子炉型式総出力号機出力運転開始所在地備考
浜岡原子力発電所沸騰水型軽水炉
改良型沸騰水型軽水炉
361.7万kW3号機
4号機
5号機
110万kW
113.7万kW
138万kW
1987年8月28日
1993年9月3日
2005年1月18日
静岡県御前崎市1・2号機は2009年1月30日に運転終了。
3~5号機は2011年5月14日以後運転停止中。
6号機(138万kW)計画中。

新エネルギー

4箇所、3万6750kW[30]

発電所名方式総出力運転開始所在地備考
御前崎風力発電所風力発電2.2万kW3基:2010年2月19日
8基:2011年1月28日
静岡県御前崎市
メガソーラーいいだ太陽光発電0.1万kW2011年1月28日長野県飯田市
メガソーラーしみず太陽光発電0.8万kW2015年1月15日静岡県静岡市清水区
メガソーラーかわごえ太陽光発電0.75万kW2017年5月31日三重県三重郡川越町メガソーラーたけとよを移設。

関連会社運営

発電所名方式総出力運転開始所在地運営会社
ウインドパーク久居榊原風力発電3,000kW1999年2月[注釈 3]三重県津市シーテック
ウインドパーク美里風力発電16,000kW2006年2月三重県津市シーテック
ウインドパーク笠取風力発電38,000kW第1期 2010年2月(10基)
第2期 2010年12月(9基)
三重県津市、伊賀市シーテック
ソーラーファームとよはし太陽光発電1,000kW2013年3月愛知県豊橋市シーテック
浜松・浜名湖太陽光発電所太陽光発電1,990kW2013年7月静岡県浜松市中央区シーテック
ソーラーパークひちそう太陽光発電1,000kW2013年10月岐阜県七宗町シーテック
ソーラーパークしまだ太陽光発電1,500kW2014年1月静岡県島田市シーテック
ソーラーパークかいづ太陽光発電1,990kW2014年2月岐阜県海津市シーテック
ソーラーパークすずか太陽光発電1,500kW2014年2月三重県鈴鹿市シーテック
ソーラーパークおとわ太陽光発電1,000kW2014年10月愛知県豊川市シーテック
ソーラーパークしおみ太陽光発電1,250kW2014年10月愛知県名古屋市港区シーテック
ソーラーパーク新舞子太陽光発電9,020kW2015年10月愛知県知多市シーテック

過去および建設中止された発電施設

火力発電所

発電所名使用燃料総出力廃止時期所在地
尾鷲三田火力発電所重油、原油125万kW2018年三重県尾鷲市
新清水火力発電所重油、軽油15.6万kW2004年静岡県清水市
三重火力発電所重油34.1万kW1989年三重県四日市市

原子力発電所

発電所名原子炉型式総出力廃止時期所在地備考
芦浜原子力発電所計画中止三重県度会郡南伊勢町大紀町2000年計画中止。
珠洲原子力発電所計画中止石川県珠洲市2003年計画凍結。北陸電力および関西電力との共同運営が予定されていた。

電源調達入札制度について

  • 1995年(平成7年)の電気事業制度改革において電源調達入札制度が創設され、卸供給事業者(IPP・独立系発電事業者)4社と供給契約を結んでいる[31]

4箇所、69万6100kW

卸供給事業者契約電力供給開始所在地
明海発電(豊橋発電所)13.5万kW2000年4月愛知県豊橋市
中山共同発電(名古屋発電所13.55万kW2000年4月愛知県知多郡武豊町
出光興産(愛知製油所)22.56万kW2004年7月愛知県知多市
コスモ石油(四日市霞発電所)20万kW2003年7月三重県四日市市
  • 事業者名はいずれも契約当時。

見学施設

※以下の3施設については2019年4月1日に火力発電所と共にJERAが承継している。

関係会社

エネルギー事業

情報通信業

建設業

製造業

  • 中部精機株式会社
  • 愛知電機株式会社
  • 東海コンクリート工業株式会社
  • 愛知金属工業株式会社

運輸業

不動産業

サービス業等

  • 中電興業株式会社
  • 中電配電サポート株式会社
  • 株式会社中電オートリース
  • 中電防災株式会社
  • 中部冷熱株式会社
  • 株式会社テクノ中部
  • 中部住宅保証株式会社
  • 中電ウイング株式会社
  • (一財)中部電気保安協会
  • Chubu Electric Power Company International B.V. (CEPC0I)
  • 中電ビジネスサポート株式会社
  • 東邦産業株式会社
  • 知多桟橋管理株式会社
  • 愛知衣浦バイオ株式会社
  • (同)充電網整備推進機構
  • e-暮らし株式会社(サンヨーホームズとの合弁会社

子会社からの出資会社

  • 霞桟橋管理株式会社
  • 株式会社リブネット
  • 中部液酸株式会社
  • 知多炭酸株式会社
  • 日本マレニット株式会社
  • ネットワークサポートサービス株式会社
  • 株式会社御前崎ケーブルテレビ
  • 株式会社武豊ニューテレビ
  • 株式会社エスエナジーサービス
  • Chubu Electric Power (Thailand) Co., Ltd.

歴代キャッチフレーズ

初代社章とキャッチフレーズ
社章は中部地方を図案化したもので「亀マーク」と呼ばれた
  • みなさまの中部電力(創立時?-1987年)
  • 未来へ スイッチオン(1987年-1996年)
  • TRY NEXT(1996年-2003年)
  • Along the New Way(2003年-2007年)
  • ON!(2009年-2010年)
  • 時代の先へ。ひとりのそばへ。 (2011年-2020年)
  • むすぶ。ひらく。 (2020年-)

広告活動

CM出演者

過去

歌のみ

提供番組

  • 他の電力会社と同じく、エリア内の有力スポンサーである。
  • かつてラジオで天気予報を提供した際には、その時々の社歌がBGMとして流れるケースが多かった。CIまではピアノバージョンだった。天気予報の中には「海のお天気」(東海ラジオ)もあった。
  • 同一県内に複数社がエリア展開している静岡県や、東京電力の発電所及び電力体験館(PR館)がある長野県では他社(東京電力)との共同提供や共同制作CMの放送なども行っている。ちなみに、静岡県での共同制作CMは「夏場の節電啓蒙キャンペーン」など共通テーマで放送できるものに限られており、頻度は元々少なかったが最近は共通テーマであってももっぱら東京電力と中部電力双方の独自CMの放送がされることが多い。また、木曽川水系に水力発電所を保有している関係から、東海三県のみ夏季には関西電力と共同でダム放流注意を促すラジオCMが流されていた。現在では関西電力独自のCMが流されている。加えて2010年からは、民放のBSデジタル放送において、同社が提供している番組が放送されており、全国での視聴が可能となっている。
  • 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)に伴う影響から下記の番組での中部電力の番組提供を見合わせたため(番組によっては休止しているものがある)、CMが全てACジャパンのものに差し替えられた。その後、同年5月の浜岡原子力発電所の停止[注釈 4] の影響に伴い、同年の夏場と、同年末から2012年春までは、同社からの節電のお願いを伝える社告形式のCMが放送されていた。
  • 他に「時代の先へ。ひとりのそばへ。」のコーポレートスローガンを伝える、企業イメージCMなども放映されている。また、2013年度からは『安心チェック でんきとくらし』というタイトルで電気の安全使用などを呼び掛けるCMを放送している。

2017年4月時点での提供番組

過去

不祥事

天下り問題

福島第一原子力発電所事故以降、経済産業省と電力会社の天下り問題が監督官庁である経産省の原子力発電所の安全基準のチェックを甘くさせる構造として批判が集まった。

知事候補者らへの裏金

2004年までの約20年間にわたり、東海4県の知事候補者らに対し、政界対策のため同社から裏金が多数渡されていたことが、2014年までに判明した[35]

カルテル

  • 2022年12月1日、企業向け電力販売を巡る大手電力のカルテル問題で、公正取引委員会から独占禁止法に基づき275億円の課徴金納付を命じる処分案の通知を受け取ったと発表し[36]、2023年3月30日、公正取引委員会から約275億円の課徴金納付命令を受けた[37]。中部電力はこの措置を不服とし、処分取り消しを求め提訴する方針[38]。同年7月14日、子会社の中部電力ミライズなど5社が経済産業省から電気事業法に基づく業務改善命令を受けた[39]
  • 2024年3月4日、大口顧客向けのガス契約で受注調整したとして中部電力ミライズと共に公正取引委員会から両社に計2678万円の課徴金納付を命じられた[40]。5日、経済産業省は2社と東邦ガスに対し補助金の交付や同省が公募する事業での指名を半年間停止した[41]

備考

  • スポーツでは、ボート競技に力を入れており、国民体育大会に数名出場するほか、オリンピックに出場した社員もいる。また、中部電力ラグビー部は、2015年現在地域リーグトップウェスト」に所属している。2008年(平成20年)からは名古屋グランパスのユニフォームスポンサーになっている。2008年(平成20年)にはナゴヤドームに看板広告を拠出していたが、わずか1年で撤退した。しかし、2010年(平成22年)からまた復活した。カーリング部は、2011年~2014年に日本選手権を4連覇し、2017年、2019年にも優勝している。
  • マスコットキャラクターは、家庭向けWEB会員サービス「カテエネ」内にいる「カテエネコ」。他に一部の展示館それぞれにマスコットが存在したり、小学生向けパンフレット「エルゴン」内に独自のキャラクター「たまゴン」が存在する。過去に、マスコットキャラクターとして「おはよう君」「ゆらら」「怪獣君(ヒーラン)」などがいた。
  • 2021年6月29日、将棋叡王戦を協賛することが発表された[24]

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク