一日署長

一日に限り署長に起用する署のPRイベント
一日警察署長から転送)

一日署長(いちにちしょちょう)とは、警察署消防署税務署など署を称する機関が芸能人著名人スポーツ選手マスコットキャラクター動物などを一日に限り署長に起用する署のPRイベントである。

桜井警察署の「一日署長」を受嘱する吉田桃華(左)(2018年9月21日奈良県桜井市にて)
海上自衛隊自衛艦隊護衛艦隊第一護衛隊群第一護衛隊の「一日隊司令」を受嘱した上坂すみれ(2019年10月6日、神奈川県横浜市にて)

一日警察署長

警察の一日署長は一般的に特別運動活動の一環として行われ、「防犯」・「交通安全」などをPRする目的で行われる。

ただし、一日警察署長イベントを行う予定があってもその直前に所轄管内で大きな事件が起きると、捜査に集中するため、一日署長イベントを中止することがある。

一日警察署長イベントは基本的に当該署が企画立案を行い、イベント自体も管内で行われるので、地域性が高いイベントになる。しかし、警視庁など警察本部主導で行われることもあり、その場合には警察本部の総務部や警務部が担当する。

類似のものとして、毎年1月10日に「110番の日」として各地の警察本部で110番による通報の処理を担当する通信指令部門の「一日○○(組織の責任者、本部長や室長など)」の任命がある。通信指令部門の場合は110番のPRということになる。また、稀に警察署の上部組織である方面本部で「一日方面本部長」が任命されることもあるが、警察本部レベルでの一日所属長(警視総監・警察本部長)イベントは行なわれていない。

なお、フィクション作品において、一日警察署長に任命された人物がその日発生した事件対応の指揮を執ったり被疑者を(私人現行犯逮捕以外の方法で)逮捕するなどの描写がみられるが、一日警察署長には警察官としての司法警察権は与えられず、任命されている間も本来の署長が解任されずに署長業務を行っているため、そのような事態は起こりえない。

主な活動

一日警察署長となる者は署長室で行う一日署長任命式に出席し、任命証を受け取って、正式に一日署長任命される(任命者は本来の署長であることが多い)。

実際の各署の署長人事は上部機関で人選、任命される。警察の場合は警察本部が人選、任命ということになり、警察署の署長室で任命式を行うことはない。

任命後、一日警察署長は礼式(挙手の敬礼の仕方)の指導などを受け、下記のような活動を行う。

  • 歓迎パレードや交通安全パレードに参加
  • 署内巡察と署員への訓示
  • 管内や署内を巡回して地域住民や署員と交流、PR活動(一日署長によるスピーチを行うこともある)
  • 特別運動活動関係のコンクール(作文や標語)の表彰式への参加(賞状や記念品を手渡すこともある)
    • 他に警視総監賞授与式に出席し、表彰されるケースもある。
  • 記者が来ている場合は記者会見を行うこともある。

一日署長として活動中は基本的に制服を着用しており、公式行事には制服(飾り肩章と飾緒の付いた礼服、周章に細い金線2本付いた上級幹部用制帽)姿で出席する。ただし、力士などのように大柄な人物が一日署長に任命された場合、サイズが合う制服がないので、本人の正装(力士であれば紋付雪駄)で代用する場合がある[注 1]

被任命者の主な特徴

  • 起用されるのは主に芸能人やスポーツ選手である。グループアイドルの場合はメンバー全員がなる事もある[注 2]
  • 警察の広報活動なので、犯罪歴(前科)のある芸能人はいくら有名だろうと原則として起用しない(また、消防署・税務署でも起用されにくい)。
  • 全員ではないが、俳優の場合、刑事ドラマ警察官役を演じた人物が起用されやすい傾向にある。
  • 警察や自衛隊の場合、一日に限り「階級」が交付される。
    • 階級は必ずしも当該署長と同じではなく、まれに警部など本来署長職が有り得ない階級で一日署長を務めることもあるため、身分上は一日に限り警察官ということになる。自衛隊においては駐屯地(基地)司令と同一若しくは下位の階級が付与され、実際に着用する制服や戦闘服も当該の階級章が取り付けられている(但し戦闘服においては本来縫い付ける物を予備自衛官用・広報用などに保管している戦闘服に脱着の手間を省くため両面テープによる固定が殆ど)。

今までの主な一日署長

動物による一日警察署長

  • フンボルペンギン(下田海中水族館) 下田警察署[73]
  • 猫 富山南警察署[74]

一日警察署長をテーマにした映画

罪とか罰とか』(2008年)

脚注

注釈

出典

関連項目