ムハッラム

ムハッラムアラビア語:مُحَرَّم)はヒジュラ暦における一番目の月の名称。次の月はサファル月。また、この月名から転じて、当月最初の10日間に行われる宗教行事(後述)を指す場合もある。

解説

アラビア語において「禁止」を意味する語根「حرم」(Ḥ-R-M、イフラームハラームハリームなどと同じ語根)に由来しており、この月の間における争いごとは宗教的に禁じられている。そのためラマダーンに次いで神聖な月とされ、ムスリムの中にはムハッラム月の期間中に断食を行う者もいる(なお、ヒジュラ暦の一年間において争いの禁じられた聖なる月は、上述のラマダーン、他にラジャブとズー=ル=カアダを加えて合計4回ある)。ヒジュラ暦は完全な太陰暦であるため、グレゴリオ暦の日付を基準に見た場合、毎年11日ほど早まっていく。

ムハッラム月の10日目は「ヤウム・アル=アーシューラー(「10番目の日」の意)」ないし単に「アーシューラー」と呼ばれ、断食贖罪の日とされているが、この日はイマーム・フセインの殉教日でもあることから、とくにシーア派の信徒の間で熱心に宗教行事が行われている。このフサインの死を追悼する殉教祭をさして「ムハッラム」と言う場合もある。

また、断食の方法や期日など細かい点が宗派により異なるが、この期間に(ラマダーン期間中のように宗教的義務というわけではなく)自発的な断食が行われる。シーア派の主な宗派の信徒の間では10日目、日の出から日没までの飲食を控える断食が行われる。スンナ派の信徒の間では9日目もしくは10日目に断食が行われ、いずれの日に行うかは各信徒の裁量に委ねられている。

ムハッラムの日付

イスラム暦には置閏法がいくつかあるが、ここでは年を30で割った余りが2,5,7,10,13,16,18,21,24,26,29となる年を閏年としている。

ムハッラムの日付
ヒジュラ(イスラム)暦開始終了
1433年2011年11月26日日没2011年12月26日日没
1434年2012年11月14日日没2012年12月14日日没
1435年2013年11月4日日没2013年12月4日日没
1436年2014年10月24日日没2014年11月23日日没
1437年2015年10月14日日没2015年11月13日日没
1438年2016年10月2日日没2016年11月1日日没
1439年2017年9月21日日没2017年10月21日日没
1440年2018年9月11日日没2018年10月11日日没
1441年2019年8月31日日没2019年9月30日日没
1442年2020年8月20日日没2020年9月17日日没
1443年2021年8月9日日没2021年9月7日日没
1444年2022年7月30日日没2022年8月27日日没
1445年2023年7月19日日没2023年8月16日日没
1446年2024年7月7日日没2024年8月4日日没

関連項目

外部リンク