ミロドン

ミロドン (Mylodon) は、絶滅した地上性ナマケモノの一種であり、約1万年前に南アメリカのパタゴニア地域に生息していた。

ミロドン
ベルリンフンボルト博物館に展示される下顎の化石
分類
ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:有毛目 Pilosa
:†ミロドン科 Mylodontidae
亜科:†ミロドン亜科 Mylodontidae
:ミロドン属
Mylodon Owen, 1839[1]
:ミロドン M. darwini
学名
Mylodon darwini Owen, 1839[1]

分類

ベルリンのフンボルト博物館に展示される毛と皮膚

ミロドンの近縁の属には、同じ地上性ナマケモノであるグロッソテリウムとパラミロドンがある。後者はしばしばグロッソテリウムと混同されるが、更新世の北アメリカのみに限定された独立した属である[2]。グロッソテリウムもまた長い間ミロドンと混同されてきており、現在知られている種は、Mylodon darwiniiのみである。一時、象ほどの大きさのメガテリウムも近縁であると考えられてきたが、現在は別のメガテリウム科に属すると考えられている。

概要

ミロドンの重量は約1,000kgで[3]、後ろ足で立ち上がると体高は3mに達する。厚い皮と皮骨(w:osteoderm)を持ち、鎧のようになっている。この鎧と長く鋭い爪のため、尖頭器でなんとか皮を剥ぐことが可能な人間以外に天敵はいなかったと考えられている。

純古生物学

1896年に化石が発見された場所に立つモニュメント

古環境と糞の化石から、ミロドンは伝統的に開放地で草食をしていたと考えられてきた。しかし、生物力学や機能形態学に基づく最近の研究で、ミロドンは雑食または選択食であり、またその生息地から様々な食物を選んで食べていることが示唆された。

アルゼンチンやチリで発見された様々な種から、ミロドンは広範な気候及び環境に対する耐性を持っていたことが示唆されている。恐らく乾燥帯や半乾燥帯、冷帯、湿潤帯、温帯、低山帯等の様々な気候帯で生息することが可能であったと考えられている[4]

発見

ロンドン自然史博物館に展示される足の爪、糞、皮膚

皮や糞が様々な場所で見つかり、当初は絶滅種ではなく現存種であると考えられていた。

ミロドンという属名は、ビーグル号での探検中にバイアブランカ礫岩の崖でチャールズ・ダーウィンが発見したほぼ完全な下顎と歯の化石を基にリチャード・オーウェンが名付けた[5]

保存状態の良いミロドンの化石サンプルは、チリのセロ・ベニテス北面にあるミロドンの洞窟で1896年に発見された。一緒に発見された他の動物の骨等から、このミロドンの化石は紀元前1万年より前のものであると推定された[6]

皮膚や糞の新鮮に見えるサンプルの発見により、20世紀初頭にこの動物の生きた個体を探索することが試みられた[7]。サンプルは1万年程度も前のものだったが、発見された洞窟が非常に寒く安定した条件であったため、新鮮であるように見えた。

出典