ペントースリン酸経路

ペントースリン酸経路(ペントースリンさんけいろ、: pentose phosphate pathway: PPP)は、解糖系グルコース-6-リン酸から出発して、同じく解糖系のグリセルアルデヒド-3-リン酸へとつながる経路で、NADPHや、デオキシリボースリボースといった核酸生合成に不可欠なを含む各種ペントースの産生に関与する。また、NADPHの供給源として脂質の生産にも関与している。ペントースリン酸経路によって、1分子のグルコース-6-リン酸から1分子のCO2と2分子のNADPHが生成される。肝臓脂肪組織精巣副腎皮質、授乳期の乳腺においてペントースリン酸経路の活性は高い。

ペントースリン酸経路

経路の呼称

解糖系から分岐した経路と見なしてペントースリン酸分岐路とも呼ばれたり、解糖系の一部とあわせて回路を形成していることからペントースリン酸回路とも呼ばれたりする。光合成における還元的ペントースリン酸経路に対し、酸化的ペントースリン酸経路と呼ばれることもある。また、ヘキソース一リン酸経路 (Hexose Monophosphate Pathway: HMP)、ホスホグルコン酸経路 (Phosphogluconic Acid Pathway)、ペントース経路 (Pentose Pathway) あるいはワールブルク・ディケンズ経路 (Warburg-Dickens Pathway) とも呼ばれる。

ペントースリン酸経路の反応系

段階反応反応物生成物酵素
1酸化反応G6P + NADP+6-ホスホグルコノ-1,5-ラクトン + NADPH + H+グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ
(EC 1.1.1.49)
2加水分解6-ホスホグルコノ-1,5-ラクトン + H2O6-ホスホグルコン酸6-ホスホグルコノラクトナーゼ
(EC 3.1.1.31)
3脱炭酸6-ホスホグルコン酸 + NADP+Ru5P + NADPH + CO2 + H+ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ (脱炭酸)
(EC 1.1.1.44)
4異性化Ru5PR5Pリボース-5-リン酸イソメラーゼ
(EC 5.3.1.6)
5エピマー化Ru5PXu5Pリブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ
(EC 5.1.3.1)
6C-C結合生成、開裂R5P + Xu5PGAP + S7Pトランスケトラーゼ
(EC 2.2.1.1)
7S7P + GAPF6P + E4Pトランスアルドラーゼ
(EC 2.2.1.2)
8Xu5P + E4PGAP + F6Pトランスケトラーゼ

関連項目

外部リンク