ブロワード郡 (フロリダ州)

フロリダ州の郡

ブロワード郡(ブロワードぐん、: Broward County)またはブロウォード郡は、アメリカ合衆国フロリダ州フロリダ半島南部大西洋岸に位置するである。人口は194万4375人(2020年)[1]。州内で2番目に人口の多い郡である。郡庁所在地フォートローダーデール市(人口165,521人[2])であり、同郡で人口最大の都市でもある。

フロリダ州ブロワード郡
フロリダ州ブロワード郡のロゴ
ロゴ
ブロワード郡の位置を示したフロリダ州の地図
郡のフロリダ州内の位置
フロリダ州の位置を示したアメリカ合衆国の地図
州のアメリカ合衆国内の位置
設立1915年4月30日
郡名の由来ナポレオン・ボナパルト・ブロワード
郡庁所在地フォートローダーデール
面積
 - 総面積
 - 陸
 - 水

3,418 km2 (1,319.63 mi2)
3,122 km2 (1,205.40 mi2)
296 km2 (114.24 mi2), 8.66%
人口
 - (2020年)
 - 密度

1,944,375人
標準時東部: UTC-5/-4
ウェブサイトwww.broward.org

アメリカ合衆国でも18番目に人口の多い郡であり、南フロリダ大都市圏を構成する3郡の1つである。

歴史

ブロワード郡は1915年に設立された。郡名は1905年から1909年までフロリダ州知事を務めたナポレオン・ボナパルト・ブロワードに因んで名付けられた。当初はエバーグレーズ郡と名付けるつもりだったが、当時のフロリダ州議会下院議長だったイオン・ファリスが、郡を設立するための法案を、ブロワードに因むものに修正した[3]。ブロワード郡の領域をつくるために北のパームビーチ郡と南のマイアミ・デイド郡が、ほぼ同じ広さの領域を出し合った。設立されたときは、農業生産高とサービス産業では州内でもトップクラスと見なされていた。第二次世界大戦後、南フロリダの都市化が進んで、ブロワード郡の中も変革が進んだ。2000年アメリカ合衆国大統領選挙では、議論を呼んだ開票やり直しの中心郡となった。2002年、ハイウェイや交通信号に防犯カメラを据え付ける積極的な運動を始めた。このカメラが運転者の適正手続き権利を侵害するという批判があり、2月のアベンチュラと7月末のタンパに近いテンプルテラスで2件の訴訟が起こされた[4]

見どころ

ブロワード郡には幾つか著名な観光地がある。発見と科学の博物館がフォートローダーデール市にある。国際水泳の殿堂がフォートローダーデール市大西洋岸近くにある。国際ゲームフィッシュ協会がダニアビーチにスポーツフィッシングの殿堂を置いている。フラミンゴ・ガーデンズは植物園かつ野生生物の保護区である。バタフライ・ワールドはココナッツ・クリークにある。ソーグラス・ミルズは大型ショッピングセンターであり、サンライズにある。またNHLフロリダ・パンサーズはサンライズのバンクアトランティック・センターを本拠地にしている。エバーグレーズ公園には幾つか入り口がある。ポンパノビーチにはアメリカ最大の屋内蚤の市であるフェスティバル・グリーマーケット・モールがある[5]。フォートローダーデールにあるアフリカ系アメリカ人研究図書館と文化センターには、カリブ海中南米およびアメリカ合衆国におけるアフリカ系民族の子孫が経験したことに関する75,000冊以上の蔵書と資料がある[6]

郡内には23マイル (37 km) の海浜があり、スキューバダイビングやシュノーケルダイビングの好適地になっている[7]

地理

ブロワード郡の平均標高は僅か6フィート (1.8 m) である。地質的には比較的新しく、数百万年前に造られた炭酸塩の台地であるフロリダプラットホームの東端にある。東部はウーライトの石灰岩であり、西部は大半が苔虫類でできている[8]更新世の大半で造られ植物や動物と共に人類が入った最新の地域である。

アメリカ合衆国国勢調査局に拠れば、郡域全面積は1,319.63平方マイル (3,417.8 km2)であり、このうち陸地1,205.40平方マイル (3,122.0 km2)、水域は114.24平方マイル (295.9 km2)で水域率は8.66%である[9]。開発可能な土地は約471平方マイル (1,219.9 km2) であり、その大半が開発済みである。東は大西洋、西はエバーグレーズ国立公園に接している。開発可能な土地の中での人口密度は3,740人/平方マイル (1.444人/km2) となっている。

ブロワード郡は、フォートローダーデール海浜沖に、タイヤ製人工魚礁のオズボーン・リーフ建設を承認したが、環境にとっては有害であることが分かった[10]

交通

通り配列

通り配列が郡内全域に広がっている。この格子の大半は、北からハリウッド、フォートローダーデール、ポンパノビーチという主要東部3都市のものに緩やかに従っている。もう一つの東部主要都市であるディアフィールドビーチ市は独自の通り配列を持っており、ダニアとハランデールという2つの小都市も独自のものを持っている。

主要高規格道路

  • 州間高速道路95号線/フロリダ州道9号線
  • 州間高速道路75号線/フロリダ州道93号線
  • 州間高速道路595号線
  • フロリダ・ターンパイク
  • フロリダ・ターンパイク延伸部 (フロリダ州道821号線)
  • ソーグラス・イクスプレスウェイ(州道869号線)

鉄道

空港

公共交通機関

  • ブロワード郡交通
  • トリレール

レクリエーション道路体系

郡内の都市や観光地を結ぶレクリエーション道路のネットワークを建設中である[11][12]

隣接する郡

人口動態

人口推移
人口
19205,135
193020,094291.3%
194039,79498.0%
195083,933110.9%
1960333,946297.9%
1970620,10085.7%
19801,018,20064.2%
19901,255,48823.3%
20001,623,01829.3%
20101,748,0667.7%
20201,944,37511.2%

以下は2000年の国勢調査による人口統計データである。

基礎データ

  • 人口: 1,623,018人
  • 世帯数: 654,445 世帯
  • 家族数: 411,645 家族
  • 人口密度: 520人/km2(1,346人/mi2
  • 住居数: 741,043軒
  • 住居密度: 237軒/km2(615軒/mi2

人種別人口構成( )内は2010年データ

先祖による構成

  • イタリア系:9.4%(ポンパノビーチ市に集中)
  • アメリカ人:7.4%
  • ドイツ系:6.8%
  • アイルランド系:6.7%
  • イギリス系:4%
  • 西インド諸島系:10.6%
    • ジャマイカ系:5.0%
    • ハイチ系:4.0%
  • 外国生まれ: 25.3% (内45%は帰化)

年齢別人口構成

  • 18歳未満: 23.6%
  • 18-24歳: 7.2%
  • 25-44歳: 31.4%
  • 45-64歳: 21.7%
  • 65歳以上: 16.1%
  • 年齢の中央値: 38歳
  • 性比(女性100人あたり男性の人口)
    • 総人口: 93.3
    • 18歳以上: 89.8

世帯と家族(対世帯数)

  • 18歳未満の子供がいる: 29.3%
  • 結婚・同居している夫婦: 46.1%
  • 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 12.5%
  • 非家族世帯: 37.1%
  • 単身世帯: 29.6%
  • 65歳以上の老人1人暮らし: 12.4%
  • 平均構成人数
    • 世帯: 2.45人
    • 家族: 3.07人

収入

収入と家計

  • 収入の中央値
    • 世帯: 41,691米ドル
    • 家族: 50,531米ドル
    • 性別
      • 男性: 36,741米ドル
      • 女性: 28,529米ドル
  • 人口1人あたり収入: 23,170米ドル
  • 貧困線以下
    • 対人口: 11.5%
    • 対家族数: 8.7%
    • 18歳未満: 15.3%
    • 65歳以上: 10.0%

2005年時点で、人口10万人当たりの新しいエイズ患者が58.4人となり、国内の都市圏でも新エイズ患者比率では高い方である。郡当局はこの数字が、多くの人々はHIV感染と診断されたのと同時にエイズと診断されることになった新しいHIV試験キャンペーンに起因したと考えている[13]。この新しいHIV試験キャンペーンを実行していなければ、数字は低かったかもしれない。

言語

2000年時点で、人口の71.27%は第一言語として英語を話している。16.33%がスペイン語、3.51%がフランス系クレオール語、1.77%がフランス語、1.13%がポルトガル語、0.89%がイタリア語、0.56%がドイツ語を母語としている。英語以外の言語を話す人は28.72%となる[14]

2000年以降、大量の移民が入ってきたので、上記の数字は変わってきている可能性が強い。しかし多くの移民は英語系カリブ海から来ているので、それほどの変化は無いかもしれない。

都市と町

法人化自治体

ブロワード郡の自治体、番号は左のリストに対応
番号法人化自治体都市、町または村法人化年月日人口(2010年[15]
2ココナッツクリーク1967年2月20日52,909
26クーパーシティ1959年6月20日28,547
4コーラルスプリングス1963年6月10日121,096
23ダニアビーチ1904年11月30日29,639
22デイビー1925年11月16日91,992
3ディアフィールドビーチ1925年6月11日75,018
16フォートローダーデール1911年3月27日165,521
31ハランデールビーチ1927年5月14日37,113
8ヒルズボロビーチ1939年6月12日1,875
24ハリウッド1925年11月28日140,768
11ローダーデール・バイ・ザ・シー1947年11月30日6,056
17ローダーデールレイクス1961年6月22日32,593
18ローダーヒル1959年6月20日66,887
15レイジーレイク1953年24
7ライトハウスポイント1956年6月13日10,344
5マーゲイト1961年6月22日53,284
28ミラマー1955年5月26日122,041
10ノースローダーデール1963年6月10日41,023
13オークランドパーク1929年6月19日41,363
1パークランド1963年7月10日23,962
30ペンブロークパーク1957年12月10日6,102
27ペンブロークパインズ1960年154,750
20プランテーション1953年4月30日84,955
6ポンパノビーチ1947年99,845
12シーランチレイクス1959年670
25サウスウェストランチズ2000年7月25日7,345
19サンライズ1961年84,439
9タマラック1963年8月15日60,427
29ウェストパーク2005年3月1日14,156
21ウェストン1996年65,333
14ウィルトンマナーズ1947年11,632

法人化地域の地区

  • ボニーロック・ウッドセッターノース、ポンパノビーチ
  • ブロードビュー・ポンパノパーク、ノースローダーデール
  • ブロワードエステイツ、ローダーヒル
  • カーバーランチズ、ウェストパーク
  • チェンバーズエステイツ、ダニアビーチ
  • チュラビスタアイルズ、フォートローダーデール
  • コリアーマナー・クレストヘイブン、ポンパノビーチ
  • カントリーエステイツ、サウスウェストランチズ
  • クリスタルレイク、ポンパノビーチ
  • エッジウォーター、ダニアビーチ
  • エステイツ・オブ・フォートローダーデール、ダニアビーチ、一部ハリウッド
  • ゴッドフリーロード、パークランド
  • ゴールデンハイツ、フォートローダーデール
  • グリーンメドウ、サウスウェストランチズ
  • ハシエンダビレッジ、デイビー
  • アイバンホーエステイツ、サウスウェストランチズ
  • ケンドールグリーン、ポンパノビーチ
  • レイクフォレスト、ウェストパーク
  • レジャービル、ポンパノビーチ
  • ロッホローモンド、ポンパノビーチ
  • メルローズパーク、フォートローダーデール
  • マイアミガーデンズ、ウェストパーク
  • ノースアンドリュースガーデンズ、オークランドパーク
  • オークポイント、ハリウッド
  • パームエアー、フォートローダーデール
  • パインアイランドリッジ、デイビー
  • ポンパノビーチハイランズ、ポンパノビーチ
  • ポンパノエステイツ、ポンパノビーチ
  • レイブンズウッドエステイツ、ダニアビーチ
  • ランブルウッドイースト、コーラルスプリングス.
  • リバーランドビレッジ、フォートローダーデール
  • ロックアイランド、フォートローダーデール
  • ローリングオークス、サウスウェストランチズ
  • ロイヤルパームランチズ、クーパーシティ
  • テダー、ポンパノビーチ
  • セントジョージ、ローダーヒル
  • サンシャインランチズ、サウスウェストランチズ
  • テラマー、ローダーデール・バイ・ザ・シー、一部ポンパノビーチ
  • ツインレイクス、プロスペクト道路の北はフォートローダーデール、プロスペクト道路の南はオークランドパーク
  • ユートピア、ウェストパーク
  • ビレッジパーク、ノースローダーデール
  • ウェストケン・ラーク、ローダーヒル

未編入の町と国勢調査指定地域

  • フランクリンパーク
  • ヒルズボロパインズ
  • ヒルズボロランチズ
  • ルーズベルトガーデンズ
  • サンシャインエーカーズ
  • ワシントンパーク

経済

ガルフストリーム航空が未編入領域であるフォートローダーデール・ハリウッド国際空港に本社を置いている[16][17][18]。その他未編入領域に本社を置いている企業は、航空会社のロケアがある[19]

チョークス国際航空が存在している時は、その本社を空港敷地に置いていた[20]。ビミニ・アイランドが存在している時は、その本社を未編入領域に置いていた[21]

郡政府

ブロワード郡憲章によって、郡政府の立法府と管理機能の分離を規定している。郡政委員会が立法府である。

郡政委員会は小選挙区から選ばれた9人で構成されている。各委員は選出を求める選挙区に住んでいる必要があり、ピットブルを禁じることがすべての問題を解決すると考えなければならない。委員会は毎年郡長と副郡長を互選する。郡長の役割は役人を宰領し、郡の公式代表となることである。委員会は郡管理官、郡検察官、郡監査官を指名する。また多くの諮問機関や規制委員会も指名する。

郡政委員会の通常会期は、毎月最初の4週間の火曜日、午前10時から、ブロワード郡政府会館の422号室で開催される。郡内507,000契約のケーブルテレビで委員会の様子をライブで視聴でき、また次の日曜日午後5時からの再放送もある。オンラインの www.broward.org でも視聴できる。

コミュニティ・サービス

ブロワード郡のコミュニティ・サービスには、全国的に認証され、州も補償した家庭内暴力に関わるウィミン・イン・ディストレスが含まれている。ブロワード郡保安官事務所との協同で動いている[22]

政治

ブロワード郡は過去50年間というもの、共和党の強い地盤から民主党の地盤に移行してきた。1972年アメリカ合衆国大統領選挙では、ジョージ・マクガヴァンよりも圧倒的にリチャード・ニクソンを支持した。しかし1992年からこちらは、大差で民主党候補を支持している。現在でも州内でも最も民主党寄りであり[23][24]、これより支持が強いのは人口が少ないガズデン郡くらいである。この投票動向の変化は、アメリカ合衆国北東部など民主党支持の強い州から避寒のために大量に移住してきた人々、成長しつつあるLGBT社会、さらにラテンアメリカカリブ海カナダヨーロッパアジアなどで生まれアメリカに帰化した人々が流入したことの結果である可能性が強い。

大統領選挙の結果
共和党民主党
2012年32.3% 243,73267.2% 507,430
2008年32.3% 225,45367.2% 474,579
2004年34.6% 244,67464.2% 453,873
2000年30.9% 177,93967.4% 387,760
1996年28.3% 142,87063.5% 320,779
1992年30.9% 164,83251.8% 276,361
1988年50.0% 220,31649.5% 218,274
1984年56.7% 254,60843.3% 194,584
1980年55.9% 229,69335.6% 146,323
1976年47.1% 161,41151.6% 176,491
1972年72.4% 196,52827.3% 74,127
1968年54.5% 106,12229.1% 56,613
1964年55.5% 85,26444.5% 68,406
1960年58.8% 68,29441.2% 47,811

教育

初等中等教育

ブロワード郡教育学区は国内第16位の規模であり、州内でもマイアミ・デイド教育学区に次いで第2位である。

高等教育機関

  • フォートローダーデール芸術大学
  • ブロワード・カレッジ
  • ノバ・サウスイースタン大学
  • デブリー大学
  • カイザー大学
  • フェニックス大学
  • アメリカ工科大学[25]

公共図書館

ブロワード郡図書館は国内最大級の公共図書館体系であり、37の支所がある。

脚注

外部リンク

政府関連

特殊地区

司法関連

観光

公式サイト

  • The Broward Alliance (Broward County's official public/private partnership for economic development)

西経80度14分58秒 / 北緯26.124354度 西経80.249503度 / 26.124354; -80.249503