フウキンチョウ科

フウキンチョウ科(フウキンチョウか、Thraupidae)は、鳥類スズメ目の科である。

フウキンチョウ科
ベニフウキンチョウ
ベニフウキンチョウ Ramphocelus bresilius
分類
ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:鳥綱 Aves
:スズメ目 Passeriformes
亜目:スズメ亜目 Passeri
小目:スズメ小目 Passerida
上科:スズメ上科 Passeroidea
階級なし:nine-primaried oscines
:フウキンチョウ科 Thraupidae
和名
フウキンチョウ(風琴鳥)
英名
Tanagers

96属 ?

分類によってはフウキンチョウ亜科 Thraupinaeフウキンチョウ族 CThraupini とも。

フウキンチョウ(風琴鳥)と総称される。ミツドリ類なども含む。

特徴

南北アメリカガラパゴス諸島を含む)の熱帯に生息する。

は色鮮やかな羽色が多いが、は地味である。

熱帯林樹冠に住む。食性は多様で、昆虫食花蜜食、雑食

系統と分類

9枚の初列風切をもつ nine-primaried oscines の1科である。ホオジロ科フウキンチョウ亜科、あるいはアトリ科ホオジロ亜科フウキンチョウ族とも。

系統樹

Klicka et al. (2007)[1]; Weir et al. (2009)[2]による。ただし Weir et al. がこの系統内に置いたスズメ科セキレイ科は省略した。伝統的にフウキンチョウ科だった群には ★ を、一部がそうだった群には ☆ をつけた。

nine-primaried
oscines
アトリ科

アトリ亜科 Fringillinae

スミレフウキンチョウ亜科 Euphoniinae

ヒワ亜科 Carduelinae

New World
nine-primaried
oscines

アメリカムシクイ科 Parulidae

ムクドリモドキ科 Icteridae

ホオジロ科 Emberizidae

フウキンチョウ科 Thraupidae

アカハシフウキンチョウ Lamprospiza

ショウジョウコウカンチョウ科 Cardinalidae

ツメナガホオジロ科 Calcariidae

属の移動

分子系統から、nine-primaried oscines 内でいくつかの属が移動させられた。Weir et al. (2009)[2]による移動は次のとおり(スミレフウキンチョウ属 Euphonia・ミドリフウキンチョウ属 Chlorophonia、キガタイカル属 Parkerthraustes[1]、ジフウキンチョウ属 Calyptophilus[3]を追加)。国際鳥類学会議 (IOC)[4]アメリカ鳥学会 (AOU)[5]・AOU南アメリカ分類委員会 (SACC)[6]の対応を示す(×: 伝統的な科に留める; ○: 系統的な科に移す; Emb: ホオジロ科; Coe; マミジロミツドリ科; ?: 未定 incertae sedis; -: 地域にいないなどの理由で扱っていない)。

フウキンチョウ科へ
学名伝統的な科IOCAOUSACC
キガタイカル属Parkerthraustesショウジョウコウカンチョウ科×-
コウカンチョウ属ParoariaEmb
マミジロミツドリCoerebaアメリカムシクイ科Coe?
クビワスズメ属Tiarisホオジロ科×
クロアカウソ属Loxigilla×-
ノドアカミツドリ属Euneornis×-
キューバクロウソ属Melopyrrha×-
キゴロモコメワリ属Loxipasser×-
セントルシアクロシトド属Melanospiza×-
ムシクイフィンチ属Certhidea-
ガラパゴスフィンチ属Geospiza-
ダーウィンフィンチ属Camarhynchus-
ココスフィンチ属Pinaroloxias×-
マミジロイカル属Saltatorショウジョウコウカンチョウ科×?
ヒメウソ属Sporophilaホオジロ科×
コメワリ属Oryzoborus×
シコンヒワ属Volatinia×
キンノジコ属Sicalis×
ハシナガシトド属Acanthidops×-
ウスズミシトド属Haplospiza×
タネワリ属Catamenia-
ベニイタダキ属Coryphospingus-
クサビオノジコ属Emberizoides×
パルドスコ属Nephelornisアメリカムシクイ科-
マルハシミツドリ属Conirostrum
ツバメフウキンチョウ属Tersinaツバメフウキンチョウ科
マユシトド属Poospizaホオジロ科-

ホオジロ科から、フィンチ類、シトド類の一部など、約20属がフウキンチョウ科に移された。これらはフウキンチョウ科の系統の中でまとまっておらず、あちこちに分散している。ホオジロ科には未サンプリングの属もあるので、このリストは増える可能性がある。

コウカンチョウ属 Paroaria はショウジョウコウカンチョウ科(旧称コウカンチョウ科)から、Tordoff (1954) によりホオジロ科に移されており[7]、そのあとフウキンチョウ科に移された。AOUではホオジロ科にとどまっている。

ショウジョウコウカンチョウ科だったマミジロイカル属 Saltator多系統だが、大部分はフウキンチョウ科に含まれる。ノドグロイカル Saltator atricollis は別系統でオナガシトド Saltatricula(伝統的にはホオジロ科だがDNAハイブリダイゼーションではフウキンチョウ科とされた[2])と姉妹群であり、ノドグロイカル+オナガシトドからなる単系統はショウジョウコウカンチョウ科のおそらく基底に位置する。ただしこの群も他のマミジロイカル属と近縁でフウキンチョウ科とする説もある[1]。またアカハライカル Saltator rufiventris はフウキンチョウ科内だが他の種とは異なる位置にある[1]。Weier et al. (2009)[2]は暫定的にマミジロイカル属全体をフウキンチョウ科とした。IOUは科を変更せず、AOUは独立した科を形成する可能性があるとし科未定 incertae sedis にしている[8]

伝統的にアメリカムシクイ科だったマミジロミツドリCoereba は、フウキンチョウ科内に位置する[2]。ただしIOUは単型のマミジロミツドリ科 Coerebidae、AOUは科未定 incertae sedis としている。

ツバメフウキンチョウ Tersina のみからなる単型のツバメフウキンチョウ科 Tersinidae はフウキンチョウ科に統合された。

フウキンチョウ科から
学名分子系統による科IOCAOUSACC
スミレフウキンチョウ属Euphoniaアトリ科
ミドリフウキンチョウ属Chlorophonia
アリフウキンチョウ属Habiaショウジョウコウカンチョウ科-
オリーブフウキンチョウ属Chlorothraupis
ヨゴレフウキンチョウ属Mitrospingus××?
フウキンチョウ属Piranga
アカハシフウキンチョウ属Lamprospizaincertae sedis×-×
プエルトリコフウキンチョウ属Nesospingus広義アメリカムシクイ科××-
シトドフウキンチョウ属Spindalis××-
ズグロヤシフウキンチョウ属Phaenicophilus××-
ジフウキンチョウ属Calyptophilus××-
ヤブフウキンチョウ属Chlorospingusホオジロ科

詳細は移動先の科を参照。

スミレフウキンチョウ属 Euphonia・ミドリフウキンチョウ属 Chlorophoniaアトリ科にスミレフウキンチョウ亜科 Euphoniinae として分離された[9]

プエルトリコフウキンチョウ Nesospingus・シトドフウキンチョウ属 Spindalis・ズグロヤシフウキンチョウ属 Phaenicophilus は、フウキンチョウ族には含まれないが、アメリカムシクイ科に含まれるかどうかはやや不確実であり、伝統的なアメリカムシクイ科の近くに分布しており、これらをアメリカムシクイ科に含めない説もある[1]

アカハシフウキンチョウ属 Lamprospiza は、低い確度でだがいずれの科にも属さない系統位置にある。ショウジョウコウカンチョウ科に移されたヨゴレフウキンチョウ属 Mitrospingus が、これと姉妹群だとする説もある[1]

分類史

伝統的には、フウキンチョウ科、あるいは、他の科と統合しその中のフウキンチョウ亜科 Thraupinae とされてきた。フウキンチョウ亜科が属する科には、フウキンチョウ科[10]、アトリ科[10]、ホオジロ科[11]などがあった。Sibley & Ahlquist (1970) や Sibley et al. (1988) では、アトリ科ホオジロ亜科フウキンチョウ族 Thraupini となった。

ミツドリ類は伝統的にはフウキンチョウ類には含まれず、フウキンチョウ科とは別のミツドリ科(あるいはフウキンチョウ亜科とは別のミツドリ亜科)とされてきた。しかし Tordoff & Arbor (1954)[10]や Paynter (1968, 1970) ではミツドリ類の大半がフウキンチョウ亜科(フウキンチョウ科に当たる)に移され、Sibley and Monroe (1990) ではさらに多くがフウキンチョウ族(フウキンチョウ科に当たる)に移された。

属と種

属と種は国際鳥類学会議 (IOC)[4]による。

出典