ピーコック級哨戒艦

ピーコック級哨戒艦英語: Peacock class patrol vessel)は、イギリス海軍が運用していた哨戒艦。のちに売却され、アイルランド海軍においてはオーラ級哨戒艦英語: LÉ Orla patrol vessel)、フィリピン海軍においては機関砲の増設などコルベットとしての改装を受けてジャシント級コルベット英語: Jacinto-class corvette)として運用されている。

ピーコック級哨戒艦
PS37 「アルテミオ・リカルテ」
(旧HMS スターリング)
基本情報
建造所イギリスの旗 イギリスホール・ラッセル&カンパニー英語版
運用者 イギリス海軍
 フィリピン海軍
 アイルランド海軍
建造期間1982年 - 1988年
就役期間1983年 - 現在
同型艦ジャシント級
オーラ級
建造数5隻
(フィリピン3隻、アイルランド2隻)
前級イギリスの旗キャッスル級
アイルランドの旗エンヤ級
フィリピンの旗リサール級コルベット英語版
次級イギリスの旗リバー級
アイルランドの旗ローシーン級
要目
詳細は要目参照
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概要

ピーコック級は元来、イギリス統治下の香港において、その洋上警備を担うものとして建造された。熱帯地域で行動することから全艦に空調設備が設置され、また、台風の来襲下においても活動できるように、余裕を持って設計されている。5メートル級のエイヴォン英語版・シーライダーSR5M 複合型高速艇 2隻を搭載し、また、海兵隊の分遣隊も配属されており、海上治安活動に適した装備を施されていた。

1982年から1988年にかけて5隻が建造され、第6哨戒艦戦隊に配属されて香港に配備された。駐香港イギリス軍に海軍力を提供し、軍事的プレゼンスを示すとともに、香港海洋警察税関と協力しての密輸阻止や捜索救難を展開した。

本級のうちの2隻は、イギリス海軍において3年間就役したのち、アイルランド海軍に売却された。残る3隻は、1997年に香港が中華人民共和国に返還されて駐香港イギリス軍が解隊されるまで任務を続行したのち、本国に回航された。水産保護戦隊英語版(Fishery Protection Squadron)に配属されるという計画もあったが、結局、3隻そろってフィリピン海軍に売却された。フィリピン海軍においては、「ラジャ・フマボン」(旧海上自衛隊護衛艦「はつひ」)とともに主力艦となっている。シー・スクアなど小型の艦対艦ミサイルを搭載する計画もあるが、主に設計の問題から実現していない。

要目

ピーコック級哨戒艦
(  イギリス海軍)
オーラ級哨戒艦
(  アイルランド海軍)
ジャシント級コルベット
(  フィリピン海軍)
建造期間1982年 - 1988年
就役期間1983年 - 1996年1988年 - 現在1997年 - 現在
隻数5隻2隻3隻
排水量712 t
全長62.6 m
全幅10.0 m
吃水2.7 m
機関SEMT ピルスティク 18 PA6 V280 ディーゼルエンジン×2基, 2軸推進
機関出力14,188 hp (10,580 kW)
速力25 kt
航続距離2,500 nmi / 17 kt
乗員31名
兵装76mm単装速射砲× 1基
--Mk 38 25mm機関砲× 1基
Rh 202 20mm機関砲× 2基エリコン 20mm機関砲× 2基
FN MAG汎用機関銃× 4基
艦載艇エイボン・シーライダーSR5M 複合型高速艇×2艇
センサブリッジマスターE 対水上レーダー
ケルビン・ヒューズ 1006型航法レーダー
ラダメック2500 光学FCSFLIR

同型艦

 イギリス海軍退役/再就役後
#艦名進水就役退役再就役先#艦名就役退役
P239ピーコック
HMS Peacock
1982年
12月1日
1983年1997年
8月1日
 フィリピン海軍PS-35エミリオ・ジャシント
BRP Emilio Jacinto
1997年
8月4日
P240プローヴァー
HMS Plover
1983年
4月12日
1984年PS-36アポリナリオ・マビニ
BRP Apolinario Mabini
1997年
8月4日
P241スターリング
HMS Starling
1983年
9月7日
PS-37アルテミオ・リカルテ
BRP Artemio Ricarte
1997年
8月4日
P242スワロー
HMS Swallow
1984年
3月30日
1985年1988年  アイルランド海軍P42シアラ
Ciara
1989年
1月16日
2022年
7月8日
P243スウィフト
HMS Swift
1984年
9月11日
P41オーラ
Orla
1988年
10月8日

関連項目

外部リンク