ヒ化ホウ素 | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 12005-69-5 ![]() |
PubChem | 10285774 |
ChemSpider | 8461243 |
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特性 | |
化学式 | BAs |
モル質量 | 85.733 g/mol[1] |
外観 | 茶色立方体結晶[1] |
密度 | 5.22 g/cm3[1] |
融点 | 1100 °C, 1373 K, 2012 °F (分解[1]) |
水への溶解度 | 不溶 |
バンドギャップ | 1.82 eV |
熱伝導率 | 1300 W/(m·K) (300 K) |
構造 | |
結晶構造 | 立方体 (閃亜鉛鉱型), cF8, No. 216 |
空間群 | F43m |
格子定数 (a, b, c) | a = 0.4777 nm Å |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 窒化ホウ素 リン化ホウ素 アンチモン化ホウ素 |
その他の陽イオン | ヒ化アルミニウム ヒ化ガリウム ヒ化インジウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
亜ヒ化ホウ素 | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 12005-70-8 ![]() |
特性 | |
化学式 | B12As2 |
モル質量 | 279.58 g/mol |
密度 | 3.56 g/cm3[2] |
水への溶解度 | 不溶 |
バンドギャップ | 3.47 eV |
構造 | |
結晶構造 | 菱面体, hR42, No. 166 |
空間群 | R3m |
格子定数 (a, b, c) | a = 0.6149 nm Å,b = 0.6149 nm Å,c = 1.1914 nm Å |
格子定数 (α, β, γ) | α = 90°, β = 90°, γ = 120° |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 亜酸化ホウ素 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ヒ化ホウ素(ヒかホウそ、Boron arsenide)は、ホウ素とヒ素からなる化合物で、化学式はBAsである。亜ヒ化物B12As2等、ホウ素とヒ素の化合物は他にも知られている。純粋なヒ化ホウ素の合成は非常に難しく、単結晶は常に欠陥を含む。
ヒ化ホウ素はIII-V族半導体であり、格子定数は0.4777 nm、間接バンドギャップは1.82 eVと測定される。920℃を超えると、B12As2に分解すると報告されている[3]。融点は2076℃である。熱伝導率は非常に高く、300Kで約1300 W/(m・K)である[4]。
基本的な物理的性質は、以下のように測定されている。
ヒ化ガリウムと合金を作ることができ、三元及び四元の半導体となる[5]。
二十面体構造を持つB12As2を含む亜ヒ化物もある。ホウ素原子と2原子からなるAs-As鎖の集合体で、R3m空間群の菱面体である。広いバンドギャップ(3.47 eV)で、放射による損傷に対して自己治癒能を持つ半導体になる[6]。炭化ケイ素等の基質上で成長させられる[7]。太陽電池への応用も提案されているが[5][8]、この目的では今のところ使われていない。
電子機器の熱管理への利用が期待されている。実験的に窒化ガリウムトランジスタと組み合わせて、炭化ケイ素またはダイヤモンド基質上でGaN-BAsヘテロ構造を作ると、最高のGaN高電子移動度トランジスタよりも良いパフォーマンスを示した。ヒ化ホウ素複合体は、伝導性が高く柔軟な放熱材料として開発された。
第一原理計算によると、ヒ化ホウ素の熱伝導率は室温で2200 W/(m・K)以上とかなり高く、これはダイヤモンドやグラファイトに匹敵する値である[9]。その後の実験では、欠陥が多かったため、わずか190 W/(m・K)の測定結果となった[10][11]。フォノン散乱を取り入れたより最新の第一原理計算では、熱伝導率は1400 W/(m・K)と予測される[12]。その後、欠陥のないヒ化ホウ素結晶の合成が実現し、予測と合致する1300 W/(m・K)という測定値が得られた[4]。少量の欠陥を含む結晶では、900-1000 W/(m・K)の熱伝導率となる[13][14]。