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ハマウツボ属(学名:Orobanche)は、ハマウツボ科に属する草本の寄生植物であり、200種以上の種があり、 主に北半球の温帯地域にて自生している[1]。この属に含まれていたいくつかの種は、現在Conopholis属とされている。
特徴
ハマウツボ属は、小さく、種にもよるが背丈は10〜60cmである。完全に葉緑素を欠いた黄色から麦わら色の茎に、黄色、白や青色のキンギョソウのような花(唇形花)を咲かせるのが特徴である。花の形状は、O. uniflora種を除くほとんどの種でうろこ状の包を持つ10〜20の花が密集した穂状花序である。葉は三角形の鱗に退化する。種子は微小で、成熟するにつれて黄褐から褐色、黒色に変色する。これらの花は一般に冬の終わりから春の終わりに開花する。開花していない時は、その植物体全部が土の中に隠れている。
ハマウツボ属は葉緑素を持たないので、必要な栄養素は、完全に他の植物に依存している。ハマウツボの種子は、長年にわたって土壌中で休眠状態となり、宿主の植物の根から生じる特定の化合物の刺激によって発芽する[2]。ハマウツボは発芽すると根のように成長し、近くの宿主の根に付着する。一度宿主に付着すると、宿主から水と栄養素を奪い始める。
いくつかの種は、特定の植物のみに寄生する。例えば、Orobanche hederae(英名:ivy broomrape)は、ツタのみに寄生する。これらの種は、しばしば、寄生する植物にちなんで命名される。それ以外の種は、複数の植物に寄生する。例えば、ヤセウツボ(Orobanche minor)は、アカツメクサの他、関連するマメ科の植物に寄生する。
利害
Orobanche ramosa は、ヨーロッパ中央と南西部に自生するが、他の場所でも広く帰化し、一部の地域では作物に大きな脅威とみなされている。寄生される植物としてトマト、ナス、じゃがいも、キャベツ、コリウス、ピーマン、ヒマワリ、セロリ、豆が挙げられる。深刻な地域では、農産物の不作を引き起こす可能性がある。
ソラマメに寄生する種の茎は、イタリアのプッリャ州では、spocchiaと呼ばれ、食用とされている[3]。
語源
学名の Orobanche の名は「ベッチ(オオカラスノエンドウなど飼料・緑肥として利用するソラマメ属の植物)」を意味する"orobus"と「絞め殺す」を意味する"ancho"が由来である[4]。
ハマウツボ属の種
- (注意:このリストには、精密な分類の結果、シノニムであろうとされる種も含む)
- リストの情報源 :[5][6]
参考文献
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
ハマウツボ属に関連するメディアがあります。