ネバーランド (映画)

ネバーランド』(Finding Neverland)は、2004年公開のアメリカイギリス製作の映画。アラン・ニーの戯曲『The Man Who Was Peter Pan 』を原作とし、マーク・フォースター監督、デヴィッド・マギー脚本による歴史ファンタジー映画である。劇作家ジェームス・マシュー・バリーが、ピーター・パンのモデルとなった少年と出会い、その物語を完成させるまでを描いた実話を基にした、ヒューマンドラマとなっている。第77回アカデミー賞では作品賞脚色賞、主演のジョニー・デップ主演男優賞など7部門にノミネートされ、作曲賞を受賞した。2012年、この映画に着想を得たミュージカル『ファインディング・ネバーランド』が公開された。

ネバーランド
Finding Neverland
監督マーク・フォースター
脚本デヴィッド・マギー
原作アラン・ニー
製作ネリー・ベルフラワー
リチャード・N・グラッドスタイン
製作総指揮ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
ミッシェル・サイゲイリー・ビンコウ
ニール・イズラエル
出演者ジョニー・デップ
音楽ヤン・A・P・カチュマレク
撮影ロベルト・シェイファー
編集マット・チェス
製作会社フィルム・コロニー
配給アメリカ合衆国の旗 ミラマックス
日本の旗 東芝エンタテインメント
公開アメリカ合衆国の旗 2004年11月24日
日本の旗 2005年1月15日
上映時間100分
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
言語英語
製作費$25,000,000[1]
興行収入$116,766,556[1]
日本の旗 11.0億円[2]
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ストーリー

ロンドンの劇場で劇作家のジェームス・バリは新作「リトル・メアリー」の初日を迎えていた。しかし、観客の反応は芳しくなく、翌日の新聞でも酷評されてしまう。

そんな中、ケンジントン公園に散歩に出かけたジェームスはデイヴィズ家の若き未亡人シルヴィア[3]と4人の息子(Llewelyn Davies boys)に出会う[4]。ジェームスは一家と親しくなり、足しげくケンジントンの一家の家まで行く。元女優のジェームスの妻は一家を晩餐会に呼ぶが、夫と家族の親密さに嫉妬を覚える。三男ピーターは父親を失って以来、夢を持つことをあきらめ心を閉ざしていた。心の傷と戦うピーターに、ジェームスは空想で遊ぶことと物語を書くことを教え、その中で物語の着想を得る。サセックスの別荘でインディアンごっこや海賊ごっこをした思い出が『ブラック・レイク島の少年漂流記』という私家本にまとめられ、『ピーター・パン』の原型となり、公演は大成功。しかし、ジェームスはメアリーに別れを告げられる。ピーターの慰めとなったのが「ネバーランド」というファンタジーの世界だった[5]

キャスト

役名俳優日本語吹替
ジェームス・マシュー・バリジョニー・デップ平田広明
ピーター・ルウェリン・デイヴィスフレディ・ハイモア池田恭祐
シルヴィア・ルウェリン・デイヴィスケイト・ウィンスレット岡寛恵
デュ・モーリエ夫人ジュリー・クリスティ寺田路恵
メアリー・アンセル・バリラダ・ミッチェル藤貴子
チャールズ・フローマンダスティン・ホフマン有川博
アーサー・コナン・ドイルイアン・ハート田中正彦
ピーター・パンケリー・マクドナルド宮地真緒
ミスター・ジャスパーマッケンジー・クルック
ジョージ・ルウェリン・デイヴィスニック・ラウド内山昂輝
ジャック・ルウェリン・デイヴィスジョー・プロスペロ村上想太
マイケル・ルウェリン・デイヴィスルーク・スピル本城雄太郎
スミートビー・ジョーンズ
ミセス・スノウアイリーン・エッセル
フック船長/ジョージ・ダーリングティム・ポッター

ジョニー・デップのジェームス役、ケイト・ウィンスレットのシルヴィア役に加え、ダスティン・ホフマンによるプロデューサーのチャールズ・フローマン役、ジュリー・クリスティによるシルヴィアの母エマ・デュ・モーリエ夫人役、フォースター監督の『Everything Put Together 』で主演したラダ・ミッチェルによるジェームスの妻メアリー役などが配役された。1991年、ホフマンはピーター・パンの続編『フック』でフック船長役を演じていた。当初、脚本にはホフマン演じるチャールズがフック船長の扮装で脚本の問題点を読み上げるシーンがあったが、ホフマンに反対されたため単に脚本を大声で読み上げ、登場人物名を嘲ることとなった。

ルウェリン・デイヴィス・ボーイズにはフレディ・ハイモアがピーター役、ニック・ラウドがジョージ役、ジョー・プロスペロがジャック役、ルーク・スピルがマイケル役に配役された。ジョニー・デップはハイモアの演技を見て、自身がウィリー・ウォンカ役で主演する予定であった映画『チャーリーとチョコレート工場』のチャーリー・バケット役にハイモアをティム・バートン監督に推薦した[6]。またイアン・ハートはジェームスの友人アーサー・コナン・ドイル役、オリヴァー・フォックスはメアリーの愛人ギルバート・カナン役を演じた。

劇中劇ではケリー・マクドナルドがピーター・パン役、アンガス・バーネットがナナ役、トビー・ジョーンズがスミー役、ケイト・メイバリーがウェンディ役、マット・グリーンがジョン役、ケイトリン・ライズがマイケル役、ティム・ポッターがフック船長およびジョージ役、ジェーン・ブッカーがメアリー役を演じた。ほかにマッケンジー・クルックが劇場案内係、ポール・ホワイトハウスが舞台監督を演じた。当時82歳のアイリーン・エッセルがジェームスのファンで友人のミセス・スノウ役を演じ、長編映画に出演した最初期の作品の1つとなった。ハイモア同様、デップの推薦により『チョコレート工場』にも出演した。ジミー・ガードナーがその夫役を演じた。

スタッフ

プロダクション

2003年秋に公開が予定されていたが、バリーの作品の映画化権を持つコロンビア映画は、同年『ピーター・パン』公開を控えており、もし同じ年に公開するのであればミラマックスに『ネバーランド』の劇中劇の映像を使用することを許可しないこととした。ミラマックスは劇中劇の映像の使用を条件に、『ネバーランド』の公開を遅らせた[7]。ピーター・パンが登場する戯曲の初演から100周年を迎える2004年に『ネバーランド』が公開された。

1904年に『ピーター・パン』が初演されたデューク・オブ・ヨーク・シアターのシーンは、ロンドンのリッチモンド・アポン・テムズ区にあるリッチモンド・シアターで撮影された。外観はハイド・パーク、ブロンプトン墓地、ケンジントン・ガーデンズで撮影された。DVDリリースの際のコメントによると、バリーの別荘はケント近郊で撮影された。内装はバッキンガムシャーにあるパインウッド・スタジオ、サリーにあるシェパートン・スタジオで撮影された。

イギリス国内の様々な場所で撮影が行われた。バリーと少年たちのシーンなどファンタジーのシーンはケントにあるラレド・ワイルド・ウエスト・タウンで撮影された[8]

受賞歴

ノミネート結果
第77回アカデミー賞作品賞リチャード・N・グラッドスタイン
ネリー・ベルフラワー
ノミネート
主演男優賞ジョニー・デップノミネート
脚色賞デヴィッド・マギーノミネート
作曲賞ヤン・A・P・カチュマレク受賞
美術賞美術: ジェマ・ジャクソン
装置: トリシャ・エドワーズ
ノミネート
衣裳デザイン賞アレクサンドラ・バーンノミネート
編集賞マット・チェスノミネート
第58回英国アカデミー賞作品賞リチャード・N・グラッドスタイン
ネリー・ベルフラワー
ノミネート
監督賞マーク・フォースターノミネート
主演男優賞ジョニー・デップノミネート
主演女優賞ケイト・ウィンスレットノミネート
助演女優賞ジュリー・クリスティノミネート
脚色賞デイヴィッド・マギーノミネート
撮影賞ロベルト・シェイファーノミネート
作曲賞ヤン・A・P・カチュマレクノミネート
プロダクション・デザイン賞ジェマ・ジャクソンノミネート
メイクアップ賞クリスティン・ブランデルノミネート
第10回クリティクス・チョイス・アワード作品トップ10ネバーランド受賞
作品賞ノミネート
監督賞マーク・フォースターノミネート
主演男優賞ジョニー・デップノミネート
助演女優賞ケイト・ウィンスレットノミネート
ヤング・パフォーマー賞フレディ・ハイモア受賞
脚本賞デイヴィッド・マギーノミネート
第62回ゴールデングローブ賞映画部門 作品賞 (ドラマ部門)ネバーランドノミネート
監督賞マーク・フォースターノミネート
映画部門 主演男優賞 (ドラマ部門)ジョニー・デップノミネート
脚本賞デイヴィッド・マギーノミネート
作曲賞ヤン・A・P・カチュマレクノミネート
2004年ロンドン映画批評家協会賞英国映画作品賞ネバーランドノミネート
主演男優賞ジョニー・デップノミネート
脚本賞デイヴィッド・マギーノミネート
新人賞フレディ・ハイモアノミネート
第11回全米映画俳優組合賞主演男優賞ジョニー・デップノミネート
助演男優賞フレディ・ハイモアノミネート
キャスト賞ジュリー・クリスティ
ジョニー・デップ
フレディ・ハイモア
ダスティン・ホフマン
ラダ・ミッチェル
ジョー・プロスペロ
ニック・ラウド
ルーク・スピル
ケイト・ウィンスレット
ノミネート
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 (2004年)トップ10映画作品ネバーランド受賞
作品賞受賞
作曲賞ヤン・A・P・カチュマレク受賞

舞台

2011年2月6日、アメリカのカリフォルニア州のラホヤ・プレイハウスはアラン・ニー脚本、スコット・フランケルおよびマイケル・コリー作曲、ロブ・アシュフォード演出および振付により映画『ネバーランド』を基にした新作ミュージカルの制作を発表した[9]。しかしラホヤ・プレイハウスによる上演が実現することはなかった[10]。2011年3月31日、ニューヨークにおいてアシュフォード演出によりジュリアン・オヴェンデン、ケリー・オハラ、トニー・ロバーツ、メアリー・ベス・ペイル、マイケル・クラムスティ、メレディス・パターソンが参加し読み合わせが行なわれた[11]。2012年9月22日、イングランドレスターにあるカーヴ・シアターでワールド・プレミアが行なわれた。アシュフォード演出によりオヴェンデンがジェームス役、ウェスト・エンド女優ロザリー・クレイグがシルヴィア役に配役された。

2014年8月14日、2015年3月にブロードウェイでミュージカル作品が上演予定であることが発表された[12]。2014年11月10日、プロデューサーは映画版も手掛けたハーヴェイ・ワインスタイン、演出はダイアン・パウルス、振付はミア・マイケルズが担当し、主演ジェームス役はトニー賞、エミー賞、ゴールデングローブ賞ノミネートのマシュー・モリソンが務めることが発表された[13][14]ケルシー・グラマーがチャールズ・フローマン役、ローラ・ミシェル・ケリーがシルヴィア役に配役された[15]。2015年、ラント・フォンテイン・シアターにて3月15日からプレビュー公演が、4月15日から本公演が上演され、2016年8月21日に閉幕した[16]

脚注

外部リンク