ニュージーランドバト

ニュージーランドバト Hemiphaga novaeseelandiaeハトの一種。ニュージーランド固有種である。マオリ語ではkererū と呼ばれるが、ノースランド地方ではkūkupakūkū などの名称でも呼ばれる。英名にはwood pigeonなどがあるが[2]、同じくwood pigeonの名で呼ばれるモリバト(北半球に分布)とは無関係である。

ニュージーランドバト
カピティ島の個体
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:鳥綱 Aves
:ハト目 Columbiformes
:ハト科 Columbidae
:ニュージーランドバト属 Hemiphaga
Bonaparte1854
:ニュージーランドバト H. novaeseelandiae
学名
Hemiphaga novaeseelandiae
(Gmelin1789)
英名
New Zealand pigeon
Kererū

東南アジア・アフリカ・ニュージーランドに広く分布するアオバト亜科に属する。この亜科は果実、特に液果を主食とすることが特徴である[3]。ニュージーランドバト属 Hemiphaga はニュージーランド周辺とノーフォーク島に固有であるが、ラウル島からも本属に属する14世紀頃の骨が出土している[4]

形態

カピティ島の個体。頭部の羽毛は虹色である。

51cm・650gと大型の鳥だが、チャタム諸島の個体(後に別種とされた)はさらに大きく、55cm・800gに達する[5]。頭部から胸部、翼は紫の光沢のある緑色。胸の下側は白い。嘴と脚は赤[6]

分類

一般的には、基亜種を含め3亜種を認める。その内H. n. spadicea (w:Norfolk pigeon) は現在では絶滅しているが、羽の色や形態的特徴が異なっていた[7]

もう一つの亜種H. n. chathamensisチャタム諸島に生息する亜種であるが、2001年にHemiphaga chathamensis として分離された[8]

生態

ノースランド地方からスチュアート島まで広い範囲分布域を持ち、沿岸から山地まで様々な森林で見られた[9]

摂餌

ニオイシュロランの主要な種子散布者であった。

一般的には果食性である。ニュージーランドの鳥としては、直径1cmを超える大きな果実を丸ごと消費できる唯一の種である。タライレのような在来植物の種子の拡散に関わるため、生態系の中でも重要な地位にある[10]

果実があまり利用できない時季には葉も食べる。本種が最も好む葉は、移入種であるスモモ亜属の葉である[11]

繁殖

繁殖は果実に依存しているが、季節や地域、果実の作況によってその利用可能量は変化する。特に北島北部では、他のアオバト類と同様、クスノキ科ヤシ科のような熱帯由来の果実を利用するが[12][13][14][15]ゴンドワナ大陸の遺存種であるマキ科のミロ Prumnopitys ferruginea やカヒカテア Dacrycarpus dacrydioides などの果実も利用する[13][14][15][16]。北島の北部は温暖であり十分な果実が利用できるため、換羽の時期にあたる3-5月を除いては周年繁殖する[10]

樹上に、数本の小枝を束ねた簡易な巣を作り、1個の卵を産む。卵は28–29日で孵化し、雛はその後30-45日で巣立つ[17]

保護

絶滅したspadicea 亜種

餌を巡る競争のあるフクロギツネクマネズミのほか、オコジョネコなどの外来種による被害を受けている[1]

個体数は狩猟・生息地破壊・繁殖率の低下により減少している[17][18][19]。1860年代頃まで本種の個体数は非常に多く、結実した樹木に大きな群れで集まり、餌を食べていた[20]。狩猟規制は1864年から導入され、1921年には完全に保護されることが決定されたが[3]、狩猟規制は完全でない部分がある。マオリの中には、伝統的な権利として本種の狩猟権を主張するグループもある[21]

関連項目

脚注

参考文献

外部リンク