トミー・リー・ジョーンズ

アメリカ合衆国の俳優、司会者 (1946-)

トミー・リー・ジョーンズ(Tommy Lee Jones, 1946年9月15日 - )は、アメリカ合衆国俳優1993年の『逃亡者』でアカデミー助演男優賞を受賞した。

トミー・リー・ジョーンズ
Tommy Lee Jones
Tommy Lee Jones
生年月日 (1946-09-15) 1946年9月15日(77歳)
出生地アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国テキサス州
身長183cm
職業俳優映画監督映画プロデューサー
ジャンル映画テレビドラマ舞台
活動期間1968年 -
活動内容1993年アカデミー助演男優賞受賞
配偶者ケイト・ラドナー(1971年 - 1978年)
キンバリー・クロフリー(1981年 - 1996年)
ドーン・ローレル(2001年 - 現在)
主な作品
映画
メン・イン・ブラック』シリーズ
追跡者』/『ダブル・ジョパディー
スペース カウボーイ
メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
告発のとき』/『ノーカントリー
カンパニー・メン
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
31年目の夫婦げんか』/『リンカーン
ミッション・ワイルド
ジェイソン・ボーン
メカニック:ワールドミッション
アド・アストラ
テレビCM
宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ
 
受賞
アカデミー賞
助演男優賞
1993年逃亡者
カンヌ国際映画祭
男優賞
2005年メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
ロサンゼルス映画批評家協会賞
助演男優賞
1993年『逃亡者』
MTVムービー・アワード
コンビ賞
1994年『逃亡者』
エミー賞
男優賞(ミニシリーズ/テレビ映画部門)
1983年『死刑執行人』
ゴールデングローブ賞
助演男優賞
1993年『逃亡者』
全米映画俳優組合賞
助演男優賞
2012年『リンカーン』
キャスト賞
2007年ノーカントリー
その他の賞
ハリウッド名声の歩道
1994年 映画産業への貢献、映画・演劇業界への業績に対して
備考
第30回東京国際映画祭 審査委員長(2017年)
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経歴

テキサス州出身。父親は油田で働き、母親は警察官

高校卒業後、家計を助けるために父親の働く油田会社に就職。傍ら寝る間も惜しんで独学で勉強し、1年後、奨学金ハーバード大学英米文学部に進学。この時点の夢は文学と演劇の教師になることで、大学では演劇部に所属していた。寮のルームメイトに後の副大統領となるアル・ゴアがおり、その後も親交が続いている[1]

文学と演劇を教える教師を目指していたが、次第に舞台に立つ事を夢見るようになる。大学卒業後、ブロードウェイに憧れてマンハッタンへと出る。そこでは小さな食堂で皿洗いの仕事をしながら、稽古に励んだ。そんなときに友人と受けた映画のオーディションに合格し、1970年ある愛の詩』で映画デビューした。しかし、同映画の製作元パラマウント映画の上層部から「顔つきがキツい」とクレームがつき、映画自体は大ヒットしたものの苦い映画デビューとなった[2]

その後はしばらく役に恵まれず、下積みが長く続き、『ある愛の詩』の次の出演作は『ライフ・スタディ』という低予算作品だった。同作まで3年間、映画の仕事がなく、その間は最初の妻であるジャーナリスト、ケイト・ラードナー(リング・ラードナーの孫)に養ってもらっていた[2]

1980年代はテレビ出演が主で、映画は出演しても脇役だった。しかし『JFK』や『沈黙の戦艦』出演の頃から注目されるようになる。1993年の『逃亡者』ではハリソン・フォード演じるキンブル医師を追い詰める捜査官役でアカデミー助演男優賞を受賞した。以降、主演作品に恵まれるようになる。

1997年、『メン・イン・ブラック』のK役に抜擢される。監督によると「彼は大真面目に演じていてもどこかコミカルだ」ったのが決め手とのこと。このことについて本人は不本意だったというが、映画は続編が作られるほどのヒットを記録し、Kははまり役の一つとなった。また同役は映画の公開から数年を経て、缶コーヒーBOSSのCMにおいて本人出演でパロディ化された。その経緯は後述の通り。

1999年京都の老舗で日本屈指の宿である俵屋旅館が火事になったとき、偶然宿泊していた。鎮火後、「火事が消えたのならあの部屋に戻りたい」と言い、周囲を困惑させたとする逸話がある[3]

2005年には自身が監督・プロデュース・出演した『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。

2006年4月からは日本国内においてサントリー缶コーヒーBOSSレインボーマウンテンのCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」に出演。毎回日本の様々な職業に潜入するというストーリーで、2023年1月現在、17年目を迎える長寿CMシリーズとして定着している。

2011年4月からはサントリーグループによる東北地方太平洋沖地震復興支援として、坂本九のヒット曲である「上を向いて歩こう」・「見上げてごらん夜の星を」の両曲を同社グループのCM出演者総勢71名がリレー方式で歌う企業イメージCMにも出演。歌声も披露している。

2012年8月からは、「BOSSコーヒー20周年」とソフトバンクモバイルの「プラチナバンド開始」の共同キャンペーンの一環として、「宇宙人ジョーンズ」と「白戸家」両シリーズのコラボレーションCMにも出演している。

人物

2012年、『メン・イン・ブラック3』のプロモーションワールドツアーで、唯一、日本だけに参加し、「私は本当に日本が大好きで、日本に来るのはいつも幸せ。本当に美しい国ですし、私にとっては第二の故郷。ファンがいるということはあまり意識していませんが、こうやってみなさんにお会いでき、本当に嬉しく思います」と、自らの日本好きを語っている[4]。また2013年にも『終戦のエンペラー』のプロモーションで来日。歌舞伎座を訪問し、「10年来の歌舞伎のファンだ」と語った。娘の為に集めているという浮世絵も趣味としており、月岡芳年月百姿を34作まで収集しているという[5]。好物の日本料理は「鮎の塩焼き」[6]

主な出演作品

公開年邦題
原題
役名備考吹き替え
1970ある愛の詩
Love Story
ハンクTBA日本テレビ版)
小室正幸テレビ東京版)
真木駿一VOD版)
1975トミー・リー・ジョーンズのホロスコープ
Eliza's Horoscope
トミー・リー
1976チャーリーズ・エンジェル/ぶどう園乗っ取り殺人事件
Charlie's Angels
Aram Kolegianテレビ映画
ジャクソン・ジェイル
Jackson Country Jail
コーリー・ブレイク津嘉山正種TBS版)
激突39台!史上最大の自動車事故/ハイウェイ・パニック
Smash-Up On Interstate 5
Officer Huttonテレビ映画
1977ハワード・ヒューズ物語
The Amazing Howard Hughes
ハワード・ヒューズ
ローリング・サンダー
Rolling Thunder
ジョニー・ヴォーデン小杉十郎太テレビ東京版)
1978ベッツィー
The Betsy
アンジェロ
アイズ
Eyes of Laura Mars
ジョン・ネヴィル神谷明
1980歌え!ロレッタ愛のために
Coal Miner's Daughter
ドゥーリトル・リンゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)ノミネート大塚明夫
1982死刑執行人
The Executioner's Song
ゲイリーテレビ映画
プライムタイム・エミー賞 主演男優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)受賞
1983キャプテン・ブーリーの大冒険
Nate and Hayes
ブーリー・ヘイズ日本劇場未公開戸谷公次
1985ニューヨーク・コマンドー/セントラルパーク市街戦
The Park is Mine
ミッチ
1986ブラックライダー
Black Moon Rising
クイント田中信夫テレビ朝日版)
1987背徳の罠/死者のメッセージ
Broken Vows
ペーター日本劇場未公開
ビッグタウン
The Big Town
ジョージ・コール
1988ストーミー・マンディ
Stormy Monday
コズモ銀河万丈(テレビ東京版)
1989ロンサム・ダブ
Lonesome Dove
ウッドロウテレビ映画中田浩二NHK-BS2版)
ザ・パッケージ/暴かれた陰謀
The Package
トーマス笹岡繁蔵(TBS版)
1990アパッチ
Fire Birds
ブラッド・リトル小川真司フジテレビ版)
小林清志(テレビ朝日版)
1991JFK
JFK
クレイ・ショーアカデミー助演男優賞ノミネート
英国アカデミー賞 助演男優賞ノミネート
小川真司(ソフト版)
小林清志(テレビ朝日版)
1992沈黙の戦艦
Under Siege
ウィリアム・ストラニクス菅生隆之(ソフト版)
池田勝(テレビ朝日版)
1993心の扉
House of Cards
ジェイク・ビアランダー菅生隆之
逃亡者
The Fugitive
サミュエル・ジェラードアカデミー助演男優賞受賞
ゴールデングローブ賞 助演男優賞受賞
菅生隆之(ソフト版)
小林清志(テレビ朝日版)
田中信夫(機内上映版1)
麦人(機内上映版2)
天と地
Heaven & Earth
スティーブ・バトラー菅生隆之
1994ワイルド・メン
The Good Old Boys
ヒューイ・キャロウェイテレビ映画
製作・脚本兼任
ブローン・アウェイ/復讐の序曲
Blown Away
ギャリティ小林清志(ソフト版)
菅生隆之(テレビ朝日版)
依頼人
The Client
ロイ・フォルトリッグ有川博(ソフト版)
菅生隆之(テレビ朝日版)
ナチュラル・ボーン・キラーズ
Natural Born Killers
ドワイト・マクラスキー樋浦勉
ブルースカイ
Blue Sky
ハンク・マーシャル菅生隆之
1995バットマン フォーエヴァー
Batman Forever
ハーヴェイ・デント / トゥーフェイス菅生隆之(ソフト版)
小林清志(テレビ朝日版)
タイ・カップ
Cobb
タイ・カッブ
1997ボルケーノ
Volcano
マイク・ローク菅生隆之(ソフト版)
小林清志(テレビ朝日版)
メン・イン・ブラック
Men in Black
エージェントK坂口芳貞(ソフト版)
菅生隆之(日本テレビ版)
1998追跡者
U.S. Marshals
サミュエル・ジェラード逃亡者』のスピンオフ作品菅生隆之(ソフト版、テレビ朝日版)
小林清志(テレビ東京版)
スモール・ソルジャーズ
Small Soldiers
チップ・ハザード声の出演玄田哲章(VHS版、日本テレビ版)
銀河万丈(DVD版)
1999ダブル・ジョパディー
Double Jeopardy
トラヴィス池田勝(ソフト版)
菅生隆之(テレビ朝日版)
2000英雄の条件
Rules of Engagement
ヘイズ・ホッジス堀勝之祐(ソフト版)
池田勝(フジテレビ版)
スペース カウボーイ
Space Cowboys
ホーク・ホーキンズ坂口芳貞(ソフト版)
菅生隆之(日本テレビ版)
2002メン・イン・ブラック2
Men in Black II
エージェントK坂口芳貞(劇場公開版)
菅生隆之(テレビ朝日版)
2003ハンテッド
The Hunted
L.T.池田勝(ソフト版)
小林清志(テレビ東京版)
ミッシング
The Missing
サミュエル・ジョーンズ有川博
2005チアガール VS テキサスコップ
Man of the House
ローランド・シャープ日本劇場未公開
製作総指揮兼任
坂口芳貞
メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
The Three Burials of Melquiades Estrada
ピート・パーキンズカンヌ国際映画祭 男優賞受賞
監督・製作兼任
菅生隆之(ソフト版)
2006今宵、フィッツジェラルド劇場で
A Prairie Home Companion
アックスマン小林清志
2006-宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ宇宙人ジョーンズテレビCM谷口節(『ネット』篇まで)
菅生隆之(『大相撲』篇から)
2007ノーカントリー
No Country for Old Men
エド・トム・ベル英国アカデミー賞 助演男優賞ノミネート菅生隆之
告発のとき
In the Valley of Elah
ハンク・ディアフィールドアカデミー主演男優賞ノミネート谷口節
2009エレクトリック・ミスト 霧の捜査線
In the Electric Mist
デイヴ・ロビショー日本劇場未公開加藤優季
2010カンパニー・メン
The Company Men
ジーン・マクラリー(吹き替え版なし)
2011
The Sunset Limited
White監督兼任N/A
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
Captain America: The First Avenger
チェスター・フィリップス大佐谷口節
2012メン・イン・ブラック3
Men in Black III
エージェントK
31年目の夫婦げんか
Hope Springs
アーノルド・ソームズ菅生隆之
終戦のエンペラー
Emperor
ダグラス・マッカーサー(吹き替えなし)
リンカーン
Lincoln
タデウス・スティーブンスアカデミー助演男優賞ノミネート
全米映画俳優組合賞助演男優賞受賞
菅生隆之
2013マラヴィータ
The Family / Malavita
ロバート・スタンスフィールドFBI捜査官小林清志
2014ミッション・ワイルド
The Homesman
ジョージ・ブリッグス監督・脚本・製作総指揮兼任小村哲生
2016クリミナル 2人の記憶を持つ男
Criminal
フランクス医師菅生隆之
ジェイソン・ボーン
Jason Bourne
ロバート・デューイ土師孝也(ソフト版)
大塚明夫(BSテレ東版)
メカニック:ワールドミッション
Mechanic: Resurrection
マックス・アダムス菅生隆之
2017記者たち 衝撃と畏怖の真実
Shock and Awe
ジョー・ギャロウェイ英語版
ベスト・バディ
Just Getting Started
レオ
2019アド・アストラ
Ad Astra
クリフォード・マクブライド
2020カムバック・トゥ・ハリウッド!!
The Comeback Trail
デューク・モンタナ
陰謀の街 ワンダー
Wander
ジミー・クリート
2023眠りの地
The Burial
ジェレミア・ジョセフ・オキーフ

日本語吹き替え

主に担当しているのは、以下の三人である。

菅生隆之
沈黙の戦艦』(ソフト版)で初担当。以降、ほとんどの作品で吹き替えを務めており、ジョーンズの専属(フィックス)として定着している[7][8][9]
菅生によるジョーンズの吹き替えは当初、映画のみの担当であったが、サントリー缶コーヒーBOSSレインボーマウンテンのCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」でジョーンズが演じる宇宙人ジョーンズの吹き替えを後述する前任者の谷口節の逝去に伴い、2013年4月放送の『大相撲篇』から引き継いで担当している。
小林清志
JFK』(テレビ朝日版)で初担当。菅生に次いで多く担当。寺田貴信によるとジョーンズ来日のニュースが載ったスポーツ紙を持ち、逸話を語ると同時に「とても良い俳優さんだ」と話しており、大変気に入っていたという[10]。2013年には「印象に残る俳優」を訊かれるとすぐに顔が浮かぶとしており[11]、初担当した『JFK』を印象深い作品と述べたこともある[12]。前述の菅生には冗談を交えつつ「気取った声を出してちゃダメだよ」等のアドバイスも送っていたといい、その後も小林自身はジョーンズの再演を希望していたが、2013年の『マラヴィータ』が最後の担当となった[13]
谷口節(トミー・リー・ジョーンズ本人公認)
CM『宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ』にて2008年4月の初登場から『ネット篇』まで担当。谷口の起用はジョーンズから「僕の吹き替えはMr.谷口にしてくれ」と直々に指名されたことが理由だったとされている[14]。生前は谷口自身も同業者に対し、「吹き替えしててこんなに嬉しいことはない」と語っていた[15]。本CMをきっかけにジョーンズの声優の一人として定着したことで[16]、2012年に死去するまでにいくつかの映画でも吹き替えを担当した。

このほかにも、池田勝坂口芳貞田中信夫有川博小川真司銀河万丈大塚明夫なども複数回、声を当てている。

主な受賞

脚注

外部リンク