タワーオブロンドン

タワーオブロンドン: Tower of London[1]:倫敦塔2015年2月9日 - )は、日本競走馬。主な勝ち鞍は2019年スプリンターズステークス(GI)、京王杯スプリングカップ(GII)、セントウルステークス(GII)、2017年京王杯2歳ステークス(GII)、2018年アーリントンカップ(GIII)。

タワーオブロンドン
2019年スプリンターズS
欧字表記Tower of London[1]
香港表記倫敦塔
品種サラブレッド
性別
毛色鹿毛
生誕2015年2月9日(9歳)
抹消日2020年12月24日
Raven's Pass
スノーパイン
母の父Dalakhani
生国日本の旗 日本北海道日高町
生産者ダーレー・ジャパン・ファーム有限会社
馬主H.H.シェイク・モハメド
ゴドルフィン
調教師藤沢和雄美浦
競走成績
生涯成績18戦7勝
中央:17戦7勝
海外:1戦0勝
獲得賞金4億755万円
勝ち鞍
GIスプリンターズS2019年
GII京王杯2歳S2017年
GII京王杯スプリングC2019年
GIIセントウルS2019年
GIIIアーリントンC2018年
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馬名の由来は「ロンドン塔[2]。2020年産のアイルランド調教馬にも、同名のTower of Londonタワーオブロンドン(父ガリレオ (競走馬)、調教師はエイダン・オブライエン)が居るが当項では日本馬である当馬の方を紹介する。

経歴

デビュー前

2015年2月9日、北海道日高町ダーレー・ジャパン・ファーム持込馬として誕生[注 1]。母の初仔ということもあり当歳時はやや小柄であったが、離乳後から一気に成長を遂げる[3]。1歳秋からの中間育成においては、ダーレー・ジャパン・ファームの同世代の馬の中では断トツの馬格と幅と筋肉量の持ち主になっていた[4]

2歳(2017年)

7月29日、札幌競馬場での新馬戦で鞍上クリストフ・ルメールでデビュー。追い切りが仕上がり途上だったため2番人気に留まったが、2馬身半差で逃げ切って新馬勝ち[5]。2戦目のクローバー賞(OP)では一旦先頭に立つもダブルシャープに差し返されて2着となる[6]。距離を100m短縮したききょうS(OP)ではノーステッキで後続を突き放して圧勝。鞍上のルメールは「次のロードカナロアです」と絶賛した[7]

続く京王杯2歳ステークス(GII)では中団待機から上がり3F33秒2の豪脚で突き抜け、2着カシアスに2馬身差をつけて重賞初制覇を果たした[3]朝日杯フューチュリティステークス(GI)ではダノンプレミアムに次ぐ2番人気に支持される。直線でインコースを突いて追い上げるも、ダノンプレミアムには突き放され、ステルヴィオにも交わされての3着に終わった。レース後、ルメールは「もう少し短い距離の方がよさそうです」とコメントした[8]

3歳(2018年)

4月14日のアーリントンカップ(GIII)から始動。勝ち鞍のないマイル戦ながら1番人気に推されると、中団後方から直線鋭く伸びて重賞2勝目を挙げた。勝ち時計1分33秒4はレースレコードだった[4]

NHKマイルカップ(GI)でも本命視されたが、スタートで躓き、直線も前にスペースがなくほとんど追うことができないまま12着に終わった。これにより、計画されていたイギリスロイヤルアスコット開催への参戦も白紙となった[9]。その後は安田記念(GI)出走を目指して調整されたが、レース4日前に体調を考慮しての回避が発表された[10]

秋はキャピタルステークスから復帰、鞍上も短期免許で来日していたゴドルフィンの主戦ウィリアム・ビュイック騎手を配し、後方から追い込み2着となった。

4歳 (2019年)

東京新聞杯から始動し、鞍上が再びルメール騎手に戻ったここは上がり馬のインディチャンプに次ぐ2番人気に推されたがプラス10キロの馬体増の影響で末脚が不発し5着に敗れた[11]

その後は短期免許で来日していたオーストラリアの若手ダミアン・レーン騎手を鞍上に迎えて京王杯スプリングカップに出走。1番人気に推されると道中は折り合いに専念。直線では鋭い伸びを見せて、コースレコードを叩き出し優勝。重賞3勝目を飾った[12]。鞍上のレーンは来日3週目で早くも重賞2勝目を挙げた。

登録していた安田記念は回避し、函館スプリントSへ再びレーン騎手鞍上で出走。JRA禁止薬物騒動の影響で登録13頭の内6頭が競走除外となる中、1番人気に推される。レースでは上がり3F33秒5のメンバー最速の末脚を発揮するも、逃げたカイザーメランジェを捉えきれず、またアスターペガサスにもクビ差届かず3着に敗れた[13]

鞍上がルメールに戻ったキーンランドカップでは、ダノンスマッシュに次ぐ2番人気に推される。レースはダノンスマッシュが優勝。その後続いて同時入線したリナーテとの写真判定の末、ハナ差の2着になった[14]

中1週のローテーションで臨んだセントウルステークス(GII)では、当年の高松宮記念を勝ったミスターメロディを抑えて1番人気に推される。レースでは道中中団を進むと、直線残り約400mで鋭い末脚を発揮、後続を一気に突き放すレコード勝ちで圧勝。重賞4勝目を飾ると共に、スプリンターズステークスの優先出走権を獲得した[15]

秋のスプリント王者決定戦スプリンターズステークスでは主戦のルメールが同厩舎の桜花賞グランアレグリアに騎乗予定のため、浜中俊との初コンビで参戦を予定していた[16]。しかし、グランアレグリアが左前脚の蹄の炎症により回避することが決まり、ルメールの継続騎乗が実現した[17]。同じくG1初制覇を狙うダノンスマッシュとの二強対決が注目され、そのダノンスマッシュから僅差の2番人気に推されると、レースでは中団でじっくり折り合いをつけ、直線で外に持ち出すと鋭い伸び脚で逃げるモズスーパーフレアを半馬身差で差し切り悲願のGI初制覇を成し遂げた[18]

5歳(2020年)

この年はオーシャンステークスから始動。ここでもダノンスマッシュと人気を分け合う形となり、最終的に2番人気となった。レースではスタート後後方に位置取り、直線手前で6番手に進出、終いまで末脚を伸ばすが、勝ち馬らから離された3着となった[19]。鞍上のルメールは斤量差や休み明けだった事を敗因に挙げた[19]

続く高松宮記念では当初、主戦のルメールが当日ドバイで騎乗するため、短期免許で来日中のライル・ヒューイットソンを鞍上に迎える予定であったが[20]、同じくドバイで騎乗予定だった福永祐一新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡航を中止したため、最終的に福永を鞍上に迎えることとなった[21]。ダノンスマッシュをはじめ、昨年の阪神カップを圧勝した桜花賞グランアレグリアモズアスコットノームコアといったマイルGI馬も参戦する豪華メンバーの中[22]、春秋スプリント制覇を期待され1番人気に推されたが、結果は12着と大敗。鞍上の福永はレース後、「4コーナーまで抜群(の手応え)で、満を持して追い出したけど、トモ(後肢)が流れて手応えほど伸びなかった」とコメントした[23]

高松宮記念後は、連覇を狙う京王杯スプリングカップに出走。ルメールに鞍上が戻り、1番人気に支持されたが、結果は8着で、連覇はならなかった[24]

その後、休養を経て香港に遠征し香港スプリントに出走したが13着と大敗し、このレースを最後に現役引退。北海道日高町のダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックス種牡馬入りする[25]。初年度となる2021年の種付料は150万円。ダーレー・ジャパンの加治屋正太郎ノミネーションマネジャーは「傑出したスピード、世界的名門ファミリー。重要なファクターを併せ持つタワーオブロンドンには、種牡馬として現役時以上に期待しています」とコメントした[25]

種牡馬時代

2024年5月30日船橋競馬第3競走・ライラックデビュー2歳新馬をパンクビートが勝ち、産駒の初勝利となった[26]

競走成績

以下の内容は、netkeiba.com[27]および香港ジョッキークラブ[28]の情報に基づく。

競走日競馬場競走名距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順タイム
(上がり3F)
着差騎手斤量
[kg]
1着馬(2着馬)馬体重
[kg]
2017.07.29札幌2歳新馬芝1500m(良)988004.00(2人)01着R1:30.4(35.3)-0.4RC.ルメール54(キルロード)516
0000.08.20札幌クローバー賞OP芝1500m(良)11810001.70(1人)02着R1:30.9(35.6)-0.1RC.ルメール54ダブルシャープ522
0000.09.23阪神ききょうSOP芝1400m(良)11811001.80(1人)01着R1:21.7(35.2)-0.6RC.ルメール54(バーニングペスカ)512
0000.11.04東京京王杯2歳SGII芝1400m(良)1111001.80(1人)01着R1:21.9(33.2)-0.3RC.ルメール55カシアス516
0000.12.17阪神朝日杯FSGI芝1600m(良)1623003.90(2人)03着R1:33.9(34.0)-0.6RC.ルメール55ダノンプレミアム518
2018.04.14阪神アーリントンCGIII芝1600m(良)1356003.10(1人)01着R1:33.4(34.2)-0.1RC.ルメール56パクスアメリカーナ510
0000.05.06東京NHKマイルCGI芝1600m(良)1847002.60(1人)12着R1:33.8(35.1)-1.0RC.ルメール57ケイアイノーテック510
0000.11.24東京キャピタルSOP芝1600m(良)1469003.90(2人)02着R1:32.6(32.4)-0.0RW.ビュイック56グァンチャーレ516
2019.02.03東京東京新聞杯GIII芝1600m(良)1535003.60(2人)05着R1:32.3(34.2)-0.4RC.ルメール57インディチャンプ526
0000.05.11東京京王杯SCGII芝1400m(良)1559003.60(1人)01着R1:19.4(33.1)-0.1RD.レーン56(リナーテ)518
0000.06.16函館函館スプリントSGIII芝1200m(稍)7813001.80(1人)03着R1:08.6(33.5)-0.2RD.レーン58カイザーメランジェ518
0000.08.25札幌キーンランドCGIII芝1200m(稍)1647004.70(2人)02着R1:09.3(34.9)-0.1RC.ルメール58ダノンスマッシュ520
0000.09.08阪神セントウルSGII芝1200m(良)1357002.70(1人)01着R1:06.7(33.2)-0.5RC.ルメール57ファンタジスト516
0000.09.29中山スプリンターズSGI芝1200m(良)1648003.00(2人)01着R1:07.1(34.3)-0.1RC.ルメール57モズスーパーフレア514
2020.03.07中山オーシャンSGIII芝1200m(良)1611002.50(2人)03着R1:08.1(34.4)-0.7RC.ルメール58ダノンスマッシュ520
0000.03.29中京高松宮記念GI芝1200m(重)1859003.80(1人)12着R1:09.8(34.5)-1.1R福永祐一57モズスーパーフレア514
0000.05.16東京京王杯SCGII芝1400m(稍)13710003.50(1人)08着R1:20.4(33.3)-0.6RC.ルメール58ダノンスマッシュ516
0000.12.13沙田香港スプリントG1芝1200m(良)14126035.00(9人)13着R1:10.16-1.710W.ビュイック57Danon Smash524
  • タイム欄のRはコースレコード勝ちを示す。
  • 香港のオッズ・人気は香港ジョッキークラブのもの。

エピソード

血統表

タワーオブロンドン血統(血統表の出典)[§ 1]
父系ミスタープロスペクター系
[§ 2]

Raven's Pass
2005 栗毛
父の父
Elusive Quality
1993 鹿毛
Gone WestMr. Prospector
Secrettame
Touch of GreatnessHero's Honor
Ivory Wand
父の母
Ascutney
1994 黒鹿毛
Lord at WarGeneral
Luna de Miel
Right WordVerbatim
Oratorio

*スノーパイン
Snow Pine
2010 芦毛
Dalakhani
2000 芦毛
DarshaanShirley Heights
Delsy
DaltawaMiswaki
Damana
母の母
*シンコウエルメス
1993 鹿毛
Sadler's WellsNorthern Dancer
Fairy Bridge
Doff the DerbyMaster Derby
Margarethen
母系(F-No.)Margarethen系(FN:2-f)[§ 3]
5代内の近親交配Northern Dancer5×4=9.38%、Mr. Prospector4×5=9.38%[§ 4]
出典

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 優駿編集部(著)、平松さとし(編)「クリストフ・ルメール トップホースたちと歩んだ道」『優駿』914号、日本中央競馬会、2020年、p44,45。 

外部リンク

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