出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (こうえきしゃだんほうじんセーブ・ザ・チルドレン、略称:SCJ)は、 セーブ・ザ・チルドレン世界連盟(International Save the Children Alliance )のパートナーとして、イギリス とアメリカ合衆国 の各セーブ・ザ・チルドレン の要請を受けて1986年 に設立されたNGO である。以前は日本国外務省 所管の社団法人 だったが、公益法人制度改革 に伴い、2011年 4月1日 から公益社団法人 。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の日本国内事務所は、東京都 千代田区 の本部事務局と、大阪府 大阪市 中央区 の大阪事務所の2箇所。
活動目的 「本会は、地球上のあらゆる地域、特に開発途上国において、セーブ・ザ・チルドレン世界連盟と同一の理念にたって、戦争や武力紛争、貧困、飢饉及び災害等によって教育の機会が失われる子どもを援助するとともに、子どもの生命を守り、その生存と発達を確保し、子どもが等しく尊厳ある人間として生き得るべく、生活条件を改善するための国際協力を通じて、世界の平和、環境、発展に寄与することを目的とする。」 -- 定款第三条 (目的) より
活動内容 教育支援 - 学校建設・修復、識字教室の開催、教員へのトレーニング、教育カリキュラムへの助言、教育の必要性および教育を受ける権利についての啓蒙等 食料支援・栄養指導プログラム - 「子ども の栄養改善プログラム」 (体重測定、離乳食給食、離乳食調理実習) 、「母親の産前検診」事業等 医療保健プログラム - 保健衛生に関する研修、政府・保健所への保健サービスの重要性についての啓蒙 子どもの搾取と虐待対策プログラム等 HIV /エイズ 問題プログラム - 感染予防プログラム、感染した子どもたちへのケア紛争と災害への緊急援助 - 緊急物資の配給、予防活動等 活動資金 2007年度「決算報告書」によると、受取り金のうち、個人・団体からの会費、寄付が約65%、政府・国際機関からの助成金・委託金が15%強を占める。その他は民間助成金、現地収入等である。
経常費用の内、管理費は11%程度をしめる。事業費 (5億4千万円) のうち海外に関する事業に約7割 (3億7千万円) 、国内に関する事業に約3割 (1億7千万円) が使われている。
補助金や委託事業の他、事業実施パートナーとして政府開発援助 (ODA) の一部を担っている。
関連機関 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (SCJ) は、個人、企業、NGO 団体等の他、公的機関との協力関係も重視している[1] 。
沿革 活動地域 SCJは世界の各地域に駐在員を置き、世界の各セーブ・ザ・チルドレンと提携し、約120カ国[7] で、子どもの権利基盤アプローチに基づく事業実施とアドボカシー 活動に取り組んでいる。各活動の実施期間は2年から3年であり、活動終了後は各地域が自立するためのサポートを続ける。
アフリカ エチオピア連邦民主共和国
ケニア共和国
コートジボワール共和国
2004年、内戦状態の共和国に、世界の各セーブ・ザ・チルドレンとともに支援を開始した。 スーダン共和国
中東 イラク共和国
イラン・イスラム共和国
パレスチナ自治区
2009年、ガザ紛争 が起きたガザ地区 への緊急募金を実施、日本から1,800万円の支援金を集めた。日本人スタッフが現地に視察に入っている。 ヨルダン・ハシミテ王国
2007年、事業を開始した。数十万人のイラク難民が暮らすヨルダンで、イラク人を含む幼児の幼児教育施設への受け入れを支援。幼稚園の修復を支援。幼稚園教員への教育研修を実施。イラク人とヨルダン人の相互理解の機会を提供している。 アジア アフガニスタン・イスラム共和国
2002年、SCJ事務所をカーブル とバーミヤーン に開設し、教育を中心とした復興開発事業を開始。住民自立支援、学校建設および修復、教員研修、地雷回避教育等。日本テレビ 系列の24時間テレビ 「愛は地球を救う」 で藤原紀香 が内乱後のアフガニスタンを訪問して、現場の取材とレポートをした。 2004年、「セーブ・ザ・チルドレン藤原紀香アフガニスタン基金」で建設していたバーミヤーン州 ヤカウラン郡アンダー村のアンダー女子小学校が完成。同年の活動は他に識字教育事業、子どもの権利および研修事業等。 2005年、「藤原紀香アフガニスタン基金」と他の支援金と合わせてバーミヤーン州バーミヤーン郡チャプダラ村に小学校を建設。他、学習環境改善事業、識字教育事業等。 2006年、アフガニスタンの治安情勢が悪化する中、識字教室の開催等を実施。 2007年、教育啓発の演劇により不登校を改善、識字教室の開催等を行う。藤原紀香が著書『紀香魂 - ハッピー・スピリット - 』の印税の一部をアフガニスタン支援に寄付。 2008年、バーミヤーンで、わかりやすい授業の方法と体罰なしの生徒指導の方法を題材に、教員向けの研修を実施。子ども向けには保健・衛生・栄養の教育事業を実施。 2009年、アフガニスタンを題材にした映画『子供の情景 』の日本上映につき、アフガニスタンの子どもに本を贈るチャリティー運動「NO MORE WAR! MORE BOOKS! 爆弾よりも本を!」があり、バーミヤーンの子どもたちへの本の配布に協力している。第1回の配布は5,000冊。200冊ごとに1つの「移動式の図書箱」を用意する。「移動式の図書箱」とは、子どもたちが読書グループを形成して、子どもたちが自分より年下の子どもたちに本を読み聞かせるという、継続的な教育支援である。目的は、読み書きの力が上がること、道徳心や自信を育むことである。[5] インド共和国
インドネシア共和国
カンボジア王国
2004年、世界の各セーブ・ザ・チルドレンとともに支援を開始した。 スリランカ民主社会主義共和国
2008年、内戦による国内避難民 の支援活動を開始した。内戦で精神的にショックを受けた子どもに安全な遊び場の提供、子どもへの保護意識を大人に啓発、教育施設の修復と建設、食料支援等をしている。 タイ王国
1986年から1989年、事業の資金協力を実施。 1992年、SCJ事務所をタイに開設、青少年事業開始。 2001年、タイでの事業を終了する。 中国
2008年、四川大地震 での被害に支援活動を実施し、翌年8月に活動終了。 日本国
2002年、SCJとその他2つのNGO 団体が、日本の文部科学省 と協力して「アフガンキッズ・プロジェクト」を開催。当プロジェクトにより、日本全国の小学校、中学校、高等学校の生徒にアフガニスタン の状況を伝え、支援を呼びかけた。同年末より、藤原紀香 がアフガニスタン訪問時に撮影した写真の展覧会を東京国際フォーラム で開催し、全収益が「セーブ・ザ・チルドレン藤原紀香アフガニスタン基金」に充てられ、アフガニスタンで教育支援に使われている[8] 。 2003年、日本の子どもへの教育事業「Speaking Out - みんなで話そう - 」開始。Speaking Outには国際協力活動の情報提供等のプログラムがあり、子どもが子ども自身について学ぶことができる。 2021年、ディーン・フジオカ の支援プロジェクト「DEAN FUJIOKA絵本寄贈の旅#SavewithFamBam」に協力。READYFOR によるクラウドファンディング で集まった支援金と、彼自身が手掛けた絵本『ふぁむばむ』の収益の一部から、「作品に描かれたテーマについて、子どもたちへ学ぶ機会を提供したい」と考えている日本全国の保育園や幼稚園、放課後児童クラブなどの子ども向け施設に『ふぁむばむ』を寄贈する[9] [10] 。 その他、子どもへの暴力根絶の啓発・提言・研究の事業、子どもの権利を社会に広めるチャイルド・ライツ・センターの事業、しつけと子育ての「ポジティブ・ディシプリン」を広める事業等がある。 ネパール連邦民主共和国
パキスタン・イスラム共和国
バングラデシュ人民共和国
フィリピン共和国
1986年から1989年、事業の資金協力を実施。 1991年、SCJ事務所を開設し、都市貧困層の支援事業開始。 1992年、ピナトゥボ山 噴火の被災者とストリートチルドレン への事業開始。 2002年、フィリピンでの事業を終了する。 ベトナム社会主義共和国
1995年、SCJ事務所を開設し、栄養改善事業を開始した。事務所開設以来、子どもへの支援の一環として、子ども教育を母親に啓発している。 2009年、「OPPAI PROJECT」 (母乳育児のプロジェクト) がベトナムで開始した。世界では年間694万人が、栄養失調を理由に1歳未満で死亡している。母乳は赤ちゃんに理想的な栄養と、感染症の抗体が含まれるため、母乳育児により乳児死亡率 の改善が期待されている。藤原紀香が母乳育児活動の視察にベトナムを訪問した。[6] ミャンマー連邦
モンゴル国
2007年から事業を開始した。ストリートチルドレンの生活支援、障害児のリハビリ支援、通学のための統合教育、保護者による暴力や育児放棄問題への取り組み等を実施。 2009年、ウランバートル を中心とした大洪水での被害に支援活動を実施。 2021年、ディーン・フジオカの支援プロジェクト「DEAN FUJIOKA絵本寄贈の旅#SavewithFamBam」に協力。READYFORによるクラウドファンディングで集まった支援金と、彼自身が手掛けた絵本『ふぁむばむ』の収益の一部から、モンゴルの幼稚園・公立小学校に、就学前の子どもに適した学びを提供するようセレクトした絵本や学習教材・教育玩具を寄贈する[9] [10] 。 中南米 グアテマラ共和国
2004年、世界の各セーブ・ザ・チルドレンとともに支援を開始した。 メキシコ合衆国
北米 アメリカ合衆国
2002年、アメリカの知的障害児等の支援としてSCJに集まった寄付金を、アメリカのセーブ・ザ・チルドレンの「危機にあるアメリカの子ども基金」に提供した。 ヨーロッパ ユーゴスラビア連邦共和国
1994年、ユーゴスラビア紛争 にあった連邦共和国に、アメリカのセーブ・ザ・チルドレンと合同で支援を実施した。 -- 参考文献は「脚注[12] 」「脚注[13] 」「脚注[14] 」
関連項目 脚注 外部リンク 理事 準理事 製造 建設 インフラ 情報・通信 運輸 卸売・小売 金融・保険 不動産 複合サービス サービス 教育・学習支援 自治体・ 大学・その他