スコップ三味線

スコップ三味線(スコップじゃみせん)は、青森県津軽地方発祥の日本の宴会芸。スコップ栓抜きを用いて、音楽に合わせて津軽三味線の演奏をまねた「あてぶり」をするものである(スコップを叩くので音は出る)[1]

楽器演奏の技術を必要とせず、誰でも行うことができるが、青森県出身の伊奈かっぺいによると「本当に弾いているように見せるには、熟練のワザが必要」という[1]。「すこっぷ三味線」と表記される場合もある[2]

歴史

1985年頃、青森県五所川原市在住の舘岡屏風山(本名:高橋弘行)が考案したものが最初である[1][3][2]

1985年頃から、岸千恵子(青森県南津軽郡碇ヶ関村、現在の平川市出身)の歌った「千恵っこよされ」がヒットし、たまたまあった「スコップ」と「栓抜き」で、三味線の弾き真似をしたのが始まりとされる[1]。舘岡が「スナック銀河」で「三味線が無理だから」という理由でこの芸を披露したとする見解もある[4]。また舘岡が初めて披露した店について、後述の世界大会ウェブサイトでは「自身の経営する飲食店『ラブポーション』」としている[5]

誰でもできる手軽さから、忘年会などの出し物で取り上げられるなど、同店の来客者を中心に広まった[要出典]。一般にも認知されるようになり、全国的にも広がった[6]

2007年12月2日には、「第1回スコップ三味線世界大会」が五所川原市ELMの街ショッピングセンターエルムホールで開催され、その技が競われた[7][8]。第2回大会には芸人山崎邦正が出場し、個人の部第3位に入賞している[9]。2018年の第12回大会個人の部で優勝した秋田県湯沢市の人物は、「非公認ご当地ヒーロー」の「スコップ戦士ジャミセリオン」を名乗って活動している[10]

楽器

スコップは雪かきのためのシャベルで、雪が硬く凍る津軽地方では冬の必需品であり、シャベルではなくスコップと呼ばれる。スコップ三味線には、音の良さと弾きやすさから、鉄製で先が丸みを帯びたスコップが用いられる。しかし、現在のシャベルの多くは、鉄製であれば四角形、丸形であればアルミ製となっており、鉄製で丸みを帯びた物は、非常に手に入りにくいものとなっている。[要出典]

撥には大きめの栓抜きが使われる。館岡が使用した栓抜きは、京都の土産物品と言われ、三味線のバチと同程度の大きさ・形を持つ物で、演奏には、必ずこの栓抜きが使われていた。[要出典]

楽器(スコップ)、撥(栓抜き)ともに、演奏に適した物は手に入りにくい状態にあり、舘岡はオリジナルの製作を検討している[要出典]

舘岡には、この他に、鉄製スコップの木製部分に津軽塗を施した特注品が存在する。津軽塗り仕様品の一つに「知事専用スコップ三味線」がある[11]。また、テレビ番組出演の際には、スコップ三味線用のケースも作られた[要出典]

奏法

構えは三味線と同様である。

左手は、棹(スコップの柄の部分)をつかみ、曲の高低に合わせて上下させる。特に、津軽三味線独特の音程を下から上に上げる(ポルタメント)奏法(手の位置は逆に、上から下への動きになる)を取り入れることにより、よりリアルな奏法になる。また、時々、糸巻き(実際には無い)を調節する動作を入れるのが、ポイントとなっている。

右手は撥(栓抜き)を持ち、音に合わせてスコップ(胴)を叩く。普通に叩く1つ打ちのほか、スコップの凹み部分を使うことにより2つ打ちを行うことができる。これらを混ぜることにより、より津軽三味線らしさを演出することができる。さらに、大きめの栓抜きを使うことにより、柄の部分でも叩くことができ、この場合には、より複雑なリズムを演奏することができる。

脚注

関連項目

外部リンク