コパ・アメリカ

南米サッカー連盟が主催するサッカー大陸選手権大会

CONMEBOLコンメボルコパ・アメリカ西: CONMEBOL Copa América)は、南米サッカー連盟(CONMEBOL)が主催する、世界最古のナショナルチームによるサッカーの大陸選手権大会である。大抵は年度を付加して“コパ・アメリカ [開催国] [年度]”(: COPA AMERICA [country] [year])などのように呼称される。旧称は南米選手権西: Campeonato Sudamericano de Selecciones, : Copa Sul-Americana de Futebol)で、1975年大会より現在の名称となった。

CONMEBOLコンメボルコパ・アメリカ
開始年1916年
主催CONMEBOL
地域南アメリカ
参加チーム数12
前回優勝 アルゼンチン (15回目)
最多優勝 アルゼンチン
 ウルグアイ (15回)
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歴史

南米選手権

1910年にアルゼンチンチリウルグアイの3カ国による大会が開かれたが、CONMEBOLが設立された1916年の大会を、第1回大会としている。

第1回大会には、アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイ・チリの4カ国が参加し、アルゼンチンで開催された。1921年にパラグアイが追加で参加したことを皮切りに、1926年にボリビア、1927年にペルー、1939年にエクアドル、1945年にコロンビア、1967年にベネズエラが順次参加し、南米10カ国全てが参加する大会となった。

南米選手権は、変則的に開催されていたが、1967年ウルグアイ大会からしばらく中断され、1975年にコパ・アメリカとして再開された。

コパ・アメリカ

この1975年大会からの3大会は、集中開催方式ではなくホーム・アンド・アウェー方式で行われた。1979年大会から、原則4年ごとの開催となった。その後、1987年アルゼンチン大会以降は2年ごとの開催に変更されたが、2004年ペルー大会以降、再び4年ごとの開催に戻っている。

1993年エクアドル大会には、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)からメキシコアメリカ合衆国の2カ国を招待。これ以降の各大会では、2カ国(2001年コロンビア大会はアルゼンチンが参加を辞退したため3カ国)を招待している。これまで、メキシコが1993年以降2017年までの各大会に招待され、実質的なレギュラー出場国となっていたほか、もう1カ国もアメリカ合衆国・コスタリカホンジュラスなど、地理的に近いCONCACAFから招待される事が定例になっていた。

これに対する例外として、1999年パラグアイ大会に、アジアサッカー連盟(AFC)の日本が出場した。日本は2011年アルゼンチン大会にも招待されていたものの[1]東日本大震災の影響によるJリーグ日程変更の影響などもあり出場を辞退し、代わってコスタリカが参加することとなった[2]また、2019年大会には日本が2度目、また2022年ワールドカップ開催国のカタールが初の招待を受けており、メキシコの連続招待およびCONCACAFからの連続出場が途切れることとなった。

当初、2015年大会の開催国になるはずだったブラジルが、FIFAコンフェデレーションズカップ20132014 FIFAワールドカップに加え、2016年リオデジャネイロオリンピックと世界的スポーツイベントの開催が立て続けに予定されている中で2015年に同大会を開催することに難色を示し、結局2019年に開催国となるはずだったチリと開催権を交換、2015年はチリ、2019年はブラジルで開催することとなった。

2015年大会はチリで行われたが、その1年後に南米サッカー連盟(CONMEBOL)の創立100周年を祝って「特別大会」が開かれた。2012年7月5日、メキシコサッカー連盟のフスティノ・コンペアン会長が「2016年大会はアメリカで開かれることになる。これは正式な話だ」と発言した。また、「この話は北中米カリブ海サッカー連盟のジェフリー・ウェブ会長主導の下で行われた。CONMEBOLの発展につながるだろう」と語っている[3]。この大会はCONCACAFから6チームが参加し、全16チームの拡大開催となった。

100周年大会とその後

2016年、アメリカで開催されたコパ・アメリカ・センテナリオ大会で100周年が祝われた。この大会は南米以外での初開催であり、CONMEBOL(南米サッカー連盟)とCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)から16チームが参加した。大会中、メディアはCONMEBOLCONCACAFがコパ・アメリカとCONCACAFゴールドカップ(2年ごとにアメリカで開催される大陸選手権)の統合を交渉していると報じた。アメリカサッカー連盟の会長であるスニル・グラティはこの報道を否定し、そのような議論は行われておらず、新しい大会を設立する必要があると述べた。チリがPK戦を制して2度目の優勝を果たした。2016年大会は観客動員数の記録を破り、準決勝までの合計で150万人の観客と試合平均46,000人の観客を記録した。

ブラジルは通常の4年周期で開催される2019年大会を開催し、改装されたマラカナン・スタジアムで行われた決勝でペルーを破り9度目のタイトルを獲得した。CONMEBOLは、2020年からUEFA欧州選手権と同期するように偶数年に大会を開催することを承認し、2020年のコパ・アメリカはアルゼンチンとコロンビアの共同開催で2つのグループに分かれて行われる予定だった。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックにより大会は1年延期され、アジアからの招待チームであるオーストラリアとカタールは過密日程のため参加を辞退した。コロンビアは、抗議活動の広がりとCOVID-19の感染増加により大会を2021年11月に移すことを要請したが、CONMEBOLが再延期を拒否したため撤回した。開幕戦の13日前に、アルゼンチンでのCOVID-19の感染拡大により大会全体がブラジルに移された。2021年のコパ・アメリカは10チームで行われ, そのほとんどが感染拡大のために無観客で行われた。マラカナンでの決勝は収容人数の10%に制限された。アルゼンチンがブラジルを破り、28年ぶりのタイトルを獲得した。

CONMEBOLCONCACAFは2023年1月にパートナーシップ協定を締結し、2024年のコパ・アメリカの開催地としてアメリカが選ばれた。この大会には6つのCONCACAFのチームが参加し、2026年にアメリカで共同開催される予定のFIFAワールドカップと一部の会場を共有することになる。

開催方式

CONMEBOL加盟10チームに招待国2チームを合わせた計12チームを4チームずつ3グループに分けグループリーグを行う。各グループの1位2位チームおよび、各グループ3位の中で成績の上位2チームの計8チームが決勝トーナメント進出。

以前の大会においては、様々な試合方式が行われた。数チームによる決勝リーグで争われた大会では、決勝戦や3位決定戦が行なわれなかった。

本大会では、CONMEBOL加盟国が少ないこともあって予選が存在しない。これは大陸王者を決める大会では唯一である。

結果

南米選手権

開催年開催国最終順位出場
国数
優勝準優勝3位4位
11916年[4] アルゼンチン  ウルグアイ  アルゼンチン  ブラジル  チリ4
21917年 ウルグアイ  ウルグアイ  アルゼンチン  ブラジル  チリ4
31919年 ブラジル  ブラジル  ウルグアイ  アルゼンチン  チリ4
41920年  チリ  ウルグアイ  アルゼンチン  ブラジル  チリ4
51921年 アルゼンチン  アルゼンチン  ブラジル  ウルグアイ  パラグアイ4
61922年 ブラジル  ブラジル  パラグアイ  ウルグアイ  アルゼンチン5
71923年 ウルグアイ  ウルグアイ  アルゼンチン  パラグアイ  ブラジル4
81924年 ウルグアイ  ウルグアイ  アルゼンチン  パラグアイ  チリ4
91925年 アルゼンチン  アルゼンチン  ブラジル  パラグアイ(3カ国のみ参加)3
101926年  チリ  ウルグアイ  アルゼンチン  チリ  パラグアイ5
111927年 ペルー  アルゼンチン  ウルグアイ  ペルー  ボリビア4
121929年 アルゼンチン  アルゼンチン  パラグアイ  ウルグアイ  ペルー4
131935年[5] ペルー  ウルグアイ  アルゼンチン  ペルー  チリ4
141937年 アルゼンチン  アルゼンチン  ブラジル  ウルグアイ  パラグアイ6
151939年 ペルー  ペルー  ウルグアイ  パラグアイ  チリ5
161941年[5]  チリ  アルゼンチン  ウルグアイ  チリ  ペルー5
171942年 ウルグアイ  ウルグアイ  アルゼンチン  ブラジル  パラグアイ7
181945年[5]  チリ  アルゼンチン  ブラジル  チリ  ウルグアイ7
191946年[5] アルゼンチン  アルゼンチン  ブラジル  パラグアイ  ウルグアイ6
201947年 エクアドル  アルゼンチン  パラグアイ  ウルグアイ  チリ8
211949年 ブラジル  ブラジル  パラグアイ  ペルー  ボリビア8
221953年 ペルー  パラグアイ  ブラジル  ウルグアイ  チリ7
231955年  チリ  アルゼンチン  チリ  ペルー  ウルグアイ6
241956年[5] ウルグアイ  ウルグアイ  チリ  アルゼンチン  ブラジル6
251957年 ペルー  アルゼンチン  ブラジル  ウルグアイ  ペルー7
261959年 アルゼンチン  アルゼンチン  ブラジル  パラグアイ  ペルー7
271959年[5] エクアドル  ウルグアイ  アルゼンチン  ブラジル  エクアドル5
281963年 ボリビア  ボリビア  パラグアイ  アルゼンチン  ブラジル7
291967年 ウルグアイ  ウルグアイ  アルゼンチン  チリ  パラグアイ6

コパ・アメリカ

開催年開催国決勝戦3位決定戦出場
国数
優勝結果準優勝3位結果4位
301975年ホーム&アウェー方式  ペルー0 - 1
2 - 0
1 - 0
 コロンビア  ブラジル
 ウルグアイ
-----[6]10
311979年ホーム&アウェー方式  パラグアイ3 - 0
0 - 1
0 - 0 aet
 チリ  ブラジル
 ペルー
-----[6]10
321983年ホーム&アウェー方式  ウルグアイ2 - 0
1 - 1
 ブラジル  ペルー
 パラグアイ
-----[6]10
331987年 アルゼンチン  ウルグアイ1 - 0  チリ  コロンビア2 - 1  アルゼンチン10
341989年 ブラジル  ブラジル-----[7]  ウルグアイ  アルゼンチン-----[7]  パラグアイ10
351991年  チリ  アルゼンチン-----[7]  ブラジル  チリ-----[7]  コロンビア10
361993年 エクアドル  アルゼンチン2 - 1  メキシコ  コロンビア1 - 0  エクアドル12
371995年 ウルグアイ  ウルグアイ1 - 1
(PK 5 - 3)
 ブラジル  コロンビア4 - 1  アメリカ合衆国12
381997年 ボリビア  ブラジル3 - 1  ボリビア  メキシコ1 - 0  ペルー12
391999年 パラグアイ  ブラジル3 - 0  ウルグアイ  メキシコ2 - 1  チリ12
402001年  コロンビア  コロンビア1 - 0  メキシコ  ホンジュラス2 - 2
(PK 5 - 4)
 ウルグアイ12
412004年 ペルー  ブラジル2 - 2
(PK 4 - 2)
 アルゼンチン  ウルグアイ2 - 1  コロンビア12
422007年 ベネズエラ  ブラジル3 - 0  アルゼンチン  メキシコ3 - 1  ウルグアイ12
432011年 アルゼンチン  ウルグアイ3 - 0  パラグアイ  ペルー4 - 1  ベネズエラ12
442015年  チリ  チリ0 - 0 aet
(PK 4 - 1)
 アルゼンチン  ペルー2 - 0  パラグアイ12
452016年 アメリカ合衆国  チリ0 - 0 aet
(PK 4 - 2)
 アルゼンチン  コロンビア1 - 0  アメリカ合衆国16
462019年 ブラジル  ブラジル3 - 1  ペルー  アルゼンチン2 - 1  チリ12
472021年 ブラジル  アルゼンチン1 - 0  ブラジル  コロンビア3 - 2  ペルー10
482024年 アメリカ合衆国16
  • 斜字は招待国

統計

代表別通算成績

国・地域名
1  アルゼンチン4315145220212841334252.10474182+292
2  ウルグアイ451569520611238563741.82410222+188
3  ブラジル379127319110838453621.90430204+226
4  パラグアイ3826771776443702351.33264303-39
5  チリ40245111886733882341.24291316-25
6  ペルー3321861615839642131.32230255-25
7  コロンビア2311521244728491691.36142191-49
8  ボリビア281102119202673860.72108298-190
9  エクアドル290002126162684740.59134327-193
10  メキシコ10023048191316701.466662+4
11  ベネズエラ1900017081745410.5952180-128
12  コスタリカ5000017539181.061731-14
13  アメリカ合衆国40002185211170.941829-11
14  ホンジュラス100106312101.6775+2
15  パナマ10000310231.00410-6
16  日本20000603330.50615-9
17  カタール10000301210.3325-3
18  ジャマイカ20000600600.0009-9
19  ハイチ10000300300.00112-11
  • データは2021年大会終了時点
  • 太字は優勝経験のある国・地域で、太数字は最多記録
  • 斜字は招待国
  • 国・地域名は現在の名称で統一した
  • 順位は通算勝点の多い順で、通算勝点が同数の場合は1試合あたりの平均勝点が多い方を、それも同数の場合は得失点差の優れた方を、得失点差も同数の場合は総得点の多い方を上にした
  • PK戦で決着がついた試合は記録上引き分けとなる

優勝回数

国別優勝回数
回数国名
15回  ウルグアイ1916,1917,1920,1923,1924,1926,1935,1942,1956,1959,
1967,1983,1987,1995,2011
15回  アルゼンチン1921,1925,1927,1929,1937,1941,1945,1946,1947,1955,
1957,1959,1991,1993,2021
9回  ブラジル1919,1922,1949,1989,1997,1999,2004,2007,2019
2回  ペルー1939,1975
 パラグアイ1953,1979
 チリ2015,2016
1回  ボリビア1963
 コロンビア2001
  • 斜数字は南米選手権時代の開催年

個人通算得点

順位選手名得点数
1 ジジーニョ17
ノルベルト・メンデス英語版
3 テオドロ・フェルナンデス15
セベリーノ・バレラ英語版
5 パオロ・ゲレーロ14
エドゥアルド・バルガス
7 エクトル・スカローネ13
ホセ・マヌエル・モレノ
アデミール
ジャイルジーニョ
ガブリエル・バティストゥータ
リオネル・メッシ

日本代表の参加

1999年大会に初めて招待され、トルシエ監督のもと1分2敗でグループリーグ敗退となった[8]2011年大会にも招待されていたが、東日本大震災の影響で辞退した。2019年大会には同じAFCカタール代表とともに、AFCアジアカップ2019のファイナリストとして招待されたが、2分1敗でまたもグループリーグ敗退となった[9]

脚注

関連項目

外部リンク