グランド・ファンク・レイルロード

アメリカ合衆国のハードロックバンド

グランド・ファンク・レイルロードGrand Funk Railroad, GFR[注釈 1]アメリカ合衆国ハードロックバンド1960年代末にマーク・ファーナー、メル・サッチャー[3]、ドン・ブリューワーによって結成されたトリオで、1970年代半ばにかけてアルバム、ヒット・シングルを連発して高い人気を誇った。

グランド・ファンク・レイルロード
オリジナルメンバーの3人(1971年撮影)。左からドン・ブリューワー、マーク・ファーナー、メル・サッチャー。
基本情報
別名グランド・ファンク
出身地アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ミシガン州ジェネシー郡フリント
ジャンル
活動期間
  • 1969年 - 1976年
  • 1981年 - 1983年
  • 1996年 - 1998年
  • 2000年 -
レーベル
公式サイトGrand Funk Railroad Official Web Site
メンバー
旧メンバー

二度の解散と再結成を経て、ブリューワーを中心に2023年現在も活動中である。

概要:歴史

「テリー・ナイト・アンド・ザ・パック(Terry Knight and the Pack)」というバンドで活動していたドン・ブリューワー (Don Brewer, ds)とマーク・ファーナー (Mark Farner, vo & g)、が、テリー・ナイト(Terry Knight)がバンドを去ったのを機に、メル・サッチャー (Mel Schacher, b) を誘って新しいバンドを結成し、アメリカの鉄道会社「グランド・トランク鉄道 (Grand Trunk Western Railroad) 」をもじった名前を付けた。

1968年頃より勃興していたニューロック、又はヘヴィロック(現在のハードロック)のスタイルをいち早く取り入れ、1969年にかつて同僚ナイトをプロデューサーに迎えたアルバム『グランド・ファンク・レイルロード登場 (On Time) 』でデビューする。レッド・ツェッペリンのアメリカ公演の前座を務めた際に、その歌と演奏力で聴衆を熱狂させ、ツェッペリンを食ってしまったことにより、ロックファンの間で知名度が高まった。アルバムからシングルカットされた「ハートブレイカー」はハードロックの古典になり、セカンド・アルバム『グランド・ファンク (Grand Funk)』に収録されたアニマルズの「孤独の叫び」のカバーファンキーな人気曲となった。日本でも人気を集め、ザ・タイガースが「ハートブレイカー」をコンサートのレパートリーとして取り上げ、後にフォークシンガーとしてデビューする井上陽水がこの曲のコード進行を模倣して「傘がない」を書いた。1971年の東京公演は後楽園球場で行なわれ、激しい雷雨の中での演奏はロック伝説として今も語り草になっている。

1972年の『不死鳥 (Phoenix)』からはナイトと決別し、クレイグ・フロスト (Craig Frost, kbd) を迎えて4人編成になり、バンド名をグランド・ファンク (Grand Funk)に変更して音楽性をポップな方向に広げた[注釈 2]。同アルバムからは「ロックンロール・ソウル」がシングル・カットされた。1973年、トッド・ラングレンにプロデュースを委ねたアルバム『アメリカン・バンド (We're an American Band) 』を発表。同名シングル曲が全米1位を獲得する大ヒットを記録、このアルバム・タイトルはそのまま彼らの代名詞となり、ボン・ジョヴィなど後に登場するアメリカのロックバンドにライブなどで何度もカバーされている。

続くアルバム『輝くグランド・ファンク (Shinin' On) 』では、1962年に全米1位を獲得したジェリー・ゴーフィン & キャロル・キング作によるリトル・エヴァ (Little Eva) の大ヒット曲「ロコモーション (The Loco-Motion)」をハードロック風にアレンジしたカバーがシングルカットされ、こちらも全米1位を獲得、グランド・ファンク最大のヒットシングルとなった。また、ロコモーションのほかに「シャイニン・オン」もシングルとして発表された。

1975年にはドリフターズの原曲をブギ・ウギ調にアレンジした「オー・ワンダフル」と「バッド・タイム」の2曲のヒットを放った。1976年の『驚異の暴走列車(Born to Die)』を発表しCapitolとの契約は満了した。同年、MCAからフランク・ザッパをプロデューサーに迎えた『熱い激突(Good Singin', Good Playin')』を発表した[注釈 3][4]が、その直後に解散した。

解散後、ファーナーはソロでMark Farner(1977年)、No Frills(1978年)の2枚のアルバムを発表した。ブリューワー、サッチャー、フロストの3人はFlintを結成しFlint(1977年)を発表した。

1980年、GFRはファーナーとブリューワーの2人によって再結成された。『グランド・ファンク復活(Grand Funk Lives)』と『ホワッツ・ファンク?(What's Funk ?)』と2枚のアルバムを発表するがヒットを出すことなく1983年に二度目の解散をした。

1997年に行なわれたボスニア救済コンサートをきっかけにオリジナルメンバーで再々結成(『ボスニア(Bosnia)』)。1999年にファーナーがソロ活動のために脱退したが、元キッスのブルース・キューリックが加入した。

2023年現在もGFRはライヴなどの活動を行っている。

メンバー

Mel Schacher
January 12, 2002
Bruce Kulick
January 12, 2002
Mel & Bruce
January 12, 2002

現在のメンバー

メンバー名原語表記担当在籍時期
ドン・ブリューワーDon BrewerDrums, Lead Vocals1968~1977, 1980~1983, 1996~現在
メル・サッチャーMel SchacherBass Guitar1968~1977, 1980~1981, 1996~現在
マックス・カールMax CarlLead Vocals2000~現在
ブルース・キューリックBruce KulickGuitars2000~現在
ティム・カーションTimothy "Tim" CashionKeyboards2000~現在
クレイグ・フロストCraig FrostKeyboards1972~1977, 2005~現在

過去に在籍したメンバー

メンバー名原語表記担当在籍時期
マーク・ファーナーMark FarnerGuitars, Lead Vocals1968~1977, 1980~1983, 1996~1999
テリー・ナイトTerry KnightBass Guitar1972
デニス・ベリンジャーDennis BellingerBass Guitar1980~1983
ハワード・エディ・ジュニアHoward Eddy, Jr.Keyboards1996~1999

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム

タイトル原題US 200認定
グランド・ファンク・レイルロード登場On Time1969# 27Gold
グランド・ファンクGrand Funk1969# 11Platinum
クローサー・トゥ・ホームCloser to Home1970# 62x Multi-Platinum
サバイバルSurvival1971# 6Platinum
戦争をやめようE Pluribus Funk1971# 5Platinum
不死鳥Phoenix1972# 7Gold
アメリカン・バンドWe're an American Band1973# 22x Multi-Platinum
輝くグランド・ファンクShinin' On1974# 5Gold
ハード・ロック野郎 (世界の女は御用心)All the Girls in the World Beware!!!1974# 10Gold
驚異の暴走列車Born to Die1976# 47
熱い激突Good Singin', Good Playin'1976# 52
グランド・ファンク復活Grand Funk Lives1981# 149
ホワッツ・ファンク?What's Funk?1983

ライヴ・アルバム

タイトル原題US 200認定
ライヴ・アルバムLive Album1970# 52x Multi-Platinum
グランド・ファンク・ツアー ’75Caught in the Act1975# 21
ボスニアBosnia1997
1971 ライヴLive: The 1971 Tour2002

コンピレーション

タイトル原題US 200認定
Mark, Don and Mel: 1969-71Mark, Don and Mel: 1969-711972# 17Gold
Grand Funk HitsGrand Funk Hits1976# 126
HitsHits1977
The Best of Grand FunkThe Best of Grand Funk1990
Capitol Collectors SeriesCapitol Collectors Series1991Gold
Heavy HittersHeavy Hitters!1992
Thirty Years of Funk: 1969-1999Thirty Years of Funk: 1969-19991999
Greatest Hits with DVDGreatest Hits with DVD2006

シングル(米国)

タイトルUS HOT 100
1969Time Machine / High On A Horse# 47
Mr. Limousine Driver / High Falootin' Woman# 97
1970Heartbreaker / Please Don't Worry# 72
Nothing Is The Same / She's A Good Man's Brother
I'm Your Captain (Closer to Home) / Aimless Lady# 22
Mean Mistreater / Mark Says Alright# 47
1971Inside Looking Out# 40
Feelin' Alright / I Want Freedom# 54
Gimme Shelter / I Can Feel Him In The Morning# 61
People, Let's Stop The War / Save The Land
1972Footstopin' Music / I Come Tumblin'# 29
Upsetter / No Lies# 73
Rock'n'Roll Soul / Flight Of The Phoenix# 29
1973We're An American Band / Creepin'# 1
Walk Like A Man / Railroad# 19
1974The Loco-Motion / Destitude & Losin'# 1
Shinin' On / Mr. Pretty Boy# 11
Some Kind of Wonderful / Wild# 3
1975Bad Time / Good And Devil# 4
Take Me / Genevieve# 53
1976Sally / Love Is Dyin'# 69
Can You Do It / 1976# 45
1977Just Couldn't Wait / Out To Get You
1981Y.O.U. / Testify
1982Stuck In The Middle / No Reason Why

メンバー構成推移

第2期
1977~1980

活動停止期間

1980
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
1980~1981
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Mel Schacher (Bass)
1981
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
1980~1983
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Dennis Bellinger (Bass)
1983
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)

第3期〜現在
1983~1996

活動停止期間

1996
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
1996
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Mel Schacher (Bass)
1996~1999
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Howard Eddy, Jr. (Keyboards)
  • Mel Schacher (Bass)
1999
  • Mark Farner (Guitars, Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Mel Schacher (Bass)
1999~2000
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Mel Schacher (Bass)
2000~2005
  • Max Carl (Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Bruce Kulick (Guitars)
  • Tim Cashion (Keyboards)
  • Mel Schacher (Bass)
2005~現在
  • Max Carl (Vocals)
  • Don Brewer (Drums, Vocals)
  • Bruce Kulick (Guitars)
  • Tim Cashion (Keyboards)
  • Mel Schacher (Bass)
  • Craig Frost (Keyboards)

日本公演

7月17日 後楽園球場、 18日 大阪球場
後楽園球場では、開演時に会場へ入り切れなかった観客が暴徒化。12番ゲートの扉を破壊して放火、駆け付けた機動隊員らに投石をする騒ぎとなったが、偶然発生した激しい雷雨により暴動は鎮静化した[5]
5月18日 名古屋市公会堂、19日 京都会館、21日 大阪厚生年金会館、22日,23日 日本武道館
9月6日 日本武道館、8日 大阪フェスティバルホール、9日 名古屋市公会堂
  • 1997年
6月21日 赤坂ブリッツ、22日 大阪フェスティバルホール、24日,25日 中野サンプラザ


※マーク・ファーナーは、ソロやリンゴ・スターのバンドでも来日公演を行っている[6][7][8]

関連項目

脚注

注釈

出典

外部リンク