クロネッカーのデルタ(英: Kronecker delta)とは、集合 T(多くは自然数の部分集合)の元 i, j に対して
![{\displaystyle \delta _{ij}={\begin{cases}1&(i=j)\\0&(i\neq j)\end{cases}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/a2096c078d7af0a96b853774d1ee394f1e96b04a)
によって定義される二変数関数
のことをいう。つまり、T × T の対角成分の特性関数のことである。名称は、19世紀のドイツの数学者レオポルト・クロネッカーに因む[1]。
アイバーソンの記法を用いると
![{\displaystyle \delta _{ij}=[i=j]\,}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/1419db152cf3420e549896141fbf42846adb3141)
と書ける。
単純な記号だが、色々な場面で有用である。例えば、単位行列は (δij) と書けたり、n 次元直交座標の基底ベクトルの内積は、(ei, ej) = δij と書ける。
性質
一般化されたクロネッカーのデルタ
この節では、添字は 1 から n の間の値をとるものとする。
2階(1, 1)型テンソルとしてのクロネッカーのデルタは
である。
これを高階に拡張したものとして、n 次元、2p 階の一般化されたクロネッカーのデルタがある。これは (p, p) 型テンソルで、上下それぞれの添字に対して反対称である。
定義
一般化されたクロネッカーのデルタの定義は
である[2][3]。
なお、"
" は
が全て異なり、かつ、
の偶置換の場合を指し、"
" は
が全て異なり、かつ、
の奇置換の場合を指し、"
" は上記以外のすべての場合を指す。
を p 次の対称群とすれば
と表現でき、反対称化の記号を用いると:
となる。また、p × p 行列式で表現すると[4]:
となる。
行列式の余因子展開を用いると再帰的な定義:
が得られる。ただし、チェック(
)が付いた項は式から外されるとする。
n=p の場合、(高階に拡張された)エディントンのイプシロンを使えば:
となる。
逆にエディントンのイプシロンの定義と考えることもできる。
演算規則
反対称化を一般化されたクロネッカーのデルタを使って定義すると
となる。
これより、以下の演算規則が導かれる。
これらは#性質の節の内容の一般化であり、3番目の式はコーシー・ビネの公式に対応する。
添字の縮約については 0≤m<k≤n として[5]、
あるいは
が成立する。
特に k=n のとき、
あるいは
が成立する。
出典
関連項目