アロス・カルド

アロス・カルド(Arroz caldo、Aroskaldoとも綴られる)は、フィリピン料理のひとつで、鶏肉である。大量のショウガ、焙ったニンニクスキャリオン英語版(ネギ類の若い葉の部分)、固茹での卵黒胡椒が添えられ、調味料にはカラマンシー魚醤が共に用いられる。大抵のレシピではベニバナが使用されており、料理が特徴的な黄色になる。アロス・カルドはビサヤ地方ではポスパ (pospas)として知られているが、ポスパの材料は若干異なっている。

アロス・カルド
ベニバナを使った鶏肉の「アロス・カルド」
別名Aroskaldo, caldo de arroz, arroz caldo con pollo, chicken arroz caldo, chicken pospas
フルコースメインディッシュ
発祥地フィリピン
地域ルソン島
提供時温度
主な材料もち米ショウガ鶏肉、焼いたニンニクスキャリオン英語版黒胡椒ベニバナ
派生料理pospas, arroz caldong palaka
類似料理ゴトー英語版ルガウ英語版中華粥英語版
Cookbook ウィキメディア・コモンズ
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アロス・カルドはルガウ英語版の一種である。フィリピン文化のコンフォート・フードとされており、人気の朝食メニューである。

語源

名称はスペイン語arroz)と caldoブイヨン)に由来している[1]。もともとは全ての種類の米粥(タガログ語ルガウ英語版)を指していたが、その後、鶏肉を使用し、生姜を大量に使った特定の種類の「ルガウ」を示すようになった[2][3][4]

アロス・カルドはスペイン語の料理名だが、その起源は華僑によって持ち込まれた中華粥英語版に由来している。何世紀にもわたって、フィリピンの食材を使用して地元の好みに合うように変化してきた[5]

詳細

『アロス・カルド』は一般的にカラマンシーと共に供される

アロス・カルドには通常もち米malagkit)を使用するが、うるち米を大量の水で煮ても作ることができる。通常、鶏肉を最初に大量のショウガとともにブイヨンの中で煮る。一度鶏肉を鍋から取り出し、身をほぐしてから米とともに再び鍋に戻す。米は鍋に焦げ付かないように混ぜ続ける必要がある[6][7][8]。特徴的な黄色は kasubhaベニバナ)の添加によるものである。高価なバージョンではベニバナではなく、風味をさらに高めるためにサフランを使用することがある[9][10]。どちらも使えない場合にターメリックを使うこともある[11]

アロス・カルドはそれぞれ1つの固茹で卵とともにここのボウルに取り分けられる。トーストしたニンニク、刻んだスキャリオン英語版黒胡椒が添えられる。食感と風味を強化するために砕いたチチャロン英語版(カリカリに揚げた豚バラ肉)を加えることもある。アロス・カルドは非常に香りが強いが、通常は味付けが非常に淡白なので、さまざまな調味料でさらに味付けをする必要がある。もっとも一般的な調味料はカラマンシー魚醤patis)である。カラマンシーの代わりにライムが使われることもある[12][13]

アロス・カルドはフィリピン料理においてコンフォート・フードと見なされている。通常、朝食、寒い時期、雨天時や、病気や寝たきりの人に食べられている。冷えると固まるので温かくか、熱くして食べられる。再加熱時には少量の水を加える必要がある[10][13][14][15]

フィリピン航空のアロス・カルド[16]コラソン・アキノ大統領のお気に入りとして知られている[17]

変種

ベニバナを使用しないセブビサヤ・チキン・ポスパ

ビサヤ地方では、塩味のルガウは「ポスパ」(pospas)として知られている。チキン・ポスパはアロス・カルドの直接の同等物と見なされている。しかしながら、アロス・カルドとは異なり、ポスパでは伝統的にベニバナは使われない[18][19]

アロス・カルドの珍しい変種としてはカエルの脚を用いたアロス・カルドン・パラカ(arroz caldong palakapalaka はタガログ語で「カエル」)がある[1]。非伝統的な変種としては、肉お代わりにキノコや豆腐を使用する、ヴィーガン版がある[20]

ゴトー英語版もアロス・カルドと密接な関係があるが、大量のショウガを使用しないことから別種のルガウと見なされている[2]。アロス・カルドと同じように調理されるが、非常に柔らかくなるまで何時間も茹でた牛のトライプを使用する。タガログ語goto(トライプ)からアロス・カルド・コン・ゴトー(arroz caldo con goto)ないしアロス・コン・ゴトー(arroz con goto)としても知られている[1][21]

関連項目

脚注