アマゾン・エア

Amazon.com傘下の貨物航空会社

アマゾン・エアは、Amazon.comの貨物を輸送するヴァーチャル・エアラインの貨物航空会社である。自社の保有機材はなく、全機が他社からのリース機材となっている[1]。元々、社名はアマゾン・プライム・エアだったが、ドローン配信サービスのAmazon Prime Airと差別化を図るため、2017年に現在の社名へ変更された[2]

アマゾン・エア
IATA
-
ICAO
MZN
コールサイン
AMAZON
設立2015年
ハブ空港アメリカ合衆国の旗 シンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港
親会社Amazon.com
代表者サラ・ローズ (副社長)
外部リンクamazon.com/airplanes
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歴史

2013年8月、Amazon.comは専用輸送機としてボーイング767-300をこの先2年以内に購入又はリースで40機まで配備する予定を発表した。以前から11機を自社専用として運行していたが、世界の顧客への配達の更なるスピードアップのための拡張計画の一環としてユナイテッド・パーセル・サービスDHLFedEx輸送機に依存しない方針を固めた。同時に世界に集荷センターを145か所まで増設し、また配送トラックも4000台増強予定[3]

2015年、Amazonはプロジェクト・エアロスミスの一環としてウィルミントン・エア・パーク英語版で貨物機の試験飛行を開始した。同年12月、Amazonは新たに子会社として貨物航空会社を設立すると発表した[4]

2016年3月、Amazonはエア・トランスポート・インターナショナル英語版(ATI)の株式を最大19%保有する権利を取得し、20機のボーイング767による貨物便運航を開始した[5]

2017年1月31日、Amazonはシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港をアマゾン・プライム・エアのハブ空港にすると発表し[6]、同年4月30日に運航を開始した。Amazonは4,000万ドルの税優遇措置を受け、広さ280,000平方メートル、最大2,000人の雇用を創出する100機の貨物便を駐機可能な航空貨物専用施設を50年契約で空港施設運営者と借り上げ契約し2021年完成で着工したことを発表した[7][8]。この計画の費用は15億ドルと推定されている[2]

2017年12月、ドローン配送サービスであるAmazon Prime Airとの混同を防ぐため、社名をアマゾン・プライム・エアからアマゾン・エアに変更することを発表した[9]

2018年12月、アマゾン・エアは新たに10機のボーイング767をリースした[10]

Amazonはフォートワース・アライアンス空港英語版を新たな地方ハブ空港とすると発表した[11]

2019年から2020年にかけてAmazonはエア・トランスポート・サービス・グループ英語版から新たに10機のボーイング767-300Fをリースする契約を結んだ[10]。これによりアマゾン・エアの運航する機材数が50機となった。シンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港の工事は2020年に第一段階が完了し、2025年-2027年に第2段階の工事が行われる予定となっている[12]。アマゾン・エアは最終的にシンシナティを中心とし、15,000人の従業員によって200便以上の貨物便運航を行う計画を進めている[7][13]

2020年7月、アマゾン・エアは最大600万ガロンの持続可能な航空燃料を確保した[14]

就航都市

タンパ国際空港に駐機される3機のボーイング767

アマゾン・エアは以下の都市へ定期便を運航している[15]

ハブ空港/焦点都市
就航予定
運航終了
都市州/地域IATA空港開始日備考
アレンタウンペンシルベニア州ABEリーハイ・バレー国際空港英語版2016年[16]
アンカレッジアラスカ州ANCテッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港2019年[17]
アトランタジョージア州ATLハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港2019年[18]
オースティンテキサス州AUSオースティン・バーグストロム国際空港2020年
ボルチモアメリーランド州BWIボルチモア・ワシントン国際空港2017年
シャーロットノースカロライナ州CLTシャーロット・ダグラス国際空港2016年[19]
シカゴイリノイ州RFDシカゴ・ロックフォード国際空港2016年
シンシナティ/ヘブロン英語版ケンタッキー州CVGシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港2017年[19]
ダラス・フォートワーステキサス州DFWダラス・フォートワース国際空港2016年
ダラス・フォートワーステキサス州AFWフォートワース・アライアンス空港英語版2019年
デンバーコロラド州DENデンバー国際空港2018年
ハートフォードコネチカット州BDLブラッドレー国際空港2018年
ホノルルハワイ州HNLダニエル・K・イノウエ国際空港2018年
ヒューストンテキサス州IAHジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港2017年
コナハワイ州KOAコナ国際空港2020年[20]
レイクランドフロリダ州LALレイクランド・リンダー国際空港英語版2020年2020年7月23日に運航開始[21]
マイアミフロリダ州MIAマイアミ国際空港2017年
ミネアポリスミネソタ州MSPミネアポリス・セントポール国際空港2018年
オンタリオカリフォルニア州ONTオンタリオ国際空港2016年[19]
フェニックスアリゾナ州PHXフェニックス・スカイハーバー国際空港2016年
ポートランドオレゴン州PDXポートランド国際空港2018年
プロビデンスロードアイランド州PVDT・F・グリーン空港2017年2018年7月31日に運航終了[22]
リッチモンドバージニア州RICリッチモンド国際空港2020年
リバーサイドカリフォルニア州RIVマーチ・エア・リザーブ基地英語版2018年[23]
サクラメントカリフォルニア州SMFサクラメント国際空港2017年
サンフアン プエルトリコSJUルイス・ムニョス・マリン国際空港2020年[24]
セントルイスミズーリ州STLセントルイス・ランバート国際空港2019年[25]
サンアントニオテキサス州SKFケリー・フィールド英語版2017年[19]
シアトル/タコマワシントン州SEAシアトル・タコマ国際空港2016年[19]
ストックトンカリフォルニア州SCKストックトン・メトロポリタン空港英語版2016年
タンパフロリダ州TPAタンパ国際空港2016年[19]
ウィルミントンオハイオ州ILNウィルミントン・エア・パーク英語版2016年[26]

機材

ゼネラル・エレクトリック傘下の航空機リース会社、GEキャピタル・アビエーション・サービス(GECAS)が、2019年パリ国際航空ショーでアマゾン・エアとボーイング737-800BCF15機のリース契約を締結したと発表した[27]

2020年現在、アマゾン・エア便として767-300BDSF/BCFが38機、737-800BCFが15機が運航されている[28]。同年6月3日に767-300BDSF/BCFを12機追加でリース導入することを発表した[29]。これらの運航はリース契約を結んでいるアトラス航空エア・トランスポート・インターナショナル英語版サザン・エアサンカントリー航空によって行われている[2]

2023年後半からはエアバスA330-300P2Fを10機導入する予定[30]

ボーイング737-800BCF
ボーイング 767-300BCF
アマゾン・エアの運航機材[31][32]
機種運用中発注中運航会社備考
ボーイング737-800BCF53サザン・エア
37サンカントリー航空
02未定どの会社が運航するかなどは未定[33]
ボーイング767-300BDSF/BCF358エア・トランスポート・インターナショナル英語版2022年中に2機納入予定[34]
180アトラス航空
ボーイング767-300BDSF/BCF20CargojetAirways
合計5519

航空事故

  • 上記事故などについて、一部報道で乗員組合の調査などにより、低賃金過重労働によるブラック労働環境にあると報じられている[39][40]

脚注

注釈

出典

外部リンク