アトランティック・コンベアー

アトランティック・コンベアー(SS Atlantic Conveyor)は、ACL(アトランティック・コンテナ・ライン)が運航していたROROコンテナ船。1982年のフォークランド紛争で徴用され戦没した。尚、同名で1985年に竣工した2代目が存在するが、本項では1970年竣工の初代について解説する。

基本情報
運用者キュナード・ライン
建造所スワン・ハンター
経歴
竣工1970年
その後1982年5月30日戦没
要目
総トン数14,946 トン
載貨重量18,146 トン
全長212.04 m
28.04 m
主機関蒸気タービン
出力35,000馬力
航海速力23.0ノット
積載能力966 TEU
テンプレートを表示

概要

ACLが1969年~1970年に6隻建造したG2級の1隻で、1970年イギリスのスワン・ハンター社で竣工し、欧州~北米間の大西洋航路に就航した。船尾ランプを用いたRORO荷役や車両搭載も可能なコンテナ船で、船主はキュナード・ラインである。尚、G2級6隻のうち、キュナード・ライン所有でスワン・ハンター社建造船は本船と「アトランティック・コーズウェイ(Atlantic Causeway)」の2隻で、他の4隻は他船社の所有で建造所も異なっていた。1982年に発生したフォークランド紛争で、本船はアトランティック・コーズウェイと共にイギリス海軍に徴用され、航空機等の輸送船となった。同年5月25日、アルゼンチン海軍シュペルエタンダール攻撃機がイギリス空母「ハーミーズ」を狙って発射したエグゾセが本船に命中し爆発、乗員12名(商船員6名、海軍補助艦隊員3名、海兵隊員3名)が死亡した。大破した船は30日に沈没した。運搬していた航空機のうち、空母「ハーミーズ」に移送済みだったハリアーと、フリゲート艦「グラスゴー」への補給物資の移送を行っていた1機のチヌークHC.1「ブラヴォー・ノヴェンバー」は難を逃れたが、前記の「ブラヴォー・ノヴェンバー」を除いた3機のチヌークHC.1や6機のウェセックス等のヘリコプターが本船と共に失われた。

参考文献

  • 渡辺逸郎『コンテナ船の話』成山堂書店 2006年 ISBN 978-4-425-71371-4
  • 海洋協会『柳原良平編集 船の雑誌3 新しい海の王者コンテナ船』1972年
  • 海人社『世界の艦船』1982年8月号 No.310
  • 海人社『世界の艦船』1983年5月号 No.321
  • 海人社『世界の艦船』1988年3月号 No.390

外部リンク