アジアハイウェイ

アジアの国際道路網

アジアハイウェイ英語: Asian Highway Network)とは、アジア32カ国を横断する全長14.1万キロメートル(km)[1]にわたる幹線道路網[2]。主に既存の道路網を活用し、現代のシルクロードを目指して計画されているものである。トルコからは欧州自動車道路に接続する。英語での略称はAH国際連合アジア太平洋経済社会委員会が運営事務局をつとめている。

東京日本橋の1号線の起点に立つAH1の標識
タイ王国・ラチャブリ近郊にある2号線の標識(青地にA2)

日本国内には唯一1号線(AH1)が通過しており、全長は1,108 kmである。

経緯

ルート

主要幹線ルートとして、以下のような8本のルートがある。

アジアハイウェイのルート図
AH-1(延長:20,710km)
東京(Tokyo・起点)、福岡(Fukuoka)、釜山(Busan)、ソウル(Seoul)、平壌(Pyongyang)、北京(Beijing)、武漢(Wuhan)、長沙(Changsha)、広州(Guangzhou)、南寧(Nanning)、ハノイ(Hanoi)、ホーチミン(Ho Chi Minh City)、プノンペン(Phnom Penh)、バンコク(Bangkok)、ヤンゴン(Yangon)、インパール(Imphal)、ダッカ(Dhaka)、コルカタ(Calcutta)、ニューデリー(New Delhi)、イスラマバード(Islamabad)、カーブル(Kabul)、テヘラン(Tehran)、アンカラ(Ankara)、イスタンブール(Istanbul)、カプクレトルコブルガリア国境・終点)
AH-2(延長:10,711km)
デンパサール(Denpasar インドネシア・起点)、スラバヤ(Surabaya)、ジャカルタ(Jakarta)、シンガポール(Singapore)、クアラルンプール(Kuala Lumpur)、バンコク(Bangkok)、チェンライ(Chiang Rai)、マンダレー(Mandalay)、インパール(Imphal)、ダッカ(Dhaka)、ヘタウダ(Hetauda)、ニューデリー(New Delhi)、ラホール(Lahore)、クエッタ(Quetta)、テヘラン(Tehran)、コスラヴィ(イラン・終点)
AH-3(延長:6,286km)
ウランウデ(Ulan-ude ロシア連邦・起点)、ウランバートル(Ulan Bator)、北京(Beijing)、天津(Tianjin)、上海(Shanghai)、長沙(Changsha)、昆明(Kunming)、チェンライ(Chiang Rai)・チャイントンタイミャンマー・終点)
AH-4(延長:4,811km)
ノボシビルスク(Novosibirsk ロシア連邦・起点)、ホブド(Hovd)、ウルムチ(Urumqi)、カシュガル(Kashi)、イスラマバード(Islamabad)、ラホール(Lahore)、カラチ(Karachi パキスタン・終点)
AH-5(延長:9,842km)
上海(起点)、南京(Nanjing)、西安(Xian)、蘭州(Lanzhou)、ウルムチ(Urumqi)、アルマトイ(Almaty)、ビシュケク(Biskek)、タシュケント(Tashkent)、アシガバート(Ashkhabad)、トルクメンバシ(Turkmenbasi)、バクー(Baku)、トビリシ(Tbilisi)、イスタンブール(Istanbul)、カプクレ(トルコ、ブルガリア国境・終点)
AH-6(延長:10,407km)
釜山(Busan・起点)、平壌(Pyongyang)、ウラジオストク(Vladivostok)、ハルビン(Harbin)、イルクーツク(Irkutsk)、ノボシビルスク(Novosibirsk)、オムスク(Omsk)、チェリャビンスク(Chelyabinsk)、モスクワ(Moscow)、クラスノエ(ロシア連邦、ベラルーシ国境・終点)
AH-7(延長:4,776km)
エカテリンブルク(ロシア連邦、起点)、チェリャビンスク(Chelyabinsk)、アスタナ(Astana)、オシ(Osh)、タシュケント(Tashkend)、ドゥシャンベ(Dushanbe)、カーブル(Kabul)、ヘラート(Herat)、クエッタ(Quetta)、カラチ(Karachi パキスタン・終点)
AH-8(延長:4,435km)
トルピュノブカ(ロシア連邦、フィンランド国境・起点)、サンクトペテルブルク(Sankt-Peterburg)、モスクワ(Moscow)、アストラハン(Astrakhan)、マハチカラ(Makhachikara)、バクー(Baku)、テヘラン(Tehran)、バンダレ・エマーム(イラン・終点)

路線番号

路線番号の付与方法は以下のとおり[21]

起点・終点

東南アジア
路線番号起点終点経由国
アジアハイウェイ11号線ヴィエンチャンシアヌークビル ラオス カンボジア
アジアハイウェイ12号線ナトゥーイ英語版ファイカミン英語版 ラオス タイ
アジアハイウェイ13号線ハノイナコーンサワン  ベトナム ラオス タイ
アジアハイウェイ14号線ハイフォンマンダレー  ベトナム 中国 ミャンマー
アジアハイウェイ15号線クアローウドーンターニー  ベトナム ラオス タイ
アジアハイウェイ16号線ドンハターク  ベトナム ラオス タイ
アジアハイウェイ17号線ダナンヴンタウ  ベトナム
アジアハイウェイ18号線ハートヤイジョホール・シンガポール・コーズウェイ タイ マレーシア
アジアハイウェイ19号線ナコーンラーチャシーマーバンコク タイ
アジアハイウェイ25号線バンダ・アチェメラク英語版 インドネシア
アジアハイウェイ26号線ラオアグサンボアンガ フィリピン
東アジア及び北東アジア
路線番号起点終点経由国
アジアハイウェイ30号線ウスリースクチタ ロシア
アジアハイウェイ31号線ベロゴルスク大連市 ロシア 中国
アジアハイウェイ32号線先鋒区域ホブド 北朝鮮 中国 モンゴル
アジアハイウェイ33号線ハルビン市同江市 中国
アジアハイウェイ34号線連雲港市西安市 中国
アジアハイウェイ35号線ウンドゥルハーン錦州市 モンゴル 中国
南アジア
路線番号起点終点経由国
アジアハイウェイ41号線テクナフ郡英語版モングラ港 バングラデシュ
アジアハイウェイ42号線蘭州バーヒ英語版 中国 ネパール インド
アジアハイウェイ43号線アーグラマータラ インド スリランカ
アジアハイウェイ44号線ダンブッラトリンコマリー スリランカ
アジアハイウェイ45号線コルカタチェンナイ インド
アジアハイウェイ46号線カラグプル英語版ドゥレー英語版(ドゥーレ) インド
アジアハイウェイ47号線グワーリヤルベンガルール インド
アジアハイウェイ48号線ティンプーチャングラバンダ英語版 ブータン インド
アジアハイウェイ51号線ペシャーワルクエッタ パキスタン
北アジア中央アジア及び西南アジア
路線番号起点終点経由国
アジアハイウェイ60号線オムスクブライバイタル英語版 ロシア カザフスタン
アジアハイウェイ61号線カシュガル市クルペツロシア語版 中国 キルギス カザフスタン ロシア
アジアハイウェイ62号線ペトロパブルマザーリシャリーフ カザフスタン ウズベキスタン アフガニスタン
アジアハイウェイ63号線サマーラグザル ロシア カザフスタン ウズベキスタン
アジアハイウェイ64号線ペトロパブルバルナウル カザフスタン ロシア
アジアハイウェイ65号線カシュガル市テルメズ 中国 キルギス タジキスタン ウズベキスタン
アジアハイウェイ66号線タシュクルガン・タジク自治県 カラス税関事務所(卡拉蘇口岸)ドゥシャンベ 中国 タジキスタン
アジアハイウェイ67号線クイトゥン市ジェスカスガン 中国 カザフスタン
アジアハイウェイ68号線精河県ウシャラル英語版 中国 カザフスタン
アジアハイウェイ70号線カメンスク=シャフチンスキーバンダレ・アッバース ロシア カザフスタン トルクメニスタン イラン
アジアハイウェイ71号線デラーラーム英語版ダシュタク英語版 アフガニスタン イラン
アジアハイウェイ72号線テヘランブーシェフル イラン
アジアハイウェイ75号線テジェンチャーバハール トルクメニスタン イラン
アジアハイウェイ76号線プリ・フムリーヘラート アフガニスタン
アジアハイウェイ77号線ジャバルサラジ郡英語版マル (トルクメニスタン) アフガニスタン トルクメニスタン
アジアハイウェイ78号線アシガバートケルマーン トルクメニスタン イラン
アジアハイウェイ81号線ジョージア=ロシア国境 Larsi(カズベギ地区アクタウ ジョージア アルメニア アゼルバイジャンナヒチェヴァン自治共和国)、
アルメニア アゼルバイジャン、(カスピ海)、 カザフスタン
アジアハイウェイ82号線ソチIvughli ロシア ジョージア アルメニア イラン
アジアハイウェイ83号線ガザフ英語版エレバン アゼルバイジャン アルメニア
アジアハイウェイ84号線Doğubayazıt(ドウバヤズット、ドウバヤズト)メルスィン トルコ
アジアハイウェイ85号線レファヒイェ英語版メルジフォン英語版 トルコ
アジアハイウェイ86号線アシュカレ英語版トラブゾン トルコ
アジアハイウェイ87号線アンカライズミル トルコ
アジアハイウェイ88号線チャーバハールバンダレ・エマーム・ホメイニー イラン

道路網と各国の整備

関係国

※アルファベット順。なお( )内は各国におけるハイウェイの延長距離(単位km、総延長141,714km)

アフガニスタン(4,247)、 アルメニア(958)、 アゼルバイジャン(1,442)、 バングラデシュ(1,806)、 ブータン(1)、 カンボジア(1,340)、 中国(26,699)、 北朝鮮(1,320)、 ジョージア(1,154)、 インド(11,432)、 インドネシア(4,115)、 イラン(11,218)、 日本(1,108)、 カザフスタン(13,189)、 キルギス (1,695)、 ラオス (2,318)、 マレーシア(1,595)、 モンゴル(4,286)、 ミャンマー(3,003)、 ネパール(1,321)、 パキスタン(5,377)、 フィリピン(3,517)、 韓国(907)、 ロシア(16,869)、 シンガポール(19)、 スリランカ(650)、 タイ(5,101)、 タジキスタン(1,925)、 トルコ(5,254)、 トルクメニスタン(2,204)、 ウズベキスタン(2,966)、  ベトナム(2,678)

日本

国土交通省は、2005年「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定」が発効したことを受け、協定に規定されたアジアハイウェイに係る標識を、順次設置することを発表している[22]

日本橋を起点[23]とし、東京-福岡間の首都高速道路東名高速道路名神高速道路中国自動車道山陽自動車道広島岩国道路関門自動車道九州自動車道福岡都市高速道路の高速道路がAH-1に編入された。

中国

中国は1988年にアジアハイウェイ・プロジェクトに参加[24]。1993年に中国国内に初めて路線が設定された[24]

中国国内の路線は中国側からの提案に基づきESCAPで検討され、1993年に開催された専門家会議で基本的に合意されたが、最終承認段階でAH3号の北京 - 長沙間及びAH82号の長沙 - 深框間については承認するが、その他の区間については検討中であるとESCAPに回答があった[24]。そのためESCAPは正式承認された区間以外を候補路線(Possible Route)として扱う対応をとった[24]

参考文献

  • 山内洋隆著「遥かなるアジアハイウェイ」JETROレポート、2004年。
文献内で引用されているUNESCAPのデータ。

脚注

関連項目

外部リンク