へび座

トレミーの48星座の1つ

へび座(へびざ、蛇座、Serpens)は、トレミーの48星座の1つ。最も明るい星でも3等星と、暗い星が多い。へび座は、へびつかい座を間に挟む形で西側の「頭部 (Serpens Caput)」と東側の「尾部 (Serpens Cauda)」の2つに分かれている。頭部にはα、βγ、δ、ε、ι、κ、λ、μ、π、ρ、σ、τ1、τ2、τ3、τ4、τ5、τ6、τ7、τ8、υ、φ、χ、ψ、ω星がある。尾部にはζ、η、θ、ν、ξ、ο星がある。

へび座
Serpens
Serpens
属格Serpentis
略符Ser
発音英語発音: [ˈsɜrpɨnz]、属格:/sərˈpɛntɨs/
象徴the Snake
概略位置:赤経頭部(Caput): 16 h
尾部(Cauda): 18
概略位置:赤緯頭部(Caput): +10°
尾部(Cauda): −5
正中6月30日午後9時
8月5日午後9時
広さ637平方度[1]23位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
57
3.0等より明るい恒星数1
最輝星α Ser(2.630
メシエ天体2
隣接する星座頭部(Caput):
かんむり座
うしかい座
おとめ座
てんびん座
へびつかい座
ヘルクレス座

尾部 (Cauda):
わし座
へびつかい座
いて座
たて座
テンプレートを表示

主な天体

恒星

以下の恒星には、国際天文学連合によって正式に固有名が定められている[2]

  • α星:3等星。へび座で最も明るい恒星で、頭部にある。アラビア語で「蛇の首」を意味する言葉に由来[3]する「ウヌクアルハイ[4] (Unukalhai)」という固有名を持つ。
  • θ星:5等星。尾部にあり、地球から三重星に見える。そのうちθ1星とθ2星は連星系を成している。θ1星にはアラビア語で「羊の太ったしっぽ」を意味する言葉に由来[3]する「アリア[4] (Alya)」という固有名が付けられている。
  • κ星:4等星。2018年に、オーストラリアノーザン・テリトリーに住むオーストラリア先住民のWardaman族の言葉で「メルテンスオオトカゲ」を意味する「グジャ (Gudja)」という固有名が定められた。
  • HD 168746:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でキプロスに命名権が与えられ、主星はAlasia、太陽系外惑星はOnasilosと命名された[5]
  • HD 175541:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でイランに命名権が与えられ、主星はKaveh、太陽系外惑星はKavianと命名された[5]

その他、以下の恒星が知られている。

星団・星雲・銀河

  • M5球状星団。頭部、α星の南西約8度に位置する美しい球状星団。
  • M16(わし星雲):散開星団散光星雲の複合した天体。この天体は小型望遠鏡では散開星団に見えるが、実際には散光星雲の中に星団がある。この散光星雲は新しい恒星ができつつある部分と考えられている。星団の恒星の光によって星雲部分が輝き、独特の画像が見られるが観測には若干大きな望遠鏡が必要である。
  • IC 1101:既知で最も巨大な銀河。直径が600万光年ある。
  • CB 103-3:分子雲

へび座尾部は、天の川と重なっている。

その他

由来と歴史

紀元前3世紀頃の学者エラトステネスの『カタステリスモイ』や紀元前1世紀頃の著作家ヒュギーヌスの『天文詩』では、へびつかい座の一部とされていた[6]。2世紀頃の古代ローマの学者トレミーは著書『アルマゲスト』の中で、へびつかい座とは独立した1つの星座として扱った[4]。しかし、後のヨハン・ボーデジョン・フラムスティードヨハネス・ヘヴェリウスといった星図製作者たちはへびつかい座と一体となった星座として描いており、わずかにヨハン・バイエルが著書『ウラノメトリア』の中で控えめながら別の星座として扱う程度であった[6]。1922年に国際天文学連合が現在の88星座を定めた際にそれぞれ別の星座として確立され、ウジェーヌ・デルポルトによって現在の形に分割された[6]

神話

脚注

外部リンク

17h 00m 00s, +03° 00′ 00″