たん (接尾語)

接尾語としてのたんとは、一般には「○○ちゃん」の幼児語ないしは、それに準じた言葉とされる[1]

幼児語としての「たん」

幼児語としては、「ちゃん」の意味に相当するが、「ちゃん ("/tɕaɴ/") 」と発せられるはずが、"/ɕ/"が欠落して発せられる、あるいは、弱くて聞き取れない場合に使用される場合が多い。

また、大人が幼児に対して「ぼくたん」などと問いかける場合にも使われる。[要出典]

一般には小学校入学後までには「さん」・「ちゃん」などや自称で使用する場合には単に「ぼく」・「わたし」などに修正される場合が多い。[要出典]

中勘助の随筆「小百合さんの思ひ出」には『幼名は耳が大きかったので「ミミ」それが「ミーちゃん」「ミータンちゃん」となり』という節が出てくる[2]

なお、子供向けのキャラクター(「ノンタン」「にゃんたん」「ぴょこたん」「うーたん」「ペッタン」など)やマスコットキャラクター(「はばタン」「キビタン」「かねたん」「カボたん」など)として親近感をわかせるために使用する場合もある。

1970年代、TVで活躍していた水森亜土は成人ではあったが、独自の舌っ足らずな発音で自らを「亜土タン」と呼称しており、おそらくメディア上でこの発音を多用した最初の人物であると思われる。[要出典]

少女漫画における「たん」の受容

1967年、漫画家の赤塚不二夫りぼんで「ミータンとおはよう」を連載した。このミータンは人間の赤ん坊であった。

1970年代、別冊少女フレンドは古茂田ヒロコの「ロコたんのおしゃべり通信」「ロコたんのメイクアップファッション」を連載していた。また同誌では亜土タンこと水森亜土の「あなたと亜土たんのおてまみ広場」も連載するようになった[3]。当時は少女の間で水森亜土のイラスト、文字(丸文字)および言葉が人気となっていた[3]。なお水森亜土もミータンという名前のキャラクターを作成していたが、このキャラクターは猫となっている(『亜土タンの絵かきうた』[4]などに登場)。

1978年、坂東江利子はりぼんで「ちょいまちミータン」を連載した。また1970年代にデビューしたりぼん漫画家の陸奥A子はファンより「A子たん」と呼ばれていた[5]

1980年代、さくらももこちびまる子ちゃん」の原作漫画に収録されている『さくらももこのほのぼの劇場』にはりぼんを読みながら「A子たん」のバッグを欲しがったり、「ちょいまちミータン」の似顔絵を描こうかなと思うシーンが登場する[6]

インターネットコミュニティ上の「たん」

インターネットコミュニティ上では、文字の制限や対象者を文中で使用する場合に敢えて敬称として使用する場合がある。この場合、対象者により意味合いが異なる。なお、ひらがなカタカナの別や全角・半角の差違は特に定かではないとされる。また、対象者によっては「タソ(たそ)」とも書かれる場合もある。[要出典]

2005年佐藤ゆかり議員が「ゆかりタン」と一般のマスメディアでも報道されたのをきっかけに、一般にもこういった表記が浸透しつつある[1]。「○○タン」は2005年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補となる60語にノミネートされた[1]

また、「たん」が主に女子やロリキャラに使われるのに対し、男子やショタキャラには「きゅん」が使われることもある。これは「くん("kun")」が正しく発音されないのが変化したものと思われる(神木きゅん、秋巳きゅん)。[要出典]

キャラクター設定で性別が曖昧だったり、男子ながら女子的な可愛さを持っている場合などに、「たん」と「きゅん」を合成した「たゅん」という表記も稀に用いられる。[要出典]

変種として、「たゃん」「てゃん」、およびそれらから末尾の「ん」を取り除いた「たゃ」や「てゃ」なども使用が確認されている[8]

その他の「たん」

方言学者の橘正一の推察によれば「すかたん」の「たん」は「頭」から来たものとされる (「スコ頭」→「スコタマ」→「スカタン」)[9]

伊賀北東部などの方言の「たん」は「谷」の意味であり[10]、例えば「すっぽこたん」はすっぽこ谷、つまり僻地を意味する[10]

ギャル語では「やばたん」(やばい)、「つらたん」(つらい)、「うざたん」(うざい)、「きゃわたん」(きゃわいい)などの形で使われる形容詞の語尾「たん」が流行した[11]。その後、「やばたん」は「やばたにえん」に派生した[12]

脚注

関連項目